やはり自分はラジオ少年だと改めて思った。GC-1Aの傍にラジオを聴きながら、オシロで波形を観たり、トランジスタを取り替えたり(差込式のメリット)、バイアスを変えたり、パーツを変えたりして、こんな「退屈」の繰り返す日々(この1週間はGC-1Aに付き合いっぱなし)でもまだ厭きないから。

トランジスタを大量にストックしたから、困らないことはないだろうという幻想はこのGC-1Aで見事に破られた。PNP型高周波用ゲルマニウムトランジスタはほとんどもっていないし、あったとしても、日本産はほとんどがECBのような配列、真ん中にB(ベース)ではない。対して、アメリカ産(というか外国産)は中央がB。差し替え式では、向きはどうでもいいが、真ん中が違うと足の電極をクローズさせないといけないので面倒。

さて、改造項目は大きくわけて3つ。

1. シリコンPNPトランジスタが使えるようにした。

高周波で使われる3つのTrにはまだ未着手だが、IF以降のTr 5個(電力増幅段の2個については後述)に対しては、差込み式なので、シリコンPNPでも使えるようにした。BE間電圧Vbeを大きくして、バイアス電流をそのまま、という点に注意しながら、バイアス設定抵抗に別の抵抗を並列させて、TrのB極電圧を GNDに対して0.4Vほど低くした。なお、各Trの標準電極電圧はつぎの表のとおり、組立てマニュアルに明記されていた。

60年代前半に、1N2326や1N754がすでに製造されていた。

シリコンPNPは製造が新しいため、一般的に性能は飛躍的にあがったし、1つ数円のTrはまだまだ多く市販されているので、コスパもよい。

EBC配列の外国製Trのうち、今回はS9015が最も良かった。IFといっても高々455kHz、いまの小信号増幅用Trならどれでも無問題。S1905は低ノイズか、hfeが300と高いか、他の2N3906、BC557を圧倒した。

バイアスを変えたので、元のゲルマでは動作点が変わったが、バイアス電流の増加分は数mA程度、全体の消費電流があがるが、音質等の性能にはほぼ無関係だと聴覚上認知した。

2. 電力増幅段の改造

OTL(Output Transformer Less)設計になっているのはいいことだが、入力トランスがあるため、1kHz辺りから減衰しはじめ、通信機仕様になっている。しかも、熱暴走を防ぐため、エミット抵抗は4.7Ωと大きく、出力トランスがないため、ローインピーダンス(4Ω、8Ω等)のスピーカーを鳴らすには効率がとても悪い。

外付けスピーカー(アンプ付き)をAF励振段の出力(入力トランスの一次側)に繋いで聴いたら、ふつうのラジオ音声(音質も音量も)が聴こえたので、電力増幅段をミニアンプに改造することを決心。

そこで、aitendoさんからLM386組立キットを購入。収納スペースがあまりないため、高さをなるべく低くした。ただ、ゲルマラジオはGNDの電位が高いため、VcをシャーシのGNDに、LM386のGNDをシャーシの-13Vに接続しないといけない。NPNトランジスタならそんな混乱は避けられる。世の中でNPNが大繁盛の理由はそんなところにも関係するのだ。

LM386ミニキット。4.7Ωのところが4.7kΩになっているのがキットのミス。自分で回路図を書いたところでそのミスに気づいた。写真の抵抗はまだ4.7kΩのままだが。C3の10μFをその後基板から取り外した。最終版の写真については下のつぎの写真を参照されたい。

ということで、もとの電力増幅回路は外付けイヤホンのために残し、内蔵スピーカーを鳴らすにはこのLM386モジュールを利用する。

また、AF励振段のバイアスを再度設定。Trのベースに繋ぐ抵抗2つをともに10kΩにした。これで、Vbが電源電圧の約1/2になり、歪みなくミニアンプに送り込むAF信号の最大振幅も約1/2Vccになる。エミッタ抵抗を従来のバイアス電流1.9mAに近くになるよう、手持ちにあった2.2kΩにした。

最終的に、LM386モジュールをキャビネット内部の上部(スピーカーの隣)に設置。ACアダプターとの干渉もない。シャーシとの接続は電源コネクターとAF入力コネクターの2つになるところがちょっと残念、4ピン(または3ピン)コネクター1つで済ませたかった。

LM386モジュールをスピーカーの隣に配置。断線した4×6インチ楕円スピーカーを4インチ丸形に変えたことのメリット。
ACアダプターをキャビネットに実装して、LM386モジュールとの干渉を確認した。
L型DC中間アダプターは年数の経過によって重力で90度回転して下に向くかもしれないが、外れる可能性はなさそう。

3. パイロットランプのLED化

60年代と違い、省エネのLEDは数多く市販されている。そのうち、6V対応の電球色がいいだろう。本機のACアダプターは流せる電流が少ないので、定格電流の少ないLEDを選ぶことが重要。

もとの豆電球は#49というアメリカ国内の規格で、2V/0.06Aのようだ(要確認)。豆電球は左右2つあり、抵抗器経由で直列接続されていた。したがって、電流制限の抵抗器を短絡させて、新しいLEDを2つ直列接続するようにすればよい。

常時点灯させるには、Dial Light スイッチをパスすればよい。従来のやり方を踏襲するならば、スイッチをいじる必要はない。

なお、ACアダプターと接続するパワーソケットは5番が6番と繋いでいるので、そのまま使うとLED点灯時にラジオは聴けない。よって、ACアダプター側の受け取る側ソケットのうち、5番と6番のショートを切ってしまおう。

夏の夜に、ラジオ放送を聴くのは楽しみ

スピーカーによるラジオ放送がふつうに聴こえるので、シャーシをキャビネットにしまうことがやっとできるようになった。届いてからまだ一度も組立てていなかったので、ACアダプターは最後に取り付けることを理解した。裏面ではネジ2本はオリジナルではなく、3端子レギュレター基板を固定するためにネジだから。元のネジ2本は短い。

ACアダプターのデカさがよくわかる。
Muting端子に-13Vがそのまま出ている。周りのGNDとショートさせると電源アダプターは壊れる?

改めてスピーカーに近づいて聴いたら、ハム音がわずかに聴こえた。-13VラインをLM386のGNDとして使えているからかな。

ネット情報に従い、100μFであったパスコンを1000uFに増量し、LM386の7ピンに10μFのパスコンを追加してみたが、気持ち的にハム音が若干弱くなった気がした。ただ完全に消えたわけではなく、+12V電源を別途作ることが最強対策かもしれない。ラジオなので、ノイズがあったほうが正常という論理も成り立つので気にしないことにした。

本機は通信型受信機といっても、バンドスプレッドという精密チューニング機構があり、BFOありぐらいの違うだけだ。しかし、ユーザが組み立てるキットという発想は当時の日本ではなかったと思うし、商品と見間違えるほどのキャビネットまでキットのパーツとして提供した意気込みは流石のアメリカだ。

精密なチューニング機構。50年以上たった今でも大変スムーズ、人差し指1本でダイアルを回せるので、感触が最高。
改造前のACアダプター

ACアダプターがついてきたが、安定化しておらず、リップルを測ったところ0.3Vにもなったので、改造を決意。

以下は到着時に測ったデータ。負荷に100Ω純抵抗を使用したので、12V出力に対して負荷電流が120mAになったはず。

出力電圧は約11Vに低下。アメリカの110Vと違って日本は100Vだからか?
負荷電流120mAに対してリップルは0.3V、話にならない。

電源部分の回路は以下のとおり、極めて簡単。ACはヒューズ経由して、ホット側は本体ボリューム兼電源SWを経て、ここのアダプター部分に戻ってくる。電源トランスは中間タップ式、2次側の電圧を無負荷時で測ったところ約9.88VAC。シリコンダイオードによる全波整流後、巨大な1000μF / 15V電解コンデンサ2本による平滑化して出力となる。本体との接続は真空管9ピンソケットによる。

ACアダプターの回路図。安定化電源ではない。

さて、手持ちの部品を吟味して、LM337による -13V に改造することとした。マイナス出力とはPNPトランジスタなので、GNDは電位が高いからだ。12Vではなく、13Vにした理由は出力音量を少しでも大きくしたいこと、3端子レギュレターの負担を少しでも軽くしたいこと等による。

電源トランスをそのまま流用するが、2次側の中間タップを使わず、2次側を直列にして約 18V として使い、4本のダイオードによるブリッジ整流をする。3端子レギュレターにかかる電圧差が約5Vになり、流れる電流を最大130mAとし、消費電力が約 0.7W となる。ヒートシンクを付けず、発熱について多少心配ではあるが、実際に本機の消費電流は極めて少なく、約40mAしかない。パイロットランプを付けた時点での電流は100mAになるが、スイッチから手を流すとパイロットランプがOffになる仕組み。8本のバッテリー駆動がデフォルト電源方式の設計のようだ。

負荷電流が40mAなら、こんなに小さいトランスでもなんとかなるし、ヒートシンクなくてもなんとかなりそう。

LM337の基本回路にしたがって、数時間をかけて組み立てた。出力電流が無負荷から130mAに変化させても出力電圧は約13V、ほとんど変化していない。リップルは0.5mV、ほとんど無視できるレベル。

