マーカー発振回路の追加とEXTチャンネルの実装はJR-310に対してやりたかったこと。問題はやはり水晶(クリスタル)発振子の入手。とくにマーカー用の 100kHz はそう簡単でなく、気長に待つしかない。

EXTチャンネルは自分として、短波放送を聴く目的にしたい。放送局の集中するバンドと入手できる水晶発振子との兼ね合いで聴くバンドを決める。

JR-310のマニュアルによれば、受信したいバンドの下限周波数をXとすると、X+5.955MHz のものは用意すべき水晶発振子の周波数だ。

短波放送のメインストリートとは、
  25mバンド(11.600~12.100MHz)
  19mバンド(15.100~15.800MHz)
を指すようだが、それぞれに対応する水晶発振子の周波数は 17.555MHz、または、21.055MHz。

周波数ぴったしのものの入手は難しいが、近い 17.515MHz (HC-42/Uタイプ)を入手できた。40kHz のずれはしょうがない。

水晶発振子とローカル発振用コイル。問題ないと思うが、念の為、ショート防止用ポリイミドテープ(耐熱テープ)を巻いた。

ローカル発振用コイルは手持ちのものから選んだ。すでに 15pF のコンデンサはJR-310 内部の発振回路に組み込まれている(ほかのバンドと共通してつかうもの)ので、共振周波数 17.515MHz に合わせるには、コイルのインダクタンスは

L = 1/(2πf)2/C

になるべきで、f=17.515MHz、C=15pF を代入して計算すると、L = 5.504 μH と出た。

問題は測定器のないこと。LCRメータはあるが、測定する周波数の上限は 100kHz、まったく歯が立たない。ということで、適当に短波放送が聴こえるまで、巻数を加減して調整することにした。

以下の写真3枚はJR-310マニュアルにしたがって、実装した箇所。

バンドスイッチに対して、ウェファー4枚で隣の端子とショート。ならびに水晶発振子の追加。
コイルの固定はボビンの余っている側の足(3本)を鉄板に直接ハンダ付けすることにした。
コイルの調整は横から。変だけど、固定するためのよりよい方法は思いつかなかった。

ハンダ付けのしやすさを考えて、コイルを横向けに装着。

恐らくどこかの調整はまだ正しくないと思うが、自分の実装では、RF Tuneを時計方向いっぱい(50MHzあたり)にすれば、メインダイヤルとIF Tune で昼間でも短波放送が聴けるようになった。周波数の確認は計算しづらいが、まあ、音楽やアナウンサーの声が聴こえればよいので、40kHzの周波数のずれは気にしないことにした。

なお、デジタルファンクションジェネレーターから、AM変調された周波数をアンテナに注入したところ、11.560~12.160MHz まで聴こえることを確認した。感度の確認はジュネラータのショボさから、できなかった。

自己メモ。メインダイヤルと周波数とのの対応関係
  0 → 11.560MHz
  100 → 11.660MHz
  200 → 11.760MHz
  300 → 11.860MHz
  400 → 11.960MHz
  440 → 12MHz
  500 → 12.060MHz
  600 → 12.160MHz

やっと決心して、トランジスタ回路のための 9V、12V 電圧を作り出す定電圧電源を Trio JR-310 に組み込むことにした。6BM8 の代わりに 16A8 を使いたいことがもうひとつの理由。

いまの時代では、定電圧電源は極簡単に作れる。ただ、電源トランスの2次側は真空管のヒーター電源にも使うので、ハム対策として、片側をアースにする必要があった。ということで、ブリッジ整流ではなく、半波整流にして、平滑コンデンサに 1000μF / 35V を選んだ。3端子レギュレータ 7812 と78L09 をその後に直列接続した。78L09 は手持ちにあったので、使うことにしたが、ほかのものでも全く問題ないはず。電解コンデンサは寿命の問題とかがありそうなので、セラミックコンデンサにした。その高周波特性に期待して、0.01μF を一部省略。

3端子レギュレータを活用して、12V、9Vを作り出す。
違う角度からの一枚
スペース的におかしくないところに組み込んだ

追加した電源トランスはカリブレーション回路のところを使うことにした。せっかく組み込んだカリブレーション回路を撤回。時間があれば、トランジスタによるカリブレーション回路を作りたい。問題は 100kHz のクリスタル発振子の入手。気長に待つしかない。

