スイッチング電源キットDSP5015のための外部DC電源を早速Amazonで物色した。60V/15Aのようなスペックで5千円以内の商品は見つからず、自分の使い道を考え、中国製Lixada 48V/8.3A スイッチング電源を3千円弱で購入した。高い電圧では、電流はフルスペックの15Aから約半分になってしまったが、5A以上の電流を必要とする場面はいままで経験したことがあまりなかったので、それほど困ることはないだろう。低い電圧では、スイッチング電源が効率がよいので、400W×0.8 / 電圧(ただし、上限は15A)程度の電流は得られる。たとえば、出力電圧が30Vでは11A、21V以下では15Aまでの電流が得られる。

Lixada 48V/8.3A スイッチング電源
大事な接線情報

到着した商品は2018年10月製、入力AC電圧は220Vになっている。110Vに切り替える(スイッチをスライドする)。また、商品説明に書かれている接線情報にしたがって、入力としてのAC電源ケーブル、出力としてのケーブルをつくってつけた。

また、出力電圧を最も高くするように、調整ボリューム(下の写真の赤丸)を回転させて調整した。出力電圧は出荷時の48Vから約54Vに上げた。

出力電圧を目いっぱいに上げる

これで、サイズはキットと合わせて大きくなってしまったが、約50V/8Aの実験電源が完成した。全部の費用はキット+ケース+本電源で約1万円。高いか安いか、ひとの感じ方はそれぞれだが、十分魅力的だと思っている。もっとコストを低くしたければ、電圧電流の低いDSPにし、外部DC電源をACアダプター(ハードオフ辺りの中古品)にすればよいかも。

50V / 8A の実験電源が完成

最後に、情報を得るために訪れてくる方々のために、関連記事をまとめておく。

スイッチング電源 DSP5015 キット
スイッチング電源 DSP5015 用ケース
スイッチン電源 DSP5015の仮組立
スイッチング電源 DSP5015キットの組立
Lixada 48V/8.3A直流安定化電源(本記事)
スイッチング電源 DSP5015にBluetoothが使えるように

仮組立して動作確認をしたところで、正式の組立作業に入る。全体のレイアウトは必ずしもネット上に見かける多くのものと一致していないが、正面からみて、メイン基板の左に入力、右に出力とすることにした。フラットケーブルはメイン基板の裏でUターンできるのも理由の一つ。

電源スイッチはケース穴加工精度が良くないせいか、取り付けても若干ゆるく、接着剤でさらに固定した。また、手元に圧着工具AK15Aがあり、リード線の先端にU型圧着端子をつけた。最大15Aの電流が流れるので、接触不良を無くし、接触抵抗を減らすよう気をつけた。

ファンの制御基板(温度センサーが内蔵されておらず、電源を入れるとケースファンはずっと回転する)の配線はネット上の情報と異なっているかもしれない。接続の考えとして、ファン制御基板上にある、外部入力ターミナルのプラス側を電源スイッチにつなぎ、電源スイッチのもう片方をメイン基板のINプラス側につなぐ。ただし、ファン制御基板にも電源スイッチからでリード線が必要なので、自分が用意した細いリード線を使った。

以下は組立途中や完了後の写真。USB通信基板の固定方法に疑問を感じているが、改善策を講じていない。

全体のレイアウトは自己流
USB通信基板と電源スイッチ
U型圧着端子を使う
出力部分
ケース後部のファン駆動基板と電源スイッチ周り
フロントパネル
後部からの写真
底の固定ネジ6本(うちの2本はUSB通信基板の固定用)とゴム足4本

Bluetooth通信基板は今回残念ながらケースに組み込むことはできなかった。

無駄になったBluetooth通信基板

通電して動作確認。気になったことはひとつ、メイン基板上のファンはまったく回転しなかった。発熱はほとんどないということかな。

さて、CCモード(定電流モード)の動作確認。負荷抵抗として8Ω/30W抵抗器を出力につなげ、出力電圧を13Vに設定すると、流れる電流は1.61Aと表示。最大出力電流を3.8Aにしているので、この状態ではCVモード(定電圧モード)。

