毎日コリンズをイジらないと気がすまない性格で、本記事はランプをLEDにする内容。オリジナルランプでないと気が済みないひとには全く参考にならないかもしれないが、交換するための手順を書くのでヒントになることを期待する。

Collins 75S-3 には2つのパイロットランプが使われている。ダイヤル照明用とSメータ照明用。ダイヤル照明のほうがランプを固定するメカニズムはとても簡単で、素手でも交換できてしまう。ただ、ショートしないか、設計に対して心配なところは本人にあった。そういうことで、ダイヤル照明用ランプの交換(あるいはLED化)については省略。

問題はSメータのランプ交換。ネットを調べてもそれなりの情報は見当たらない。ということで、ここから下の部分はすべて自己流。もっと簡単な交換方法があってもおかしくない。何しろ、ランプは切れることがあるので、簡単に交換できる方法をコリンズが用意しないわけはない。ちょうど真空管のように挿し替えるだけでする方法を。

シャシーからSメータを固定する4本のネジを外すことから始める。周りにスペースがないので、作業は結構大変。

赤丸にある4本のネジを外すには大変苦労した。
メータを前に引っ張り出すことに成功

そして、Sメータのカバーを固定するネジ(銅製、すぐ傷められそう)の3つを外し、Sメータのカバーを外す。

赤丸にあるネジを外す。写真に見えないが、4時と8時の位置にもネジがあり、これら3つでカバーを3方向からガッチリ固定する。
Sメータのカバーが外れた

必要かどうかは知らないが、ランプを外すために、メータの銘板を外した。この作業には細心の注意が必要。メータの回転する心臓部は大変精巧なつくりで、壊したら組み立てられるひとは日本中にいないともいわれる。同じものを買おうとしたら、コリンズということで1万円以上の(ぽったくり)値段になる。

やっと目的のランプを取り出した。

ランプは交流 6.3V用、定格電流は分からないが、直流定電圧電源につけて測ったら約130mAであることから、0.15Aのものだと思われる。

CM 47。市場独占のために、定格ではなく、番号で商品をだすアメリカ。こういうパイロットランプの形をBA9Sタイプというらしい。

ランプを交換するだけなら、新しいランプをつけて、Sメータをもとに戻せばOK。本記事はランプのLED化が目的なので、さらに書き続ける。

交流6.3V用BA9SタイプのLEDランプを買おうとしたら、案外高い。ひとつで数百円は自分の価値観にあわないので自作でチャレンジ。

ベース部分は商品として販売されているので入手。LEDは8年前311特別状況下で秋月電子から購入していたのでそのまま使用。交流に対してLEDをふたつ並列(向きを逆に)して、抵抗220Ω(手持ちにそれがあったので使うだけ)をつける。ほかの抵抗値でも問題ないが、計算に必要なデータを示しておくと、AC6.3Vの最大電圧は約9V。LEDは秋月番号 I-06414 というものだが、順方向電圧降下3.1V、逆耐圧5V、標準電流20mA、最大電流30mA、最大パルス電流100mA、Warm White。LEDを2つ使うので、流す電流が10mAでも、元のランプよりは何倍も明るい。

用意したパーツ

つくったLEDは以下のようなもの。格好が悪いかもしれない。

直流で測ったところ、プラスとマイナスとのどの方向も6.3VDCでは約15mA、9VDCでは約27mA。抵抗値を270Ωや、300Ωにしてもいいかもしれない。

逆の手順でSメータを戻せば終わり。点灯時の写真を以下に示す。実際は全く眩しくない、3mmのLEDだから。ただ、ダイヤルのほうは半透明なプラスチック板、右のSメータはアルミ製の銘板、それらの遮光性の違いが見た目の明るさを左右した。ということで、ダイヤル用のLEDに300Ωか、それ以上の抵抗値を使うべきだね。いつか気が向いたら作り直す。

LEDは効率がよく、15mAでその10倍の150mA電球ランプよりも明るい。

誤解を招かないための長いタイトルにしたが、本記事の真髄はすばり、真空管変換ソケットの自作だ。

高名なアマチュア無線受信機 Collins 75S-3 はこの頃、自分のおもちゃに化している。真空管入門のきっかけをつくってくれた Collins に感謝だ。

さて、Collins 75S-3 の V5 として利用されている真空管 12AX7 は、高μ双三極管の9ピンMT管として有名。その兄弟に 12AU7, 12AT7 があるが、増幅率 μ の違い、100が12AX7、60が12AT7、20が12AU7といったぐあいに選別されている。μ=100が三極管では最も高いものらしい。トランジスタだと100はよくある増幅率であって、高いものは800~1000(超えるものもあろう)。真空管は増幅率が比較的低い。

ところで、知識が乏しく自分は 12AX7 の互換球を探しているが、なかなか見当たらない。しかし、ロシア系(その支援国である東欧や中国等)にはヒーター電圧が違うが、6N2 (さらにその軍用モデル 6N2P-EV 等)は他の電気的特性はよく似ている。6N2、あるいは 6N2P-EV を試してみたいひとは、ヒーターの違いを解消(あるいは吸収)する工夫をしないといけない。

下に 12AX7 と 6N2 のピン配置図を示す。確かにピンのアサインは同じだ。問題はヒーター電圧。12AX7 は型番のとおり、12.6V/0.15A をヒーターに使う。対して、6N2 は 6.3V/0.34A を使う。

12AX7のピン配置
6N2のピン配置

幸い、12AX7は Collins 75S-3 では、ヒーター電圧が2組の6.3Vの直列で供給されている。具体的には、ピン4-9 および 5-9 にそれぞれ 6.3V が与えられている。したがって、どちらかの 6.3V を 6N2 のヒーター電圧にすればよい。つまり、12AX7 の4-9、または 5-9 を、6N2 の 4-5 にすればよい。

