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自分にとっては、初のアメリカ製アナログテスタ。260-6XLPは特徴的なのが、四角いに変わった外観と、機能的にローパワーで抵抗測定することだ。

伝統的に260は丸い角をしていて、直角は当時新鮮だったかもしれない。ただ、いまはどうせ売れないので、伝統に復帰して丸い角の外観に戻った。抵抗測定用のローパワーは開放電圧が0.1V。ダイオードやトランジスタを導通させないで抵抗測定ができるので、当時ではもてはやされていたのかもしれない。それもいまのデジタル時代では大した機能ではなくなったので、回路の複雑性を考えると後継機種では取りやめになっている。

DCVの内部抵抗は20kΩ/V、ACVは5kΩ/V。日本製に比べて低いと見る向きもあろう。ただ、YEW 3201はメータのレスポンスがそれほどよくなく、バランスも手持ち3台のうち2台が不良品(自己判定だが)といった技術的なことを総合して考えれば、感度50μA程度のメータに拘ったSimpsonの哲学に理解できないことではない。指針が気持ちよく動く。それを最大のウリにしているのは260だ。

電源は単1一本、および 066P角型9V。電池専用の仕切りスペースがあり、液漏れによる腐食を避ける構造になっている。

AC/DC切り替えSWがあることは260の伝統だが、他のテスタに比べてACVレンジが細かい。つまり、1VだけはDCV専用だが、他のレンジはDCV、ACV共用になっている。

リレーによる保護機構が内蔵されている。日置 5005にも似た機構がある。どっちかがパクったんだろう。

内部は真面目に作られたことが印象的。抵抗器は許容差1%(F)のものが使われている。多くの抵抗器は型番がRN60D、DALE製。80XX等4桁の数字が抵抗器に印字されていて、製造年のことかもしれない。また、リレー保護回路のために、トランジスタが3本も使われたことにびっくり。アナログテスタにトランジスタ、そんな組み合わせはやはり長続きしない?

この個体だけかもしれないが、80年代の製品にしては精度がとても高い。DC/ACの切り替えSWはきつめ、安心感がある。Ωゼロ調整ボリュームはきつめ、高級品の証拠か。ロータリーSWはしかし、自分の感覚ではちょっと軽い気がする。Sanwaのほうが気持ち良い。内部の機構をみてみたら、強弱の調整ができるようにも見えるが、壊すといけないので、そのままにする。

アメリカ一の260と日本一の3201はどっちがいいだろう。①メータのレスポンスに関しては間違いなく260の勝ち。②精度は五分五分、どちらもDCでは2%、ACでは3%(中国製に負けているところが残念)。③見た目の良さでは、外観については好みによるが、内部では間違いなく260の勝ち。プリント基板だけの3201を見て工芸品と思うひとはいないだろう。④内部抵抗は3201が高いので、原理的に電圧をより精確に測定できる。⑤円高のいま、260のほうが3201の約半値で買えるので、余裕があれば両方所有して損することはないと思う。

ちなみに、260のマニュアルも回路図もほとんどネットからダウンロードできる。また新品で買える260およびその兄弟たちは、160, 260-6XLM, 260-6XLPM, 260-8, 260-8P, 260-8Xi, 160-8Xpi, 270-5, 270-5RT, 260-9, 260-9SP ぐらいか。260-6および270-5は在庫処分品かも。260-8は現行品。270は精度がさらにいいらしい。

260ファンなら、最低、260-6, 260-8, 270-5の3台は外せないのかな。

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日置では中級機の位置づけのようだが、感心するところはあまりない。回路保護にリレーが使われている。DCVの内部抵抗は50kΩ/V。電源単2一本。

2台のうち、1台はロータリーSW不良。前所有者が修理したらしく、それでもダメのようだ。プラスチックパネル、アクリルメータカバー、キズに弱く、耐久性がない。後期になると、抵抗器にコストダウンが図られ、ライバルとの価格競争に陥っていたのかもしれない。手持ちの個体だけかもしれないが、後期型のほうは精度が悪かった。