実測した各部の値はつぎのとおり。電源トランス2次側電圧は 15.3VAC、平滑コンデンサのところは 19.67VDC / 121mVAC、12V出力のところは 12.03VDC / 7.0mVAC、9V出力のところは 9.09VDC / 7.0mVAC。

ダイオードによる半波整流、1000μF 電解コンデンサによる平滑化後の、電圧は 19.7V と高い。12VACタップを使うのが適切かもしれないが、電流がほとんど流れていないので、発熱はほとんどなく、そのままにした。

電源トランスを追加。16A8 はこれで使えるようになった。

シャシー内の発熱源を最小限に減らした。安定化電源のおかげで、VFOのドリフトもいっそう軽減されることを期待する。

発熱量の大きい抵抗を4本から2組に減らした。残りの2組の抵抗はほとんど発熱しなくなり、40℃すら超えない。
50MHz コンバータ回路用の発熱抵抗器 22kΩ / 3W も撤去した

組み込み後、Trio JR-310 はとくに問題なく、動作している。TX-310 との連動はおそらくできなくなったところが残念。

ガラクタ真空管に 3CB6 が2本入っていたので、それを活用したい。2つのヒーター電圧 3V の真空管を直列接続すれば、ヒーター電圧が計 6V になり、ヒーター電圧が6VのTRIO JR-310 に対応できるわけだ。

JR-310では、V1 である 6BZ6 に対応して 3BZ6 が存在し、V3 である 6CB6 に対応して 3CB6 が作られていた。ちょうど 3BZ6 と 3CB6 を ヒーター同士を繋げば、6V の交流電圧でOKなわけ。

ちなみに、定格ヒーターは 3BZ6 も 3CB6 も 3.15V / 0.6A、ヒーター電流の違いはないのが好都合。しかも、コリンズ球でもなく高額な 6BZ6 に対して、 3BZ6 は全く人気がない。

ということで、早速変換ソケットを2つ作って、実験してみた。3BZ6は手元にないが、さっそく格安で入手した。未開封の日立製で、足のほうはしかし、残念ながら緑のサビがついていて、品質は高いとはいうが、それほどでもなかろう。

ガラクタの3CB6と未開封の3BZ6。2つの変換ソケットに乗せて6Vヒーターで使う

変換ソケットは本サイトで繰り返し、言及してきた自作品。2つのソケットを連結するだけの構造。ただ、ピン(足)は独自の技術(?)でつけてある。製作技術があがったためか、ひとつを30分間で余裕でつくってしまう。7ピンのうち、ヒーターに関係する3番と4番のピンを残し、ほかのピン同士はハンダ付けして、全体を大変頑丈なものに仕上げた。押しても、引っ張っても、曲げても、びくともしない。

金メッキのピンをつける技術は門外不出?

JR-310は7ピンMT管がすべて3番ピンを交流のホット側、4番ピンをアースに繋いでいて、しかも、3番ピンと4番ピンの間は機械的に必ず0.01μFコンデンサを付ける。

そういうことで、言葉による説明は面倒だが、つぎのような接続法になる。

左のほうは上下3番ピン同士を接続、右の方は上下4番ピン同士を接続。左の上4番ピンを右の上3番ピンと接続。それで2つのヒーター電圧は合わせて6Vになる。

そして、真空管 3BZ6、3CB6 をそれぞれの変換ソケットに乗せれば出来上がる。元の6BZ6、6CB6を使いたい時には、変換ソケットを外せばOK。ふたつの変換ソケットを同時に使わないといけないのは本方式の欠点だが、元の回路を全く改造しないのは本方式の特徴だ。

ふつうに動く。なんの変化も感じられない。

ついでに、興味のある真空管の対応表をつくっておいた。

真空管のガラクタには、Trio JR-310 のAF段に使われている 8BM8 がふたつ含まれていた。しかし、そのうちのひとつ(日立というブランド)は不良品で、通電して10分間過ぎた頃、変な音がして、それ以降音声は出なくなる、という謎の現象は繰り返し再現する。

さらに、ガラクタに 6BM8 の 16Vヒーター管として、16A8 が7本も含まれていた。ほかの 6BM8 を購入するよりも、16A8 を使ってあげるのが貴重な財産である真空管に対して取るべき振る舞いだろう。

16A8が7本、すべて松下ブランド。

ガラクタと言われたものなので、ヒーターの点火は確認できたが、それ以上のことは全くわからない。すべて不良品とは考えたくないし、すべて新品同様ということもありえない。JR-310が壊れて再生不能になるまで、7本(+6BM8 の2本で計9本)もあればいくつか不良になっても足りるはず。

問題はヒーター電圧。そのことで多くの真空管は捨てられ、人気がまったくない。16A8 はヒーター電圧 16V、ヒーター電流 0.3A。ちなにみ、6BM8 はヒーターが 6.3V / 0.78A 。エネルギー的には 16A8 とほとんど同じ。

手元を探したら、10年前(もっと古い?)に購入した電源トランスが出てきた。未使用品のようだ。1次側は 100V / 110V、2次側は 10 / 12 / 14/ 16V、0.5A。16A8 のヒーター電源としてはぴったし。

手元に宝物はいっぱい?