Collins の基板回路を変えるなら、上記の変更は簡単に実現するが、12AX7 も 6N2 も使えることはできなくなる。そこで、変換ソケットの必要性が出てくる。つまり、ソケットのなかでヒーター配線を変えれば、変換ソケットを使わない場合は従来の 12AX7、6N2 を変換ソケットに乗せて使う場合は 6N2 が機能するわけだ。

自作した変換ソケットは下のようなもの。6N2 を変換ソケットに挿し、変換ソケットをさらに本来のCollins のソケットに挿すことで、6N2 が使えるようになる。

変換ソケット経由で 6N2 を使う。左はもとの12AX7A。

真空管変換ソケットはそれなりのニーズはあるはずだが、なかなか見当たらない。仕方なく、自作してみた。一連の作業は言葉で説明すると大変なので、一連の写真でその過程を示すことに留める。自己流なので、改良・改善はいくらでもできそう。

まずはピンの入手。たまたま手元にあったRS232Cの25ピンオス側を利用した。調べたら金メッキではないかもしれないが、秋月電子通商ではいまでも似たタイプが単価40円で販売されている。

分解
金メッキのピンをゲット。とても丈夫、太さは真空管のピンに似ている。

つぎに真空管ソケットの用意。9ピンソケットを2つ。少なくともそのうちの一つは分解できるタイプがよい。

そして分解、ハンダ付け。その作業を根気よくやっていけば完成。結果的にとても丈夫なつくりになった。押しても引っ張ってもひねてもびくともしない。

9ピンMTソケットを2つ
左側のほうは分解できるタイプ
左側のソケットを分解
入手した金メッキのピンを挿し込む
ハンダを流し込み、固定させる
さらに、2つのソケットをハンダづけして連結させる
各ピンの連結とリアサイン
できあがり。作業時間ははじめてのことで数時間かかった。
外周部にプラスチックパイプとかを装着すれば完璧かな

高さはピン部分を除くと約 26mm。工夫次第で20mmぐらいに低くできるかもしれない。透明か白色のビニールパイプを外周につければもっと格好よく、感電の心配もなくなるので、このうち適当なものを物色する予定。

こういうソケットは変換用だけでなく、各ピンの電圧測定や電圧電流のモニタリングにも活用できそう。Collins の電圧測定には自分はいつも緊張。ショートさせてはいけないし、感電の心配もある。こういうソケットがあれば大変助かる。

また、ヒーター電圧が低いだけの真空管、たとえば、4BZ6、5GH8A 等の真空管はヒーター電圧の違いで買い手がつかず、格安で大量に出回ったりする。変換ソケットではヒーター同士の連結に抵抗やダイオードを入れれば、電圧の違いを吸収でき、廃棄真空管の救出にも役立つ。

工夫次第で、真空管変換ソケットは使い道が多い。

さて、到着したロシア製 6N2P (キリル文字 6H2n)は 9303という日付があり、ソ連崩壊後の大混乱期に生産され流出されたものかもしれない。

ロシア 6N2P。ピン(足)の形は独特

米国、日本製 12AX7 との比較。双3極という部分はなんとかわかるが、作り自体は西側とだいぶ異なる。

左から 米国、日本、ロシア製

6N2Pを変換ソケット経由でコリンズに付けたら、ふつうに聴こえた。ノイズが若干上がった気がするが、感度もアップしているようだ。

なお、6N2Pの9番ピンは内部シールドの役目を果たすので、アースに繋ぐべきだとの意見が多い。元の12AX7にないピンなので、新たにリード線を台座の9ピンにつなぎ、シャシーのアースにつけていくことをやってみる。ノイズはこれで下がるだろうか。

いままで、真空管にほとんど興味がなかったが、Collinsの修理を機に真空管について研究し始めた。その一部をメモしておく。

Collins 75S-3に7種類12本の真空管を使っている。それぞれについて書いておく。

① セミリモートカットオフ5極管である7ピンMT管 6DC6 (gm=5.5) が3本、それぞれ V1、V2、V11に使われている。ピン配置は G1, K, H, H, P, G2, G3/IS。互換球は 6GM6 (gm=13)、6BZ6 (gm=8) 等。V11については 6CB6、6DK6、6BJ6でも、ロシア・中国製 6J2 (gm=3.85) でもOKのようだ。6J2 に似た仕様に 6J1という型番もあるが、真空管内部の接続が異なるため、6J1は代用できない。

V1はキャリブレーション用、以下の写真に示した自作品 FET (LND150) + Tr (2N5551) といった代用品でもOK。詳細についてはネット情報に参照されたいが、オリジナル 6DC6 よりはキャリブレーション信号がちょっと強いが、慣れればキャリブレーションのためのゼロビート操作は問題なくできる。こういうソリッド代用品のメリットは故障になることが真空管に比べてほとんど考えなくていいし、6DC6の予備球節約にもなる。

自作品。V1の代用。FETもTrも目下、秋月電子から入手可。

V2はフロントエンドのRFアンプ用。3本のうち、最も状態の良い6DC6をそこに使おう。

V11は可変BFO用。可変BFOを使わなくても、通常のSSBやCWを聴くには問題がない。3本の6DC6のうち、最も状態の悪いものをそこに使おう。

ということで、手持ちの6DC6があまりないとき、最もよいものをV2に、どうでもいいもの、あるいは代用の真空管をV1、V11に使って問題なさそう。とくに、世界的に 6DC6 は品薄になっているので、手持ちにV2用の1本さえあればOK。V1, V11は代用球で十分。

