まだ入手後二日目だが、怪しい箇所をいくつか見つけた。回路図はいろいろなバージョンがあり、さらに、回路図に明らかに間違った箇所もあり、点検・トレースを難しくしている。

まずはシャシーのリアにあるリモート端子。開けて確認したら、加工された痕跡があり、ハンダづけされていない。ということで、簡単な修正を施した。

リモート端子とトランシーブ端子を開けたところ。左は怪しい。
リモート端子を修正。元の状態はわからないが。

つぎに、ユーザによって追加されたキャブレート回路。珍しいアクセサリかもしれないが、真空管 6BA6 による無調整型簡易キャリブレート回路が本個体に組み込まれている。しかし、完成していない。

回路が追加されたが、失敗したか、出力シグナルはどこにもつないでいない。
細かくて写真では確認できないが、未完成。3.5MHzのクリスタル発振子が必要なのに、なぜか3.52MHzになっている。赤丸のところの真空管ソケット片側はネジ止めされていない。

ほとんどの部分はできているので、ちょっとした追加作業で動くと思うが、肝心のクリスタル発振子は3.52MHzになっているところは気になる。その高調波は活用して、7MHz、14MHz 等の校正をするわけだが、20Hzのずれは、40Hz、80Hz等になり、計算がとても面倒。

3.5kHzのものを物色してみる。見つかるとキャリブレートがやりやすくなるはず。

3番めにIF Tuneの接続先が怪しい。ハンダづけがなんとなく素人っぽいなので、回路図と見比べたら、接続先が変えられたことに気づいた。理由不明だが。

大きな赤丸のところは怪しさが満点。隣の小さな赤丸の抵抗も焦げているようにみえる。
正しい接続先はこちら、VC2の1番ピン。ついでに、焦げた抵抗を交換。

また、焦げたようにみえた抵抗は1kΩ。外して実測したら抵抗値は変わっていない。念のため、手持ちのもので交換。

IF Tune の接続先を直したら、感度は大きくアップ。これが本来の状態かどうかは分からないが、コリンズに比べてノイズが多いことはまだ気になる。

4番目、470kΩの抵抗は全体的に 510kΩ前後になっている。ほかの抵抗は問題ないようだが、少なくとも調べた範囲の3つの 470kΩ ソリッド抵抗は 510kΩ に大きくなっている。ただちに影響があるわけではないが、異なる回路に一斉に大きくなったのはやはり品質の問題かな。

このうち、1W カーボン抵抗で取り替える。このために注文するのは送料でバカバカしくなるので。

約1ヶ月間、毎日のようにCollinsに取り掛かってきたが、新しいものが入ってきたので、整備はこれで終了したい。

ふつうに使えるようになったCollins 75S-3

振り返ると、本個体の問題は真空管の不良だけだった。整備ではコンデンサの交換やパイロットランプのLED化をしたが、やらなくても別に問題が起きるわけではない。

壊れた真空管だけを替えればいいという意見はネットに多いが、そもそもコリンズ本来の性能(感度や音、操作性等すべて)を知らないひと、つまり、はじめてコリンズに接したひとは、すべての真空管を信頼できるものに差し替えて、動作確認すべきだ、との認識に至った。真空管は寿命が数千とか数万時間とかいうが、いつ不良になるかは誰にもわからない。ましてや1963年製の本個体は、変だなと思ったら、すべての真空管を取り替えたほうが無難だろう。

故障がなくなったら、またひとつひとつ元の真空管に戻して確認すればよい。本コリンズに限って言えば、真空管はもっとも厄介な存在だと言えよう。

アイデアなどが溜まったら、またコリンズを相手に遊んでみたい。

毎日コリンズをイジらないと気がすまない性格で、本記事はランプをLEDにする内容。オリジナルランプでないと気が済みないひとには全く参考にならないかもしれないが、交換するための手順を書くのでヒントになることを期待する。

Collins 75S-3 には2つのパイロットランプが使われている。ダイヤル照明用とSメータ照明用。ダイヤル照明のほうがランプを固定するメカニズムはとても簡単で、素手でも交換できてしまう。ただ、ショートしないか、設計に対して心配なところは本人にあった。そういうことで、ダイヤル照明用ランプの交換(あるいはLED化)については省略。