JR-310の発熱を考えると、さらにこの新しい電源トランスから直流 12V などを作り出し、トランジスタ回路(50MHz のクリコン、VFO、BFO の3つ)に電源供給したいのだが、送信機 TX-310 との連動はできなくなる。TX-310が手元にあれば、なんとか実験してその連動の仕組みを解析できるかもしれないが、送信機は持ちたくない。法令がうるさいので、手元の1台 Yaesu FTDX-3000 で十分。

電源トランスを組み込むためのスペースは JR-310 になさそうだが、とりあえず実験的に 16A8 の動作確認をするには数分でもできるはず。当然変換ソケットがあることはその前提だが。

そこで、本サイトのオリジナル製品 ― 変換ソケットの登場。ふたつの9ピンMTソケットをピンのところで連結(ヒーター関係のピン2つは非連結)、重なった2本のピン(足)をハンダ付けして上のソケット(さらにその上に乗せる予定の真空管)をしっかり支える構造。ヒーター関係のピン2本を除いても、残りの7ピン同士でハンダ付けするので、大変頑丈なつくりになったのだ。秘密は下のソケットに金メッキピンを挿し込み、ハンダ付けするところ。それは下のソケットが必ず分解できるタイプでないといけない理由だ。

下のソケットを分解して、真ん中に金メッキのピン(RS-232Cの25ピンオスソケットから引き取ったもの)を高温で溶けたハンダを流し込み、ハンダ付けしたもの。そして、分解した2つを再結合させて、外部からハンダ付けした部分を隠すのだ。

左上からの説明:ヒーター関係の4番ピン、5番ピンは連結しない。1,2,3番ピン同士は連結。6,7,8,9番ピン同士は連結。底からみた美しい金メッキの9本ピン。

上のソケットの4番、5番ピンに外部電源トランスから得た交流16Vを印加し、真空管 16A8 を乗せた変換ソケット全体を元のソケットに挿し込めば、16A8は動作するわけだ。つまり、ヒーター電圧だけはこっそり16VACに変えるのだ。

1次側に100Vが来ているので、感電しないようにビニールテープで保護。2次側はトライ&テストで、タップ 0-14V を使うことにした。

電源トランスの2次側の 0-14 V を使えば、15.4V の交流電圧になったので、それを使うことにした。2次側の10~16V間に2Vごとにタップあることは本当に素晴らしい。定格電流を使うのはそう簡単ではないから、電圧の細かな調整には多くのタップが必要。

6BM8の代わりに16A8を使うことに成功。これでガラクタの7本は活躍できそう。

JR-310への電源トランスの組込みを考えないといけない。スペース的にはカリブレーション回路のところは良さそう。いまの時代、カリブレーション回路がなくても実害はないはず。せっかく、カリブレーション回路を再構築したのに。16A8の活用のために仕方がないかな。

さて、ガラクタである7本の16A8をそれぞれ約30分鳴らして、動作確認をした。1本は数分後に音が明らかに小さくなり、不良。もう1本は通電後しばらく、真空管の内部に火を噴いた。よくみたら、ガラスが割れてしまったようだ。ということで、残りの5本はまだ使えることを確認した。

ガラスが割れた16A8から、中身だけを取り出し、構造の研究に活用したい。内部は案外複雑、ほかの電子部品に比べて、単価が数百円は安すぎる気がする。なにもない抵抗器やコンデンサは平気で日本の市場では数百円で売っているからね。ニーズがないとか、オタク向けのぽったくり価格とか、理由はいろいろあるだろうけど。

16A8 の内部構造

5V、6Vとタイトルに書いたが、正確には、それぞれが 4.7V、6.3V だ。真空管発明当初はバッテリーをヒーター電源として使っていたようで、バッテリーの都合で6.3Vになり、2つのバッテリーセルに合わせて 12.6V になったりする。いまの自動車でも12.6Vのバッテリーを搭載するものが大部分で、真空管発明当初と同じ事情だ。

