Advantest社製デジタルマルチメータ(DMM)は3台ほど所有している。TR6847、R6451A、R6551。どれも内部ではバックアップ用電池が搭載されている。電池は校正用データを保持するためのもののようで、劣化して容量がなくなっても再校正すれば、DMMとして機能するらしいが、実験していないので、本当かどうかはわからない。

所有している3台のAdvantest社DMM

 ちなみに、上記写真は入力ショート時のACノイズを確認するために撮影したもの。3台のうち、R6451Aは最後に製造された一台で、ACノイズは0.041mVと小さい。R6551は0.753mVとやや大きめ。

R6551については、内部の電解コンデンサを全交換すればさらにノイズは小さくなるとかの噂は聞くが、すべての交換は自力ではできなかった(分解の手間を考えると躊躇してしまうから)。

既存のバックアップ用電池はMaxell リチウム ER3 (1/2AA) 3.6V というもの。いまでも市販されているが、電池代をケチるために、今回は秋月電子通商から、リチウム電池 1/2AAサイズのものを購入して代用した。商品説明は以下の通り。

メーカー Guangzhou Markyn Battery Co., Ltd.(中国製)
・種類:塩化チオニルリチウム電池
・電圧:3.6V
・容量:1.2Ah (0.5mA to 2.0V@23℃±2℃)
・最大連続放電電流:40mA
・最大パルス電流:80mA
・使用温度:-55~85℃
・充電:不可(使い切り電池です)
・保存期間:10年

また、電池ボックスも一緒に購入。購入単価は電池250円、ボックス100円。電池の製造時期は2018年4月13日。

さて、ICへの電力供給を一瞬たりとも止めないために、今回はとても神経を使った。交換ステップは基本的に以下とした。

  1. DMMの電源をOFFにし、電源ケーブルを外し、内部分解する。
  2. 電池ボックスをネジで内部に固定するのであれば、先に穴をドリルで開ける。
  3. 既存電池のプラスマイナス両側に、電池ボックスのプラスマイナスリード線をはんだづけする。より正確に書くと、プラスリード線は電極上の基板側だが、マイナスリード線は基板上のGNDにはんだづけした。また、リード線先端は、外部の精密実験電源から電力供給できるように、導線部分を多少残す。
  4. 上記のリード線に精密実験電源から、既存電池(実測では約3.7V)と同じ電圧を供給する。
  5. 既存電池のプラス極をニッパーで切り、既存電池からの電力供給を止める。3. でつけたプラス極リード線は当然基板側に残すように切る位置を決める。電池のプラス電極は逆L型の形で基板にはんだづけされているので、切る作業は簡単にできる。
  6. 交換用新しい電池の電圧を測る(約3.6V)
  7. 上記の電圧に合わせて、外部精密実験電源の電圧を徐々に下げる。約3.7Vから3.6Vに数分かけて下げる。
  8. 新しい電池を電池ボックスに入れる。バネの接触具合をよく確認する。また、新しい電池の製造時期は外部からひと目でわかるように電池を回転させる。
  9. 問題がなければ、外部精密実験電源を切る。
  10. 既存の電池のマイナス極をはんだこてを使って基板から取り外す。プラス極はすでに上記の 6. で切ってある。

R6451AとR6551は壁に穴を開け、電池ボックスを固定することにしたが、TR6847は両面テープで基板に電池ボックスを固定した。両面テープの劣化が心配で、さらに接着剤を使って強固にした。

以下はほんの一部の写真。

壁に穴を開ける
電池ボックスを2本のネジで壁に固定
電池交換完了時の様子。
基板に電池ボックスを両面テープや接着剤で固定

取り外した電池はそれぞれ89年2月、94年11月、91年1月製、対応する機種はトップ写真の順番に合わせた。おそらくDMM出荷後、電池の交換は一度も行われていなかった。いずれの電池も3.7Vをキープしているので、すごい寿命(24~29年)だと感激した。

取り外した古い電池。プラス極の切る位置に注目。

交換後、3台とも校正データは消えておらず、元気に動いている。

データ収集できる計測器の物色対象はデジタルマルチメータ(DMM)から。直流・交流電圧、直流・交流電流、直流抵抗を測るにはもっとも便利な計測器だ。

手持ちのDMMは調べたら数台あり、最も高価なのはFLUKE 87V。Fluke 87Vはプロたちの間で最も信頼されるブランドのひとつだし、精度が高く、ふつうの使い方には不満はないだろう。しかし致命の欠点はデータ収集ができないこと。2台目はSanwa 500a。データ収集ができることとなっているが、光リンク接続ケーブルが発売中止になっている。その他の数台もデータ収集を考慮していない。

ということで、DMMを前後3台新調した。Bluetooth接続可能な OWON B35、光リンク接続ケーブルが買えるSanwa PC20、そして本記事で紹介するPM8236。

ケーブルと合わせると売値15000円となるSanwa PC20は試用した結果、3台のうち最もダメなDMMと結論づけた。よくない精度、光リンク接続ケーブルをつけた後のDMMのバランスの悪さ等がその理由だ。