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1968年頃の製品。サンワ社内資料によると、10年間のベストセラーSP-5を引き継ぎ、SP-6Dも2代目の10年間ベストセラーとなり、ユーザから長い間愛用された。SP-5からSP-6、さらに改良版SP-6Dを経て、真空管時代のアナログテスタが終焉を迎える。トランジスタ時代になると、高電圧の代わりに、低電圧へのニーズが増え、アナログテスタづくりが変わるようになる。

鉄製裏蓋の内側に貼られたシールをみて、当時サンワ社のサービス良さがよく解った。ユーザが焼損した抵抗器を自分で交換できるように、切手による通販サービスまで自社でやっていた。抵抗器1本に付き45円、送料まで自社負担。間違われないように、3本ある巻線抵抗器に緑、黄、青と色までつけて区別できるようにしたようだ。

本個体は裏蓋に錆あり、塗装剥がれあり、外観がそれほど芳しくないが、電池液漏れによる腐食がなく、内部状態は良い。パーツすべてがオリジナル、精度も当時のままキープしているようだ。60年代中級品アナログテスタのレベルを反映した逸品。

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70年代の製品だと思うが、サンワ (Sanwa) N-101。

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特徴的なところ、
 ① Duan Range機能。パネル上の Hi/Lo スイッチで、Ω以外の各レンジはフルスケールが倍増される。
 ② ACレンジの目盛はすべて線形になっている。変わった仕掛けが内部から観察できなかったので、最小レンジが6Vと高いだけのことかもしれない。
 ③ DCVの内部抵抗が50kΩ/Vとそこそこの高感度。
 ④ 銅合金のハンドルがついている。斜めに置き、テスタを使うことが可能。しかし、そうするにはメータのバランスが良いことが前提だが、自分の感覚では不良品(360度、どんなに回転させても、指針のズレがゼロから1目盛以内に収まるというバランスの良いメータは日本製品に大変少ない。スペックに当然のようにそのことが書かれない。出荷検査ではそのことについてチェックしていないかもしれない。)なので、素直に水平に使うことを勧める。

ほかに、自分の感覚ではありえないこととして、安価な半固定抵抗が4つも使われている。精度もなにもないだろう。

案の定、誤差が大きすぎ、調整しないといけない。

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アナログテスタがだんだん手元に貯まるようになったが、どんどんいこう。今度は1961年製 サンワ(Sanwa) SP-5。約50年前だ。サンワ社内資料によると、SP-5は1960年の発売、「ロータリスイッチ式で、ポケット型で使いやすい」というキャッチフレーズで登場し、それ以降のアナログテスタを牽引することになったらしい。つまり、サンワ社の製品作りを大きく方向付けた商品のようだ。

DC、ACの内部抵抗は2kΩ/V。鉄製の裏蓋を両側のビスで本体に止める構造。電源は単3二本。抵抗器の数が少ない。ロータリーSWはいまでも動作良好。

裏蓋を含め、全体的に保存状態のよい個体。電池ホルダーが割れて、接着しているところが残念。

昔の商品はテスタにしろ、真空管ラジオにしろ、眺めて楽しめるところが良い。視覚的人情味が溢れている。

さて、測定してみたら、メータに約5%の感度低下が見られた。分流抵抗器に直列抵抗を入れて、DCの各レンジをうまく許容差2%以内に追い込めた。ただ、ACレンジは整流器の劣化だと思うが、まだ5%の誤差が見られる。

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デジタルマルチテスタ一色のいま、アナログテスタの調整が個人でもできそう。

YEW 3201は許容差がスペックでは以下のとおり。
 DCV、DCI FSに対して±2%
 ACV FSに対して±3%
 DCR 目盛長(110mm)に対して±3%

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目盛のスケールはDC, ACでは60等分されているので、DCでは1.2目盛、ACでは1.8目盛のズレが許容範囲内ということになる。感覚的にはズレが大きいと思っていても、スペック上では正常ということだ。

そういうことで、基本確度が0.1%以内のデジタルマルチテスタが十分レファレンスになる。

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調整箇所は2つ。すなわち、直流電圧や直流電流に対する調整と、交流電圧に対する調整。

直流の調整では、半可変抵抗 VR1 を動かす。直流電圧 0.3V(ないし1.2V)レンジにして、フルスケール対応の直流電圧(0.3Vないし1.2V)をかける。VR1を回しながら、指針がフルスケールになるようにする。終わったら、他の直流電圧及び直流電流の各レンジの許容差を確認する。各レンジの許容差が上記のスペック内になるように、VR1を再調整することがありうる。ただ、所詮誤差はつきもの、直流電圧ではOKだが直流電流でうまくいかないことはよくある。バランスよくVR1を調整することが肝要。

調整しても、許容差範囲内に収まらないことはよくある。固定抵抗器のズレが問題だろうし、メータの感度が低下していることもあろう。固定抵抗器については、回路図を見ながら、デジタルマルチテスタのリード棒をプリント基板の裏に当てて根気よく測ろう。1%以上の誤差が出た抵抗器は交換する必要があるかもしれない。

メータの感度低下は最も深刻な問題。製造メーカーなら機械にかけてマグネットの保磁力をスペック通りに戻すことは簡単にできるが、個人レベルではそう簡単ではない。強力なマグネットをメータの周りにつけるなど、応急処置的な解決法はあるかもしれないが。

交流電圧の調整箇所はVR2。周波数50Hz、有効値3Vの交流電圧をACV3Vレンジにかけ、VR2を回す。終わったら、他の交流電圧レンジが許容差範囲内であるかどうかを確認する。

抵抗レンジでの調整はない。計算上、直流の調整が終われば、抵抗レンジが自動的に校正されることになっている。どうしてもズレが大きければ、各抵抗器の交換になるだろう。

ライカとかと違って、専用ツールがなくても分解できそうなので、早速やってみた。勿論自己責任、壊しても知らないよ。

パネルのツマミを取り外したところ。極性切替SWとΩゼロ調整ボリュームには穴を塞ぐ飾りがあるので、それを先に外す。

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ビスやボルトを外す。ツールは100円ショップから入手可か。

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裏蓋を外し、プリント基板をメータに固定するビス2本、バッテリーホルダーを固定するビス2本を外す。

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これで、プリント基板の表が自由にいじれるようになる。

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なお、メータへのアクセスはフロントのビス2本を外すだけでできるので、省略する。分解してみると、3201がロングセラーの理由がなんとなくわかった。メーカーにとっては、校正や調整が簡単にできて、それなりの費用が頂けるから、利益の出る商品になっているし、ユーザにとっては初期費用こそが高いが、何十年ものメーカーによるサポートが期待できる。プロユーズに耐えうるアナログテスタは日本では3201しか残っていないし。

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年末に落札したものがやっと届けられた。1969年製、1台目と同一製造年。汚れを落として、点検したところ、抵抗器4つが切られたり、取り替えられたり、壊れている。

  R1 0.192Ω 巻線、抵抗値ズレ
  R3 1.8Ω 巻線、断線
  R24 8Ω 巻線、行方不明
  R29 1.45Ω 巻線、1.5kに取り替えられている(見間違いで修理していた?)

DC, AC電圧レンジは問題なかった。

これら4つの抵抗器を取り替えれば修復可能と考えているが、いまの日本では1%誤差ものがなかなか手に入らない。8Ωは16Ω2つ並列すればなんとかなるが、他の3つは相当厳しい。

そこで、Digi-Keyで物色してみた。1,45Ωの代わりに1.5Ω、0.192Ωの代わりに0.2Ωにしたらそれなりの巻線抵抗器が購入できそう。すべてRiedon社の3Wもの、サイズ4x9mm、温度係数±50ppm/℃、誤差1%。

ただ、373円という値段には納得できるが、送料2000円には参った。7500円以上の買い物だと送料無料になるが、どうしよう。

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またもサンワの登場。大型 N-401F。本体の両側が木板でできていて、自分には立てて使うものだと感じた。安心して立てて使えるテスタは手元にはこの一台だけ。厚みが9cmもあるからね。

しかし、メータのバランスが極端に悪い。出荷時にもこんなものだと不良品のはず。水平でゼロ調整しても立たせたら大幅にズレる。

1972年製造と目盛板に刻印されている。メータカバーはプラスチック製、ガラスが70年代から消えたのかもしれない。DCVの内部抵抗が極端に高く、200KΩ/V。このことが目盛板2ヶ所に印刷され、本機種の売りであることがよくわかる。JIS C 1202 CLASS AAというJIS規格にパスした製品のようだ。

パネル文字は刻印ではなくただの印刷、消えたら修復しづらい。1200V6Aの高電圧大電流測定に対応したつくり。左下の赤ランプはまだその役割がわかっていないが、高電圧測定時に点灯するものか。

抵抗測定に必要な電池は単2一本だけ。隣に9V電池の装着スペースがあるが、N-シリーズに共通した設計だからか。

中を開けて観察すると、品質が60年代ものから大幅に向上したことが伺える。抵抗器がKOA製になり、整然と並べられていることが印象的。ACVの整流にダイオードが使われている。ヒューズが採用され、回路保護策が施されている。

ロータリーSWがちょっと軽い気がするが、接触不良もなく軽快に作動している。1時間をかけて全レンジをテストしたが、これといった問題は見つかっていない。DCVとDCAレンジは精度がよく、CLASS AAに相応しい。ACレンジは周波数特性がそれほどよくないが、数10kHz程度までなら問題なさそう。抵抗全レンジは単2電池一本で使えることがやはり便利、ただ精度がDCレンジより落ちている。

この個体だけかもしれないが、メータのレスポンスが遅いとバランスが悪いことを除けば、大型テスタとしていまでも立派に役目を果たせるテスタと結論づけられた。

最後に資料として、当時のカタログを引用しておく。
 N-401F ¥13,900
・JIS C 1202規格に沿って設計されたAA級超高感度テスタです。その定格は、指示の感度、目盛の長さ、レンジ数、入力インピーダンスなど、すべての点で規格をうわまわっています。
・トットバンド式5μAの超高感度指示計を採用。摩擦誤差、ヒステリシス指示誤差もほとんどゼロに近く、安定した性能が得られます。
・DC電圧測定時の内部抵抗は200kΩ/V、DC6Aまでのワイドな測定を実現。
・ヒューズの装置、1kgの力でも抜けない特殊接続プラグ、3400Vの耐電圧など、安全重視の設計です。
・極性反転スイッチ付き。
・±DCV=0.12/0.3/1.2/3/12/30/120(200kΩ/V) 600/1200(40kΩ/V) 30kV(別売プローブ使用)
・ACV=3/12/30/120/300/1200V(4kΩ/V)
・±DCA=1.2m/12m/120m/300m/1.2/6A(300mV)
・Ω=2k/20k/200k/2M/20MΩ
・dB=-20~+63dB
・内蔵電池=SUM-2(1.5V)X1
・寸法・重量=252x190x103mm・1.8kg
・別売付属品=携帯用ケース(C-N54)¥1,700 高圧プローブ(HV-7)¥5,500

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↑↑↑ 水平にしてゼロ調整した指針がこんなにもズレている。

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↑↑↑ 不良品じゃないの。メータのバランスが極端に悪い。

抵抗レンジ用ゼロ調整可変抵抗が数カ所も断線している。可変抵抗を取り換えることが一番だが、新品で手に入ることは恐らく不可能。次善策として同タイプ可変抵抗を採用しているテスタから取り外し、つまり、ニコイチで直すことだ。

とりあえず、応急処置として、固定抵抗器を可変抵抗につけることにした。これによって電圧・電流レンジのズレが直った。抵抗レンジの修復にはさらなる工夫が必要。献体を待ちながら、ゆっくり考える。

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