ただ、なぜ4.7Vなのかはよくわからない。あまりにも 6.3V (あるいはその誤差範囲)に近いと意味がないということかもしれない。

真空管に関する資料をみると、真空管の名称(型名、型番とか、いろいろな言い方がある)にヒーター電圧が記述されていて、アメリカのEIA方式では最初の数字がそれだ、と説明されている。つまり、最初の数字が以下を意味するだそうだ。

0: 冷陰極
1: ヒーター電圧:1.6V以下
2: 1.6V~2.6V
3: 2.6V~3.6V
n: (n-0.4V) ~ (n+0.6V)

それを当てはめると、6Vは5.6~6.6V、5Vは4.6~5.6V、12Vは11.6~12.6V になるようだ。全くのデタラメとはいえないが、それほど信用していいものでもない。頼れるのはやはり、真空管製造メーカーの発表した規格表なのだ。

さて、ガラクタとして入手した、真空管 5U8 をそのまま死蔵しても可哀相なので、なんとかして使いたい。つまり、約 6.3Vのヒーター電圧に接続して活用したい。

5U8のスペックは以下のとおり。

9ピンMT管、中μ3極・シャープカットオフ5極の複合管。ヒーター電圧 4.7V / 0.6A、ウォーミングアップ時間 11秒。ヒーター電圧が違う以外は、6U8Aと同等。ちなみに、6U8Aのヒーターは 6.3V / 0.45A。

ヒーター電圧 6V の真空管はいまは主流になっている。出力管の一部を別にして、ヒーター電圧6Vの電源トランスが大部分。 その陰で、ヒーター電圧 6V 以外の真空管は、トランスレスラジオ用以外になかなか活用の場はなく、人気がない。それを逆手に取れば、ヒーター電圧が6Vではないが、他の性能はまったく同じ真空管を格安で入手できるチャンスでもある。たとえば、5U8 は 6U8A よりもだいぶ安くゲットできるはず。未開封の 5U8 でも数百円で売り出されている。

本記事は、回路を5Vヒーターに改造するのではなく、真空管変換ソケットを差し替えるだけで 5U8 を使えるようにする内容。

方法は本サイトでよく紹介したもの。2つの真空管ソケットを連結させて、変換ソケットにしてしまう。片方にピン(足)を挿し込み、半田付けして、元のソケットに挿せる構造。5U8 は 9ピンMTなので、今回は2つの9ピンソケットを使った。ピンの4番と5番はヒーター用だが、6番の高圧プレートに遠いほうが安全だという配慮から、4番ピン同士を連結せず、その間に抵抗なり、ダイオードを挿入し、電圧を下げることにした。

2つのソケットを連結させて、変換ソケットに仕上げる

交流電圧を下げるにはふつう、抵抗(抵抗器)を使うが、W数の大きい抵抗は手元にないし、電流の大きさにあまり影響されない特長がよいことから、今回は抵抗ではなく、ダイオードを使った。

2つのダイオードを同じ向きで直列して、さらに逆向きに並列する。これで、電圧降下が1.5V前後になり、6.3Vを4.8Vに下げられる計算だ。直流にも交流にも対応し、直流の場合は向きも自由でよい。

ダイオードの型番は1N5408、3A / 1000V 整流用。もう少し流せる電流が少なく、1.5Aか2Aのダイオードがよりよい。1N5408はリード線が太く、サイズも大きすぎたから。1.5A 以上にする理由は 5U8 のヒーター電流は 0.6A だから。真空管の周りは高温(100℃超えるのはふつう)になることが多く、高温の環境ではダイオードの流せる定格電流が低下する。このへんは抵抗器と同様。1.5A のダイオードであれば、125℃でも0.6Aの電流に対応できる。自分はさらに安全係数をかけて、手持ちから3Aを選んだ。

ダイオード 1N5408 を使って電圧降下を図った
変換ソケットとダイオードを使って、5U8 を 6BL8 の代わりに使用
もう一枚、違う角度からの撮影。IFTとショートしないよう、熱収縮チューブを被せた
実測した電圧値の変化

交流電圧の実効値(RMS)を精確に測定してくれる FLUKE のテスターを使って実測した。他の真空管のヒーター電圧が 6.217V に対して、5U8 のヒーター電圧は 4.759Vになっていることを確認できた。定格 4.7V にわずかに 高いが、問題になることはないはず。なお、ダイオード表面の温度を実測したら、約50℃。