②中μ3極・シャープカットオフ5極の複合管である9ピンMT管 6EA8 (μ=40, gmt=8.5、gmp=6.4) が3本、それぞれ V3、V4、V8に使われている。ピン配置は TP, PG1, PG2, H, H, PP, PK/PG3/PIS, TK, TG。互換球は 6GH8(A) (μ=46, gmt=8.5、gmp=7.5), 6U8(A) (μ=40, gmt=7.5、gmp=5) 等。とくに 6GH8A はμが高いので、感度のアップが期待される(試用した結果、ほとんどアップしない感じだけど)。ロシア・中国製には 6F2 (μ=40, gmt=8.5、gmp=5.2) が代用球になる。

V3は1段目ミキサー(3極部)、ローカル発振(5極部)用。V4は2段目ミキサー(3極部)、VFOバッファー出力(5極部)用。V8はBFO(5極部)SSB検波(3極部)用。感度に関わる使い方は確かに見当たらない。どちらかといえば、低ノイズ性を重要視すべきだろう。入手しづらければ、6U8A等の入手しやすい代用管で十分。

余談だが、3極・5極の複合管で6EA8のピン配置と同じ真空管は 6AX8, 6GH8 (6GH8A) , 6HL8, 6JW8, 6KD8, 6LX8, 6U8 (6U8A), 6BL8, 6KE8, 6LN8 等、こんなにもある。手持ちにあれば、試してみよう。

③高μ双3極管である9ピンMT管 12AX7 (μ=100, gm=1.25~1.6) が1本、V5に使われている。ピン配置は 2P, 2G, 2K, H, H, 1P, 1G, 1K, HCT(ヒッターの中間点)。12AX7は最も有名な真空管のひとつで、入手しやすいが高価のほうだ。 ロシアや中国の現行品も流通している。なお、ロシア・中国製 6N2 (μ=97.5, gm=2.1)を使うには、ヒーター電圧の違いに注意せよ。6N2のヒーターピン 4-5 を 12AX7 の 4-9か、5-9になんらかの方法で切り替える(変換ソケットを使うなど)必要があるから。

V5はQ-マルチ用、選択度のアップに貢献している。低ノイズ性が要求されるので、できれば、低ノイズ品である 12AX7A がいいだろう。

④リモートカットオフ5極管である7ピンMT管 6BA6 (gm=4.3) が2本、それぞれV6、V7に使われている。ピン配置は G1, G3/IS, H, H, P, G2, K。6BA6 は真空管ラジオにもよく使われ、知名度が高い。互換球は6BD6 (gm=2) 等。ただし、6BD6 はgmが6BA6の半分しかないので、おすすめできない。ロシア・中国製互換球には 6K5 (gm=4.4) がある。6K5 に似た仕様に 6K4という型番も存在するが、真空管内部の接続が異なるため、6K4によるは代用はおすすめできない。

V6は1段目IFアンプ、V7は2段目IFアンプ、低ノイズ、高μで状態のよい6BA6が必要だろう。

⑤2極・高μ3極複合管である7ピンMT管 6AT6 (μ=70、gm=1.2) が1本、V9に使われている。ピン配置は TG, K, H, H, DP1, DP2, TP。カソードは共用されている。互換球は6AV6 (μ=100、gm=1.25)、ロシア・中国製6G2 ((μ=100、gm=1.25) 等。6AV6はμが高いだけでなく、真空管ラジオにも使われるので、入手しやすい。

V9はAM検波(2極部)、AFアンプ(3極部)用。ネット情報に従い、ダイオードとFETによる代用品を作ってみたが、失敗した。ダイオードによる検波効率が悪いからだろうか。

失敗した自作品。音量や感度が下がったから。

⑥ビーム4極管である7ピンMT管 6BF5 が1本、V10に使われている。ピン配置は G1, K, H, H, P, G2, G1。ヒーター電流は1.2A、発熱量は半端でなく、故障しやすい。その互換球はまだ知らない。

V10は最終段のAF出力用、出力トランスを通してイヤホンや4Ωの外部スピーカーをドライブしている。発熱量を減らすため、回路を改造して、6AQ5による代用をよくみかける。いっそうのこと、出力段のV10と出力トランスをすべてパスして、OPアンプやICアンプを内蔵した外部スピーカーをダイレクトにドライブしてもいいだろう。それなら発熱量を減らすだけでなく、コリンズの寿命を伸ばすにも好都合。

⑦シャープカットオフ5極管である7ピンMT管 6AU6 (gm=3.9) が1本、V301に使われている。ピン配置は G1, G3/IS, H, H, P, G2, K。6AU6は知名度が高く、入手しやすいだろう。ロシア・中国製には 6J4 (gm=5.7) が互換のようだ。

V301はコリンズの強みであるVFOに使われている。温度や時間経過によるドリフトがほとんどなく、コリンズの栄光を力強く支えている。FETとTrによる代用でも全く問題ない。

FET、FET保護用ツェナーダイオード、TrによるV301の代用品。詳細はネット参照。

以上のようにまとめてみると、コリンズの機能を維持していくには、最低限6DC6(フロントエンドのV2)の1本は必要。6BF5がなくてもアンプ付き外部スピーカーにAFを任せば全く問題ないはず。12AX7 や 6EA8、6BA6、6AT6、 6AU6は互換球やロシア・中国製品があり、なくなることはなさそう。

本記事に互換球を多く言及した目的はつぎのものだ。球のためにコリンズがあるのではなく、コリンズのために球が必要なので、特定の真空管が手に入らなくなっても互換球や、回路を変えるまで他の球を使い、コリンズを機能させつづけることは自分の信念だ。

なお、本記事でいう互換球とは挿し替え可能な真空管のこと。ピンの数が同じであるのは無論のこと、ピンの配置も球の性能も同じか近いものをいう。世の中では互換球といいながら、ピンの数が7対9、最初から挿せないものを互換球という輩もいる(たとえば、中国製6P1 と 6AQ5、どこが互換だと言いたい)ので、自分で情報を集め、自分の目で確認するしか対策はない。

