昨日、気になっていた抵抗器を取り替えた。適当なボビンは手元にないので、高抵抗値の抵抗器にマンガニン線を巻いて、外に熱収縮チューブを被せてごまかした。

R6 20Ω 0.16mmマンガニン線 約1m
R32 11.2Ω 0.23mmマンガニン線 約1m
R33 108.8Ω 0.10mmマンガニン線 約2m

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円筒形のR26については、YEW電圧電流計から強引に持ってきた。形はよく似ているのが理由。

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MF-18型に半固定抵抗器が3つあり、それぞれ、DC60uA, DC150mV、AC調整用となっている。今回は、抵抗器の取り替えによって、DC関連の2つを調整することになった。

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調整作業自体は難しくない。テスタを水平に置き、指針のゼロ調整をまず行う。終わったら、ロータリスイッチを調整するレンジに回し、フルスケールになる電流(60uA)または、電圧(150mV)をかけることでできる。

半固定抵抗器は中心部がネジで固定されているだけの仕組み。中心ネジを多少緩めて、ドライバでアームを、指針がフルスケールになったところまで回して、最後に中心ネジを固定する。

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MF-18はイギリスAVO meterの影響をうけながらも、中国が60~70年代に独自に開発したテスタ。20kΩ/Vの感度を持ち、AC電流も測定できる。DCの許容誤差は1%と高いところが特筆事項(AVO meterに並ぼうとして1%に設定されたと推測するが、結果的に日米製を超え、コストが無視できる計画経済下ならではの賜物になった)だろう。いまでも中国にそのファンが多い。これ以上のものは世界的にも作れなくなったので、大事にしていきたい。

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上海滞在中、念願のMF-18をゲットしたのは良かったが、回路図やネット上に公開されている内部写真で精査しているうちに、怪しい抵抗器をいくつか発見した。過負荷による焼損や、湿気による断線等によって取替えられたものと思われる。

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しかし、その品質はMF-18に相応しいとは思えず、元に戻そうと考えている。

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  R6 20Ω 巻線抵抗器
  R32 11.2Ω 巻線抵抗器
  R33 108.8Ω 巻線抵抗器
  R26 500Ω 円筒型(銅線?)巻線抵抗器

とくに、R26は下記のように、とても格好のいい抵抗器だったので、すぐには無理だが、なんとか元のかたちにしたい。

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ところで、11.2Ωという抵抗器はよく壊れるね。Simpson 260-2でも、260-3でもダメだった。Rx1レンジで電圧を測ったからかな。

早速分解してみた。パネルにあるツマミ3つを取り外す。ネジ固定式なので助かった。

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ツマミの下にある固定リング3つを取り外す。カメラ分解用ツールがたまたま手元にあったので利用したが、100円ショップにも適当なツールがあろう。

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裏フタを開け、単一電池両側の固定ネジを外す。

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メータとのリード線を外す。メータが中で落ちることを防ぐために、必ず片方を外して固定し、終わったらもう片方。ただ、Simpson 260はよくできていて、両方同時に外しても問題なさそう。

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パネルとのリード線4本を半田こてで溶かして外す。

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ここまでくると分解できた。

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ひと通り作業したら、腐食によるサビが落ち、綺麗になった。

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そして、取り外した巻線抵抗器R16。11.5Ωのところが約2Ωになってしまった。マンガニン線がまた大活躍。

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さて、今回は0.23mmのマンガニン線約1mを使って、巻き直した。作業後、防湿処理があったほうがいいということで、いつものようにロウソクを垂らしてやった。熱には弱いが、過負荷になると変な匂いが出るので、すぐに気づいてもらえるのが理由だ。

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ACの調整が残っているが、感度が1kΩ/Vと低く、実用的ではないので、そのままにした。

第2次世界大戦当時やその後の10何年間、アメリカの技術力がいかに圧倒的に高かったか、この製品をみて強く感じた。60年代後半になって、やっとこれを超えるテスタを日本が作れるようになった。Simpson 260初代から数えたら、30年の遅れだったか。

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Simpsonの歴史に興味があるので、Simpson 260-2を手に入れた。製造時期は不明だが、40~50年代と思われる。単一電池1本、および単三4本が使われるが、単一ホルダーの破損と電池液漏れによる腐食が残念なところ。

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パネルは260シリーズの中でも洗練していて、5000Vと10A以外に、余計なプラグ差し込み箇所はない。また、モデル名の下に、誇らしげにMade In USA等の刻印が見られる。ツマミ3つがネジ固定式、簡単に外れるところが以降のシリーズと違っている。いろいろな意味で、260シリーズのスタイルを確立した。