問題はSメータのランプ交換。ネットを調べてもそれなりの情報は見当たらない。ということで、ここから下の部分はすべて自己流。もっと簡単な交換方法があってもおかしくない。何しろ、ランプは切れることがあるので、簡単に交換できる方法をコリンズが用意しないわけはない。ちょうど真空管のように挿し替えるだけでする方法を。

シャシーからSメータを固定する4本のネジを外すことから始める。周りにスペースがないので、作業は結構大変。

赤丸にある4本のネジを外すには大変苦労した。
メータを前に引っ張り出すことに成功

そして、Sメータのカバーを固定するネジ(銅製、すぐ傷められそう)の3つを外し、Sメータのカバーを外す。

赤丸にあるネジを外す。写真に見えないが、4時と8時の位置にもネジがあり、これら3つでカバーを3方向からガッチリ固定する。
Sメータのカバーが外れた

必要かどうかは知らないが、ランプを外すために、メータの銘板を外した。この作業には細心の注意が必要。メータの回転する心臓部は大変精巧なつくりで、壊したら組み立てられるひとは日本中にいないともいわれる。同じものを買おうとしたら、コリンズということで1万円以上の(ぽったくり)値段になる。

やっと目的のランプを取り出した。

ランプは交流 6.3V用、定格電流は分からないが、直流定電圧電源につけて測ったら約130mAであることから、0.15Aのものだと思われる。

CM 47。市場独占のために、定格ではなく、番号で商品をだすアメリカ。こういうパイロットランプの形をBA9Sタイプというらしい。

ランプを交換するだけなら、新しいランプをつけて、Sメータをもとに戻せばOK。本記事はランプのLED化が目的なので、さらに書き続ける。

交流6.3V用BA9SタイプのLEDランプを買おうとしたら、案外高い。ひとつで数百円は自分の価値観にあわないので自作でチャレンジ。

ベース部分は商品として販売されているので入手。LEDは8年前311特別状況下で秋月電子から購入していたのでそのまま使用。交流に対してLEDをふたつ並列(向きを逆に)して、抵抗220Ω(手持ちにそれがあったので使うだけ)をつける。ほかの抵抗値でも問題ないが、計算に必要なデータを示しておくと、AC6.3Vの最大電圧は約9V。LEDは秋月番号 I-06414 というものだが、順方向電圧降下3.1V、逆耐圧5V、標準電流20mA、最大電流30mA、最大パルス電流100mA、Warm White。LEDを2つ使うので、流す電流が10mAでも、元のランプよりは何倍も明るい。

用意したパーツ

つくったLEDは以下のようなもの。格好が悪いかもしれない。

直流で測ったところ、プラスとマイナスとのどの方向も6.3VDCでは約15mA、9VDCでは約27mA。抵抗値を270Ωや、300Ωにしてもいいかもしれない。

逆の手順でSメータを戻せば終わり。点灯時の写真を以下に示す。実際は全く眩しくない、3mmのLEDだから。ただ、ダイヤルのほうは半透明なプラスチック板、右のSメータはアルミ製の銘板、それらの遮光性の違いが見た目の明るさを左右した。ということで、ダイヤル用のLEDに300Ωか、それ以上の抵抗値を使うべきだね。いつか気が向いたら作り直す。

LEDは効率がよく、15mAでその10倍の150mA電球ランプよりも明るい。

誤解を招かないための長いタイトルにしたが、本記事の真髄はすばり、真空管変換ソケットの自作だ。

高名なアマチュア無線受信機 Collins 75S-3 はこの頃、自分のおもちゃに化している。真空管入門のきっかけをつくってくれた Collins に感謝だ。

さて、Collins 75S-3 の V5 として利用されている真空管 12AX7 は、高μ双三極管の9ピンMT管として有名。その兄弟に 12AU7, 12AT7 があるが、増幅率 μ の違い、100が12AX7、60が12AT7、20が12AU7といったぐあいに選別されている。μ=100が三極管では最も高いものらしい。トランジスタだと100はよくある増幅率であって、高いものは800~1000(超えるものもあろう)。真空管は増幅率が比較的低い。

ところで、知識が乏しく自分は 12AX7 の互換球を探しているが、なかなか見当たらない。しかし、ロシア系(その支援国である東欧や中国等)にはヒーター電圧が違うが、6N2 (さらにその軍用モデル 6N2P-EV 等)は他の電気的特性はよく似ている。6N2、あるいは 6N2P-EV を試してみたいひとは、ヒーターの違いを解消(あるいは吸収)する工夫をしないといけない。