LM337の基本回路をそのまま使った。分圧抵抗は220Ωと2kΩ。
元の穴位置にうまく合わせた改造。整流ダイオードの2本(右端)はもとのものを流用。
負荷抵抗100Ωにしたところ、出力電圧は変動なし。
改造が終わったところ。真空管9ピンソケットによる接続方式はユニーク。
シャーシ裏のEXT MUTING TERMINALSは電源のマイナス側に繋がっているので、GNDとの電圧は-13V、期待通り。

送料を含まぜ約1万円で入手した、1960年代にアメリカで販売されていた通信型受信機 HEATHKIT GC-1A “Mohican” Solid-State Communications Receiver。

ネット資料によると、その前身 GC-1 が1959年に発売され、世界初のトランジスタによる通信型受信機だそうだ。改良版である本機は 1968年までに販売され、売値は当初の$109.95から$89.50に値下げ。

驚いたのは本機は基本的にキットであること。メーカーがハンダ付けして製品として販売するものは GCW-1Aと呼ばれ、恐らくパネルの型番でもその違いが確認できる。購入者が自分でDIYしてキットから作り上げることはやはりアメリカならではの、アマチュア無線人口の多さと各種測定器が豊富に市場に出回っているからだろう。

通信型受信機 HEATHKIT Mohican GC-1A
裏側。赤枠のネジ4本を外せば、中のシャーシを前に押出し、分解する。
キットの組み立てを考慮した、ゆとりのある設計

使用されるトランジスタは10個、すべてPNP型ゲルマニウム。1959年にはシリコン型やNPN型トランジスタはまだ製造されていなかったから。

トランジスタの詳細は以下の通り、括弧内は本機に搭載されているもの(前オーナーが交換したと思われる)。

RF増幅 2N1396 (2N1397)
ローカル発振 2N1225 (2N1225)
ミキサー 2N1225 (2N1066)
IF増幅3段 2N373 x 3 (TL-364 ? )
AF増幅 2N407 (2N407)
AF出力 2N407 x 2 (2N407)
BFO 2N409 (2N409)

トランジスタは差込式になっていて、ユーザーが自由に取り替えたりすることができる。通信型受信機はふつうそういうことは考えられないが、キットならではの配慮かもしれない。

メタルケースのトランジスタはすべてRCA製のようで(本機は3つがTI製のようで、前オーナーが交換したものと思われる)、外観は2種類。RF関係の 2N1397, 2N1225, 2N1066 は4ピン、EBC以外に、ケースにつなぐシールド用ピンをもっている。それ以外は、横に1列に並ぶEBC3ピン。どちらも中央はベース(B)、日本製トランジスタの多くはB が外側にあるので、差し替えるには工夫が必要。

RCA製メタルカン・トランジスタは1960年代アメリカ製トランジスタの代表

本機は全く鳴らないという商品説明でのジャンクもの。到着時に分解方法が分からず、ACアダプターまで分解してしまった。外付け12VDCを取り付け、色々いじったところ、ラジオ局の音はイヤホンで聴こえた。しかし、シャーシの向きを変えたら、また状況が一変し、何も聴こえなくなってしまった。

いろいろ調べてやった結果、こういう箇所の問題だと気づいた。

① ミキサートランジスタ 2N1066 が故障。手持ちの 2SA103 で代用。
② IF増幅1段目トランジスタ TL-364 の接触不良。

音量は小さく、音の歪みもひどいが、なんとか聴こえるようになった。

電解コンデンサはあまり使われていない。それほど劣化もしていないようだが、気持ちの問題で取り替えた(時代ものに対する申し訳なさを感じながら)。

取り替えた電解コンデンサ

4つのコンデンサはそれぞれ以下のために使われている。

SPRAGUE 150μF / 15V AF増幅トランジスタC極のACバイパス用
SPRAGUE 50μF / 15V 出力スピーカーとの結合用(DCカット)
AEROVOX 50μF / 15V 音量ボリュームとの結合用(DCカット)
IEI 10μF / 10V AVC電圧用整流

SPRAGUEやAEREVOXはどちらもコンデンサとして有名なメーカーで、キットだからといって安い部品をかき集めて売っていたわけではなかった。相手はアマチュア無線愛好家だからかもしれない。