負荷抵抗8Ωに13V電圧を与える。出力最大電流は1.6A以上と設定。

最大出力電流を下げ、1.6Aを下回ると、その最大出力電流を維持するために、出力電圧が自動的に下がる。いわゆるCCモード(定電流モード)になった。

最大出力電流の制限で、CCモードに入った

多くの実験電源では、出力をショートしてから、最大出力電流を調整するといった、素人では心配するような設定方法をしている。いわば、むりやり電子回路の都合に合わせて設定方法を利用者に強要しているわけだが、本キットは人間に寄り添い、出力しながらいつでも最大出力電流・最大出力電圧を変更できる。PCソフトを使うと、さらにアナログ的なノブの回転にもデジタル的な数値の入力にも対応している。異論はあると思うが、価格を半分にし、LCDパネルを省け、PCソフトのみの操作に対応したキットを販売すればもっと多くのひとに歓迎されるだろう。

さらに、まだ使い慣れていないが、出力電圧・出力電流をステップ関数のように設定することもPCソフトではできるらしい。本キットは情報化社会にふさわしい実験用電源になっているといえよう。

PCソフトでは、さらに強力なAdvansed Functionも用意されている

本キットを機能させるには、外部DC電源を用意しないといけないが、0~50V / 0~15Aという強力なスペックの実験用電源を手軽に製作することができた。しかも、PCソフトの力で操作性は抜群によい。約60ドルのコストパフォマンスに勝てる商品はほかにあるのだろうか。

最後に、情報を得るために訪れてくる方々のために、関連記事をまとめておく。

スイッチング電源 DSP5015 キット
スイッチング電源 DSP5015 用ケース
スイッチン電源 DSP5015の仮組立
スイッチング電源 DSP5015キットの組立(本記事)
Lixada 48V/8.3A直流安定化電源
スイッチング電源 DSP5015にBluetoothが使えるように

キットを正式に組み立てる前に、動作確認をしておいたほうが安心する。以下は仮組立に関する作業内容。

LCDモニタに2つのコネクタがついていて、それぞれがLCDとKEYとの表記。それらをメイン基板上の同様な表記箇所のコネクタとフラットケーブルで繋ぐ。

LCDモニタの裏フタを開けてフラットケーブルを挿す
もう一方のフラットケーブルをメイン基板に挿す

つぎに、メイン基板上のIN側(上記写真の左側)に外部DC電源を繋げば、キットは動作するはず。さらに、OUT側(上記写真の右側)にDMM(デジタルマルチメータ)をつけて、出力電圧の値が確認できる。

Micro USBケーブルと4芯ケーブルを接続

さらに、USB通信基板の動作確認を行うために、4芯ケーブルをUSB通信基板に挿し、もう片方はメイン基板のコネクタ(メイン基板上に、余ったコネクタはひとつしかなく、しかも方向性があるので、間違うはずはない)に挿し、全体の仮組立はこれで完了。

外部DC電源の電源を入れ、PCとキットをUSBケーブルに接続すると、PC上で以下のドライバ USB-SERIAL CH340がデバイスマネージャーで確認できる。

キットのUSB通信モジュールに対応するデバイスドライバ CH340
PC制御画面

COM番号(上記の例では6番)をメモして、PCからの制御ソフト DPS5010 PC Software V1.4 を起動して、COM番号を画面左の「Configuration Port」に入力して、下の「Connect」ボタンをクリックすると、「Key lock」「Online」が緑色に変わり、Firmwareも1.6と表示される。定電圧・定電流の設定はこれでPCからできるようになる。

無論、PCを使わず、LCDモニタからも設定できる。

以上でキットに関する基本動作確認が完了したと考える。CCモードや負荷をかけた時の動きについては組立後にゆっくり確認する。

最後に、情報を得るために訪れてくる方々のために、関連記事をまとめておく。

スイッチング電源 DSP5015 キット
スイッチング電源 DSP5015 用ケース
スイッチング電源 DSP5015の仮組立(本記事)
スイッチング電源 DSP5015キットの組立
Lixada 48V/8.3A直流安定化電源
スイッチング電源 DSP5015にBluetoothが使えるように

中国からスイッチング電源 DSP5015 用メタルケースが届いた。こちらも約10日間の配達。送料込の購入価格は約18ドル。

USB通信基板が搭載可能な専用メタルケース
後部の外観と全体のサイズ。ケース後部のUSBインターフェースに要注目

組立マニュアルはいっさいついていない。ケースが使える電源モジュールはDSP5020(DSP5020-USB)、DSP3012、DSP5015(DSP5015-USB)、DSP3205、DPH5005(DPH5005-USB)らしい。

AliExpress上の商品説明に掲載されているイラストは組立時の参考になろう。

組立参考イラスト

品質に関しては塗装に傷等がみられ、厳しいひとには多少がっかりするかも。ケースファンとその駆動基板の購入、ケースの選定や穴あけ等の作業を自分で行う場合の苦労と比べれば、悪い買い物ではないはず。