下に 12AX7 と 6N2 のピン配置図を示す。確かにピンのアサインは同じだ。問題はヒーター電圧。12AX7 は型番のとおり、12.6V/0.15A をヒーターに使う。対して、6N2 は 6.3V/0.34A を使う。

12AX7のピン配置
6N2のピン配置

幸い、12AX7は Collins 75S-3 では、ヒーター電圧が2組の6.3Vの直列で供給されている。具体的には、ピン4-9 および 5-9 にそれぞれ 6.3V が与えられている。したがって、どちらかの 6.3V を 6N2 のヒーター電圧にすればよい。つまり、12AX7 の4-9、または 5-9 を、6N2 の 4-5 にすればよい。

Collins の基板回路を変えるなら、上記の変更は簡単に実現するが、12AX7 も 6N2 も使えることはできなくなる。そこで、変換ソケットの必要性が出てくる。つまり、ソケットのなかでヒーター配線を変えれば、変換ソケットを使わない場合は従来の 12AX7、6N2 を変換ソケットに乗せて使う場合は 6N2 が機能するわけだ。

自作した変換ソケットは下のようなもの。6N2 を変換ソケットに挿し、変換ソケットをさらに本来のCollins のソケットに挿すことで、6N2 が使えるようになる。

変換ソケット経由で 6N2 を使う。左はもとの12AX7A。

真空管変換ソケットはそれなりのニーズはあるはずだが、なかなか見当たらない。仕方なく、自作してみた。一連の作業は言葉で説明すると大変なので、一連の写真でその過程を示すことに留める。自己流なので、改良・改善はいくらでもできそう。

まずはピンの入手。たまたま手元にあったRS232Cの25ピンオス側を利用した。調べたら金メッキではないかもしれないが、秋月電子通商ではいまでも似たタイプが単価40円で販売されている。

分解
金メッキのピンをゲット。とても丈夫、太さは真空管のピンに似ている。

つぎに真空管ソケットの用意。9ピンソケットを2つ。少なくともそのうちの一つは分解できるタイプがよい。

そして分解、ハンダ付け。その作業を根気よくやっていけば完成。結果的にとても丈夫なつくりになった。押しても引っ張ってもひねてもびくともしない。

9ピンMTソケットを2つ
左側のほうは分解できるタイプ
左側のソケットを分解
入手した金メッキのピンを挿し込む
ハンダを流し込み、固定させる
さらに、2つのソケットをハンダづけして連結させる
各ピンの連結とリアサイン
できあがり。作業時間ははじめてのことで数時間かかった。
外周部にプラスチックパイプとかを装着すれば完璧かな

高さはピン部分を除くと約 26mm。工夫次第で20mmぐらいに低くできるかもしれない。透明か白色のビニールパイプを外周につければもっと格好よく、感電の心配もなくなるので、このうち適当なものを物色する予定。

こういうソケットは変換用だけでなく、各ピンの電圧測定や電圧電流のモニタリングにも活用できそう。Collins の電圧測定には自分はいつも緊張。ショートさせてはいけないし、感電の心配もある。こういうソケットがあれば大変助かる。

また、ヒーター電圧が低いだけの真空管、たとえば、4BZ6、5GH8A 等の真空管はヒーター電圧の違いで買い手がつかず、格安で大量に出回ったりする。変換ソケットではヒーター同士の連結に抵抗やダイオードを入れれば、電圧の違いを吸収でき、廃棄真空管の救出にも役立つ。

工夫次第で、真空管変換ソケットは使い道が多い。

さて、到着したロシア製 6N2P (キリル文字 6H2n)は 9303という日付があり、ソ連崩壊後の大混乱期に生産され流出されたものかもしれない。

ロシア 6N2P。ピン(足)の形は独特

米国、日本製 12AX7 との比較。双3極という部分はなんとかわかるが、作り自体は西側とだいぶ異なる。

左から 米国、日本、ロシア製

6N2Pを変換ソケット経由でコリンズに付けたら、ふつうに聴こえた。ノイズが若干上がった気がするが、感度もアップしているようだ。

なお、6N2Pの9番ピンは内部シールドの役目を果たすので、アースに繋ぐべきだとの意見が多い。元の12AX7にないピンなので、新たにリード線を台座の9ピンにつなぎ、シャシーのアースにつけていくことをやってみる。ノイズはこれで下がるだろうか。

