バーアンテナとバリコンの組み合わせや、セラミックフィルタの特性を調べる等、手軽に実験できるものが手元にあると便利だと思い、スーパーヘテロダイン式ラジオを組み立ててみた。

オールIC構成。RF段は三洋電気LA1600、AF段はHT82V739、両方とも市場に安く出回っている。電源は単三2本。HT82V739の定格出力は 3v電源 8Ω負荷では約0.5W、スピーカを堂々と鳴らせるだろう。

回路に工夫した点はセラミックフィルタを2つ使った点と、Vccを抵抗100Ωで分離させた点だ。回路図にあるパスコンは手持ちの都合で選んだ。10~200μFならどれでも構わないが、経年劣化を心配するなら、ケミコンの代わりに積層セラミックコンデンサを使ったほうがいい。

無信号時の電流は約5mA。LA1600は約3mA。測定機がなくても以下の調整はできるのだろう。IFT周波数はセラミックフィルタによって決定されるので、①最も電波の弱い(ボリュームが最大でも音量の小さい)放送局を探し出し、IFTトランスを回し、音量最大にする。②つぎに、低い周波数の放送局を選び(たとえば、ラジオ関西)、音量最大によるように、OSCトランスを回し、さらにバーアンテナのコイル位置を左右移動する。③最後に、高い周波数の放送局を選び(たとえば、北海道STV)、音量最大になるよう、バリコンのトリマ2つを回す。

上記の①~③が互いに影響しあうので、数回繰り返し調整するとよい。

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なにも聞こえないので、原因究明をやっている。密度の高い基板が高周波に有利だが、トラブルシューティングにきつい。

オシロはまだすぐに使えないので、周波数カウンターとテスターで頑張っている。

音量ボリューム端子にAF信号を注入したら、ちゃんと聴こえたので、検波以降の回路はそれなりに動いていることをまず確認した。

SSB検波に必要なBFO信号の確認。カップリングコンデンサC11のVR1側リード線に周波数カウンターを当てて測ったら、453.4kHzと表示された。さらに、トリマTC1を回したら、周波数を453.1~453.7kHzの範囲で調整できることも確認した。なお、トランジスタQ1のECB電圧はそれぞれ2.8, 5.6, 3.0vだった。波形は確認できないものの、BFO回路に問題なしと判断していいだろう。

つぎは局振VFOの確認。周波数カウンターをR12に当てたら、7442kHzとの表示。周波数調整ボリューム(メインとサブの両方)を回したら、最低7428kHzから、最高7671kHzに一旦付けた後、5160kHzに下がってしまう。受信周波数7~7.2MHzに照らし合わせると大きな問題はないだろうが、発振周波数が下がる原因を究明しないといけない。が、今回のトラブルに関係ないと判断した。なお、トランジスタQ2のECB電圧はそれぞれ、4.0, 5.6, 4.1v、Q3はそれぞれ1.3, 4.5, 2.0vだった。

残りはセラミックフィルタ回路と前段のL1周り。信号が弱いので、オシロがないと調べることはなさそう。

メインIC LA1600の各端子電圧を測ったら、以下の値だった。(端子1からの順)1.3, 0.20, 5.8, 5.8, 0.0, 0.0, 1.1, 5.8, 0.0v。

最大な可能性がアンテナにあるかな。ATT回路は50Ωに対し、マッチング取ってないし、ゲイン不足かもしれない。4mのビニール線を調達して、アンテナとして使ってみるか。

アンテナ線をPC等に近づき、ホワイトノイズとして利用するアイデアはネット上にあった。確かにノイズは極僅かには聴こえた。

LA1600の等価回路ブロック図を示す。

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ATT用、周波数設定用(メイン&サブ)、音量用とボリュームが4つもあるので、基板を木板に固定し、さらに塩ビ板を穴あけなどして、ボリュームやアンテナジャック、イヤホンジャックを固定した。最終的には勿論金属ケースにしまうつもり。

それでやっと調整に入れたわけだが、うまく入っていない。定電圧電源に繋いだら、発振した。バッテリーに繋いなおしたら、発振は収まったが、イヤホンからはほとんど何も聴こえない。AF信号を直に音量ボリュームに注入すればイヤホンは鳴るけど。

周波数カウンターやオシロでVFOから調べてみる。

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大きなトラブルなく、半田付けが終了した。ただ途中、R17が若干曲がっていたので、ピンセットで直そうとしたら、根元から折れてしまった。それで、大きさが違うけど、手持ちの抵抗で代用した。

FCZコイルL1をマニュアルの指示通りに、最後に半田付けした以外は、部品表に従って、上から半田付けしていった。向きのあるパーツは、IC1、IC2、セラミックフィルタ(FIL1)、および電解コンデンサ(C3、C7)だ。そのほかに、トランジスタ、ダイオード、トリマコンデンサにも当然向きがあるが、基板のシルク印刷を見ながらやれば問題ないだろう。