最後に、情報を得るために訪れてくる方々のために、関連記事をまとめておく。

スイッチング電源 DSP5015 キット
スイッチング電源 DSP5015 用ケース(本記事)
スイッチン電源 DSP5015の仮組立
スイッチング電源 DSP5015キットの組立
Lixada 48V/8.3A直流安定化電源
スイッチング電源 DSP5015にBluetoothが使えるように

中国独身の日(11月11日)祭りで購入した4点のうち、DSP5015キットが届いた。約10日間の配達。

スイッチング電源 DSP5015キット
もう一枚

本キットは外部入力電源のスペックにもよるが、キット自体の出力電圧は0~50V、出力電流は0~15A、出力電力は0~750Wとなっている。つまり、入力として与えられた直流電源は60V以上、電流が15A以上であれば、本キットはダウンコンバートし、0~50V(0.01Vステップ)の電圧、0~15A(0.01Aステップ)の電流を出力するもの。本当にスペック通りに動くか、組み立ててから確かめたい。

キットにUSBモジュール、Bluetoothモジュールも含まれており、PCやスマホから出力電圧・電流を制御できるらしい。ただ、USBとBluetoothは同時に使えるか、付属してきたケーブルを見る限り、どちらかしか使えない気がする。分岐ケーブルを自分で用意すれば、USBからもBluetoothからも制御できるかもしれない。こちらも組み立ててから確かめたい。自分はUSB経由のPC制御ソフトに期待して購入を決めた。

以上のことで、本キットの正確な名称は「プログラマブル・定電圧電流ステップダウン・スイッチングモジュール」となるだろうか。一人前の0~50V/0~15Aのスイッチング実験電源にするには、AC100Vを60V/15Aに変換するDC電源とケースが必要。なお、本キット専用のメタルケースが発売されており、数日後に届くはず。

組み立てマニュアルはいっさいついていないので、つぎのところから英語資料や関連ソフトをダウンロードする。

https://www.mediafire.com/folder/3iogirsx1s0vp/DPS_communication_upper_computer

自分の使っているPCは日本語Windows 10 Home Edition(1809)64bit。環境によっっては以下の説明は当てはまらないかもしれない。

対応モデルDSP5015のフォルダーにある DSP5015 PC Software(2017.11.04).zip という圧縮ファイルをPCにダウンロードし、アンチウィルスソフトでスキャンして問題なければ解凍。

ファイルCH341SER.exe はUSBドライバなので、それを実行する。最後にインストール失敗旨の表示があるが、それは提供されていないCH341SER.infファイルが存在しないことによるもので、心配しなくてよさそう。

さらに、解凍したフォルダーのなかにある DSP5015 PC Software V1.4.rar を解凍して、setup.exe ファイルを実行し、PC用ソフトをPCにインストールする。インストール時間は数分と長いが、英語の指示にしたがってやっていけば、インストールが成功裏に終わる。

最後に、情報を得るために訪れてくる方々のために、本記事に関連する記事をまとめておく。

スイッチング電源 DSP5015 キット(本記事)
スイッチング電源 DSP5015 用ケース
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スイッチング電源 DSP5015キットの組立
Lixada 48V/8.3A直流安定化電源
スイッチング電源 DSP5015にBluetoothが使えるように

ちょっとしたことで、精密電圧リファレンス LT1021-5 を入手した。LT1021はAnalog Devices社の製品で、超低ドリフトおよびノイズ、優れた長期安定度、そして入力電圧変動に対する高い余裕度などの特徴を有する精密電圧リファレンスだそうだ。LT1021-5 は5V電圧を出すもの。そのほかに、LT1021-7、LT1021-10もあり、それぞれ名前のとおり、7V, 10Vを出力する。

LT1021-5
基板の裏

趣味にハマると、多くのひとは道具にハマる。音楽なら楽器、サイクリングならバイク等。その道を極めようとすると最高のツールと自分自身最高の能力のコンビになるわけだから。人間の能力には限界があり、それを越えようとするとツールに頼るのは仕方のないことだ。同じ運動能力でもママチャリと専門バイクとではスピードが異なるはず。

このように、電子工作にハマる人は多くの電子計測器を購入するわけだ。見えないものを見たいことと、よりよい計測器を使いたいことが主な理由。そのうち、どうせ購入するなら精度の高いものと考えるひとも多いはず。正確な電圧測定を考えるなら、基準となるリファレンスが欲しいものだ。ちなみに、個人レベルで手にできる最高精度のものはGPSからの周波数や時刻であり、つぎのものは超精密抵抗器だろうか。最小抵抗値許容差が0.005%ものが市販されているから。