いままで、真空管にほとんど興味がなかったが、Collinsの修理を機に真空管について研究し始めた。その一部をメモしておく。

Collins 75S-3に7種類12本の真空管を使っている。それぞれについて書いておく。

① セミリモートカットオフ5極管である7ピンMT管 6DC6 (gm=5.5) が3本、それぞれ V1、V2、V11に使われている。ピン配置は G1, K, H, H, P, G2, G3/IS。互換球は 6GM6 (gm=13)、6BZ6 (gm=8) 等。V11については 6CB6、6DK6、6BJ6でも、ロシア・中国製 6J2 (gm=3.85) でもOKのようだ。6J2 に似た仕様に 6J1という型番もあるが、真空管内部の接続が異なるため、6J1は代用できない。

V1はキャリブレーション用、以下の写真に示した自作品 FET (LND150) + Tr (2N5551) といった代用品でもOK。詳細についてはネット情報に参照されたいが、オリジナル 6DC6 よりはキャリブレーション信号がちょっと強いが、慣れればキャリブレーションのためのゼロビート操作は問題なくできる。こういうソリッド代用品のメリットは故障になることが真空管に比べてほとんど考えなくていいし、6DC6の予備球節約にもなる。

自作品。V1の代用。FETもTrも目下、秋月電子から入手可。

V2はフロントエンドのRFアンプ用。3本のうち、最も状態の良い6DC6をそこに使おう。

V11は可変BFO用。可変BFOを使わなくても、通常のSSBやCWを聴くには問題がない。3本の6DC6のうち、最も状態の悪いものをそこに使おう。

ということで、手持ちの6DC6があまりないとき、最もよいものをV2に、どうでもいいもの、あるいは代用の真空管をV1、V11に使って問題なさそう。とくに、世界的に 6DC6 は品薄になっているので、手持ちにV2用の1本さえあればOK。V1, V11は代用球で十分。

②中μ3極・シャープカットオフ5極の複合管である9ピンMT管 6EA8 (μ=40, gmt=8.5、gmp=6.4) が3本、それぞれ V3、V4、V8に使われている。ピン配置は TP, PG1, PG2, H, H, PP, PK/PG3/PIS, TK, TG。互換球は 6GH8(A) (μ=46, gmt=8.5、gmp=7.5), 6U8(A) (μ=40, gmt=7.5、gmp=5) 等。とくに 6GH8A はμが高いので、感度のアップが期待される(試用した結果、ほとんどアップしない感じだけど)。ロシア・中国製には 6F2 (μ=40, gmt=8.5、gmp=5.2) が代用球になる。

V3は1段目ミキサー(3極部)、ローカル発振(5極部)用。V4は2段目ミキサー(3極部)、VFOバッファー出力(5極部)用。V8はBFO(5極部)SSB検波(3極部)用。感度に関わる使い方は確かに見当たらない。どちらかといえば、低ノイズ性を重要視すべきだろう。入手しづらければ、6U8A等の入手しやすい代用管で十分。

余談だが、3極・5極の複合管で6EA8のピン配置と同じ真空管は 6AX8, 6GH8 (6GH8A) , 6HL8, 6JW8, 6KD8, 6LX8, 6U8 (6U8A), 6BL8, 6KE8, 6LN8 等、こんなにもある。手持ちにあれば、試してみよう。

③高μ双3極管である9ピンMT管 12AX7 (μ=100, gm=1.25~1.6) が1本、V5に使われている。ピン配置は 2P, 2G, 2K, H, H, 1P, 1G, 1K, HCT(ヒッターの中間点)。12AX7は最も有名な真空管のひとつで、入手しやすいが高価のほうだ。 ロシアや中国の現行品も流通している。なお、ロシア・中国製 6N2 (μ=97.5, gm=2.1)を使うには、ヒーター電圧の違いに注意せよ。6N2のヒーターピン 4-5 を 12AX7 の 4-9か、5-9になんらかの方法で切り替える(変換ソケットを使うなど)必要があるから。