変換ソケット式なので、元の真空管 6BL8 やその互換球 6U8、6EA8 を使うときには、変換ソケットをつけなくてOK。回路に対する改造は一切なし。

次回では2つの真空管のヒーターを連結させて、ヒーター電圧が 3V の真空管を活用してみたい。ガラクタの真空管に、3CB6、3DK6 が入っているから。ちなみに、3CB6 や 3DK6 等のヒーター電圧は精確には 3.15V で、2つ直結すると 6.3Vちょうどになるように、規格がきめられたようだ。

気にするひとはいままでいなかったかもしれないが、JR-310の内部温度に対する疑問だ。

シャシーを逆さまにして、電圧測定やハンダ付けをするのだが、電源周りの温度が高すぎることを感じた。デジタルマルチメータ付属の熱電対で測ったら、なんと抵抗の表面温度は100℃を超えているのではないか。

150Vを約9Vに落とす矢印の抵抗 (4.7kΩ / 8W)の表面温度は100℃を超えている

とくに、矢印の指すその抵抗(回路図では VFO UNIT の右隣、R9 (4.7k, 8W) と書かれている)は最も表面温度が高い。両端の電圧差は約 137V、抵抗値は 4.7kΩ、消費電力は約4W。回路図では 8W の抵抗と書いてあるので、メーカーの設計はそんなもんか、ちょっと心配してきた。ふつう、抵抗に対し、定格電力が消費電力の5倍以上のものを選ぶのが常識だと思っていたから。

JR-310のVFO ユニットは FET と Tr でできていて、電源電圧が 9V と決められ、その電源電圧を供給するために活躍したのが R9。電源トランスはヒーター電圧用の6.3V以外に、210V しか用意していない。そのため、整流後、約150Vもある高い電圧をR9を使って、約 9V に落とすのだ。流れる電流は約30mA。

写真にあるほかの3本の抵抗と合わせて、回路図による消費電力等を計算してみる。

大型抵抗4本。上の写真の左からの順番

なお、本個体での実測では、上表の両端電圧差はそれぞれ、48、159、73、140V であり、回路図に書かれている電圧とそれほど違っていない。

さて、発熱量を減らすため、早速千石さんに注文だし、タクマン酸化金属被膜抵抗 5W (小型品、RLF5S、長さ24.5mm、太さ9mm、定格電力 5W、最高使用電圧500V、単価約80円)を購入した。商品は翌日に届き、秋月電子通商の最近の遅さに勝ち、送料も安い。商品自体はしかし高すぎる。個人の趣味だから単価は無視するが。

消費電力5倍以上の定格電力を有する抵抗があればよかったが、しかたなく、単体でだめなら、2つを直列したり、4つを直列・並列したりして、なんとか消費電力の4倍以上にできた。

また、ケミコン等の側で使ってはよくないので、一部の抵抗について位置を変えたり、ケミコンをセラミックコンデンサに変えたりして、自分なりに努力したつもり。

発熱量の大きい抵抗を取り替えた。コスパは悪いが。
もうひとつ、こちらの抵抗も140Vを降下させるので、発熱量も半端でない
取り外した元の抵抗。100℃を超えた環境でも連続して使える、品質ピカイチ。

取り外した抵抗は上記の5つ。どれも実測したら全く問題ない。時代が進歩し、今回の5W抵抗は明らかにサイズが小型になっている。2つ並べて10Wになるはずだが、長さは上記の赤抵抗の8Wよりも短い。ただ、測定条件は当時と同じかどうかはわからない。タクマン社の説明では、負荷軽減曲線が使われ、周囲温度が70℃以上になると、定格電力が下る。100℃では80%、125℃では60%、150℃では50%といった具合。200℃になったら、抵抗として機能しない。取り外した古い抵抗の負荷軽減曲線は知らないが、もう少し軽減率が低かったかもしれない。

周囲温度が上がると定格電力が下るらしい

新しいに取り替えて、改めて温度を測ったら、最高は60℃になった。元の約半分になり、受信機全体の寿命向上に貢献することを期待する。

トランジスタのために、150Vを十数Vに落とすやり方よりも、小型電源トランスを別途用意し、安定化した12Vや9Vを作り出すことが本来の王道。ただ、本機種は送信機 TX-310との連動も考慮したつくりで、回路を本機種の都合だけで変えると連動できなくなる可能性が高い。