さて、手にしたLT1021は基板にはんだ付けされている。ピン配置は下に示す。入力として2番めのピンに約7V以上、30V以下の電圧を与え、5Vの精密電圧は出力として6番めのピンから得られる。なお、4番めのピンはGND。

LT1021-5のピン配置

入力電圧を5Vから徐々にあげ、出力電圧が安定する値を実測した。以下の表のとおり、最小入力電圧は7V、できれば9V前後の入力電圧を与えれば、出力電圧はとても安定する。

室温や使用年数等によって、出力電圧は微妙に変動することが予想されるが、出荷してから数十年間経った本LT1021-5はまだ精度よく5Vをキープしているようだ。出荷時のメーカー保証は 4.9975 ~ 5.0025Vであることを考えるとなおさらそう感じる。

精密電圧リファレンスとして、変動要因は一般的に、

  • 時間経過による経年変動
  • 入力電圧による変動
  • 負荷電流による変動
  • 室温による変動

に分けられる。入力電圧は精密定電圧として与え、負荷は数MΩ以上のものを使い、室温はエアコン等で20度に保つ等の工夫をすれば、経年変動以外の要因は克服できる。経年変動だけは計測という作業によって一定期間(たとえば毎年)ごとに確認するしかない。

経年変動は精密計測器の宿敵といっていいだろう。

<LT1021に関する資料>
データシート(英語、PDF) 本サイト
信頼性レポート(英語、PDF) 本サイト
アプリケーション・ノート:電圧リファレンスの理解と応用(日本語、PDF) 本サイト

Advantest社製デジタルマルチメータ(DMM)は3台ほど所有している。TR6847、R6451A、R6551。どれも内部ではバックアップ用電池が搭載されている。電池は校正用データを保持するためのもののようで、劣化して容量がなくなっても再校正すれば、DMMとして機能するらしいが、実験していないので、本当かどうかはわからない。

所有している3台のAdvantest社DMM

 ちなみに、上記写真は入力ショート時のACノイズを確認するために撮影したもの。3台のうち、R6451Aは最後に製造された一台で、ACノイズは0.041mVと小さい。R6551は0.753mVとやや大きめ。

R6551については、内部の電解コンデンサを全交換すればさらにノイズは小さくなるとかの噂は聞くが、すべての交換は自力ではできなかった(分解の手間を考えると躊躇してしまうから)。

既存のバックアップ用電池はMaxell リチウム ER3 (1/2AA) 3.6V というもの。いまでも市販されているが、電池代をケチるために、今回は秋月電子通商から、リチウム電池 1/2AAサイズのものを購入して代用した。商品説明は以下の通り。

メーカー Guangzhou Markyn Battery Co., Ltd.(中国製)
・種類:塩化チオニルリチウム電池
・電圧:3.6V
・容量:1.2Ah (0.5mA to 2.0V@23℃±2℃)
・最大連続放電電流:40mA
・最大パルス電流:80mA
・使用温度:-55~85℃
・充電:不可(使い切り電池です)
・保存期間:10年

また、電池ボックスも一緒に購入。購入単価は電池250円、ボックス100円。電池の製造時期は2018年4月13日。

さて、ICへの電力供給を一瞬たりとも止めないために、今回はとても神経を使った。交換ステップは基本的に以下とした。

  1. DMMの電源をOFFにし、電源ケーブルを外し、内部分解する。
  2. 電池ボックスをネジで内部に固定するのであれば、先に穴をドリルで開ける。
  3. 既存電池のプラスマイナス両側に、電池ボックスのプラスマイナスリード線をはんだづけする。より正確に書くと、プラスリード線は電極上の基板側だが、マイナスリード線は基板上のGNDにはんだづけした。また、リード線先端は、外部の精密実験電源から電力供給できるように、導線部分を多少残す。
  4. 上記のリード線に精密実験電源から、既存電池(実測では約3.7V)と同じ電圧を供給する。
  5. 既存電池のプラス極をニッパーで切り、既存電池からの電力供給を止める。3. でつけたプラス極リード線は当然基板側に残すように切る位置を決める。電池のプラス電極は逆L型の形で基板にはんだづけされているので、切る作業は簡単にできる。
  6. 交換用新しい電池の電圧を測る(約3.6V)
  7. 上記の電圧に合わせて、外部精密実験電源の電圧を徐々に下げる。約3.7Vから3.6Vに数分かけて下げる。
  8. 新しい電池を電池ボックスに入れる。バネの接触具合をよく確認する。また、新しい電池の製造時期は外部からひと目でわかるように電池を回転させる。
  9. 問題がなければ、外部精密実験電源を切る。
  10. 既存の電池のマイナス極をはんだこてを使って基板から取り外す。プラス極はすでに上記の 6. で切ってある。