V5はQ-マルチ用、選択度のアップに貢献している。低ノイズ性が要求されるので、できれば、低ノイズ品である 12AX7A がいいだろう。

④リモートカットオフ5極管である7ピンMT管 6BA6 (gm=4.3) が2本、それぞれV6、V7に使われている。ピン配置は G1, G3/IS, H, H, P, G2, K。6BA6 は真空管ラジオにもよく使われ、知名度が高い。互換球は6BD6 (gm=2) 等。ただし、6BD6 はgmが6BA6の半分しかないので、おすすめできない。ロシア・中国製互換球には 6K5 (gm=4.4) がある。6K5 に似た仕様に 6K4という型番も存在するが、真空管内部の接続が異なるため、6K4によるは代用はおすすめできない。

V6は1段目IFアンプ、V7は2段目IFアンプ、低ノイズ、高μで状態のよい6BA6が必要だろう。

⑤2極・高μ3極複合管である7ピンMT管 6AT6 (μ=70、gm=1.2) が1本、V9に使われている。ピン配置は TG, K, H, H, DP1, DP2, TP。カソードは共用されている。互換球は6AV6 (μ=100、gm=1.25)、ロシア・中国製6G2 ((μ=100、gm=1.25) 等。6AV6はμが高いだけでなく、真空管ラジオにも使われるので、入手しやすい。

V9はAM検波(2極部)、AFアンプ(3極部)用。ネット情報に従い、ダイオードとFETによる代用品を作ってみたが、失敗した。ダイオードによる検波効率が悪いからだろうか。

失敗した自作品。音量や感度が下がったから。

⑥ビーム4極管である7ピンMT管 6BF5 が1本、V10に使われている。ピン配置は G1, K, H, H, P, G2, G1。ヒーター電流は1.2A、発熱量は半端でなく、故障しやすい。その互換球はまだ知らない。

V10は最終段のAF出力用、出力トランスを通してイヤホンや4Ωの外部スピーカーをドライブしている。発熱量を減らすため、回路を改造して、6AQ5による代用をよくみかける。いっそうのこと、出力段のV10と出力トランスをすべてパスして、OPアンプやICアンプを内蔵した外部スピーカーをダイレクトにドライブしてもいいだろう。それなら発熱量を減らすだけでなく、コリンズの寿命を伸ばすにも好都合。

⑦シャープカットオフ5極管である7ピンMT管 6AU6 (gm=3.9) が1本、V301に使われている。ピン配置は G1, G3/IS, H, H, P, G2, K。6AU6は知名度が高く、入手しやすいだろう。ロシア・中国製には 6J4 (gm=5.7) が互換のようだ。

V301はコリンズの強みであるVFOに使われている。温度や時間経過によるドリフトがほとんどなく、コリンズの栄光を力強く支えている。FETとTrによる代用でも全く問題ない。

FET、FET保護用ツェナーダイオード、TrによるV301の代用品。詳細はネット参照。

以上のようにまとめてみると、コリンズの機能を維持していくには、最低限6DC6(フロントエンドのV2)の1本は必要。6BF5がなくてもアンプ付き外部スピーカーにAFを任せば全く問題ないはず。12AX7 や 6EA8、6BA6、6AT6、 6AU6は互換球やロシア・中国製品があり、なくなることはなさそう。

本記事に互換球を多く言及した目的はつぎのものだ。球のためにコリンズがあるのではなく、コリンズのために球が必要なので、特定の真空管が手に入らなくなっても互換球や、回路を変えるまで他の球を使い、コリンズを機能させつづけることは自分の信念だ。

なお、本記事でいう互換球とは挿し替え可能な真空管のこと。ピンの数が同じであるのは無論のこと、ピンの配置も球の性能も同じか近いものをいう。世の中では互換球といいながら、ピンの数が7対9、最初から挿せないものを互換球という輩もいる(たとえば、中国製6P1 と 6AQ5、どこが互換だと言いたい)ので、自分で情報を集め、自分の目で確認するしか対策はない。

もちろん、何でもかんでもオリジナル球でないと嫌だと感じるひとは、いまのうちにアメリカから7種類12本の真空管を複数セット購入するとよいだろう。アメリカでは良心的なお店が多く、1セットは日本円1万円程度(つまり、NOS1本千円未満、日本ではなかなかみかけない)だと思われる。毎日の使用頻度にもよるが、10セットもあれば生きている間は大丈夫だろう。