組み込まれた未完成のキャリブレート回路
真空管ソケットの穴あけのために、すべてを取り外した

未完成のキャリブレート回路をすべて取り外した。真空管ソケットのための穴あけ作業にそうせざるを得ない。真空管ソケットの両穴位置って統一されていないみたい。手持ちのMT7ピンだとぴったしあう。前オーナーが用意したソケットをそのまま使うなら、穴の位置がずれているので、新たに開けないといけない。

ほかに、気になるのはオイルコンデンサの多用。容量は0.01μFなので、高周波用ということで、セラミックコンデンサをなぜ使わなかったのか。オイルコンデンサはその高周波特性が良いのだろうか。わからない。

サイズのことを考えれば、オイルコンよりもセラコン、抵抗もひとサイズ小さいものを使いたい。

ということで、最終的な判断として、2つの貴重なマイカコンデンサ(容量は表示されていないが、実測して約20pF、30pF)、クリスタル振動子、そのソケット、およびラグ板を残し、ほかはすべて新しいパーツを使うことにした。

再利用できるようきれいに取り外したが、使えるパーツはわずかしかない。

製造メーカーのマニュアルには、簡易キャリブレート回路図が公開されている。そのまま組み上げ、できたのは下の写真のようなもの。手元に1/2Wか1Wの抵抗は数種類しかなく、注文するのも面倒くさいので、手持ちのニッコーム角板形1/2W抵抗を使った。製造中止になったので、貴重品ではあるが。470kΩは1MΩ2つの並列でしのいだ。1MΩはそのサイズから恐らく1/4Wだと思われるので、並列すれば 500kΩ 1/2W相当になる。

10.0ではなく、0.01だ。そんなミスは国内だけでなく、英語マニュアルにもずっと残っていたか?
組み込んだ簡易キャリブレート回路

電圧をチェックして、真空管 6BA6 を挿し込み、波形を確認した。

下の部分は歪んでいるが、そんなもんだろう。周波数は3.52MHz、水晶発振子と同じ。

真空管内部の接続が異なるが、6BA6の互換球といわれる中国製 6K4 に取り替えて、使えるかどうかを確認した。

真空管 6K4 による発振の波形

振幅が若干下がったが、問題なく使える。ということで、7番ピンにつながっている330pF抵抗や、0.01μFバイパスコンデンサをなくし、7番ピンをアースに直接繋げても動くはず。回路がよりすっきりする。

また、貴重な 6BA6 を使わずに済むことも自分にとって重要。自分が生きている間に6BA6 の入手が困難になることはないだろうが、新規生産可能な互換球があるなら、それを優先的に使うべきだろう。

さて、出力先はどこに繋げばいいだろう。マニュアルでは、「ビニール線を適当にのばして高周波増幅回路に結合する」としか書いてない。不親切といえばそこまでだが、アンテナ入力に繋げるのはコリンズのやり方。

注入先をRFアンプ、つまり、V1である真空管 6BZ6 のピン1に繋ぐ抵抗 33Ωの先にした。このままビニール線をハンダづけしたら、感度が下がった気がしたので、自作のコンデンサを経由してつなげた。

耐圧300V程度、数pFのセラミックコンデンサやマイラコンデンサが手持ちにないし、それだけのための注文も面倒くさいので、2股のビニール線を短く切り、LCRメータで実測したら、約2pFと出たので、採用した。耐圧はビニール線の絶縁材にもよりが、真空管のような300V程度なら、全く問題ないはず。

自作した結合コンデンサ
これでキャブレート信号をRFアンプに注入できた

とくに問題なくキャリブレーション操作はできた。まだまだ信号は強すぎる。感度の低下もないような気がした。3.5MHzバンドだけを校正すれば、ほかのバンドはそんなにズレないかもしれない。ほしい周波数のクリスタル発振子を探すのは簡単ではないし。

キャリブレーションは毎日使うわけではないので、使うときにだけ真空管を装着してもいいではないか。CALL ON はしないのに、真空管のヒーターだけをずっと点灯させるのはもったいない。あるいは、コリンズと同様、FETかTrによる代替を考えてみる。FETやTrはヒーターがないし、CALL ONのときに動作電圧が印加され、動作するので、省エネ、というか、理に適えている。

50MHz コンバータはまさにそういう動き。50.0、50.5 バンドに切り替えたときにだけ、+B電圧である約15Vが印加され動作する。他のバンドに切り替えたら、+B電圧はゼロになり、コンバータ自体は動作しない。