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しかし、内部構造はシリーズの以降と大きく異なる。抵抗器がそれぞれ所定の穴に入れられ、一見綺麗のようにみえるが、メンテナンス性が最悪。分解しないと抵抗器が簡単に取り替えできないから。単三4本の入替え作業も面倒で、ついついそのままにして、液漏れにやられてしまう。

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整流素子はダイオードではなく、取説では酸化銅整流器と説明している。交流の内部抵抗が1kΩ/Vと低い。

ゼロΩ調整ボリューム以外に、調整用半固定抵抗器はない。取説によると、整流器の隣に置かれた2本の白色巻線抵抗器 R23とR24は、個々の整流器に合わせて、ACの調整を行うものだ。

測定したところ、DCの誤差はいまでもスペック内に収まっていて、感心した。ACは整流器の劣化によるものかもしれないが、値が低めになっている。とくにAC2.5Vが顕著。R23, R24の再調整が必要か。Ωレンジでは、ゼロΩ調整ボリュームが多少の接触不良、さらに、RX1用抵抗器がダメになっているようだ。

腐食が激しく、一度分解して内部を綺麗にしたい。

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ほとんど使ったことのない中国製テスタ MF-35だが、湿気に弱いなのか、いつの間に交流が全滅。内部にトランスが使われているので、トランスの断線と推測して、リペア作業に取り掛かった。

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幸い、トランス自体は手作りによるもの。鉄心の一枚一枚は簡単に取り外すことができた。断線と思われる箇所も外側にあったので、半田づけしたら通電になった。

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ところが、元に戻しても、ACVもACAも表示が滅茶苦茶。苦戦苦闘が続く。

瀕死状態のSimpsonをなんとか使えるようにしたが、メータの感度が低下していることがやはり気になる。電流レンジは調整することでスペック内に収めることができたが、問題は電圧レンジ。回路図みても分かるように、メータの感度を上げなければ、抵抗器を変えるしか治す方法はない。

ではメータの感度を上げるにはどうしたらいいだろう。方法はいくつかある。①永久磁石を充磁する。最もまともなやり方だが、設備や機械が必要。②コイルの回る力を増やす。具体的には巻数を増やしたり、弱いヒゲゼンマイに変えたりする。③回転系を軽くする。指針を金属からプラにするとか。

今回は邪道だけど、100円ショップからゲットした丸い磁石をふたつ貼り付けることで、磁力を増やした。貼る場所によって、磁力を減らすこともできるので、面白かった。ふたつにした理由は単純で、ひとつだけなら所要の感度に達しなかったから。でも結果的に、ふたつにしたことで、バランスが保たれて、回転の線形性が問題にならずに済んだ。

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50uAレンジで確認したら、感度がちょうどよい状態になった。

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つぎにDC1mAレンジにて、可変抵抗R27を回してFSに調整した。

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DC2.5Vレンジにて確認。

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ACVの調整は残っているが、省略する。

ボロボロ状態は相変わらずだが、一生懸命作業した結果、各レンジの許容誤差がスペック内に戻った。と同時になんとなく愛着心も湧いてきた。50年間の苦労をねぎらってあげたい気持ちだ。

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念願の大物がやっと手に入れた。製造中止になったし、日本が出品者から相手にされないことが多く、入手までだいぶ苦労した。でも、アナログテスタを発案した銘品はやはりそれなりの価値があろうし、大英帝国の栄光に触れる数少ないチャンスでもある。

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初対面では堂々とした風貌に感心した。Simpson 260や中国製MF500型が大きいと思ったが、それ以上のサイズだ。それでいて、メータの目盛板はAVΩだけで、極めてシンプル、dB目盛すらない。しかも、ACもDCも線形、共用している。中国製MF-35はそれの真似っ子だった。しかし、ゼロΩ調整ボリュームは3つもあり、それぞれのΩ測定レンジに対応していて、極めて合理的。さらに、DC電流だけでなく、AC電流も測定できる。

DCの精度は1.0%、ACは2.0%という、それも世界最高レベルだっただろう(交流では、中国のMF-18やMF-35に負けていたが)。

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中を開けてみたが、さっぱり理解できなかった。テスタを数多く見てきたつもりなのに。時間をかけてゆっくり研究していくしかない。

実測したところ、DCV及びΩレンジは極めて精確。DCAは若干オーバー気味だが、スペック内に収まっている。ACAもちゃんと動作している。

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最後に、AVOmeterの歴史をメモしておく。

 初代AVO 1923年
 モデル 7 1936年~
 モデル 40 1940年~
 モデル 8 1951年~
 モデル 8 Mk II(レンジ 2.5/10/25/250/1000/2.5kV) 1956年~
 モデル 8 Mk III(ダイオード採用、ベストAVO?) 1965年~
 モデル 8 Mk IV 1970年~
 モデル 8 Mk V(プラスチック外装、パネルデザイン変更、レンジ 3/10/30/300/1000/3kV) 1972年~
 モデル 8 Mk VI(3kVの代わりに600V) 1984年~
 モデル 8 Mk VII 1992~2008、AVOの幕が降りる