自己メモのために、いままでコリンズ75S-3に対してやってきたことをまとめてみる。これからもいろいろやるかもしれないが。

コリンズのシャシーの中は、自分の価値観では残念ながら、配線がきれいとはとても言えない。高周波なので、最短距離での配線は仕方がないとかの意見も確かにある。

また、配線の一点アースとの考え方もないようだ。適当に近くのGNDに繋いでいるだけのように見受けられる。それで最高峰の受信機と言われたので、アースの処理はいろいろなやり方があっても問題は起きないかもしれない。

さて、やってきたことを大きく分けて2つになる。1つ目はコンデンサの交換。ペーパーコンとケミコンの交換ということ。ブロックコンだけは入手困難だし、交換するには大変のように見えたので、まだ施していない。もうひとつは改造というもの。ネット上にある情報を活用して、改造を施していた。

コンデンサの交換については、ブロックコン以外に6つあるので、下の写真にはそのうちの5つが映っている。将来のために、交換したことがわかるように、また、前パーツのスペックがわかるように、シャシー内に落書きしたのは自己流。

ペーパーコン0.05uFをフィルムコンに交換
コリンズ75S-3の内部最高電圧は約150Vだが、耐圧350Vに交換
100uF/6Vのケミコンは耐圧200Vに交換。6Vはいくらなんでも心配。
10uFのケミコンの交換
8uF/25Vのケミコンを10uF/25Vのセラミックに交換

また、改造については、上の写真の右側赤丸は改造のひとつ。SSBのモクモクしたよく聴き取れない音質の改善に、L16である100uHのコイルを820Ω抵抗(手持ちにないので、1.8Kと1.5Kの並列で代用)に交換したもの。明瞭度は確かに上がったが、その後その主な原因は真空管 6BF5 の劣化によるものだとわかった。しかし、本改造も意味あるものと考え、そのままにした。

47K抵抗を追加

上記47K抵抗の追加は改造というよりも、出荷した当時の製造ミスを修正したもの。昔のブログにも書いたが、回路図に書かれているR2である47Kの抵抗はどういうわけか、本機では470Ωの抵抗になっていた。それをもとの47Kに戻すための修正。470Ω抵抗のショートはとくにやっていない(追加した47K抵抗のリード線の先にその470Ωだ。半分はケースに入っていて、ケースを持ち上げる技量は自分になく、ショートしたくてもできないのが実情だが)。真空管なので、多少の誤差なら全く問題にならないはず。

コンデンサの交換について、コリンズの品質の高さを示すためにも言っておきたいのは、コンデンサの劣化はそれほど認められていないことだ。とくに2つのペーパーコンは全く問題がない。ケミコンは新品でもだめと言わればだめだと判断できるし、質の劣化についてはなんともいえない。

ところで、ブロックコンは出力管 6BF5 のすぐ傍に位置するので、その劣化はとても心配している。なにしろ、6BF5 の発熱量は半端ではないから。しかし、その交換は周りのめちゃくちゃ配線されているパーツの取り外しをしないとできないので、やる気は起きない。当時の製造技術では大きなサイズになっている2W級の抵抗器をいっそう小型に交換し、ついでにその下の隠れているブロックコンを交換しようとも目論んでいる。

ブロックコンは赤丸のところに隠れている。交換するには大変な作業になりそう。

2W級のソリッド抵抗器はほかの1/2Wの4倍以上の大きさであり、長さ18mm、太さ8mm。ほかにサイズが大きく、いまではほとんど目にしないものはインダクターであり、長さ16mm、太さ10mmもあるのだ。そのうちのひとつであるL12 (0.5mH) について、多くの改造に言及されている。ハム音を引き起こすものだと。

真空管ラジオを数台弄ったところで、実力不足で長年放棄していた Collins 95S-3 の復活に挑戦した。

2013年に入手したコリンズが不動のまま

ブログの履歴で確認するとコリンズをeBayで購入したのは2013年6月、入手金額は覚えていないが、eBay転送サービスを利用したので、当時ではすごくほしかっただろう。しかし、届いてわずか数分間しか聴けず、その後は盛大はハム音が発生した。何回かその解消にチャレンジしたが、ことごとく失敗し、7年間放棄してきた。それでもいつか治せると信じていて、手放すことを考えていなかった。