もちろん、何でもかんでもオリジナル球でないと嫌だと感じるひとは、いまのうちにアメリカから7種類12本の真空管を複数セット購入するとよいだろう。アメリカでは良心的なお店が多く、1セットは日本円1万円程度(つまり、NOS1本千円未満、日本ではなかなかみかけない)だと思われる。毎日の使用頻度にもよるが、10セットもあれば生きている間は大丈夫だろう。

自己メモのために、いままでコリンズ75S-3に対してやってきたことをまとめてみる。これからもいろいろやるかもしれないが。

コリンズのシャシーの中は、自分の価値観では残念ながら、配線がきれいとはとても言えない。高周波なので、最短距離での配線は仕方がないとかの意見も確かにある。

また、配線の一点アースとの考え方もないようだ。適当に近くのGNDに繋いでいるだけのように見受けられる。それで最高峰の受信機と言われたので、アースの処理はいろいろなやり方があっても問題は起きないかもしれない。

さて、やってきたことを大きく分けて2つになる。1つ目はコンデンサの交換。ペーパーコンとケミコンの交換ということ。ブロックコンだけは入手困難だし、交換するには大変のように見えたので、まだ施していない。もうひとつは改造というもの。ネット上にある情報を活用して、改造を施していた。

コンデンサの交換については、ブロックコン以外に6つあるので、下の写真にはそのうちの5つが映っている。将来のために、交換したことがわかるように、また、前パーツのスペックがわかるように、シャシー内に落書きしたのは自己流。

ペーパーコン0.05uFをフィルムコンに交換
コリンズ75S-3の内部最高電圧は約150Vだが、耐圧350Vに交換
100uF/6Vのケミコンは耐圧200Vに交換。6Vはいくらなんでも心配。
10uFのケミコンの交換
8uF/25Vのケミコンを10uF/25Vのセラミックに交換

また、改造については、上の写真の右側赤丸は改造のひとつ。SSBのモクモクしたよく聴き取れない音質の改善に、L16である100uHのコイルを820Ω抵抗(手持ちにないので、1.8Kと1.5Kの並列で代用)に交換したもの。明瞭度は確かに上がったが、その後その主な原因は真空管 6BF5 の劣化によるものだとわかった。しかし、本改造も意味あるものと考え、そのままにした。

47K抵抗を追加

上記47K抵抗の追加は改造というよりも、出荷した当時の製造ミスを修正したもの。昔のブログにも書いたが、回路図に書かれているR2である47Kの抵抗はどういうわけか、本機では470Ωの抵抗になっていた。それをもとの47Kに戻すための修正。470Ω抵抗のショートはとくにやっていない(追加した47K抵抗のリード線の先にその470Ωだ。半分はケースに入っていて、ケースを持ち上げる技量は自分になく、ショートしたくてもできないのが実情だが)。真空管なので、多少の誤差なら全く問題にならないはず。

コンデンサの交換について、コリンズの品質の高さを示すためにも言っておきたいのは、コンデンサの劣化はそれほど認められていないことだ。とくに2つのペーパーコンは全く問題がない。ケミコンは新品でもだめと言わればだめだと判断できるし、質の劣化についてはなんともいえない。

ところで、ブロックコンは出力管 6BF5 のすぐ傍に位置するので、その劣化はとても心配している。なにしろ、6BF5 の発熱量は半端ではないから。しかし、その交換は周りのめちゃくちゃ配線されているパーツの取り外しをしないとできないので、やる気は起きない。当時の製造技術では大きなサイズになっている2W級の抵抗器をいっそう小型に交換し、ついでにその下の隠れているブロックコンを交換しようとも目論んでいる。

ブロックコンは赤丸のところに隠れている。交換するには大変な作業になりそう。

2W級のソリッド抵抗器はほかの1/2Wの4倍以上の大きさであり、長さ18mm、太さ8mm。ほかにサイズが大きく、いまではほとんど目にしないものはインダクターであり、長さ16mm、太さ10mmもあるのだ。そのうちのひとつであるL12 (0.5mH) について、多くの改造に言及されている。ハム音を引き起こすものだと。

真空管ラジオを数台弄ったところで、実力不足で長年放棄していた Collins 95S-3 の復活に挑戦した。

2013年に入手したコリンズが不動のまま

ブログの履歴で確認するとコリンズをeBayで購入したのは2013年6月、入手金額は覚えていないが、eBay転送サービスを利用したので、当時ではすごくほしかっただろう。しかし、届いてわずか数分間しか聴けず、その後は盛大はハム音が発生した。何回かその解消にチャレンジしたが、ことごとく失敗し、7年間放棄してきた。それでもいつか治せると信じていて、手放すことを考えていなかった。

さて、オシロとシグナルジェネレータを使って、お盆休み期間を利用し、回路図を見ながら、入力側から、あるいは出力側から1段ずつ波形を観察し、原因を探った。いまの時代では、中国の台頭によって測定器は手軽に入手できるようになった。60MHzまでのシグナルジェネレータは数千円で購入でき、夢のような話。100MHzまでのデジタルオシロも数万円で手に入る。

数日かけて調べた結果、真空管 6EA8 (V4) および 6DC6 (V1) を疑うべきだとの結論を得た。50Hzのハム音は2段めミキサー (V4) の不良によって起こしたようだ。いままでずっと VFO の問題だと考えていたが、6AU6 を新品に交換したし、そのプレート電圧の波形はきれいなサイン波になっていて、周波数も正しく変化しているのだ。

手元にそれらの真空管がなく、V4 を同じく 6EA8 である V8 と交換し、V1 を同じく 6DC6 である V11 と交換してみた。それだけの交換作業で、7.2MHzバンドのAM放送がなんとか聴けるようになった。

