高感度のラジオをつくるなら、ゴールをまず決めないといけないので、日本を代表するラジオ局の一覧をつくってみた。NHK第1第2はどこにもあるし、内容もほとんど同じで、聴いても発信地は分からない。等の理由で一覧から除外した。

整理してみたら、面白いことに気づいた。ラジオ関西の558kHz以外に、使われた周波数は954kHz以上ということ。自作ラジオも954kHzからのスペックでいいかも。高感度を狙うなら、帯域を狭くすればするほど有利。954~1602kHzをさらにバンド切り替えして(たとえば、250kHz帯域 x3バンドに分割)受信するように設計すれば尚更いいかもしれない。

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余談だが、9kHzバンド幅を混信なく使うなら、放送局は4.5kHzまでしか変調信号に使えない。しかし実際には、7.5kHzまで利用されているので、9kHz隣接する電波なら混信がおきるわけだ。それでも、オーディオでは必要と思われる20kHzから考えると、AM電波の音質がいかに悪いかはよく分かるだろう。

感度を上げ、混信を避けるため、通信型受信機では、たとえば3.3kHzバンド幅のフィルタ等が使われる。音質は勿論悪い。音楽等を楽しむ目的ではなく、何を喋っているかを聞き取るのが通信の目的なので、いい音質で音楽を楽しむなら、選択度が悪く、感度が悪いラジオは逆に有利。だから、ストレートラジオは音質がいいと言われる所以だ。

数多くの電波から聴きたいラジオ局を選び出すのは容易いことではない。感度が高ければ高いほど尚更困難になろう。だから、いくらKM-88が高感度と言っても、デジタルチューニングのできる最近の中国製ラジオに全く相手にされない。つまり、バリコンの僅かな回転角にいくつものラジオ局が入っており、自分の意図で選局したいなら、減速機構が必要になってくる。

もっと具体的にいうと、日本では、AM(中波)放送は531~1602kHzを、9kHz間隔で各放送局が使用している。180度回転角のバリコンでは、わずか1.5°の回転角で次の放送局に行ってしまう。対して、デジタルチューニングは1kHzや9kHzステップでスキャンすることができ、回転角に悩まれることは全くない。IC-R75のような通信型受信機になると、1Hzステップのスキャンも簡単にできる。こうなったら、アナログ選局では絶対に真似できない。

チューニングに使われる減速機構として、いまでも日本に残されているものに、バーニアダイヤルというパーツが有名。直径36mm、50mm、70mm、回転角180°、300°等の違いがある。180°はバリコン用だが、300°はボリューム等用。高価なので、違ったものを買ったら気の毒になりそう。70mmでは減速比10:1、上の計算では15°回転角で9kHz相当になる。

新品のバーニアダイヤルはとても滑らか、日本的逸品と褒めていいだろう。こんな商品は手の器用な職人ならでは作れる物なので、高価でもオタクには欲しがられる。

バリコンではなく、ボリュームで選局するなら、バリキャップ(可変容量)ダイオードによる方式がある。電源電圧が9V以上と高い上、Q値が低いのが欠点。でも、リニア性はとてもよく、品質のいいエアバリコンはいまの日本市場にはあまり見かけないが、ボリュームなら通信型等、いいものはまだ多く販売されている。

下はネット上に公開されている回路図。バリキャップ4つ+2連ボリュームでバリコンを代用している。トラッキングはほぼ完璧という説明だが、実験事項になるね。

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バリキャップで選局するなら、精密多回転ボリューム(ヘリカルポテンショメータ)も一考の価値があろう。360°x10以上が回転できるので、日本の誇り高きバーニアダイヤルでも負けてしまう。30°以上の回転角で9kHz相当になるのだから。

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トランジスタラジオキットを組み立てたら、若い時に抱いた夢がまた膨らんだ。世界一感度のいいラジオにチャンレンジしようと。節電の夏を楽しく過ごすためにも、なにか楽しいことをやりたい。