さて、オシロとシグナルジェネレータを使って、お盆休み期間を利用し、回路図を見ながら、入力側から、あるいは出力側から1段ずつ波形を観察し、原因を探った。いまの時代では、中国の台頭によって測定器は手軽に入手できるようになった。60MHzまでのシグナルジェネレータは数千円で購入でき、夢のような話。100MHzまでのデジタルオシロも数万円で手に入る。

数日かけて調べた結果、真空管 6EA8 (V4) および 6DC6 (V1) を疑うべきだとの結論を得た。50Hzのハム音は2段めミキサー (V4) の不良によって起こしたようだ。いままでずっと VFO の問題だと考えていたが、6AU6 を新品に交換したし、そのプレート電圧の波形はきれいなサイン波になっていて、周波数も正しく変化しているのだ。

手元にそれらの真空管がなく、V4 を同じく 6EA8 である V8 と交換し、V1 を同じく 6DC6 である V11 と交換してみた。それだけの交換作業で、7.2MHzバンドのAM放送がなんとか聴けるようになった。

1963年製の本機は年代経過のせいか、搭載した真空管をすべて疑うべきだと悟った。しかし、真空管を購入した経験はほとんどなく、その良否を判定してくれるチェッカーをもっていないので、入手困難な型番もあり、入手するまで数ヶ月を覚悟している。

75S-3に使われている真空管は以下の12本。

6DC6 (品薄) 3本
6EA8 3本
12AX7 1本
6BA6 2本
6AT6 1本
6BF5 1本
6AU6 1本

トランジスタと違って、真空管はほかの型番で代用することは多くの場合できないとされている。足のアサインは数が多い分、互換性が失われる。3極管、5極管、7極管、混合管等、そもそも内部構造が異なる。トランジスタは耐圧や、最大電流等の定格を守れば、極端にいえば、PNP(さらにゲルマかシリコンか)かNPNか、使える周波数であるか、ぐらいの違いしかない。

真空管の入手に関し、最も安心するのは大手リアル店舗だが、コロナの影響で秋葉原にいくわけにはいかない。となるとネットの世話を受けるしかない。故障したコリンズの本調子とはなにかも知らないまま、怪しい真空管によってわけがわからない現象に悩まされることをどうしても避けない。

ここまで入手した真空管で差し替えたり、回路を一部修正した結果、AMもSSBもよく聴こえるようになった。出力段の6BF5を変えたことによって、いままでモヤモヤしていて、喋っていることをよく聴き取れなかったSSBもふつうに聴けるようになった。しかし、CWに関しては、まだろくに聴いていない。

6BA8の故障は自力でわかったが、6BF5の劣化にショック。

声さえ出れば問題ないだろうと考えていた真空管に劣化によって、歪みが発生することだと理解した。トランジスタではあまり経験しなかったことだ。また、極端の例えだが、トランジスタはほとんど0か1か(正常か故障か)に対して、真空管は1と0との間のアナログ状態で変化する。メーカーによっても初期状態が異なるし、スピーカーさえ鳴ればOKであるラジオと違って、アマチュア無線のDX受信はほんの僅かな明瞭度の改善に大金を注ぎ込むものなので、品質の確認は測定器でもわからないと思う。コリンズは真空管12本しか使っていないことに、返って助かった。何十本も使ったら、まったくお手上げ状態になるだろう。

さあ、アメリカやイギリスからの真空管が届くまで、本調子とはなにかまだわからないままになるだろう。

BFOもRejection Tuningも操作しなくてもふつうにAMやSSBが聴けることもわかった。

CALの使い方、Sメータの動きの鈍さ、感度の低下等、まだまだ未確認な点が多いが、ある程度蘇ったことは確認できた。

秋が深まり、真空管の暖かさに魅力を感じる季節になってきた。懸案のコリンズリペアをじっくり時間をかけてチャレンジしてみたい。

入手してから、真空管1本の交換、外付けステップ電源の用意等、いくつかのことをやってきたが、ハム音がまだ酷く、聴きに耐えられない。取り敢えず、電源部のブロックコンをなんとかしないと先に進めない気がしている。

Collins 75S-3の電源部に、アイテムC59、40uF (-10%~+40%)、150Vdc、3本組の整流平滑用ブロック電解コンデンサが使われている。eBayを覗いたら、新品として調達できそうだが、高価だけでなく、日にちもかかるので、アキバの千石から、東信工業製 47uF/250 3本をネット通販で購入してきた。

東信工業
電解コンデンサ 250V 47uF (TK-UTWHM.pdf)
105℃・中高圧品(有極性)
カテゴリ温度範囲:-40~+105℃
容量許容差(120Hz):±20%
耐久性(105℃・定格電圧印加):2000時間
外寸:φ12.5×25mm
単価 ¥63

131030-3.jpg容量100uF以上、耐圧400V以上のものもあるが、コリンズのブロックコンを取り外すのは難しく、リード線を新しいケミコンに繋ぎ直したほうが手っ取り早く、そのために、小型ものがいいと判断したから。

しかし、コリンズの半田付けは製品というよりも、素人作品以下。銘品というければ、それを見ただけで幻滅するのは自分だけかな。ケミコンは最初にやられ、十数年で交換することはわかっているはずなのに。

表は整然と綺麗に配列したとしても、なんとか裏まですっきりして欲しかった。

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アマバンド受信機 Collins 75S-3 の整備はまだそのまま。天気が暑く、真空管を点灯させることを躊躇していたのと、稼働に必要な115Vの電源電圧をどうしたらいいか、考える時間が必要だったから。

130731.jpg130731-1.jpgヤフオクから1次100V、2次12V/3Aのトランスを入手した。それを利用して、以下の通り接線し、ステップアップトランスを作る。

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トランスの1次と2次の許容電流はそれぞれ、0.36Aと3A。接線することにより、2次コイルを流す電流は最大1.8Aまでが可能になり、約200Wまでは問題なく使えそう。ちなみに、Collins 75S-3の消費電力はスペックによると約90W。それでも余裕を持たせたくて、低価格・大容量のトランスの出品をずっとワッチしていた。

さて、オシロスコープでトランスの1次コイル、2次コイルの位相を確認(結果は予想通り、同じ北側か南側のターミナルをコールド側にすればよい。)。そして100円ショップから仕入れたACケーブルをハンダ付けし、木板に固定して製作完了。

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感電防止のために、カバーを付けるか、危険箇所を樹脂で固める必要があろう。まあ、100Vで死ぬことはないはず。

最後にCollinsに繋いで、出力電圧を実測した。115Vでバッチシ。約1時間稼働してもトランスの発熱はない。見た目はショボイが、アメリカ製品を使うなら、ステップアップトランス1台あると安心。

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考えられないことかもしれないが、コリンズ 75S-3 に違う抵抗が製造当時から取り付けられている。

きっかけは電圧測定がおかしかったことから。真空管V2である6DC6の5番と6番ピンの電圧値は、取説ではそれぞれ138V, 72Vと書いてある。しかし、実測では116Vと115Vだった。138Vから116Vに減ったのは測定時に使用した電源電圧が100Vと約2割も少ないので、納得できる。

しかし、72Vのところが115Vに上がったのは不思議でしょうがない。V301というところの真空管6AU6が到着するまでの間は暇なので、原因究明してみた。

テスタで6番ピンに繋いでいる抵抗器を測ったら、抵抗値が470Ωしかないことに気づいた。ソリッド抵抗器なので、大きくズレたのかなと思って、取り替えることを考えた。

半分がアルミケース(シールド)の中に入っているので、ケースを外すことにした。しかし、これがそう簡単にできないことがやってみたらわかった。横の穴をバンドスイッチの回転軸が通っているから。どう組み立てたのか、まだ思いつかない。

それでもケースを若干持ち上げることに成功した。カラーコードを見てみたら、取説に書かれている47kΩではなく、470Ωになっているのではないか。

つまり、当時の製造ラインで、間違って組み立てられたことになる。本機に真空管以外に、パーツが取替えられた証拠がまだ見つかっていないし、その抵抗器だけを出荷後1/100にする意味も考えにくい。カラーコードを見間違えて取り付けたという解釈が可能性として一番高い。

出荷検査ってやっていたのだろうか。1/100になっても実質影響がなく、調整や出荷検査で気づかなかったのかもしれない。

まあ、コリンズといっても、所詮アメリカ企業。いい加減なアメリカ人なら、そういうことが起きないほうが却って不思議。

130624-4.png 130624-3.png 130624-2.jpg 130624.jpg 130624-1.jpg

アルミケースが外せるならば、真実はもっとはっきりするのに。

コリンズに伝説がまたひとつ増えた!