音は一応鳴ったが、課題はまだ複数残っている。

① 感度はとくに AMではまだ高くない。昼間はやっと文化放送、夜間は広島放送が聴ける程度。ふつうのラジオとの差はあまりないところか、劣っている。

② 音量が小さすぎる。内蔵のスピーカーが断線していて聴こえず、感度(能率)について調べられないが、ふつうのスピーカーをつけると音量がものすごく小さい。インピーダンス35Ωの高能率のスピーカーならふつうに聴こえるかもしれないが、さらなるAFアンプをつけるべきかもしれない。

③ 音の歪みはまだひどい。セラミックフィルターによる帯域の狭さが問題かもしれないが、聴きやすい音ではない。

④ ACアダプターの改善。ACアダプターがついているが、リプルが出力電圧 12V に対して 0.3V もある。定電圧になっていないこと、電解コンデンサの劣化のこと等によるかもしれない。どっちみち、いまの時代では手軽な3端子レギュレータによる定電圧電源を排除する必要はないので、最小限の改造で済ませたい。

外出自粛が良さげのこのご時世、楽しみながらゆっくり整備していきたい。

<追加>
故障した2N1066を代用した2SA103を試しにほかの2SA103に変えたところ、感度や音声の明瞭度が大きく上がった。同じ品種のゲルマニウムトランジスタでも、保管期間が数十年も経ったことから、品質のばらつきは大きい。あるいは、本機種の設計がデリケートだけかもしれない。

これで感度(AMも含め)不良と音声の歪みは解決した。

残った課題は音量を大きくすること。そのまえにコイル断線したスピーカーをなんとかしないといけない。スピーカーの断線は最近続いている。前回の真空管ラジオはなんとか代替品を見つけたが。

コイルが断線しているようだ

ペーパーコンデンサの5つを全数交換。オイルコやンデンサを交換するつもりだったが、測定したところとくに異常はなく、まだまだ使えそう。

焦げた抵抗器 1.5kΩ をひとつ発見。測定したところ、抵抗値に異常はないものの、やはり交換した。

ボロボロリード線は使われなくなった。リード線の質に気づいたのかもしれない。ただし、アンテナ線はとても短いので、念のため交換した。

小さいシャーシではあるが、コンデンサや抵抗器の交換は以外にやりやすかった。

交換した部品。オイルコンデンサ2つは良好で、交換の必要性はなかった

また、内部がほぼ透明(ゲッタがない)になった真空管 35W4。一応手持ち品で交換。

整流管 35W4。ゲッタが消えている。

いよいよ通電。絶縁トランスと60W電球による保護回路に繋いでスイッチON。異常はなく、NHK第一放送は間もなく聴こえた。ただ、感度はよくなく、音質もいまいち。整流管の問題かもしれない。

さらに大きな問題が発覚。2つあるスピーカーのうち、片方は音がせず、コイル断線しているようだ。リード線の部分が腐食で断線していればいいが、コイル内部だと修理することは諦めざるを得ない。アウトトランスの乗せる側なので、同じ規格のスピーカーを探すことはほぼ不可能。

片側のスピーカーが断線している。しかもアウトトランスの乗せる方で、同じものを探すことはほぼ絶望。

アウトトランスを下ろして、キャビネットのどこかに固定し、2つのスピーカーをほかの同サイズのものに置き換える。こちらが現実的解決法かもしれない。

さて、手持ちの10cmスピーカーを入れてみた。サイズや形、インピーダンス、最大入力パワー、オリジナルと同等品を探すのは大変。手持ちは8Ω5W、理想とする3Ω1.5Wではないが、加工しなくて入るだけでも感謝しなくちゃ。

手持ちの4インチスピーカーで代用。加工しなくて入った。ラッキー。

アウトトランスをキャビネットの中に斜め設置する。アウトトランスを降ろさなくても、奥のイヤフォンコネクタを外せるようにしたい(スピーカーの右下1角のネジで固定されている)し、半田付けに困ってはいけないこと等から、斜めがよさげ。なお、アウトトランスを固定する金具はコイルと導通していないので、改造によって増設した底の固定ネジを触っても感電することはないはず。

片側のスピーカーに乗せたアウトトランスをキャビネットに斜めに設置
できたのがこれ。いつか、両方のスピーカーを同一製品に揃えたい。

短波はともかく、AMの感度はいまいち。この内調整する予定。また、音質もいまいち。なので、抵抗器についても調べてみた。抵抗器の両端の抵抗値が表記された値よりも大きくなるはずはない。並列抵抗器によって抵抗値は小さい方向になるから。