1963年製の本機は年代経過のせいか、搭載した真空管をすべて疑うべきだと悟った。しかし、真空管を購入した経験はほとんどなく、その良否を判定してくれるチェッカーをもっていないので、入手困難な型番もあり、入手するまで数ヶ月を覚悟している。

75S-3に使われている真空管は以下の12本。

6DC6 (品薄) 3本
6EA8 3本
12AX7 1本
6BA6 2本
6AT6 1本
6BF5 1本
6AU6 1本

トランジスタと違って、真空管はほかの型番で代用することは多くの場合できないとされている。足のアサインは数が多い分、互換性が失われる。3極管、5極管、7極管、混合管等、そもそも内部構造が異なる。トランジスタは耐圧や、最大電流等の定格を守れば、極端にいえば、PNP(さらにゲルマかシリコンか)かNPNか、使える周波数であるか、ぐらいの違いしかない。

真空管の入手に関し、最も安心するのは大手リアル店舗だが、コロナの影響で秋葉原にいくわけにはいかない。となるとネットの世話を受けるしかない。故障したコリンズの本調子とはなにかも知らないまま、怪しい真空管によってわけがわからない現象に悩まされることをどうしても避けない。

ここまで入手した真空管で差し替えたり、回路を一部修正した結果、AMもSSBもよく聴こえるようになった。出力段の6BF5を変えたことによって、いままでモヤモヤしていて、喋っていることをよく聴き取れなかったSSBもふつうに聴けるようになった。しかし、CWに関しては、まだろくに聴いていない。

6BA8の故障は自力でわかったが、6BF5の劣化にショック。

声さえ出れば問題ないだろうと考えていた真空管に劣化によって、歪みが発生することだと理解した。トランジスタではあまり経験しなかったことだ。また、極端の例えだが、トランジスタはほとんど0か1か(正常か故障か)に対して、真空管は1と0との間のアナログ状態で変化する。メーカーによっても初期状態が異なるし、スピーカーさえ鳴ればOKであるラジオと違って、アマチュア無線のDX受信はほんの僅かな明瞭度の改善に大金を注ぎ込むものなので、品質の確認は測定器でもわからないと思う。コリンズは真空管12本しか使っていないことに、返って助かった。何十本も使ったら、まったくお手上げ状態になるだろう。

さあ、アメリカやイギリスからの真空管が届くまで、本調子とはなにかまだわからないままになるだろう。

BFOもRejection Tuningも操作しなくてもふつうにAMやSSBが聴けることもわかった。

CALの使い方、Sメータの動きの鈍さ、感度の低下等、まだまだ未確認な点が多いが、ある程度蘇ったことは確認できた。

携帯式ラジオ 東芝 Toshiba 9TL-365S が届いた。MWとSW(3.9 – 12MHz) の2バンド、単2電池4本使用。1960年発売だそうだ(要確認)。

左のダイヤルはボリューム、右はチューニング。
裏カバーの裏に貼ってある紙の銘板
パーツはすべてオリジナル品か。3連エアパリと真空管ラジオ用オイルコンが当時の特徴
クリーニングのためにスピーカーまで下ろした。

ゲルマPNPトランジスタを9本使用。当時では、トランジスタの数はステータスシンボルのようで、型番でもラジオの正面でも裏でもその数である9を人々にアピールしようとしていた。9個も入ってるだぞ、すごいだろ。いかにも貧乏くさい発想。

9個のトランジスタの内訳(一部については本機でも確認済)、すべて東芝自家製。RF用3つのトランジスタはどれも4本足、最大コレクタ電流が5mA、気をつけないといけない。
 2SA57(本機は2SA58) RF増幅
 2SA92(本機も2SA92)ローカル発振
 2SA58(本機は2SA93)混合
 2SA49(本機も2SA49)IF増幅
 2SA53(本機も2SA53)IF増幅
 2SB54(本機も2SB54)AF増幅2段
 2SB189(本機では型番は見えない)PA2個

ネット上に見つけたスペックと回路図(回路図があれば修理はなんとかなる)。

やはり自分はラジオ少年だと改めて思った。GC-1Aの傍にラジオを聴きながら、オシロで波形を観たり、トランジスタを取り替えたり(差込式のメリット)、バイアスを変えたり、パーツを変えたりして、こんな「退屈」の繰り返す日々(この1週間はGC-1Aに付き合いっぱなし)でもまだ厭きないから。

トランジスタを大量にストックしたから、困らないことはないだろうという幻想はこのGC-1Aで見事に破られた。PNP型高周波用ゲルマニウムトランジスタはほとんどもっていないし、あったとしても、日本産はほとんどがECBのような配列、真ん中にB(ベース)ではない。対して、アメリカ産(というか外国産)は中央がB。差し替え式では、向きはどうでもいいが、真ん中が違うと足の電極をクローズさせないといけないので面倒。

さて、改造項目は大きくわけて3つ。

1. シリコンPNPトランジスタが使えるようにした。

高周波で使われる3つのTrにはまだ未着手だが、IF以降のTr 5個(電力増幅段の2個については後述)に対しては、差込み式なので、シリコンPNPでも使えるようにした。BE間電圧Vbeを大きくして、バイアス電流をそのまま、という点に注意しながら、バイアス設定抵抗に別の抵抗を並列させて、TrのB極電圧を GNDに対して0.4Vほど低くした。なお、各Trの標準電極電圧はつぎの表のとおり、組立てマニュアルに明記されていた。

60年代前半に、1N2326や1N754がすでに製造されていた。

シリコンPNPは製造が新しいため、一般的に性能は飛躍的にあがったし、1つ数円のTrはまだまだ多く市販されているので、コスパもよい。

EBC配列の外国製Trのうち、今回はS9015が最も良かった。IFといっても高々455kHz、いまの小信号増幅用Trならどれでも無問題。S1905は低ノイズか、hfeが300と高いか、他の2N3906、BC557を圧倒した。

バイアスを変えたので、元のゲルマでは動作点が変わったが、バイアス電流の増加分は数mA程度、全体の消費電流があがるが、音質等の性能にはほぼ無関係だと聴覚上認知した。

2. 電力増幅段の改造

OTL(Output Transformer Less)設計になっているのはいいことだが、入力トランスがあるため、1kHz辺りから減衰しはじめ、通信機仕様になっている。しかも、熱暴走を防ぐため、エミット抵抗は4.7Ωと大きく、出力トランスがないため、ローインピーダンス(4Ω、8Ω等)のスピーカーを鳴らすには効率がとても悪い。

外付けスピーカー(アンプ付き)をAF励振段の出力(入力トランスの一次側)に繋いで聴いたら、ふつうのラジオ音声(音質も音量も)が聴こえたので、電力増幅段をミニアンプに改造することを決心。

そこで、aitendoさんからLM386組立キットを購入。収納スペースがあまりないため、高さをなるべく低くした。ただ、ゲルマラジオはGNDの電位が高いため、VcをシャーシのGNDに、LM386のGNDをシャーシの-13Vに接続しないといけない。NPNトランジスタならそんな混乱は避けられる。世の中でNPNが大繁盛の理由はそんなところにも関係するのだ。

LM386ミニキット。4.7Ωのところが4.7kΩになっているのがキットのミス。自分で回路図を書いたところでそのミスに気づいた。写真の抵抗はまだ4.7kΩのままだが。C3の10μFをその後基板から取り外した。最終版の写真については下のつぎの写真を参照されたい。

ということで、もとの電力増幅回路は外付けイヤホンのために残し、内蔵スピーカーを鳴らすにはこのLM386モジュールを利用する。

また、AF励振段のバイアスを再度設定。Trのベースに繋ぐ抵抗2つをともに10kΩにした。これで、Vbが電源電圧の約1/2になり、歪みなくミニアンプに送り込むAF信号の最大振幅も約1/2Vccになる。エミッタ抵抗を従来のバイアス電流1.9mAに近くになるよう、手持ちにあった2.2kΩにした。

最終的に、LM386モジュールをキャビネット内部の上部(スピーカーの隣)に設置。ACアダプターとの干渉もない。シャーシとの接続は電源コネクターとAF入力コネクターの2つになるところがちょっと残念、4ピン(または3ピン)コネクター1つで済ませたかった。

LM386モジュールをスピーカーの隣に配置。断線した4×6インチ楕円スピーカーを4インチ丸形に変えたことのメリット。
ACアダプターをキャビネットに実装して、LM386モジュールとの干渉を確認した。
L型DC中間アダプターは年数の経過によって重力で90度回転して下に向くかもしれないが、外れる可能性はなさそう。

3. パイロットランプのLED化

60年代と違い、省エネのLEDは数多く市販されている。そのうち、6V対応の電球色がいいだろう。本機のACアダプターは流せる電流が少ないので、定格電流の少ないLEDを選ぶことが重要。

もとの豆電球は#49というアメリカ国内の規格で、2V/0.06Aのようだ(要確認)。豆電球は左右2つあり、抵抗器経由で直列接続されていた。したがって、電流制限の抵抗器を短絡させて、新しいLEDを2つ直列接続するようにすればよい。

常時点灯させるには、Dial Light スイッチをパスすればよい。従来のやり方を踏襲するならば、スイッチをいじる必要はない。

なお、ACアダプターと接続するパワーソケットは5番が6番と繋いでいるので、そのまま使うとLED点灯時にラジオは聴けない。よって、ACアダプター側の受け取る側ソケットのうち、5番と6番のショートを切ってしまおう。

夏の夜に、ラジオ放送を聴くのは楽しみ

スピーカーによるラジオ放送がふつうに聴こえるので、シャーシをキャビネットにしまうことがやっとできるようになった。届いてからまだ一度も組立てていなかったので、ACアダプターは最後に取り付けることを理解した。裏面ではネジ2本はオリジナルではなく、3端子レギュレター基板を固定するためにネジだから。元のネジ2本は短い。

ACアダプターのデカさがよくわかる。
Muting端子に-13Vがそのまま出ている。周りのGNDとショートさせると電源アダプターは壊れる?

改めてスピーカーに近づいて聴いたら、ハム音がわずかに聴こえた。-13VラインをLM386のGNDとして使えているからかな。

ネット情報に従い、100μFであったパスコンを1000uFに増量し、LM386の7ピンに10μFのパスコンを追加してみたが、気持ち的にハム音が若干弱くなった気がした。ただ完全に消えたわけではなく、+12V電源を別途作ることが最強対策かもしれない。ラジオなので、ノイズがあったほうが正常という論理も成り立つので気にしないことにした。

本機は通信型受信機といっても、バンドスプレッドという精密チューニング機構があり、BFOありぐらいの違うだけだ。しかし、ユーザが組み立てるキットという発想は当時の日本ではなかったと思うし、商品と見間違えるほどのキャビネットまでキットのパーツとして提供した意気込みは流石のアメリカだ。

精密なチューニング機構。50年以上たった今でも大変スムーズ、人差し指1本でダイアルを回せるので、感触が最高。
改造前のACアダプター

ACアダプターがついてきたが、安定化しておらず、リップルを測ったところ0.3Vにもなったので、改造を決意。

以下は到着時に測ったデータ。負荷に100Ω純抵抗を使用したので、12V出力に対して負荷電流が120mAになったはず。

出力電圧は約11Vに低下。アメリカの110Vと違って日本は100Vだからか?
負荷電流120mAに対してリップルは0.3V、話にならない。

電源部分の回路は以下のとおり、極めて簡単。ACはヒューズ経由して、ホット側は本体ボリューム兼電源SWを経て、ここのアダプター部分に戻ってくる。電源トランスは中間タップ式、2次側の電圧を無負荷時で測ったところ約9.88VAC。シリコンダイオードによる全波整流後、巨大な1000μF / 15V電解コンデンサ2本による平滑化して出力となる。本体との接続は真空管9ピンソケットによる。