R6451AとR6551は壁に穴を開け、電池ボックスを固定することにしたが、TR6847は両面テープで基板に電池ボックスを固定した。両面テープの劣化が心配で、さらに接着剤を使って強固にした。

以下はほんの一部の写真。

壁に穴を開ける
電池ボックスを2本のネジで壁に固定
電池交換完了時の様子。
基板に電池ボックスを両面テープや接着剤で固定

取り外した電池はそれぞれ89年2月、94年11月、91年1月製、対応する機種はトップ写真の順番に合わせた。おそらくDMM出荷後、電池の交換は一度も行われていなかった。いずれの電池も3.7Vをキープしているので、すごい寿命(24~29年)だと感激した。

取り外した古い電池。プラス極の切る位置に注目。

交換後、3台とも校正データは消えておらず、元気に動いている。

ESRとはEquivalent Series Resistance(等価直列抵抗)のこと。実物としての電解コンデンサはキャパシタンス(容量)以外に、どうしても電極、電解液、誘電体などの抵抗成分を含む。とくに、電解コンデンサの寿命を数千時間しかメーカーが保証しない製品がほとんど。24時間運用するサーバでは、電解コンデンサの搭載は好ましくない。1年間の運営だけで8760時間にのぼるから。温度が10度下がれば、電解コンデンサの寿命は倍に伸びるとかいわれるが、メーカーはそう保証して出荷したわけではない。電解コンデンサの寿命が短い理由は電解液が時間とともに蒸散して劣化し、抵抗成分(すなわちESR)が増大するといわれている。

したがって、理想的なコンデンサはESR値はゼロだが、現実の電解コンデンサはESR値はゼロではない。また、コンデンサが不良になるとESRが高くなることが多く、ESRが高いコンデンサを含む電子回路は、動作が不安定になったり、異常発振や誤動作などを起こしたりすることが多い。さらに、電解コンデンサにリプル電流が流れるとESRで損失が発生し、異常発熱によってコンデンサの劣化が早まる。

以上の理由で、ESR値の小さい電解コンデンサがユーザに求められるわけだ。そこで、手持ちの電解コンデンサのESR値を実測してみた。せっかくLCRメータ Agilent U1733CにUSBケーブルをつけたので、PCからの測定が手軽にできるから。

測定条件は以下の通り。

室温は20℃前後、湿度は60%前後。数時間に渡る長時間の測定なので、室温や湿度がその間変化しており、前後という表現をここで使っている。

LCRメータにリチウムイオン充電池3本(実測12V前後)による外部電源を供給し、USBケーブルでPCに接続。電解コンデンサの極性をよく確認して、LCRメータのプラスマイナス側にそれぞれつなぐ。

PCから100Hzでのコンデンサ容量Cの測定を指示する。Cの測定はシリアル式で行ったが、22000uFだけは容量が大きいか、シリアル式では測定不能だった。そのかわりにパラレル式に切り替えて測定した。

ついでに、ESR値を100Hz, 120Hz, 1kHz, 10kHz, 100kHzの各周波数で測定。ただし、数分間経っても表示が安定しないものは複数あり、その際適当なタイミングで打ち切った。

PCで記録した測定値をExcelに移動し、記事最後のPDFファイルに仕上げた。つまり、手書き等の転記によるESR値の記録ミスは今回の測定ではありえないと考えてよい。

ただし、コンデンサごとにESR値は異なる。製造時期によっても値が違うので、あくまでも測定値は目安と考える。

しかし、測定して感じたのは日本ケミコン産のESR値の悪さ。手持ちは20年も昔のものかもしれないが、自分としては日本ケミコン産はこれから避けることにする。

MUSEやFine Gold等、いわゆる音楽用高級コンデンサもESR値はそれほど良くない。電子パーツとしてコンデンサを考える場合、ひとの噂を当てに、高級品だから音質がよいという迷信はいかがなものかと思うようになった。

HPブランドのデスクトップPCがだいぶ昔故障した。10年前の製品だし、PCがほかにも複数台あるので、直すことを諦めていた。長い間放棄状態にしてきたが、スイッチング電源としてPCの電源部分が使えることに気づき、PCから外して転用した。