これで、3つの怪しい抵抗器を見つけた。

表記4.7MΩ、実測約7.4MΩ。
表記470kΩ、実測約600kΩ。
表記270kΩ、実測約411kΩ。

抵抗値が大きくずれた抵抗器も3つほど存在。

真空管ラジオはいい加減なものでもたいていは動くが、気持ち的に不安なので、交換した。音質もなんとなく良くなった気がする。小さいスピーカーのせいなのか、まだ満足の行っているレベルではないが。

4連休も本日で終了。感度調整や音質改善等の課題は残っているものの、聴くにはとくに問題はない。仮組立てておこう。

その前にシャーシの裏を撮影しておく。

コンデンサや抵抗器を交換したシャーシ裏
シャーシをキャビネットに組み込んだ

シャーシを固定する底ネジを取り出して使ったら、そのてっぺんがプラスチック製であることに気づいた。トランスレスゆえの感電防止策だね。いわゆるユリヤネジ。暇を見て、アウトトランスの固定ネジもユリヤネジに取り替えよう。手で触れるところはすべてプラスチック、松下の拘りに同調する。

ユリヤネジで感電防止

4連休の二日目、トランスレス真空管ラジオ 5球スーパー 松下(ナショナル) E-330 が届いた。

今までの数台と違って、外を何もクリーニングしなくてもそのまま撮影できる状態。いや、そういうのが正常なんだよね。いままでは異常。

ネットによる未確認情報によると、1962年の発売。キャッチフレーズは「豊かな音があなたを包む2スピーカ・2バンド・ルーム・ラジオ」。販売価格 7,450円。

外観やスペック、使用される真空管の種類、回路図等はすべて写真が語ってくれるので、言葉による説明は省略。

ニセステレオ。2つのスピーカーはただ並列しているだけの松下「スピリット」
ダイヤルループのかけ方
使用する真空管とラジオのスペック
シャーシは立っている。重い真空管2本の落下をバネで防いでいる
プラステック箱の内部に貼られている回路図(最大解像度)。
同じ回路図をもう一枚。こちらはフラッシュ撮影。

重要なシャーシの取り出し方。下の写真にある、シャーシのほぼ真ん中に位置する四角い小窓から、チューニング位置を表す赤矢印のインジケータ(正面から見た場合)をダイヤルロープ(糸)に固定するネジを緩めて、ロープを上に上げてそのインジケータから外す。そしてキャビネットに底からのネジ2本、シャーシの上部を固定するネジ2本、計4本のネジを外してシャーシを取り出す。

取り出したシャーシの表
ブロックコンのスペック。すべてのケミコン(電解コンデンサ)はそこに集約。
シャーシの裏
同じくシャーシの裏。

整流管 35W4 は内部がほとんど真っ白になっているので気になる。交換が必要かも。バネのついた真空管はどう取り外すのだろう。バネを先に外すのかな。

ペーパーコンデンサは5つ(ひとつは違いかもしれない。筐体にGNDシールあり、中身の確認が困難)。ボリュームからの結合用(0.01μF)以外の4つは、アンテナを感電から防止するためのものが3つ(1000pF、0.02μF、0.05μF)、PU(Phono)入力を感電から防ぐためのものが1つ(回路図上は5000pF、実態は6800pF)。

オイルコンデンサも複数使われている。

ラジオ熱があがったので、中国AliExpressで、送料込約25米ドルで注文した。コロナ禍の影響か、届くまで約1ヶ月かかった。

受信周波数が 100KHz~1.7GHzという
2020.7月出荷。注文時期は6月だが、7月に届くことを見越したかも。

保証期間をもともと無視しているので、早速分解。

アルミケースに差しているだけの構造。しかし、GNDはアルミケースと接続している。
熱をアルミケースに逃す工夫もしている。
ダウンロードすれば大サイズで確認できる。手抜きはしていないようだ。

アンテナコネクタはSMA、そのGNDはUSBともアルミケースとも繋いでいることはテスタの導通で確認済。アンテナコネクタもUSBも基板にハンダ付けされているだけなので、交換できるはず。

基板のハンダ付けは割ときれい、目視での確認をパスしている。

高性能のアンテナがないと意味のない製品だが、自作のループアンテナをBNC変換コネクタで接続。PCとはUSB延長ケーブルを使った。

SMA-BNC変換コネクタにより自作ループアンテナに接続
BNC以外に、M型(UHF)との変換コネクタも重宝されるはず

夜の8時半頃、ちょっとした調整で、宇都宮市から広島の中国放送(RCC、1350KHz)が聴こえた。感度はアンテナに大きく依存しているようだが、ふつうの高性能ラジオと比べて、それほどダメな感度ではない。

