アナログテスタには、一般に大きなメータがあり、色々な目盛がそこに印刷されている。電圧・電流用、抵抗用等。

原理上、抵抗は電圧・電流と同じ目盛を利用することはありえない。オーム定理からも分かるように、一定の電圧を抵抗にかけると、流れる電流は抵抗の値と線形関係にならないからだ。

さらに、目盛をよく見ると、交流(あるいはその最小レンジ)が別目盛になっているアナログテスタがほとんど。というか、交流も直流も同じ目盛を使うものは見たことがないと思っていた。交流の最小レンジが別目盛になっていたり、交流と直流が完全に別目盛になっていたりするなど。

その理由はダイオードの非線形性にある。交流を直流に直す(整流という)には一般的にダイオードを使うが、低い電圧では、ダイオードの非線形性が顕著になるので、目盛も非整形にならざるをえない。

ここまではの話はいわゆる常識。しかし、その常識を破ったものは実在した。しかも自分の所有したものだった。びっくり。

さらにびっくりしたのは、その製品はアメリカ製でもなく、日本製ではなく、なんとバカにされてきた中国製だった。1977年につくられてきた MF-35型 が線形交流目盛を持っていた。

MF-35型はMF-18型、MF-10型と並んで、中国製アナログテスタの最高峰といわれているが、線形目盛になっているのはMF-35型のみ。

線形目盛だからといってなんなんだ、という意見もあるが、オリジナリティを尊重する立場、私はすごく感動したけど。

そのほかに、0.1Ωからの低抵抗が測れるのもMF-35のユニークなところ。

111029-2.jpg 111029-3.jpg 111029.jpg

日本製最高峰といわれている、横河電機の回路計 3201はいまでも新品で買えるのがありがたいが、非線形目盛をつかっている。

子供時代に憧れたものは、使わなくても大人になったら買うものだ。夢をもう一度、というやつかな。

自分のところにも、テスターは沢山あっても、中国製MF-35型を喜んで購入した。店員は勿論ビックリした。こんなものは個人が買わないだろうという顔をして。価格は455元。1994年末当時のことだった。

記憶は薄れているが、お店では最高級品のはず。革製収納ボックス付き、如何にも精密機器という感じ。でも、年数が経てば、ボックスの取手はボロボロ。

取説の印刷といい、テスターパネルのつくりや品質といい、日本横河電機製3201とは全く比べるものにならないが、測定器なにひとつなくラジオをつくっていた子供時代の憧れとして、墓場までもっていくもののひとつだろう。

110513-6.jpg 110513-7.jpg 110513-8.jpg