AliExpressでの購入商品第3弾が到着。送料込5ドル以下で販売されているのをみて、どういう精度のものかを確かめたくなったので。

AD584L を搭載した本基板では、外部DC電源 12~30Vを与えると、精密電圧 2.5V、5V、7.5V、10Vは出力として得られる。出力電圧は精度が高いので、基準電圧や電圧リファレンスと呼ばれる。

AD584L搭載の精密電圧リファレンス
基板の裏側
基板の回路図

精度は製造メーカーであるアナログ・デバイセズ社が公表したデータシートによると次のようになっている。

データシートの一部(クリックすると拡大される)

手持ちのデジタルマルチメータ(以下DMM)のDC電圧の精度を実際に確認した。室温は約20℃。基板に15Vの外部DC電圧を与え、約1時間予熱しておいた。

参考となる基準DMMはFluke 8864A と Agilent U3402Aの2台。新品購入したものの、購入後一度も校正していない。それでもほかに信頼できるものはなく、これらのブランドを信用して基準にすることにした。

出力10Vに対する評価

測定値は一番下の表に書かれているが、Fluke 8846Aの測定値を基準とすると、AD584Lの出力電圧の誤差はそれぞれ、2.5Vでは-0.026%、5Vでは-0.012%、7.5Vでは-0.040%、10Vでは-0.038%となっている。最大誤差が0.040%ということで、電圧リファレンスとしては合格レベルといっていいだろう。

さて、手持ちのハンディタイプDMM5台についてその精度を評価してみよう。購入時期の順で左からSanwa PC500a、Fluke 87V、Owon B35、Sanwa PC20、Peak Meter PM8236。いずれも新品購入したものだが、校正はしていない。なお、右の3台は今年9月以降、PCで測定データを得るための購入だった。

ハンディタイプDMMの精度確認
2.5Vに対する各DMMの表示

精密電圧に対する各DMMの表示値は下表のとおり。繰り返しになるが、Fluke 8846Aを基準にしてもAgilentを基準にしても、精密電圧 2.5V、5V、7.5V、10Vは精度がいずれもスペック内に収まっている。

各DMMの表示値

結果的に、ハンディタイプDMMは精度の高い順として Fluke 87V > Sanwa PC500a > PM8236 > Owon B35 >> Sanwa PC20。なお自分の購入価格は安い順で PM8236 < Owon B35 < Sanwa PC20 < Sanwa PC500a << Fluke 87V。

ここでのテスト結果でも、パフォーマンスでは Peak Meter PM8236をおすすめ。最も駄目なのはSanwa PC20。しかもそれは日本製だそうだ。日本製だから安心だという神話を信じるよりも、ケースバイケースで自分で確かめることが賢い消費者かな。

Sanwa PC20は一応日本製

ただ、Sanwa PC20 はDC電圧の確度は±(0.5%+2)、精度が悪くても出荷スペックを満たしている。対して、PM8236の確度スペックは±(0.7%+2)、もっと悪い。PM8236はスペックや値段のわりに、頑張りすぎかも。

<AD584に関する資料>
データシート(PDF、英語) ここ(あるいは、本サイト
アプリケーション・ノート(PDF、日本語) ここ(あるいは、本サイト

ちょっとしたことで、精密電圧リファレンス LT1021-5 を入手した。LT1021はAnalog Devices社の製品で、超低ドリフトおよびノイズ、優れた長期安定度、そして入力電圧変動に対する高い余裕度などの特徴を有する精密電圧リファレンスだそうだ。LT1021-5 は5V電圧を出すもの。そのほかに、LT1021-7、LT1021-10もあり、それぞれ名前のとおり、7V, 10Vを出力する。

LT1021-5
基板の裏

趣味にハマると、多くのひとは道具にハマる。音楽なら楽器、サイクリングならバイク等。その道を極めようとすると最高のツールと自分自身最高の能力のコンビになるわけだから。人間の能力には限界があり、それを越えようとするとツールに頼るのは仕方のないことだ。同じ運動能力でもママチャリと専門バイクとではスピードが異なるはず。