宇都宮市で聴く広島・中国放送。干渉波があったのでUSBで聴いた。

使用したSDRソフトは SDR Console V3。ラジオ局を目で見えるところはさすがSDRの凄さ。わずか25米ドルで、高価なPerseusに似た使い方ができる。Perseusはその後全く進化していないが。

勿論、Perseusが対応していないFM放送の受信もバッチリ。

地元のラジオベリー(FM76.4MHz)。音質はFMなので良好

強力なFM局のステレオ放送を聴く時のSDR Console V3の設定:
 「Home」タブ中の「Bankwidth」を1MHz、RF Gainを0.0dB、AGCを必ずOff、さらに、Radio Configurationでは「HF Mode, Tuning」をDisableに。
 左側のオプション画面では、ModeをBFM、Filterを350kHzに。

真空管ラジオ 松下 EA-685 の整備にあたって、パイロットランプがひとつ断線していることが発覚。口金E10の豆電球 6.3V/0.25A がそのスペック。豆電電球はまだ製造中だし、販売価格が高々数百円。

それでもLEDで代用することを考えた。入手しやすさと耐久性がその理由。

ちょうどAmazonに、つぎの商品があったので注文した。安いとは思わないが、豆電球の代わりになればと。

6個セット E10 口金サイズ LED豆電球 6V対応 0.5W (6V)。Prime対応、送料込1,099円。
商品紹介:
 メーカー:THlighting
 型番:TH-TGGH8
 LED発光色: 電球色
 口金: E10 消費電力:0.5W
 適合電圧:6V
 LED の配置を計算し360 度マルチ発光でランプヘッドの反射板を最大限に活用。
 高輝度SMD タイプLED 採用で省エネ高発光。

到着したLEDランプは以下のようなもの。長さは豆電球(真空管ラジオから取り外した、昭和30年代の製品?)とほぼ同じ、ガラス部分は一回り太くなっている。LEDのカバー部分は柔らかい樹脂のようなもので、ガラスではない。散熱のためか、てっぺん部分に1mm大きさの穴がついている。そのカバー自体を外すこともできるらしいが、本人はテストしていない。また、胴体に6Vの刻印があるが、それ以外に文字や記号は見当たらない。

樹脂(シリコン?)カバー付きの電球色LED。公称6V、0.5W。
豆電球とのサイズ的違いはガラス部分の太さだけのようだ。

では早速実験してみる。明るさや流れる電流を確認するため。確認実験は簡単。両方に同じ電圧をかけるだけだ。電圧は豆電球に合わせて6.3Vにした。

電圧を6.3VDC、制限電流を0.3ADCにした
LEDのほうが断然明るい。色も電球色に近い。
流れる電流はLEDが46mA、豆電球が232mA

流れる電流は豆電球が232mA、定格の0.25Aに近い。しかし、LEDのほうは46mA、定格から割り出した電流 0.5 / 6 = 83mA の半分程度。実質 0.3W しかない。

それでも、明るさに関してはLEDのほうが断然明るい。

さて、逆方向に電圧をかけてみたら、なんとLEDも点灯しているのではないか。このLEDランプは交流対応なのだ。Amazonでは直流にしか使えないとか、+-の極性が逆とかのレビューは何なんだ。

逆方向に電圧をかけてもちゃんと点灯する。流れる電流の大きさは正の方向とほぼ同じ。

実効値6.3Vの交流電圧をかけた場合、最大電圧は瞬時的に約8.9Vにもなるが、このLEDがそれで壊れることはないだろう。

ということで、安心して真空管ラジオにつけることができた。すべての豆電球をLEDで代用すると、消費電流はいままでの3つの0.75Aから0.14Aに激減するので、トランス2次側の電圧6.3VACが多少高まることは確かに心配だが、真空管に神経質は無用だろう。

整備に着手。まずはペーパーコンデンサとケミコン(ブロックコンは除外)をすべてフィルムコンデンサで交換。全部で11個。交換前のコンデンサ容量は以下のとおり。すべてナショナルブランド。

交換したコンデンサ。ペーパー10個+ケミコン1個。すべてナショナルブランド。

250pF(表記は0.00025μF)
3000pF(表記 0.003μF)2個
5000pF(表記0.005μF)
0.01μF 4個
0.05μF 2個(耐圧はそれぞれ500VDC, 610VDC)
(ケミコン)3μF / 300V. 33.1.I ナショナル CT-3003

同じナショナルでも輸出用と国内用の違い?

今回と前回のサンヨーの真空管ラジオで感じたことは、4700pF、0.01μF、0.047μFという3種類の高耐圧フィルムコンデンサは古い真空管ラジオのリペアに欠かせない。3000pFも5000pFも4700pFで代用して問題ないはず。

ケミコンの表記は、3μF 300V. 33.1.I ナショナル CT-3003

製造日付の確認できるケミコンとブロックコンから、本ラジオは昭和33年(1958年)の製品だと判断する。

品質保証のためか、真空管も抵抗器もコンデンサもバリコンも電源トランスもIFTもシャーシも、ブランド名の確認できる部品はすべてナショナルブランドのようだ。真空管ラジオに関するすべての部品を自社内で生産する体制を敷いていたのかもしれない。

5つのケミコンが内蔵されているブロックコン。こちらも昭和33年1月の製造。
シャーシの質はしかし良くない。シャーシもナショナルブランドだが。

ブロックコンは測定した範囲では、大きか劣化はないようだ。通電してないので、本当のところはまだわからない。やり方は、共通したマイナス(GNDに接続している)を外して、A~D、Lとマイナスとの両端をそれぞれLCRメータで測定。ブロックコンは同じ規格のものが恐らく市販されていない。取り替えるなら別々のケミコンで代用するしかない。

ボロボロの線材を交換。パイロットランプと、PH/MW/SWランプとの接続リード線だけはボロボロ。ほかの線材は問題ない。また、短めの電源ケーブルも交換。アンテナリード線も短めだが、交換せずそのままにしておいた。

+B電圧が印加のために、スイッチから発火したとのネット情報あり、スイッチに追加せずバイパスした。PU(Phono入力)は自分としては絶対に使わないし、スイッチはMW/SWだけでも全く問題ない。ただ、この改造によって、PUが使えないわけではない。マジックアイが常時点灯するだけだ。つまり、改造のまえでは、PU使用時にマジックアイ6Z-E1に+B電圧が印加されなかった。改造後では、+B電圧が常時印加される。その違いだ。

+B電圧の印加による発火恐れのため、赤丸のリード線2本はスイッチをバイパス。
スイッチにいくリード線をカットして、シャーシの内部で接続(赤丸内)
交換したコンデンサとリード線を再確認して、いよいよ通電へ。

トランス式ラジオに入らないかもしれないが、ショート確認のアダプターをとりあえず、取り出して使ってみた。60W電球を回路に直列しただけのアダプター。ランプ用台座等はほとんど100円ショップで購入でき、大変ありがたい時代。

トレンスレスラジオに必要な安全装置。

上記のアダプターは今回のトランス式では、通電したらランプはあまり輝かないのはトレンスレスと同様だが、電圧が低くなった影響で、ラジオは鳴らなかった。数分間待って、火花や臭いのないことを確認して、正式に通電。

問題なくスピーカーが鳴いた。ボリュームは僅かなガリがあるが、それほど気になることではない。感度もOK、音量も十分(HiFiとは到底認めたくない。所詮ラジオ)。スイッチ類も問題を感じない。コンデンサとリード線の交換だけで動いたみたい。

真空管の灯火。周りが真っ暗になってもよくわからない一枚。

しかし、問題はまったくないわけではない。豆電球 6.3V 0.25A がひとつ断線していることが発覚。また、痛いことだが、マジックアイ6Z-E1 が大変暗く、昼間ではほとんど見えないこともわかった。

周りが真っ暗になって、やっとこの有様。実用性ゼロ。

豆電球はAC 6.3Vを使っているので、LEDによる代用を考え、このうち自作しよう。全部で6個が必要。マジックアイは大変高価、このジャンク一台を買える値段。諦めるしかない。

NHK第一を聴きながら、パネルのクリーニングに取り掛かる。上部分(スピーカー部分)のアクリルを8本のネジを外して下ろす。終わったら下の透明アクリル部分。こちらは7本のネジ。木箱から簡単に外れるところは素晴らしい。

シャーシを木箱に組み込み、豆ランプの断線は代用品が到着次第装着することにして、一応の整備完了とした。

木箱の大きさはシャーシとの比較でよくわかる。こんな大きさのラジオを欲しがるひとはいまやいない。
チューニングは案外大変。NHK第一の593KHzと栃木放送の1530KHzはほぼ両端。遠すぎる。

大きな箱に収められて、また真空管ラジオが到着。松下 EA-685。トランス式 マジックアイ付き5球スーパー。HiFiを売りにしているようだが、スピーカーを2つ並列しただけの「松下スピリット」。

本人にとって、トランスレス式はどうしても邪道だと思い、トランス式にしたい思いで、本ラジオを選んだ。しかし、この大きさときたら、置く場所に困ってしまう。

ホコリだけらの状態で届けられたので、すぐに分解して内部をクリーニング。ホコリの割に、内部の状態はそれほど悪くない。裕福な家で過ごしてきたのかもしれない。少なくとも、内部に湿気等の腐食は感じられなかった。経年劣化でリード線がボロボロになり、シャーシが一部錆びているところはしょうがないことにした。

分解の手順や、回路図等が底や内部に貼られているので、大きな写真で公開。とくに回路図関係は貴重な公共財産、歴史的価値が十分ありとの認識で、デジカメの最大解像度のままにしている。写真だけの表示や、ダウンロードして細部までが確認できると思う。

底(内部シャーシの底ではなく、本体の底)に貼られている分解説明。
今日となったら、無意味になった特許関係の説明。松下は最高といいたいか?
シャーシを取り出した内部。内部がほとんど傷んでいないところはラッキー。
内部の左側壁に貼られている回路図。手持ちデジカメの最高解像度による撮影。
隠れたところをもう一枚。至れり尽くせり。
右側壁にあるスペック、配置図。ひとでよる検査。3人が生きていればいいなぁ。
シャーシを上から撮影。
シャーシの裏。こちらの写真も最高解像度のまま。ペーパーコンは11個か。

ペーパーコンデンサの交換、ボロボロになったリード線の交換、ブロックコンの確認、これらの作業を終えて通電する予定。スイッチの絶縁不良もよくあるとのことで、それについても気を使わないといけない。

1961年製、まもなく還暦を迎えるアナログマルチテスタ 三和 Sanwa 320-X が届いた。送料のほうが高かったジャンク品。厚みが6cmもある鉄製の箱、ベークライト製パネル、20μA高感度メータ、ガラスカバー、当時の真空管テレビ修理用5000V対応高DC電圧。

パネル。印刷ではなく、彫り込み文字。消えることはないだろう。
ゼロΩ調整つまみはオリジナルではないはず
メーターのカバーはガラス。静電に強い。銘板に1961との書き込み。
厚みは6cm。半端じゃない。

ロータリースイッチの感触はやはり素晴らしい。2階建てのそのスイッチは60年近く経っても衰えを見せない。ガタは全くなく、軽快そのもの。接触部分は1mmの銅合金でできていて、接触不良は全くなく、寿命は100年以上もあるだろう。Sanwaのロータリースイッチの品質は世界一といっても過言ではない。

Ωレンジ測定用電池として、22.5V(100Mgレンジ)、および単2一本(100mgレンジ以外の3レンジ)の2種類が必要。22.5V電池の入手が困難になった今日では、22.5Vにするキットやアダプターの利用など、何らかの工夫が必要。

また、ACの整流にはダイオードではなく、セレン整流器が使われている。

しかし、本品はジャンク。開けると、鉄箱の底や、電池ホルダーにおびただしいのサビや、腐食。必死でクリーニングしても下の写真のような有様。塗装し直すしかない。

サビ・腐食のつめ跡
整然と並んでいる抵抗
33Kの抵抗を2本(35Kと800K)の並列で実現している。出荷時の実装か?
セレン整流器周辺。半固定抵抗で調整。

内部の基板に抵抗がきれいに並べられているが、修理のためか、番号が書き込まれている。怪しい巻線(どうみても、オリジナルではないはず)はその時の作品だったかもしれない。断線している巻線抵抗もひとつあった。

問題の抵抗が2つ
ロータリースイッチは立派な2階建て。
上下ある2本のスイッチアームが、左右ひとつずらして組み込まれている。

湿気、サビのせいか、あるいは、不注意の使い方による大電流の印加か、ジャンクに相応しい本品は断線の巻線抵抗だけならまだ救いがあるが、なんと、メーターの可動コイルも断線している。

メーターを分解してやっとその深刻さに気づいた。しかし、コイルまで巻き直す技術は持ち合わせていない。20μA高感度メーターにするには、多くの巻数と極細(0.07mm)のエナメル銅線が必要。現実的対応として、ジャンク献体を探すことは時間がかかるが、比較的楽。

さて、再稼働はいつ頃になるだろう。

ネットで見つけた回路図を載せておく。

本品は一部抵抗の表記が上記の回路図と違っているので、各抵抗器の表記と実測値を記しておく。測定誤差もあるので、測定値はあくまでも参考程度。

<追加>
ネットで調べたら、どうも後期型もあるようだ。コスト削減を意識したのか、ロータリースイッチは2階建てではなくなった。抵抗器の配置もより合理的になり、抵抗器を収める壁(抵抗器の大きさに一部あっていないのに)も撤去された。

Sanwa 320-X 後期型か?