ACアダプターの回路図。安定化電源ではない。

さて、手持ちの部品を吟味して、LM337による -13V に改造することとした。マイナス出力とはPNPトランジスタなので、GNDは電位が高いからだ。12Vではなく、13Vにした理由は出力音量を少しでも大きくしたいこと、3端子レギュレターの負担を少しでも軽くしたいこと等による。

電源トランスをそのまま流用するが、2次側の中間タップを使わず、2次側を直列にして約 18V として使い、4本のダイオードによるブリッジ整流をする。3端子レギュレターにかかる電圧差が約5Vになり、流れる電流を最大130mAとし、消費電力が約 0.7W となる。ヒートシンクを付けず、発熱について多少心配ではあるが、実際に本機の消費電流は極めて少なく、約40mAしかない。パイロットランプを付けた時点での電流は100mAになるが、スイッチから手を流すとパイロットランプがOffになる仕組み。8本のバッテリー駆動がデフォルト電源方式の設計のようだ。

負荷電流が40mAなら、こんなに小さいトランスでもなんとかなるし、ヒートシンクなくてもなんとかなりそう。

LM337の基本回路にしたがって、数時間をかけて組み立てた。出力電流が無負荷から130mAに変化させても出力電圧は約13V、ほとんど変化していない。リップルは0.5mV、ほとんど無視できるレベル。

LM337の基本回路をそのまま使った。分圧抵抗は220Ωと2kΩ。
元の穴位置にうまく合わせた改造。整流ダイオードの2本(右端)はもとのものを流用。
負荷抵抗100Ωにしたところ、出力電圧は変動なし。
改造が終わったところ。真空管9ピンソケットによる接続方式はユニーク。
シャーシ裏のEXT MUTING TERMINALSは電源のマイナス側に繋がっているので、GNDとの電圧は-13V、期待通り。

送料を含まぜ約1万円で入手した、1960年代にアメリカで販売されていた通信型受信機 HEATHKIT GC-1A “Mohican” Solid-State Communications Receiver。

ネット資料によると、その前身 GC-1 が1959年に発売され、世界初のトランジスタによる通信型受信機だそうだ。改良版である本機は 1968年までに販売され、売値は当初の$109.95から$89.50に値下げ。

驚いたのは本機は基本的にキットであること。メーカーがハンダ付けして製品として販売するものは GCW-1Aと呼ばれ、恐らくパネルの型番でもその違いが確認できる。購入者が自分でDIYしてキットから作り上げることはやはりアメリカならではの、アマチュア無線人口の多さと各種測定器が豊富に市場に出回っているからだろう。

通信型受信機 HEATHKIT Mohican GC-1A
裏側。赤枠のネジ4本を外せば、中のシャーシを前に押出し、分解する。
キットの組み立てを考慮した、ゆとりのある設計

使用されるトランジスタは10個、すべてPNP型ゲルマニウム。1959年にはシリコン型やNPN型トランジスタはまだ製造されていなかったから。

トランジスタの詳細は以下の通り、括弧内は本機に搭載されているもの(前オーナーが交換したと思われる)。

RF増幅 2N1396 (2N1397)
ローカル発振 2N1225 (2N1225)
ミキサー 2N1225 (2N1066)
IF増幅3段 2N373 x 3 (TL-364 ? )
AF増幅 2N407 (2N407)
AF出力 2N407 x 2 (2N407)
BFO 2N409 (2N409)

トランジスタは差込式になっていて、ユーザーが自由に取り替えたりすることができる。通信型受信機はふつうそういうことは考えられないが、キットならではの配慮かもしれない。

メタルケースのトランジスタはすべてRCA製のようで(本機は3つがTI製のようで、前オーナーが交換したものと思われる)、外観は2種類。RF関係の 2N1397, 2N1225, 2N1066 は4ピン、EBC以外に、ケースにつなぐシールド用ピンをもっている。それ以外は、横に1列に並ぶEBC3ピン。どちらも中央はベース(B)、日本製トランジスタの多くはB が外側にあるので、差し替えるには工夫が必要。

RCA製メタルカン・トランジスタは1960年代アメリカ製トランジスタの代表

本機は全く鳴らないという商品説明でのジャンクもの。到着時に分解方法が分からず、ACアダプターまで分解してしまった。外付け12VDCを取り付け、色々いじったところ、ラジオ局の音はイヤホンで聴こえた。しかし、シャーシの向きを変えたら、また状況が一変し、何も聴こえなくなってしまった。

いろいろ調べてやった結果、こういう箇所の問題だと気づいた。

① ミキサートランジスタ 2N1066 が故障。手持ちの 2SA103 で代用。
② IF増幅1段目トランジスタ TL-364 の接触不良。

音量は小さく、音の歪みもひどいが、なんとか聴こえるようになった。

電解コンデンサはあまり使われていない。それほど劣化もしていないようだが、気持ちの問題で取り替えた(時代ものに対する申し訳なさを感じながら)。

取り替えた電解コンデンサ

4つのコンデンサはそれぞれ以下のために使われている。

SPRAGUE 150μF / 15V AF増幅トランジスタC極のACバイパス用
SPRAGUE 50μF / 15V 出力スピーカーとの結合用(DCカット)
AEROVOX 50μF / 15V 音量ボリュームとの結合用(DCカット)
IEI 10μF / 10V AVC電圧用整流

SPRAGUEやAEREVOXはどちらもコンデンサとして有名なメーカーで、キットだからといって安い部品をかき集めて売っていたわけではなかった。相手はアマチュア無線愛好家だからかもしれない。