OWON B35は合格レベル。売値が5000円強、パフォーマンスがよい。フリーソフトTs Digital Multi Meter Viewer(ただし、PCとのBluetoothに関するペアリングが必要。またその後、Win10のBluetooth デバイスの管理画面において、「…SPP Dev…」と表示されているポート番号を選ぶ。)を利用すれば、Bluetooth経由で計測データはPCで収集される。

Peak Meter PM8236
USB min端子が上部にある。外部電源用ジャックは自分で追加したもの。

最も素晴らしく感じたのは Peak Meter PM8236 という中国メーカー製DMM。売値はAmazonで4000円強と3台のうちでは最も安い。Ts Digital Multi Meter Viewer(ただし、DMMの機種としては HYELEC MS8236を選ぶ。)も利用できるが、PC用ソフトは付属CDか、ネットからゲットする。6000カウント、バーグラフ付き、自動レンジ切替。精度が高く、TRUE RMS、周波数(10 MHzまで)・温度(1000度まで)・コンデンサ容量・Hfe等の計測も可能。使用電池は単3四本。とくにUSBケーブルはDMMの上の側面に差し込む形で利用し、AgilentやSanwaの設計理念と異なる。

AgilentやSanwaはケーブルがDMMの底の面に差し込むので、スペースを稼ぐために、スタンドを立てて使うことが強要される。だが、それによってバランスが悪く、基板の上など平らでないところに置くと傾いてしまう。どう考えても、上か横の側面に刺すことが自然であり当然だろう。Agilentといえども、そういう反人間的な設計には「Bad」を下して反省してもらいたい。そうなってしまった理由は恐らく、データ収集はあくまでもおまけで、計測値を赤外線LEDで外部に知らせるには、基板上の空きスペースはそこしかなかったのかもしれない。対して、PM8236は中国のような新興企業が参入するために投下した機種であり、従来のDMMの問題点を徹底的に洗い出してより低コスト、より多機能に設計した成果だと推測する。

以下の画面はメーカーが提供したソフト、およびフリーソフトTs Digital Multi Meter Viewerによりデータ収集を行った際のもの。標準抵抗40.000 kΩに対して、-0.075%の誤差を示している。ちなみに、この標準抵抗をFluke 87Vで計測するとちょうど40.00との表示になる。どちらのソフトもデータを収集するのみで、DMMのレンジを変えたり、モードを変えたりすることはできない。

メーカー提供ソフトの画面。USB接続。
メーカー提供ソフトの実行画面。USB接続。
フリーソフトTs Digital Multi Meter Viewerの画面。USB接続。
フリーソフトTs Digital Multi Meter Viewerの画面。USB接続。

余談になるが、PM8236はオープンハードウェアのようで、同じ設計のものが数多くのブランド名で発売されている。どれが本家本物かはわからない。それはPM8236に限った話ではない、格安のスイッチング電源やDDS信号発生器等、多くの商品は中国初ということはなんとなくわかるが、本家本物はわからない。

なお、データ収集では数日、数週間の計測になることもあるので、外部電源の利用や電源の自動OFFは必須条件のひとつだと考える。Sanwa PC20はその点、外部ACアダプター(DCではなくAC7.5Vを出力するという変わったもの)が用意されていることは評価する。

ケースに穴をあけ、ジャックを差し込み、接着剤で固定。
配線は電池室の接線から

PM8236は外部電源が利用できないので、早速改造してみた。ガラガラの内部から、ケースの側面に穴をあけ、ACアダプター用標準ジャック(内径2.5 mm、外形5.5 mm)を取り付けた。対応するACアダプターの出力電圧は4.5~6V。よくある5V USB電源も問題なく使える。

そしてテスタリードのガードリングを削り取った。人命安全のためにわざとそう設計したものだが、邪魔でしょうがない。

1台のDMMでは1箇所の電圧か電流しか計測できないので、電圧と電流を同時に計測したいなら、その数分のDMMを用意するのは問題点。データロガーというものは多チャンネルが一般的で便利だが、まだまだ高い。

最後に、証拠写真をいちいち貼ることはしないが、各DMMの精度の関するテスト結果を載せる。Flukeについては文句のいいようがない。Sanwaは高額機種では精度がいいが、PC20のようなコストが命の低価格機種(それでもPM8236二台分の売値)では新品というのに、ちゃんとした調整が出荷時になされていないと思われる。OWONも低価格ということで多くの期待は禁物。PM8236は低価格にもかかわらず一部Flukeに匹敵するほどの精度を見せている。噂ではその校正はソフトで自動化されているらしい。安くても精度といい、TRUE RMSやUSB出力の搭載といい、素晴らしい。無論、PM8236に欠点はないわけではない。ロータリスイッチはしっかりしているが音が大きすぎること、単3電池はサイズによっては入らないこと、AC電圧の測定は周波数によっては表示が安定しないこと等がこれまで自分が感じた問題点。