このように、電子工作にハマる人は多くの電子計測器を購入するわけだ。見えないものを見たいことと、よりよい計測器を使いたいことが主な理由。そのうち、どうせ購入するなら精度の高いものと考えるひとも多いはず。正確な電圧測定を考えるなら、基準となるリファレンスが欲しいものだ。ちなみに、個人レベルで手にできる最高精度のものはGPSからの周波数や時刻であり、つぎのものは超精密抵抗器だろうか。最小抵抗値許容差が0.005%ものが市販されているから。

さて、手にしたLT1021は基板にはんだ付けされている。ピン配置は下に示す。入力として2番めのピンに約7V以上、30V以下の電圧を与え、5Vの精密電圧は出力として6番めのピンから得られる。なお、4番めのピンはGND。

LT1021-5のピン配置

入力電圧を5Vから徐々にあげ、出力電圧が安定する値を実測した。以下の表のとおり、最小入力電圧は7V、できれば9V前後の入力電圧を与えれば、出力電圧はとても安定する。

室温や使用年数等によって、出力電圧は微妙に変動することが予想されるが、出荷してから数十年間経った本LT1021-5はまだ精度よく5Vをキープしているようだ。出荷時のメーカー保証は 4.9975 ~ 5.0025Vであることを考えるとなおさらそう感じる。

精密電圧リファレンスとして、変動要因は一般的に、

  • 時間経過による経年変動
  • 入力電圧による変動
  • 負荷電流による変動
  • 室温による変動

に分けられる。入力電圧は精密定電圧として与え、負荷は数MΩ以上のものを使い、室温はエアコン等で20度に保つ等の工夫をすれば、経年変動以外の要因は克服できる。経年変動だけは計測という作業によって一定期間(たとえば毎年)ごとに確認するしかない。

経年変動は精密計測器の宿敵といっていいだろう。

<LT1021に関する資料>
データシート(英語、PDF) 本サイト
信頼性レポート(英語、PDF) 本サイト
アプリケーション・ノート:電圧リファレンスの理解と応用(日本語、PDF) 本サイト

テスタの点検で精密電源を使おうとしたら、なんと電源スイッチが見当たらない。よく見てみたら、スイッチレバーが無くなっている。テーブルにスペースがないので、取り替えたり使っているとぶつかってしまったようだ。

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取説を見ながら、校正を試してみた。3ヶ月ごとの実施を推奨しているので、頻繁にやる作業。

しかし、校正に必要なDMMに対しては要求が厳しく、分解能 1uV以上、レンジ 1V, 10V, 100V、確度 ±0.001%以上。自分の持っているものはだめで、Agilent 34401Aでも不合格のようだ。電流の校正には分流抵抗器 10Ω/1W, 100Ω/1W, 1kΩ、確度±0.001%以上が必要とのこと。

調整順序として、①ゼロ調整、②10V FS、③1V FS、④100V FS、⑤10mA FS(1k抵抗器使用)、⑥100mA FS(100Ω抵抗器)、⑦300mA FS(10Ω抵抗器)、と規定されている。なお、⑤~⑦はDMMの10Vレンジを用いる。

ひと通り実施したが、果たして校正されたかは分からず、気分的に済ましたぐらい。ちなみに、前回最後の校正は1995年9月だとシールが語りかけている。

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久ぶりに大物がきた。バカでかさと重さに閉口した。改めて取説で確認したら15キロもある。うさぎ部屋には置けそうにない。

80年代、タケダ理研(後のアドバンテスト)が絶好調時代の製品。高精度のDAC+バイポーラアンプが5.5桁の精密電圧電流出力を可能にしたという。

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主なスペックは以下のとおり。

<出力電圧>
  レンジ1V: 出力 0~±1.22221V, 最小ステップ 10uV
  レンジ10V: 出力 0~±12.221V, 最小ステップ 100uV
  レンジ100V: 出力 0~±122.221V, 最小ステップ 1mV
  レンジ10mA: 出力 0~±12.2221mA, 最小ステップ 0.1uA
  レンジ100mA: 出力 0~±122.221mA, 最小ステップ 1uA
  レンジ1A: 出力 0~±0.32221V, 最小ステップ 10uA
<総合確度>
  電圧レンジ: 0.030%
  電流レンジ: 0.037%
<安定度(室温23℃±1℃、湿度85%以下)>
  1日: 0.004%(=40ppm)
  3ヶ月: 0.009%(=90ppm)

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いつもの通り、トップカバーを外して開けてみた。

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出力電圧電流を簡単に調整できるように作られていて、6.5桁以上のDMMがあれば自力でも調整できそう。

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そのアルミカバーをさらに取り外すと精密電源と精密抵抗が現れた。

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操作性自体は使いやすいものではないが、わかりやすさでは文句なし。アナログテスタの調整やチェックに十分過ぎるスペックだ。

ICの足が結構錆びていることが気になる。綺麗にクリーニングしておきたい。ついでにケミコンの取り替えも必要な作業かも。

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ところで、精密交流電圧電流源はなかなか見当たらない。

0~99.99V/0~0.4A or 0.8Aの精密電源。80年代の製品。外観がくたびれているが、実力が健在。

出力電圧・電流の精度にとくに問題ない。ただ、OVERVOLTAGEボリュームを少しでも回すと警告ランプが点く症状があった。吹きつけてボリュームを洗浄してやったら症状が改善した。

ファンがなく、リレーもなく大変静か。100 DCVの電源は手元にないので、自分にとっては貴重な逸品。

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↑出力電圧設定用の精密抵抗20個。2ppmという表記。計測器の生産に当時コストの意識はなかった?比べて、ボリュームは安物。ガリにならないほうがおかしい。

米National Semiconductor製精密基準電圧源 LM399Hが手に入るので、それを利用した基準電圧をつくってみた。

<LM399の特長(メーカーのデータシートにより)>
 出力電圧 6.6~7.3V(典型値 6.95V)
 温度係数 0.0001%/℃
 出力の初期値許容誤差 ±2%
 動作電流 500μ~10mA
 長期安定性 20ppm

<ピン配置>

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<基本的な使い方>
 温度スタビライザに流れる電流は約10mA

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さて、温度スタビライザの電源電圧は多少変動あってもよさそうだが、それほどのコストでもないので、7812当たりの三端子レギュレータ経由で供給する。

逆方向降伏電流はなるべく変動しないよう、また最適な電流が1mAになるよう、安価なシャント・レギュレータTL431経由で定電圧を供給する。

さらに、出力負荷の変動による影響を避けるため、超低オフセットのオペアンプ OP-07CP を出力につける。出力に抵抗を一切使わない。抵抗の温度係数による影響を避けたいので。

OP-07CPはそのデータシートによると、入力オフセットの温度係数が最大 1.8μV/℃、長期に渡る入力オフセットのドリフトが 0.5μV/mo、約7Vの出力に対して全く影響を与えないと考えていいだろう。オフセットは当然調整可能だが、市場で買える抵抗でやったら却って温度係数を悪化させるので、やめるべきだろう。

同じ回路を2セット作り、多少でも信頼性を高めたい。出力値は一回測れば決まるが、それよりも温度変動や長期ドリフトが問題になる。

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手持ちのパーツで早速作った。肝心のLM399Hはまだ到着していないが。基板を固定するネジが表に見えるのが気になる。隠したい。ジョンソンターミナルの間隔を精確に19mmに合わせた。そんな規格を知ったのはつい最近のこと。

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以上の写真は後日に追加したもので、記事の内容説明と日付的に異なっている。