デスクトップPCの電源は互換性を持たすために、標準化されている。いわゆるATX電源というスペック。サイズや出力する電圧等、標準化されたこそ、必要に応じて電源の取替ができるわけだ。

さて、ATX電源のスペックは筐体脇のラベルに書かれているのは一般的。本電源も2系統の5V、それぞれが13Aとスタンバイ用2A。1系統の5V/17A。3系統の12V、それぞれが16A, 15A, 8A。さらに1系統の-12V/0.8A。

スイッチング電源としての改造は最小限の作業に留めた。電源スイッチはついていなかったので、そのまま。電源インレット側にLEDがついているので、それを正面にした。余分のLEDをつけ加えなくても通電することがそれでわかる。また、電源インレット側面にバナナジャックを取り付けても内部のパーツにぶつけたり、干渉することはないことも好都合。

そうして、12V、5V、3.3V と -12V、GNDのそれぞれにバナナジャックを取り付け、元の出力ケーブルをはんだ付けして、あっという間に完成。

バナナジャックの色は手持ちに3色しかなく、赤を上から12V, 5V, 3.3V とし、青を-12V、黒をGNDとした。

改正後、オシロスコープで開放電圧の波形を確認したところ、さすがにHPのPC用ATX電源のこともあって、-12 Vだけはスイッチングノイズがひどいが、他の+電源はノイズが計測不能という状態。

スイッチング電源は効率がよいので、5 Vや12 Vでの充電で活用したい。

写真は最後にまとめて掲載する。

PC電源から転用したスイッチング電源
ATX電源のスペック
内部の様子
電源の内部(真上からの写真)
取り付けたバナナジャック
ほかの出力ケーブルを途中でカット
12Vの出力
+12Vのノイズは無視できるほど少ない
しかし、-12Vはノイズだらけ

データ収集機能を使いたいので、手持ちのLCRメータ Agilent U1733用 IR-USB ケーブルを購入した。ケーブルは見栄えのよくない自作品がネットで見つかるが、ぼったくり価格ではなかったので、純正品の購入となった。

U1733C+USBケーブル+ACアダプター

対応ソフトも無料でKeysight(Agilentの後継企業)の公式サイトに公開されている。また、ACアダプターが使えるので、手持ちの12Vスイッチング電源を活用した(ACアダプターによってはノイズを多く発するものもあり、計測値が安定せず誤差をもたらすことがあるようだ。内蔵電池と比較して、計測値が一致するACアダプターを選ぼう。)

スタンドを使わないと横倒しになるという素晴らしい設計♡天下のAgilentは流石

IR-USBケーブルはU1733Cの背部に差し込んで使うため、スタンドを出さないといけない。差す部分は表裏がないようなつくりになっているが、ラベルのある面を外に向くように使う。どうしょうもない設計!

ただ、ソフトからはU1733Cに指令を出すことができるところはすごい。様々なパラメータを同時にPC画面で確認できることも嬉しい。U1733Cの液晶パネルはLCRメータとしては大きいほうだが、PCの画面と比べたらゴミサイズでしかないのでしかたあるまい。

PC画面。U1733Cを使いこなすにはやはりUSB対応が便利。

たとえば、標準抵抗40.000 kΩを測るにあたって、U1733Cの液晶パネル表示が4桁なのに、PC画面のRの値はなんと5桁。39.98という計測値は一つ前の記事、Peak Meter PM8236の表示に近く、Fluke 87Vとやや離れる。どっちが精度高いか、Fluke 8846Aにジャッジしてもらおう。(追加:Fluke 8846Aの表示は40.0002だったので、Fluke 87Vのほうが精度がよいことになる。)

LCRメータは使い道が多い。とくにコンデンサの品質を調べるにはLCRメータ以外の測定器では難しい。ただ、ここにも中国勢の台頭はすごい。わずか千円足らずのLCRキットで、コンデンサのESR値までを表示するのだ。LCRの計測だけでなく、トランジスタ、FETの種別や足アサイン、ダイオードの順方向降圧等、LCR+トランジスタ+FET+ダイオード等、電子工作に必要なパーツの多くを測定対象にしてくれる。

<Agilent U1733Cに関する資料やソフト>
ユーザマニュアル 日本語(または本サイト
データシート 日本語(または本サイト
クイックスタートガイド 多言語(または本サイト
IR-USB ケーブル対応PCソフト Windows用(または本サイト