<Peak Meter PM8236用資料やソフト>
フリーソフト Ts Digital Multi Meter Viewer Ver 9.2.0または本サイト
メーカー提供ソフト https://pan.baidu.com/s/1wkAWup7NszPKWB9-rmmoYQまたは本サイト
取説 中国語または本サイト

注文したプローブが届き、年末年始休みに間に合った。

131226-2.jpg実物みたら、AC283は長さが20cmもあることにびっくり。値段も1セット5千円と高価だが。測定時ショートさせる心配はこれで完全になくなりそう。

131226-3.jpgTP220は赤黒が同一形。しかし、ガードリングが邪魔。前に無理やり動かしたら外れた。ラッキー。感電しても自己責任にしたいから、測定の邪魔をすることはやめて欲しい。

131226-4.jpg131226-5.jpgAC283とTP220+テストリードTL224は相棒になりそう。

余談だが、食事するひとの箸の握り方を観察するのが好き。多くの人は残念ながら不合格。手先が器用なひとは少ないということかも。

新しいテスタが届いた。Sanwa PC500aを主力機種として使ってきたが、憧れのFlukeはやはり使ってみたい。

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早速、自家製精密電源に繋いで、精度を確認。とくに異常はなさそう。

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1kΩ、10kΩ超精密抵抗の測定も異常なし。Fluke 87V自体の抵抗レンジ精度は0.1%しか保障されていなく、超精密抵抗を測ること自体は無意味だろう。

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ただ、電力測定用キットだからか、弱電にしか使わない自分には良さそうなプローブが付いていない。テストリード TL224は片方が直角で、良さそうだが、プローブ TP38は使いやすいとは思えない。

ということで、TL224に使えるプローブを探してみた。TP1は一部が平面で、パーツの測定に便利。TP2はよく見かけるタイプのようだ。TP220は黒と赤との形が微妙に異なる。あと、ピンクリップ AC283は通電のままでの測定に威力が発揮されそう。

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Sanwaと外観は似ているが、値段は倍以上も違うので、耐用性や信頼性は上かもしれない。数年後に結論が出ることを期待しよう。

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1週間前に落札したものがやっと届いた。自分にとっては2台目の 6 1/2 DMM。ACオプションがついてないので、DCV/Ω だけが測定可能。80年代製ということを考えれば、Keithley社はDMMに関してトップブランドの一員と言っていい。

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岩通計測製デジタル・マルチメータ VOAC7411。だいぶ前に手に入れたものだが、出番が少なく、それほど活用していない。岩通独自の3重積分方式A/Dコンバータを採用し、専用LSIと高速8ビットCPUによりフルスケール40999カウント、最高サンプル・レート毎秒100回を実現。DCV, ACV, DCA, ACA, DCR以外に、LO-Ωという変わった機能もあり、トランジスタ等をONせずに基板上の抵抗値を測ることができる。

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やっと届いた。こういう製品は売れないから、ほとんど受注生産のようだ。ただ、Agilentが校正証明書付きで出荷しているのに対して、Flukeはなにもないことにびっくり。外観も安っぽく、いかにも使い捨てという感じ。

ちゃんと機能してくれればいいけど。

精密抵抗器100Ωを測定しているところ。誤差が0.01%の抵抗器なので、2線測定でも合格。見えないところがFlukeの実力か。5.5桁のAgilentではダメだった。

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そして、自作の基準電圧を測っているところ。Agilentは6.8577Vとの表示に対して、Flukeは6.85757V付近。両方とも信頼できそう。

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さらに、YEW 3201の1200DCVレンジの内部抵抗を安定的に測定できるようになった。凄い!ただ、8846A自体の1GΩレンジは確度が1%なので、許容差1%の抵抗器を選別することはできない。

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様々なテストリードが販売されているが、スピーカケーブルと違って、紛失でない限り、買い求めるひとはそれほどいないかもしれない。でも、抵抗値はどうなっているのか、気になったので測ってみた。

↓アジレントの付属品。さすがに質は悪くない。

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↓Sanwaのアナログテスタに付いてきたもの。まあまあかな。

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↓中国製。抵抗値が多少大きくなっている。

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スピーカケーブルが余っているので、自作してみたくなった。現行品はほとんど一体型になっていて利用できず、溜まっている旧製品のゴミを漁った。

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赤と黒とは違うペアのようだが、比較的新しいので、再利用することにした。

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半田付けして、熱収縮チューブを被せてあっという間に出来上がった。

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抵抗値も問題なさそう。金メッキではないので、たまに磨かないといけないところが問題点。

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四線式で抵抗値を測るテスタは手元に2台あるが、ケーブルはない。一般的ではないので、買うのも高いし、時間がかかる。そこで、ケーブル等手元にある材料を利用して作った。

しかし、使ってみたら、やはり測定値が不安定で失敗のような気がする。

改めて、アジレントの出した「インピーダンス測定ハンドブック」をみてみたら、結構複雑な仕組みとの説明、自作の勧めもしていない。シールドケーブルに取り替えて、作りなおそう。

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