どうでもいいことかもしれないが、抵抗やマイクロインダクターは誤差帯が底にくるように、コンデンサは刻印が南向きになるようにした。

これから調整に入るが、状況をみて、周波数調整ボリューム2つをヘリカルポテンショメータにするかもしれない。また、音量ボリュームはB型となっているが、ふつうはA型にするところだろう。

繰り返し確認したが、参考電圧や電流等のインフォは一切マニュアルに載っていない点がとても残念に思う。測定器なしで調整できると謳っているが、測定器があっても各自が勝手にやりなさいということの裏返しに感じてしまう。

それと、とても大事なのは、LA1600の最大電源電圧が7Vであること。大事なICを調整の途中で壊さないように、自分も気を付けよう。調整用定電圧電源は6Vまで。

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今度はアマチュア無線用の40mバンド。両面基板がついていて、とても小さい。ケースがないので、自作しないといけない。

手に入れた目的は、ラジオ技術がどこまで進んだかを見たいことだが、メインICにLA1600が使われていて、それほどの進歩ではない。デジタルDDS-VFOが別売りのようで、本キットは完全にアナログ版。

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感度や選択度、つまりRF部分は申し分ないが、AFは頂けない。小さな音でも割れている。

そういうことで、音質の改善に取りかかった。まずは各石のコレクタ電流の調整。Tr7、Tr8は無信号時コレクタ電流が10mAになっていて、明らかにおかしい。順方向降下電圧が多少低くなることを期待して、ダイオードD2を1SS133に換えてみたところ、コレクタ電流が2mAになり、設定値通りになった。

つぎに、あまりにもコレクタ電流の小さいTr5について、バイアス抵抗R11を100kから68kに変えたところ、コレクタ電流が20μAに上昇した。しかし、今度は音量が大きくなりすぎ、音の改善につながらなかった。

そもそも、おもちゃ程度のスピーカをドライブするのに、低周波2段増幅+B級電力増幅はオーバースペックだろう。低周波1段増幅で十分だと思う。しかし、数wクラスのスピーカをドライブしようとしたら、おもちゃ程度のトランスでは無理。

数時間悩んだ末、改造する決心をした。幸い、基板は改造してくれといわんばかりのパーツ配置だった。つまり、カップリングコンデンサC13、C14が隣接しているからだ。R11、C13、C14を取り外し、C13をTr5のベースではなく、Tr6のベースに繋ぐように改造した。基板のパターンを修正することなく、ハンダ付けし直せば完了。(スペースが余ったので、写真の通り、音質に期待できそうなフィルムコンデンサを使った。)

改めて試聴したところ、音質は大きく向上した。イヤホンジャック経由の外接スピーカで聴くとさらによくわかる。

残りは外付け電源が使えるようにしたいことだが、適当なスペースは見つからない。

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スーパーヘテロダインはストレート式と違って、調整してはじめて設計通りの性能を出せるものだ。

調整は大きく分けて、①トランジスタのコレクタ電流の調整、②IFT調整、③トラッキング調整の3つになる。

①各トランジスタの調整
組み立て説明書に示された標準電圧から、各トランジスタの無信号時コレクタ電流の設計値を算出した。
Tr1 0.3mA
Tr2 2.4mA
Tr3 0.3mA
Tr4 1mA
Tr5 20μA
Tr6 1.1mA
Tr7, Tr8 2mA

Tr1はIFT周波数に変換するために使われるので、非線形域で動作しないといけない。Tr2は受信周波数よりも455kHz程高い信号を作り出すためのもので、線形領域で動作すべきだが、コレクタ電流が少ないと、電源電圧の低下に弱くなる。

一方、実測値は以下の通り。
0.68mA, 1.6mA, 0.24mA, 1.2mA, 8.9μA, 1.5mA, 10mA

大きくズレているのは Tr1, Tr2, Tr5, Tr7,8 だが、とくにTr1, Tr2については固定バイアス回路のせいか、誤差が大きくなってしまった。ただ、電源電圧が9Vと高いので、このままでも実害はないだろう。どうしても調整したいなら、ベースとGNDに抵抗を入れ、電流帰還バイアス回路にしたほうがよさそう。高周波に820kや470kの抵抗を無くしたい。

②IFT調整
前につくった発振回路を活用した。つまり、発振回路のアンテナに0.01μFのコンデンサをつなげ、さらにTr1のベースにつないだ。1kHzで変調した455kHzの信号をダイレクトにラジオのバーアンテナの出力として使ったのだ。