ただ、ふつうにラジオを作ったら、メーカー製品に勝てるはずはない。だから、使い勝手の悪いラジオを目指そう。自分にしか使いこなせないラジオを。

ダイナミックレンジを確保するために、できるだけ電源電圧を高くする。手元にオペアンプ用の電源トランスが残っていて、2次側は18Vペアとなっている。しかも1次側は90Vにも対応している。つまり、それを使えば、36Vの一割アップ約40Vが確保できそう。ただ、電圧可変3端子レギュレータでも37Vまでがほとんどなので、電源電圧は30Vとしよう。

大型バーアンテナは不可欠。18cmものが市販されているので、それを3本束ねる。コイルは自作になるが。

親子エアバリコンを使わず、単連エアバリコンを2つ使おう。OSC側は周波数カウンターを使えば、発振周波数が精確に分かる。バーアンテナ側は苦労するが。バリコンのつまみに勿論大型バーニアダイヤルを使う。

IFTトランス以外に、セラミックフィルタを使おう。情報によると、クリスタルフィルタでなくても、セラミックフィルタを6つ使えば、なんとかなりそう。特性の揃ったフィルタを選別しないといけないが。

AGC回路はON/OFFでき、遅延時間を調整できるようにする。

Sメータを付ける。

情報によると、高感度を狙うなら、真空管ラジオと同じようにRF増幅回路が必要だと。実験して検証すべき事項だな。

感度が高くなると、混信がひどくなると予想。ノッチフィルタやBPF等、AF段でいろいろと工夫すべきことがありそう。

早速部品を調達してトライしよう。

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まだトランジスタラジオキットが販売しているということで、注文してみた。Cherry KM-88というモデル。ケース付きなのはユニック。ケースまで自作することはなかなか簡単ではないから。

8石によるスーパーヘテロダイン式。8石はそれぞれ、周波数変換、局部発振、中間周波増幅2段、低周波増幅2段、B級プッシュプル電力増幅という贅沢な使い方。その割にスピーカは小さく、006P電池使用というアンバランス。

個人的に一番困っているのは、電源スイッチ兼用ボリュームが基板にマウント済であること。信頼性がいまいちなので、通信型ボリュームに取り替えるつもりだったが、これでは破壊するしか取り外す方法はない。もったいないので、組み立てた後に考えることにする。また、ケースは日本製と書いてあっても、その品質はいまの中国製以下だろう。キットだから許されるものだが。

スーパーヘテロダイン式ラジオを組み立てたのは高校生頃だったので、とても懐かしい。取り敢えず組み立てて、とくに問題なければ、改造用にもう1台注文することも悪い選択ではない。

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3V電池のICラジオは室内でもNHK第1と第2がよく鳴る。ベランダに持ち出したら、TBSも文化放送も地元栃木放送もよく聴こえる。

でも、そもそも1.5Vで出発したので、3Vでは意味が半減するので、再チャレンジしたわけだ。

2次コイルのないバーアンテナを利用しないといけないので、FETをIC UTC7642と同調回路に入れた。入力インピーダンスを高め、同調回路に影響を与えないためだ。それ自体は問題ないが、問題はスピーカの音が小さすぎたこと。スピーカに近づき、やっと聴こえる程度。ベッドサイドラジオや枕ラジオ、そんな音量しか出ない。

1.5Vでスピーカをよく鳴らすラジオは確かに少ない。ICを利用した例はネット上にあるが、できれば、トランジスタでやってみたい。

スピーカはインピーダンスがコストの影響か、近年下がる傾向にあり、4Ωのものが多くなっている。電源が1.5Vで、それをそのまま4Ωのスピーカを駆動するなら、入力がサイン波と仮定すると、最大peek to peek電圧は1.5Vなので、実効値は 0.5×1.5/1.414 = 0.53v、その電力は P=V^2/Rから、0.53×0.53/4 = 0.07W = 70mW 程度取れる。しかし実際には安定して供給できる電圧は1.2Vくらいと見なすと、P=45mWとなる。

