新年初買がやっと届いた。年末年始にかけて、小物をいろいろ買ったが、これといったものはなかった、あるいはまだ届いていない状況だ。

サンワ製テスタをいろいろと仕入れてきたのでそろそろ打ち止めにしたかったが、日置や他メーカー品がなかなか見当たらない。結果的にサンワばかりになってしまった。品質追求というよりも、いかに大衆に買ってもらえる商品をつくるかがサンワの伝統だからかな。いまではアナログテスタの商品揃えといえば、サンワだけになってしまい、他メーカーは全くやる気を感じない。サンワ一色の状況が今後もつづく。

本機を中を開けてみると、基板が曲がっていて、いかにも手作り風。ただ、ロータリーSWが軽快に切り替わるところが流石。裏蓋は薄い鉄製、電池の腐食対策とメータの防磁対策として当時採用されたものかもしれない。落書きされている「飛川電機」について調べてもそれといった情報が出てこない。

ハンダ付けされている22.5V電池を測ってみたらまだ20Vとの表示値。単3電池は片方が腐食で判別不能になっているが、もう片方は有効期限が78.12になっている。挟んだメモ用紙によると、22.5Vについては41.3.15、43.8.27が取替日のようで、単3については42.5.14、56.7.13、2.7.1が取替日だったのか。60年代前半の商品ということは間違いなさそう(ネットでは50年代末製という情報あり)。なお、抵抗器に製造月の印刷がなし。また、不思議なことに、1962Ωと印刷してある抵抗器があった。製造年の意味?

DCVについて調べたら、実際の値よりも約2割大きく表示している。さらに調べたら、抵抗レンジ用ゼロ調整可変抵抗器が断線しているようだ。リード線を追っていくと、可変抵抗がメータの分流抵抗にも兼ねていて、メータの内部抵抗を調整する役目も負っているようだ。

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液漏れしているので、唯一のオイルコンデンサを取り外した。0.1μ 耐圧1000DCVか。

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ついでに、液漏れ心配のある22.5Vバッテリーも取り外した。貴重品だが、しょうがない。なお、製造日の印刷はそこに見当たらない。型番 BL-015、50x26x15mm、マクセル製。2mm厚い15F20(中国製)がeBayやラジオ少年から入手可。

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聖夜に届いたサンタさんからのプレゼント。半世紀前製 サンワ (SANWA、三和) P-2。目盛板に「1957」という箇所があったし、抵抗器に印刷された日付が56.4~57.3となっていることから、1957年製と判断した。

状態が悪い。裏蓋は厚み1mmの鉄製(磁石が吸い付く)、錆がひどい。裏蓋を本体に止める箇所(ベークライト)は片側が完全に壊れている。ただ、裏蓋は割りに精度よく作られているようで、ビス止めしなくても落ちたりはしない。

Sanwaと印刷された抵抗器は1つのみ、誤差3%と書かれている。他の巻線抵抗器には抵抗値、製造年月以外に、ALU(8つ)、BLU(2つ)、AL3(1つ)とのシルク印刷があった。ブランド名なのか、規格や誤差を表すものなのかは不明。

セレン整流器が使われている。交流電圧レンジが動いているので、セレンが生きているようだ。

抵抗10Ωレンジはスイッチ(唯一つのスイッチなのに)が接触不良で、100Ωレンジと同じ測定表示になっている。他のレンジはまあまあの精度でそれなりに動作している。内部抵抗が交直流ともに1000Ω/V。1957年といえば、真空管全盛期。電圧の最小レンジが10Vでも不自由なく使えた時代だったか。

裏蓋の塗装を考えたが、オリジナルのままで保存することがより大切なので、このままにする。パネルのデザインはよく、いま手にとって見ても、可愛さを感じる。一生懸命磨いたら、ガラスもベークライトも、当時の輝きに戻った気がする。

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相変わらず状態のいいものを物色している今日この頃。

前所有者がモノ扱いに大変丁寧な方のようで、取説や元箱を大切に保管してきたことに敬意を表したい。取説に昭和52年(1977年)3月印刷という箇所があるので、30数年前の商品になる。

メータの感度が50μA、いまでも遜色なしに使える。目盛板がミラー式でないのが評価の別れるところだが、カビのことを考えるとミラーのないほうが長持ち。いまになってアナログテスタに精度を期待しないのが常識だし。メータのカバーがガラスであることはいい。静電が発生しないし、キズにもつよい。