入手した JR-310 のヒーター電圧は実測したら 6.5V になっていた。+B電圧も多少高めになっていた。出力管の代用や、パイロットランプのLED化等、これからの遊びはヒーター電流を使わない方向なので、ヒーター電圧を高めることがあっても、減らせることはない。

コリンズは最終的にヒーター電圧は 6.1Vになっていた。日本の100VACをトランスを使って昇圧するので、変換先の電圧値をタップを変えることで上下調整できたから。

JR-310 では搭載されている電源トランスは入力117V にも対応しているが、100Vに比べて約2割も高く、ヒーター電圧はそれを使うと5.5Vになってしまう。

ということで、電源トランスの6.3V 端子にセメント抵抗をいれて、6V前後に調整する。そのために流れる電流を真空管のスペックから推測してみる。

6BZ6、ヒーター電流 0.3A。
6BL8、0.45A
6CB6A、0.3A。
6BA6の2本、0.3A × 2。
6BM8、0.78A。
6BA6、0.3A。

真空管のヒーターに流す電流は計 2.73A。ほかにパイロットランプを点灯させるための電流は恐らく 0.15A × 2 = 0.3A なので、合計して 3.03A になる。電源トランスの6.3Vタップに書かれている定格電流は 2.8A になっていて、ややスペックオーバーになる。それでもヒーター電圧が6.5Vになるとは不思議だ。

手持ちのセメント抵抗から 5W 0.1Ω を選定

ということで、6V前後にするには、抵抗 (6.5-6)/3.03 = 0.165Ω。手持ちに近い値の抵抗は 0.1Ω / 5W と 0.22Ω / 5W しかなく、それぞれを使ったときの消費電力を考えて、0.1Ωを使うことにした。

それによって、電圧降下は 0.303、消費電力は 0.92W、になる。目標値の6Vには届いていないが、妥協しよう。どうしてもというひとは、0.33Ω / 5W を2つ並列接続していいかもしれない。

セメントを付けた様子

暗くて、わかりにくいが、つぎの写真のとおり、ヒーター電圧は約6.3Vになった。電流値の誤差(7番目の真空管 6BA6 は外したことも多少関係する)や、抵抗値の誤差により、予想よりは若干高くなっている。

ヒーター電圧は 6.27V になった

アマチュア無線バンド受信機である Trio JR-310 では、RF Tune の操作はベルト経由で、バリコンを回している。そのベルトはゴム製で、経年劣化によって、よく切れるらしい。そういえば、CDやテープレコーダーにもゴムベルトが同様な問題が多発している。

ゴムやプラスチック等は、成分にもよるが、長寿命の製品にしたいなら、できれば避けたい。ボロボロになったり、ベタベタになったり、日常生活ではそういう現象によく遭遇するから。

さて本個体もゴムベルトが切れていて、前所有者が輪ゴムでしのいでいたが、輪ゴムは簡単に劣化して、滑ってしまい、操作性最悪。

ベルトの代わりに輪ゴムが装着されていた

ということで、近くのホームセンターであるカインズホームで、代わりを物色してきた。

ベルトの代わりに見つけた代用品

Oリング2種類はそれぞれ内径55mmと56mm。ベルトの長さは実測したら17.5cm前後ということがわかっていたので、使えそうなものを選んだ。

株式会社八幡ねじ(www.yht.jp)の製品で、特長は油・水漏れ止めに優れていること、材質はニトリルゴム(NBR)とのことだ。

チェーンも購入してみた。JR-310の前に座って実物を見ながら、滑らない方策を考えていたが、結局思いつけず、仕方なくゴムのOリングを採用した。ニトリルゴムは工業用ゴムとのこと、リングの太さは5.7mmもあること等に期待して、劣化して切れることのないよう祈る。10年後切れたら、また代用品をその時に考えよう。

さて、Oリングを装着するには、一苦労した。正面のパネルを外さないと装着できそうにないから。すべてのツマミや固定ネジを取り外し、隙間からOリングを取り付けた。56mmのものよりは55mmがきついので、滑らせないために、55mmのほうを採用。

パネルを外すにはひと苦労。Oリングを入れるための隙間をつくるために、すべてのツマミ、固定ネジを取り外した。
装着したOリング。太さは半端でない。
上から見ると溝からはみ出すことはなさそう

RF Tuneのダイヤル操作はやっとマトモになり、テスト・調整ができそうになった。RF Tuneはいわゆる、コリンズのPreSelectorであり、それをうまく操作でないと全く受信できない、しかも、その操作は大変シビアで、ノイズを聴きながら、ノイズが最大になるようにまさにその一点にチューニングしないといけない。

バンドスイッチ(受信バンドの設定)、メインダイヤル(受信バンド内の受信周波数の設定)、RF Tune(受信周波数の感度調整)、IF Tune(受信周波数の感度調整)、そしてAM・LSB・USB切り替えスイッチ、という5つの操作は最も大事。ひとつでも操作がうまくできないと受信失敗になる。ただ、比較的に IF Tuneだけは適当にやってもいいみたい。IF Tune はTrioの独自のアイデアかもしれない。操作してみれば、確かに必要だとわかるが、IF Tuneとの違いは明確でなく、全体の操作性を悪くしている。

その他の、RF Gain、AF Gain、RITは操作しなくても問題ない。RF Gainは最大にすればOK。その感度調整は RF Tuneができるから。AF Gainに関しては、そもそもスピーカーは JR-310 に搭載されておらず、外部スピーカーを使うなら、Gain調整可能な(つまり、アンプ内蔵の)外部スピーカーを使い、Gain調整は外部でやればOK。RITは連動する送信機のためのもので、受信には無関係。

送料込1万円未満のジャンク受信機 Trio JR-310 が入ってきた。コミュニケーションレシーバーと書いてあるが、基本的に、コリンズ 75S-3 と同様、アマチュア無線バンドしか聴けない。アマチュア無線の通信に興味のないひとにとっては、ただのゴミでしかない。アマチュア無線バンド以外の短波放送は基本的に聴けないし、短波放送は国際の取り決めにより、アマチュア無線バンドとぶつからないようしているから。ただ、その取り決めは変更することはあり、また、本機種の作り方から、アマチュア無線バンドに精確に限定して受信する技術力もないので、ごく一部聴こえる短波放送もある。

到着した本個体は外観がわりときれい、クリーニングしなくても撮影に耐える。ということで、記念として写真3枚を残しておく。これから、またいろいろといじっていくので、元の姿を残す写真は本人にとって貴重かもしれない。

正面。1969年の発売。初期に近いモデルである可能性が高い
モジュール化構造になっている。真空管は7本。内の1本はユーザによって追加されたものだろう。
日本人の器用さか、配線はコリンズよりはマシ。

恐れ恐れ通電してみた。パイロットランプの点灯、真空管の点灯等、異常は観察できなかった。肝心の受信は、7MHzでのAM受信、LSB受信が確認できた。Sメータも問題ない。しかし、ボリュームのガリがひどい。ヒーター電圧は6.5Vと出ている。6.3V、できれば、6V前後にしたい。IF Tuneのベルトが切れていて、使えるOリングを探さないといけない。

さて、真空管をチェック。7本の詳細は以下の通り。意地でもコリンズ球ではなく、その互換球を使うところは面白い。

6BZ6(東芝製)、RF増幅。
6BL8(松下製)、第1ミキサー、受信周波数を 5.955~5.355MHzに変換。
6CB6A(日立製)、第2ミキサー、受信周波数を455kHzに変換。
6BA6(松下製)2本、IF増幅。
6BM8(松下製)、AF出力。
6BA6(メーカー不明)、アクセサリーであるキャリブレート回路用。

コリンズ 75S-3 における12本の真空管が、ここに来て7本に減らされた理由は、コリンズをそのままパクることによる特許侵害対策や、ソリッド(トランジスタやFET)化したからだと思われる。

全体のブロックダイヤグラムはつぎの画像のとおり、常識的なものでしかない。コリンズにあったQ-マルチや可変BFO(そのためにそれぞれ真空管が必要)は本機種にない。また、検波やVFOのソリッド化が進み、真空管を使う必要性はなくなった。その結果、コリンズの約半分の真空管数でも機能している。しかし、操作性も性能もコリンズに勝てる見込みはブロックダイヤグラムや、回路図を見てないと個人的に感じた。一言でいうと安さ以外に魅力がないということだ。

貴重な当時の雑誌紹介

真空管を1本1本抜いてクリーニングして外観を確認した。1960年代の最期に製造された真空管というだけあって、問題のありそうな球は外観から感じ取れなかった。コリンズのようなガラスの濁る球はなかった。さらに、短波受信できたということと合わせて考えれば、真空管はとりあえず交換せずに様子見することにした。