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2023年に、100周年記念モデルは出るかな。

5台目のSimpsonが例の国から届いたが、ボロ過ぎて笑うしかない。ゴミとして捨てるのは勿体無いので、基板だけでも遊んでやろう。

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Simpson 260-3が50年代の製品。すでに整流素子としてダイオード1N87が採用されていた。プリント基板自体の品質はいまの中国製以下だが、当時としては画期的。アナログテスタは、少なくてもアメリカでは既にその時点に完成を迎えたといっていい。その後の後継機種をみても技術的進化はあまりない。50年代に日本にもアナログテスタはあったが、技術的に比べようもなかった。

抵抗器の配置や使われている抵抗器のサイズを見ていると、このタイプが最も美しいとすら感じるのが自分ひとりだけではなかろう。

半世紀以上を経っているので、抵抗器の精度はどうなっているのだろう。自分にとってはとっても興味あることなので、手持ちのデジタルテスタで測ってみた。真剣にやったわけではないことを断っておきたいし、個体ごとの差がものすごいかもしれないので、参考程度とみてほしい。ちなみに、巻線抵抗器以外はすべてイギリスPanclimatic社製、AVOmeterに使われている当時の抵抗器と色や形がそっくり。同じメーカーに抵抗器をつくってもらっていたか。

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低抵抗の巻線に対しては、テスタリード線の影響等があるので、それほどの問題とは思わない。しかし、数百k以上の高抵抗はやはり誤差が比較的に大きい。基板の質の問題もあろうし、経年劣化も考えられる。精度の高い高抵抗器はいまでも作ることが難しい。

断線した抵抗器R16は直径0.16mmのマンガニン線で巻き直した。作業が終え、実測したら、若干値が大きく11.8Ωになっている。抵抗レンジに使われる抵抗器なので、適当でも問題なかろう。

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保護ヒューズは取り外した。素人による半田付けのようだし、一部錆びていて接触不良を引き起こすことのほうが心配。過大負荷で壊れたら諦める。

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また、経年劣化のせいか、半田付けが甘くなっている箇所が多く、ひと通りやり直したら、それなりにSimpsonが動いた。ただ、メータの感度が約6%低下しているので、分解して再充磁をやらないと完動にはならない。

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本体、取説、元箱、テストリードで届けられた。製造時期は不明だが、取説の印刷時期は1978年6月なので、その頃の製品だと推測する。この機種は長い間作っていたようで、いまでも中国のパクリ品が出回っていて、小型テスタの完成形と思ってよさそう。ちなみに、後継機種 YX-361TRがまだ現行商品。

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感度はDC20k/V、AC8k/V、標準的。トランジスタのhfeが測れるが、別売りの測定コネクタを使い、回路的に変わったところはない。電池は単三2本および006P(9V)。

面白かったのは取説の解説。①目盛長が80mmもあること。JIS AA級相当と謳っている。でも測ってみたら、外側は確かにその通りだが、内側はしかし50mmにも満たしていない。②ガラスカバーを採用したとのこと。確かに、冬季の静電気を経験したら、プラスチックは使えないなぁとわかる。それがYEW3201の最大欠点でもある。

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内部をみたら、気になった箇所がいくつかある。①ヒューズホルダーらしきものが見られるが、保護ヒューズが採用されていないこと。②ロータリースイッチの内側に銀線が使われていること。プリント基板の耐久性を心配していたのかも。③少なくとも3種類の抵抗器が混在していること。高抵抗には従来の抵抗器(灰色)、低抵抗(数百Ω以下)には金属皮膜(オレンジ)、その中間値の抵抗にはカーボン(?)(カラー帯が付く)。カーボン抵抗には許容差を示す帯が見当たらない。

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全体的に欠点の少ない小型テスタ。大電流レンジがないところが残念か。

献体用として、メータ不動のSP-6Dをゲットした。ゼロΩ調整可変抵抗器は完動のようで、手術を待っていたSanwa k-20に移植して、一件落着。

残されたSP-6Dは、しかし、勿体無いし、メータの故障にも興味津々なので、分解してみた。

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外部端子とのリード線が中で外れただけだ。半田付けしたら動いた。当時のメータは感度が低いせいか、なかなか故障しない。

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このメータは当時のSanwa製テスタに多く採用されていて、いつかまた活用できる日が来るのだろう。

<a href=”/hobby/2012/01/sanwa-k-20.html—– EXTENDED BODY: