80年代の自分には日置がサンワよりも高性能という認識があったが、最近いろいろとテスタを集めてみたら、自分の認識が必ずしも正しくなかったということに気づいた。とくにHioki 3005は予想外のショボさでがっかり。それでも、日置のなかでも高級機種といわれるこの3011はいつか手に入れ、見てみたいという気持ちがあった。高感度に関しては3010に負けるが、しかし販売価格をみても分かるように、メーカーの力すべてを注がれたのが3011だ。

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外観は日置テスタそのもので、ブラックではなくカラフルになっている。内部抵抗はDCが40kΩ/V、ACが10kΩ/V、バランスの最もよいものと期待されよう。Simpson 260と同様、AC/DC切り替えSWを採用し、抵抗以外のほとんどのレンジはAC/DC共用になっていて、レンジ数が実質的に大幅に増えた。とくに、交流電流はおまけではなく、DCA同様に充実しているところは高級機種といわれるゆえかな。さらに、回路保護が充実している。ヒューズ2本以外に、リレー回路も組み込まれている。

精度が高い。許容差はDCV/DCAが2%、ACVが2.5%、ACAが3%、DCRが3%。ただ、メータ自体が小さいので、決してJIS規格でいうクラスAAにはならない。

この個体だけかもしれないが、メータの(重量)バランスが良い。指針がゼロからほとんどズレない。厳選して重量バランスのよいメータを使ったのかもしれない。

内蔵電池が多い。単三と角型9Vは電池レンジ用だが、もう1本の角型9Vはリレー回路駆動用。電池が消耗するとリレー回路が効かなくなるので、気をつけよう。

開けて中をみると、しかし、楽しむ要素はなにもないところが残念。プリント基板から半固定抵抗器調整穴がかろうじて5箇所に見えるが、故障したら直すには難しい。一生ものでないところは日米の差か。

調べた範囲では精度がいまでもキープしている。スペック的にはSimpson 260を超えたが、すでに製造中止で、生き残っていない。

<追加>
 ロータリースイッチがレンジ 2.5ACV では接触不良(もっと正確に書くと、ストップ位置が微妙にズレて、プリント基板銅箔と銅箔の間に、回転摺動部端子が止まってしまった。円周外側のズレはゆとりがあるので問題ないが、最も内側に以上のようなズレが生じているため、銅箔面に接触していない。2,5DCVは内側を利用しないので、問題発覚に繋がらなかった。)であることが発覚。3005でもスイッチ不良があった。サンワでは滅多に起きなかった問題なのに。原因は耐久性のないプラスチックをスイッチに使ったのだろう。

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アナログテスタ Simpson 260-7M の調整(キャリブレーション)をやってみた。あくまでも自己流なので、参考程度にしてください。間違っている可能性は否定しない。

調整に役立つ資料は Simpson 260に関する資料の総本山 www.simpson260.comにある。今回の機種では、TB9-6625-2354-35 U.S. Army Technical Bulletin 2005 Issue が相当する。

その資料の、Table 11a(19ページ)~ Table 11e(21ページ)をまとめると、調整手続きが以下のようになると思われる。

1. 直流電流の調整(Table 11e)
 直流電流50μAレンジに入力として50μAを与え、半固定抵抗器 R1を調整する。
 直流電流1mAレンジに入力として1mAを与え、半固定抵抗器 R2を調整する。
 その他の直流電流レンジについては確認するのみで、調整することはない。つまり、どうしても調整したければ、抵抗器を取り換えるしかない。

2. 直流電圧の確認(Table 11b)
 調整することなく、確認のみが可。

3. 交流電圧の調整(Table 11c)
 交流電圧 2.5Vレンジに入力として 周波数60Hz / 実効値 2.5V を与え、半固定抵抗 R25 を調整する。
 交流電圧 250Vレンジに入力として 周波数60Hz / 実効値 250V を与え、半固定抵抗 R22 を調整する。
 その他の交流電圧レンジについては、確認するだけでOK。

4. 抵抗レンジの確認(Table 11d)
 こちらも確認するのみ。調整不可。

半固定抵抗器の場所は Figure 2(10ページ)に示されていると資料に書かれているが、自分がやったところでは、Figure 4(24 CHANGE 3ページ)が合っている。ただ、基本的な心構えとして、むやみに半固定抵抗を弄ることは厳禁。事前にデジカメでメモした上で、ちょっとだけ回し、指針の変動を確認する。指針が動かなければ直ちにやめて元の位置に戻す、といった配慮が不可欠。

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交流電圧源 250V は今回用意できなくて、R22を弄ることはしなかった。

調整した結果、各レンジとも大変精確になったようだ。1930年代以降、姿がほとんど変えずに製造してきた Simpson 260 の魅力を再確認した。

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またまたeBay経由のアメリカから。ただ、今回の売手は梱包がとても丁寧で、メッセージまで添えられている。輸送日数はまあまあかな。全体的に良品程度。決して美品とはいえないが、eBayでは程度の良い方だろう。

本体以外に、純正テストリード・クリップ(00043)、および取説、保証書の一部が付いている。

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1983年製。売手が80年代の購入と言っているし、抵抗器に83と印字していて、保証書に84/1/26という日付が書かれている。スイッチは一部が緑に変色していて、経年劣化の証拠だ。

メータはバランスが良い。Simpson3台のうち、2台は合、1台は否。他のメーカーよりは良いメータを使ったか、検査を厳しくしたからかな。メータカバーはガラス製、静電気に強い。この冬はとくに乾燥しているせいか、YEW 3201が静電気に弱く、使えなかった。

回路保護にヒューズ2本を使っている。電池室に置いてあり、裏蓋を開けなくても交換可能。内蔵電池は単1および006P角型9V。

チェックしたところ、誤差が多少大きくなっている。このうち調整しておこう。

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島津製作所は一部上場の会社だが、当時ではアナログテスタを作っていたことは自分が知らなかった。メータの目盛板に製造年が書かれていて、1969年製。内部抵抗がDC/ACともに2kΩ/V、入門機種の位置づけだっただろう。

本体以外に、テストリード、合格証(日付は残念ながら入ってない)、およびビニールケースが付いている。

ライトブルーの外観は自分に新鮮に感じる。ロータリースイッチ周りのアルミ板もアクセントになっている。

裏蓋が鉄製。中身はサンワそっくりなので、OEMかもしれない。抵抗器8本がRIKENブランドになっている。

巻線抵抗器のうち、2本が焼損したようで、このうち直してあげたい。

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早速中を開けてみた。1997年1月製造のようだ。ロータリースイッチの周りに抵抗器が綺麗に並べられ、Simpson 260以上の美しさを見せている。F(1%)クラスの抵抗器もあるが、多くはD(0.5%)クラス。さすがに中国製MF35のような0.2%クラスの抵抗器は使えないけどね。

メータカバーはガラス製、静電気に強い。プリント基板がなく、ロータリースイッチ中心の構成。回路保護にヒューズ2本が使われている。調整用半固定抵抗器は1つのみ。Simpson 260に比べ、長期間にわたる性能維持に不利かもしれない。

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やっと届いた。Digi-key等は3日間前後だったが、今回は長かった。格差がすごい。

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本体以外に、テストリード、バッテリー単1と積層30V、および元箱がついている。

新品との説明だが、やはりそれはアメリカ人の感覚。自分では美品としか認識できない。それでも苦労して手に入れたので大事にしていきたい。

チェックした範囲ではとても精確。Simpson 260以上とのスペックなので、嘘ではない。ただ、メータのバランスはいまいち、自分の感覚ではよくある不良品の部類。360度、どんなに回転しても、ゼロからの指針のズレは1目盛以内。極めて明快で実用的な指標を、なんでほとんどのメーカーが公表しないんだろう。1目盛はTiplett 630のケースでは、許容差1.7%にあたり、決して厳しい指標ではない、許容差1.5%と高性能を謳っている以上、バランスだけで1.7%以上のズレがあってはいけないと思う。

航空機にもアナログ系の計測器があるはずだが、それらのメータのバランスはどうなっているんだろう。水平飛行の姿勢でしか見てはいけない?航空機専用のメータがあるのなら、最高級アナログテスタにも載せてほしい。

さて、残りは最後の大物、AVO meter。すでに製造中止のようだし、イギリスなので、程度の良い物をゲットするには Triplett 以上に苦労するのだろう。

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取説書(回路図入)

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昨年までは知らなかったテスタ製造メーカーのひとつ。製造年はわからないが、ゼロオーム調整ボリュームに NOBLE B-10KΩ 64.10-2と書いてあるので、1965頃の製品だと推測した。

同時期のテスタはまだ数多く見ていないが、デザインからして異色なメーカーだと思えた。いかに綺麗に魅せるか、とことん追求したようだ。ロータリースイッチをそのまま見せているから。

しかし、使いやすいテスタではないようだ。レンジの配分はとくに分かりにくい。
 DCV 0.28, 1.4, 7, 35, 140, 350, 700V
 ACV 1.4, 7, 35, 140, 350, 700V
 DCA 50u, 7m, 140mA
 DCR x0.1, x10, x1k

内部抵抗はDCV 20k/V、ACV 5k/V、ふつうのレベル。

入力端子のDBはデジベル測定だが、RFは内部にゲルマニウムダイオード 日立製 1N34A が使われていることから、ある程度の高い周波数まで測定できるからそう命名したと思われる。なお、ACVの整流にはダイオードではなく、セレンが使われている。ダイオードが高級品だったのかな。

内部の抵抗器が同時期の製品に比べて小さい。だからDCAは140mAまでしか対応できていないかもしれない。抵抗器に抵抗値がなく、代わりに通し番号F01やF24が印字されている。回路図がないと修理にも面倒な機種だ。

内蔵電池は単三2本と積層22.5V。

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同じ外観の2台目だが、乾電池室蓋が残っていて、型番がわかった。製造年が目盛板に書かれており、1954年2月とのこと。なお、電池室に当時の乾電池単2二本が入っていた。

抵抗器1本には大電流による焼損、もう一本には腐食による断線があった。直したらそれなりに機能したものの、DCAもDCVも約40%の指示低下、ACVでは約50%の低下が見られた。なお、抵抗器は1台目のToho自社製から、計器用抵抗器(その他にAndo Ohmと印字されたのも1本あり)に変わった。いま測ってみたら、1台目の自社製のほうが精度が高かった。

セレン整流器は2台ともに約半分の指示低下になっている。うちの1台をダイオードで代用してみるか。

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リード線をたどって見ていたら、巻線抵抗器が断線したことがわかった。半田づけして、5Vレンジでの内部抵抗を測ったら約7%の不足。5Vの電圧を入力に与えたらやはり7%の低下になっている。310Ωの抵抗をつけるか、断線した巻線抵抗器を外して抵抗器を付け直すか、すこし悩んでみる。

パーフェクトな直し方はマンガニン線で巻き直すことだが、手持ちは太すぎる。分流器の製作用としか考えていなかった。

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早速開腹した。ロータリースイッチの周りに綺麗に16個の抵抗器が並べられ、抵抗器がToho自社製だった。許容差の表示は抵抗器にないが、測ってみたところ、1%以内に保っている。そういうことで、抵抗器に問題がなく、多少安心した。

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動かない原因はメータにあろう。ということで、メータを開けた。中学生頃はよく開けて壊したので、慎重にやった。

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ミラーは金属製、ガラスではないので長寿命だが、拭くことはしない。カメラの修理で得た教訓だから。幸い、内部コイルに断線とかはなく、ハンダ不良のようだ。ついでに、メータガラスを内側から綺麗に拭いた。

これで、やっとmAレンジが生き返った。精度もそこそこ出ている。DCVはしかしまだ死んだまま。どこかのハンダ不良かな。原因究明が続く。

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