音は一応鳴ったが、課題はまだ複数残っている。

① 感度はとくに AMではまだ高くない。昼間はやっと文化放送、夜間は広島放送が聴ける程度。ふつうのラジオとの差はあまりないところか、劣っている。

② 音量が小さすぎる。内蔵のスピーカーが断線していて聴こえず、感度(能率)について調べられないが、ふつうのスピーカーをつけると音量がものすごく小さい。インピーダンス35Ωの高能率のスピーカーならふつうに聴こえるかもしれないが、さらなるAFアンプをつけるべきかもしれない。

③ 音の歪みはまだひどい。セラミックフィルターによる帯域の狭さが問題かもしれないが、聴きやすい音ではない。

④ ACアダプターの改善。ACアダプターがついているが、リプルが出力電圧 12V に対して 0.3V もある。定電圧になっていないこと、電解コンデンサの劣化のこと等によるかもしれない。どっちみち、いまの時代では手軽な3端子レギュレータによる定電圧電源を排除する必要はないので、最小限の改造で済ませたい。

外出自粛が良さげのこのご時世、楽しみながらゆっくり整備していきたい。

<追加>
故障した2N1066を代用した2SA103を試しにほかの2SA103に変えたところ、感度や音声の明瞭度が大きく上がった。同じ品種のゲルマニウムトランジスタでも、保管期間が数十年も経ったことから、品質のばらつきは大きい。あるいは、本機種の設計がデリケートだけかもしれない。

これで感度(AMも含め)不良と音声の歪みは解決した。

残った課題は音量を大きくすること。そのまえにコイル断線したスピーカーをなんとかしないといけない。スピーカーの断線は最近続いている。前回の真空管ラジオはなんとか代替品を見つけたが。

コイルが断線しているようだ

ペーパーコンデンサの5つを全数交換。オイルコやンデンサを交換するつもりだったが、測定したところとくに異常はなく、まだまだ使えそう。

焦げた抵抗器 1.5kΩ をひとつ発見。測定したところ、抵抗値に異常はないものの、やはり交換した。

ボロボロリード線は使われなくなった。リード線の質に気づいたのかもしれない。ただし、アンテナ線はとても短いので、念のため交換した。

小さいシャーシではあるが、コンデンサや抵抗器の交換は以外にやりやすかった。

交換した部品。オイルコンデンサ2つは良好で、交換の必要性はなかった

また、内部がほぼ透明(ゲッタがない)になった真空管 35W4。一応手持ち品で交換。

整流管 35W4。ゲッタが消えている。

いよいよ通電。絶縁トランスと60W電球による保護回路に繋いでスイッチON。異常はなく、NHK第一放送は間もなく聴こえた。ただ、感度はよくなく、音質もいまいち。整流管の問題かもしれない。

さらに大きな問題が発覚。2つあるスピーカーのうち、片方は音がせず、コイル断線しているようだ。リード線の部分が腐食で断線していればいいが、コイル内部だと修理することは諦めざるを得ない。アウトトランスの乗せる側なので、同じ規格のスピーカーを探すことはほぼ不可能。

片側のスピーカーが断線している。しかもアウトトランスの乗せる方で、同じものを探すことはほぼ絶望。

アウトトランスを下ろして、キャビネットのどこかに固定し、2つのスピーカーをほかの同サイズのものに置き換える。こちらが現実的解決法かもしれない。

さて、手持ちの10cmスピーカーを入れてみた。サイズや形、インピーダンス、最大入力パワー、オリジナルと同等品を探すのは大変。手持ちは8Ω5W、理想とする3Ω1.5Wではないが、加工しなくて入るだけでも感謝しなくちゃ。

手持ちの4インチスピーカーで代用。加工しなくて入った。ラッキー。

アウトトランスをキャビネットの中に斜め設置する。アウトトランスを降ろさなくても、奥のイヤフォンコネクタを外せるようにしたい(スピーカーの右下1角のネジで固定されている)し、半田付けに困ってはいけないこと等から、斜めがよさげ。なお、アウトトランスを固定する金具はコイルと導通していないので、改造によって増設した底の固定ネジを触っても感電することはないはず。

片側のスピーカーに乗せたアウトトランスをキャビネットに斜めに設置
できたのがこれ。いつか、両方のスピーカーを同一製品に揃えたい。

短波はともかく、AMの感度はいまいち。この内調整する予定。また、音質もいまいち。なので、抵抗器についても調べてみた。抵抗器の両端の抵抗値が表記された値よりも大きくなるはずはない。並列抵抗器によって抵抗値は小さい方向になるから。

これで、3つの怪しい抵抗器を見つけた。

表記4.7MΩ、実測約7.4MΩ。
表記470kΩ、実測約600kΩ。
表記270kΩ、実測約411kΩ。

抵抗値が大きくずれた抵抗器も3つほど存在。

真空管ラジオはいい加減なものでもたいていは動くが、気持ち的に不安なので、交換した。音質もなんとなく良くなった気がする。小さいスピーカーのせいなのか、まだ満足の行っているレベルではないが。

4連休も本日で終了。感度調整や音質改善等の課題は残っているものの、聴くにはとくに問題はない。仮組立てておこう。

その前にシャーシの裏を撮影しておく。

コンデンサや抵抗器を交換したシャーシ裏
シャーシをキャビネットに組み込んだ

シャーシを固定する底ネジを取り出して使ったら、そのてっぺんがプラスチック製であることに気づいた。トランスレスゆえの感電防止策だね。いわゆるユリヤネジ。暇を見て、アウトトランスの固定ネジもユリヤネジに取り替えよう。手で触れるところはすべてプラスチック、松下の拘りに同調する。

ユリヤネジで感電防止