DEPPアンプにすれば、電流が倍増できるので、4倍の出力パワーが得られるらしい。うん、いろいろと奥が深いね。

スピーカ付きアンプの製作とDRMの内蔵化以来、PL-660の出番がほとんどなくなった。DE1103にLine Out端子がついているので、スピーカ付きアンプに繋げば、とてもいい音に変わった。DE1103にあった悪評のボリューム操作も要らなくなり、一気に優等生に変身したわけ。

電波の可視化ツールとしてDE1103の使い道を考えている。DRM内蔵のDE1103+サウンドユニット+ノートPCできちんと電波の状態を確認できれば、IC-R75をより使いやすくできるし、IC-R75の良いところや欠点が分かるかも。

ノートPCは専用化しないといけない。無線利用は勿論厳禁。できれば、金属ケースにしまいたい。そういう計測器的なノートPCって売ってないものかな。

CW(電信、モールス通信)はできるひとが少なくなり、アマチュア無線の試験でも必要でなくなる流れにある。でも、通信に必要な帯域は数十~数百Hzしかなく、混信に大変強く、外国語ができなくてもコミュニケーションできる等、楽しんでいるひとがまだまだいる。

しかし、ふつうのラジオでCWを受信するのはそう簡単ではない。周波数の変更は最も細かくても1kHzにしかできない。周波数の微調整ダイアルで10Hz単位でシフトできるCWを追っかけるのは大変。

ところが、ラジオ DE1103にコンバータキットを内蔵させたら、PC側のソフトの力でCW受信はとてもやりやすくなった。

12kHzの帯域がPCに伝えられ、その中のシグナルがスペクトラムとして表示されるので、マウスのクリックやドラッグ操作で、そのシグナルを捉えることが簡単。帯域(バンド幅)も両側あるいは片側をドラッグするだけで、狭めることができる。

ソフトとして、Winrad, SDRadio, Rocky等いくつもすでに開発されている。自分の使っている環境では、Rockyが一番相性がよく、CW受信に欠かせないものとなっている。

ソフトの進化によって、高価な通信機器の機能が1万円そこそこのラジオ+PCで実現された時代。CWの送受信も人間の代わりにPCがやるのが一般的になるだろう。でも、人間の聴き分け能力にはまだPCは適わないようだ。相手の特徴を一瞬にして記憶することも思い出すことも人間ならではの才能。厳しい場面ではまだ人間が活躍する場は残っていると思う。

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ネット上にあったRockyの画面説明

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何年か前に手に入れた455kHz-12kHzコンバータキットは、回路図とともに未使用の状態で出てきた。アイキャスエンタープライズ社が販売したものだが、手持ちのラジオ DEGEN DE1103のLine Outに繋げば使えるかどうか、定かではなかった。

仕方なく、DE1103を分解して、内部を確認することにした。電池室のネジ1本、裏蓋のネジ6本、計7本のネジを取り外して、さらに、ラジオの内部にある、フラットケーブルおよび、4ピンコネクタを引き抜くと、ラジオはフロントとバックの両部分に分けられた。

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基板のシルク印刷は1103-MKIV。内部に改造の痕跡は見られないことから、Line OutはこのままではIF Outとして使えないことが確定。そこで、コンバータキットをDE1103の内部に組み込むことにチャレンジすることにした。

工作しやすくするために、スピーカに半田付けられているリード線2本を取り外した。また、ネット情報によると、DE1103改造版はIF信号をIC TA2057Nから取っているので、TA2057NのデータシートをDLし、ピンアサインを調べることにした。

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東芝製TA2057Nは、ピン21がAM IF in、ピン6がVcc(電源)となっている。ただ、DE1103内部はガラガラのように見えるが、コンバータキットのつくりが雑なので、内蔵できるスペースは見当たらなかった。

仕方なく、キットからセラミック振動子を取り外し、向きを変えたり、キット基板をヤスリで削ったりして数時間の格闘の末、なんとか内蔵できるようになった。

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コンバータ入出力の処理
455kHz IF in ⇒ TA2057N のピン21
Vcc ⇒ TA2057Nのピン6
グラウンド ⇒ シールドケース
12kHz out ⇒ Line Out