さらに、イヤホンジャックから音声信号を取り出し、ミリボル(ミリ電圧計)につなぐ。

中間周波トランス IFT-3(黒)、IFT-2(白)、IFT-1(黄)の順で、音声電圧が最大になるように、コアを回す。

同じ操作は3回繰り返す。

③トラッキング調整
変調されたAM発生器が手元にないので、NHK第一放送(594kHz)および地元栃木放送(1530kHz)を利用した。

まず、低周波域での調整。バリコンのダイアルを594kHzに合わせ、音声出力が最大になるよう、発振コイルOSC(赤)のコアを回す。NHKの電波は異常に強いので、金属ケースに入れたり、角度を変えたり、AGCがかからないように受信電波を弱くすることは忘れなく。終わったら、今度はバーアンテナのコイル位置を左右にずらし、音声出力が最大になるようにする。こちらの調整も3回繰り返す。

終わったら、今度は高周波域での調整。バリコンのダイアルを1530kHzに合わせ、音声出力が最大になるように、バリコンの発振トリマとアンテナトリマを交互に回す。

低周波域と高周波域との調整はさらに3回繰り返す。

以上の調整が終われば、市販品と変わらず感度と選択度が得られるはず。音質の悪いことは変わらないが。

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それほど工夫することなく組み立てた。ただ、47μと100μ以外のケミコンは手持ちの積層セラミックで置き換えた。回路自体はごく標準的なもので、基板上のパーツ配置はそれほど悪くないが、美しくもない。ただ1点だけ、バーアンテナのすぐ下にケミコンを置くのは頂けない。干渉してアンテナバーが微妙に曲がっている。100μ積層セラミックに取り替えるか、下に2mmずらすようにハンダ付けすべきだった。

回路図にもない、裏パターン面へのコンデンサをつけないと見事に発振した。発振音の大きさはボリュームに関係なかったので、低周波増幅回路からのものだと認識した。裏パターン面にコンデンサを取り付けたら発振が収まった。

若干の調整をしたら、室内でも茨城放送が聴けた。感度はとてもよさそう。しかし、内蔵スピーカが小さいせいか、音質はいまいち。

改善すべき点は音質とバッテリー。調整なく、誰もが組み立てられるという配慮から006Pを使用したと思うが、持ち時間はそれほど長くないだろう。

歴史的記念品という意味で、この一台をオリジナルのままにし、改造用にもう一台を組み立てたいね。低電圧(1.5V)か高電圧(数十V)へのチャレンジ、大型バーアンテナ、エアバリコン、セラミックフィルタ、IFT出力による電波の可視化、OSC出力による周波数のデジタル表示等、思いつくことは沢山。オールトランジスタだから、いじれるところが多い。

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最近の市販ラジオは中身がどうなっているんだろう。数百円の中国製カード型ラジオを分解してみた。

説明書は全くないが、FM-AMの2バンド、単4電池2本、イヤホンだけでなく、スピーカも内蔵というスペックらしい。AM用バーアンテナがついているが、3cmという短さ。音量調整に半固定抵抗でごまかしていて、耐久性に当然問題あり。バリコン自体はしっかりしたもののようだが、つまみがかなり緩るんでいる。スピーカへのリード線も、電池へのリード線も、赤と黒とが逆になっている。黒は+、赤はー。また、半田付けの屑が多く基板にくっ付いていて、ショートの心配すらある。

要するに、徹底的にコストダウンを図った作り。

基板にはIC1個のみ、Sony CXA1691BAのコピー品。FM用セラミックフィルタ2つ以外に、電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、抵抗、コイル等、ごくふつうなパーツしか見当たらない。

しかし、感度は悪くなく、室内でも外付けアンテナつけずに、FMではローカル局のすべて、AMではNHK、TBS、文化放送、日本放送、ローカル栃木放送が入感。選択度も悪くなく、AMでも混信なし。外付けスピーカで聴いてみたが、音量が大きく、とくにFMでは3V駆動と思えないほど堂々と鳴ってる。

肝心なキーデバイスICは日本製のコピーだし、最後の詰めはとても甘いが、本来の実力は決して低くないのが自分の印象。そういうところが、中国製ラジオが日本市場を席巻する理由だろうね。

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もとのケースに戻しても聴くことはないので、4.7μや10μのケミコンを積層セラミックに取り替え、A型ボリュームと電源スイッチをつけた。FM/AMバンドスイッチやバリコンは代用可能な手持ち品がないので、そのままにした。

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モノラルアンプ用IC HT82V739が届いたので、ラジオを改造した。トランジスタの代わりにこのICを使うことにし、バッテリーも対応して3Vに改造した。

スピーカは3.5mmプラグを挿すように聴く。イヤホンで聴きたい時に、スピーカの代わりにイヤホンを挿せばOK。無音時の全電流は約3mAに増え、音声が流れば電流も大幅にアップする。省エネなら、イヤホンで我慢するしかない。

音質は大きく改善されている。最後の問題として、感度が中波の低周波数域(NHK第1放送の594kHz等)では高く、高周波数域(ローカル栃木放送の1530kHz)では低く、音量ボリュームで調整して聴いている。それは増幅回路の問題というよりも、同調回路が原因だろう。とくにバーアンテナを疑っている。

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