中を開けてみたら、大変丁寧に作られたことが印象的。精度調整用の半固定抵抗が回路図にみられるが、実物からはみつからない。調整後(固定)抵抗で置き換えたのかも知れない。バッテリーはネジで止めるところがユニーク。高抵抗測定に22.5Vバッテリー(取説の回路図では9Vと書いてあるが、実物のほうが古く、前所有者が初期型と言っている。)が必要だが、販売しているところが少ない。

古き良き昭和の形見。

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収集用第2号 サンワ U-50DX。フルークを真似したい気持ちはわかるが、日本流の小さくて可愛いという特徴を捨ててはいけない。U-50DXはポケットサイズに相応しく、持っていて可愛く思える。

黒色ベークライトがよい。メータカバーが透明プラスチックである点はマイナスだが、70年代になってわざわざガラスのままにするテスタはなかったのかもしれない。ロータリースイッチはふらふらせず、安定感がいまでも伝わってくる。

中を開けて観察してみよう。Fクラス(誤差1%)巻線抵抗が使われている。手作業によるハンダ付けだったことが想像できる。巻線抵抗のブランドは自社SanwaとKRの二種類。ダイオードはどういうわけか、異なる型番が使われている。誰かが交換した可能性もあろう。

Ωゼロ調整ボリュームは当時のラジオによく見られるタイプで、質のいいものではないかもしれない。一番の問題はバッテリーホルダーの腐食。金属ホルダーに電池を入れて、ネジを回して電池の尻を固定させるタイプのようだ。液漏れによって片方のホルダーは腐食が激しく、誰かが改造し直したようだ。

まだDC電圧しかチェックしていないが、ロータリースイッチといい、巻線抵抗といい、全体的によく作られたテスタだと思う。大切にして行きたい。

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きちんと動作すれば、史上最強のアナログマルチテスタになっているのかもしれないが、やはり品質に問題あり。

MF-35の良さにやっと気づいて、日本製代表のYEW 3201と比較したくなった。でも調べたら、交流電圧も交流電流もおかしい。動作している直流では、精度がいまでも1%以内に収まっている。

1994年に購入して以来、ほとんど使っていない。交流用のトランスがよく壊れるという情報はネット上にもあるので、日本の湿気等で経年劣化にやられたのかもしれない。

回路図の検討等、直すことを考えているが、直したからといって使うことはないけど。当初から実用品と思っていないし。

対して、2台の3201はClass AAの精度にはなっていないが、ともにきちんと動作してくれて、42歳現役選手のその1台にご苦労さんといいたい。大事に使っているので、私以上に長生きになりそう。

早速後期の Class AA 型を手に入れた。しかし、メータのバランスがさらに悪い。ゼロ調整したにも関わらず、立たせたら写真のように思い切りズレる。前使用者が過大入力か、マイナス入力を与えたのかな。残念。

テスタとして珍しく、メータの内部はネジ2つを取り外せば、表のパネルから簡単にアクセスできる。バランス調整をこのうちやってみたい。

中を開けて確認したら、プリント基板の型番に記号Aがプラスされた。使用された抵抗は相変わらず精度1%のものだが、抵抗の種類が変わったり、抵抗の置く位置が変わった。一部の抵抗に製造年月が入っている。8811, 8812。ということで、1989~90年頃の製品のようだ。

1969年、89年と来たので、今度は2009年版が欲しいな。あまり売れないと思うので、数年前製のものか目下販売中なのかもしれない。

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気になったので、所有している3201をよく見たら、メータにJIS規格および Class A と書いてあるのを発見した。JIS規格に合格した印でもある。本体裏カバーの番号らしきものが型番なのか、使用者の社内管理番号なのかは不明。また上隣に1969と書かれ、1969年以前製の根拠にした。

JIS C1202 は当時からの内容変更が多少あったかもしれないが、大きな変更ではないと思う。となると、3201が改良され、その後クラスAAにさらに昇進したのだ(1972年製はまだClass Aとの情報あり)。

確かに、この3201はメータのバランスがそれほどよくない。縦にしたら指針がゼロからのズレがフルスケールの1/50をぎりぎり超えている。40年も前出荷当時の状況ではないことは承知しているが。

内部を開けて確認したら、プリント基板が69年当時既に使われていたこと、ロータリスイッチの電極がプリント基板と共用していること、また、誤差1%(文字表記F)の抵抗が使われていること等、が判明した。

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ネット上に見つかった回路図。実物との照合確認はしていない。あくまでも参考程度。

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1973年5月に書かれ、74年8月に出版された書籍、趙宝義編著「万用電表」。電表はメータの意味なので、マルチメータという日本語に通じる。

知的所有権や企業秘密という概念は当時ではあまりなく、大事な情報は多く書籍内に公表されている。最高感度を誇るMF-10型(メータ感度9.3μA、70年代当時の売値150元)の回路図。

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70年代に製造されていたテスタの一覧。貴重な参考資料になるだろう。

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MF-35型に関する記述はなく、少なくとも74年にはまだ市場には出回っていない模様。75年製があるという噂はあるが、実機での確認が待たされている。

1994年末に購入してから、なぜか一度も開けたことはない。使ったこともほとんどない。実用品として考えていなかったからだろう。

しかし、興隆になった中国では昔のテスタがコレクションの対象になっていて、とくにこのMF-35型はトップ級の評価を集めていると聞いたので、開けてみたくなった。

MF-35型は80年代以前と以降では使用されている抵抗が変わったりしていて、自分の持っているものは90年代製のはず。

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型番が重要。中で使われた抵抗に89年2月製という表示があり、90年代製であることは間違いなし。

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完全な手作り。プリント基板を使用していないことにびっくり。耐久性ではこちらのほうが良い。保修にも便利。

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噂のトランス。これで交流電圧2.5Vレンジを昇圧して非線形を克服したのね。

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精密抵抗に誤差0.2%クラスが使われているようだ。コスト重視の日本では考えられない。アナログテスタに精度を求める意味はあるのか。でも、当時のものづくりに対する真剣さや真面目さが今となって評価対象になっている。80年代以前では巻線抵抗がもっと多く使われていた。

外観では当時の日本製に圧倒的に負けていたが、性能の面ではどうだったんだろう。日本製代表機種の横河電機 3201は許容差がDCでは2%、ACでは3%となっているが、このMF-35型はDCでは1%、ACでは1.5%なので、少なくともスペック上ではMF-35型のほうが精度的に上だ。

1%と2%との差、ユーザにとってはどうでもいいことだが、メーカー側にとっては大変な壁がそこにある。誤差0.2%の抵抗が使われたのも1%を確保するための措置。コスト競争と無縁な計画経済下でしか実現できなかったことかも。日本工業標準規格「JIS C 1202:2000 回路計」によると、アナログテスタにAA級とA級の2階級があり、直流電圧測定において、AA級はフルスケールの±2%以内、A級はフルスケールの±3%以内と規定されている。それ以上の階級はないようだ。横河電機3201がAA級として販売しているのは2%だからだ。MF-35型はAAA級?そんなすごいものが70年代の中国にあった?信じられない!

最後にMF-35型の特徴をまとめてみる。
1. 精度が高い。スペック上、直流では誤差が1%、交流では1.5%。
2. 交流でも直流同様の線形スケールを使っている。
3. 0.1~10Ωまでの低抵抗が測定可能。
4. 交流電流が測定可能。
5. 見えない内部にコストをかけている。

アナログテスタには、一般に大きなメータがあり、色々な目盛がそこに印刷されている。電圧・電流用、抵抗用等。

原理上、抵抗は電圧・電流と同じ目盛を利用することはありえない。オーム定理からも分かるように、一定の電圧を抵抗にかけると、流れる電流は抵抗の値と線形関係にならないからだ。

さらに、目盛をよく見ると、交流(あるいはその最小レンジ)が別目盛になっているアナログテスタがほとんど。というか、交流も直流も同じ目盛を使うものは見たことがないと思っていた。交流の最小レンジが別目盛になっていたり、交流と直流が完全に別目盛になっていたりするなど。

その理由はダイオードの非線形性にある。交流を直流に直す(整流という)には一般的にダイオードを使うが、低い電圧では、ダイオードの非線形性が顕著になるので、目盛も非整形にならざるをえない。

ここまではの話はいわゆる常識。しかし、その常識を破ったものは実在した。しかも自分の所有したものだった。びっくり。

さらにびっくりしたのは、その製品はアメリカ製でもなく、日本製ではなく、なんとバカにされてきた中国製だった。1977年につくられてきた MF-35型 が線形交流目盛を持っていた。

MF-35型はMF-18型、MF-10型と並んで、中国製アナログテスタの最高峰といわれているが、線形目盛になっているのはMF-35型のみ。

線形目盛だからといってなんなんだ、という意見もあるが、オリジナリティを尊重する立場、私はすごく感動したけど。

そのほかに、0.1Ωからの低抵抗が測れるのもMF-35のユニークなところ。

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日本製最高峰といわれている、横河電機の回路計 3201はいまでも新品で買えるのがありがたいが、非線形目盛をつかっている。