Line OutのLchにコンバータの出力を半田付けし、その直前のカップリング電解コンデンサ C301 (10μF/10V) を強引に取り外した。これにより、Line OutはLchが12kHzコンバータ信号、Rchが本来のRch出力に変わった。

これでやっと、DRM受信の準備が整った。

なお、本改造によってメーカーの保証が受けられなくなるし、ラジオを壊す可能性があるので、自己責任でやってください。

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DRM (Digital Radio Mondiale)、短波によるデジタル放送のこと。日本ではまだDRM放送は行われていないが、ヨーロッパを中心に大人気のようだ。

アンテナを建てたことで受信状況がだいぶよくなり、DRM受信をやってみようと思ったわけだ。実は昔、関心があって試したことがあったが、いろんな原因で途中放棄した。その時に購入した455kHz-12kHzコンバータキットが整理して出てきたので、DRMのことを思い出した。

キットの購入先はアイキャスエンタープライズという会社。おもちゃのようなもの。100円ショップにあるようなタッパーに、東芝製IC TA7358とセラミック振動子にプラス、米粒のようなコンデンサ4つでできたもの。キットはラジオ DEGEN DE1103と一緒に購入したので、DE1103をそのままDRM受信に使えると思うだが、記憶が薄れて確信がない。

ヨーロッパにはDRM受信専用ラジオもあるようだが、日本では、中間周波数455kHzの信号を取り出し、音声帯域 12kHzに変換し、PCのサウンド入力に接続してPC上のソフトを使って復調し、PCのスピーカーでDRM放送を聴くのが一般的だ。だから、上記のコンバータキットが必要だった。

ということで、DRM放送を聴くのに必要なものをまとめる。
  中間周波数信号を取り出せる短波ラジオ
  455kHz-12kHz コンバータ
  PC用ソフト Dream
  PC

入手困難なものはコンバータぐらいかもしれない。

DRM放送のスケージュール等は以下のサイトにある。
  http://www.drm-dx.de/

距離的に近いのは ニュージランド国際放送。環境によってはヨーロッパの放送局を受信することが可能。

時間をみて再チャレンジしよう。うまくいけば、恐らくキットのつくり直しが必要。ラジオに内蔵させるか、金属ケースに入れるべきだろう。

なお、コンバータのメリットとして、ほかにも、受信帯域を狭くしたり、SSB受信することも、PC上のソフトですべて可能となる。つまり、DRM受信用としてだけでなく、ふつうのラジオ放送を聴くにも、PCが大活躍できそう。

注文した電解コンデンサが数日前に届いたが、古いブロックケミコンをどう取り換えるか、悩んでいた。手元にラグ板があれば、何とかなりそうだが。

適当でいいや、自分に言い聞かせ、手持ちだけでやってしまった。古いブロックケミコン(30μFx2+10μF)のところに、22μF 2個を強引に組み込み、3つ目はシャーシ内部に潜らせた。

そして、電源を入れたら、音楽が流れ、あっけなく復活したようだ。

トランスレスだけあって、ラジオ自体は真空管にしてサイズが小さいほう。つくりは雑で、手作りかもしれないが、年代ものなので、大切に使っていきたい。

修理に交換したもの
  電源ケーブル
  ブロックケミコン(30μFx2+10μF)を 22μFx3 に
  ペーパーコン 1000p, 5000p, 5000p, 5000p, 0.05μ, 0.05μ を
          1000p, 4700p, 4700p, 4700p, 0.047μ, 0.1μ に

なお、抵抗はすべてオリジナルのまま。全部測定したわけではないが、測れるものをやってみたら、抵抗値がほぼ精確で、長寿命であることが改めて確認した。

アンテナが出来上がったこともあって、短波でも放送局がガンガンはいる。生まれてから真空管ラジオをよく聴いていたので、懐かしさが蘇る。

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