アナログテスタ Simpson 260-7M の調整(キャリブレーション)をやってみた。あくまでも自己流なので、参考程度にしてください。間違っている可能性は否定しない。

調整に役立つ資料は Simpson 260に関する資料の総本山 www.simpson260.comにある。今回の機種では、TB9-6625-2354-35 U.S. Army Technical Bulletin 2005 Issue が相当する。

その資料の、Table 11a(19ページ)~ Table 11e(21ページ)をまとめると、調整手続きが以下のようになると思われる。

1. 直流電流の調整(Table 11e)
 直流電流50μAレンジに入力として50μAを与え、半固定抵抗器 R1を調整する。
 直流電流1mAレンジに入力として1mAを与え、半固定抵抗器 R2を調整する。
 その他の直流電流レンジについては確認するのみで、調整することはない。つまり、どうしても調整したければ、抵抗器を取り換えるしかない。

2. 直流電圧の確認(Table 11b)
 調整することなく、確認のみが可。

3. 交流電圧の調整(Table 11c)
 交流電圧 2.5Vレンジに入力として 周波数60Hz / 実効値 2.5V を与え、半固定抵抗 R25 を調整する。
 交流電圧 250Vレンジに入力として 周波数60Hz / 実効値 250V を与え、半固定抵抗 R22 を調整する。
 その他の交流電圧レンジについては、確認するだけでOK。

4. 抵抗レンジの確認(Table 11d)
 こちらも確認するのみ。調整不可。

半固定抵抗器の場所は Figure 2(10ページ)に示されていると資料に書かれているが、自分がやったところでは、Figure 4(24 CHANGE 3ページ)が合っている。ただ、基本的な心構えとして、むやみに半固定抵抗を弄ることは厳禁。事前にデジカメでメモした上で、ちょっとだけ回し、指針の変動を確認する。指針が動かなければ直ちにやめて元の位置に戻す、といった配慮が不可欠。

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交流電圧源 250V は今回用意できなくて、R22を弄ることはしなかった。

調整した結果、各レンジとも大変精確になったようだ。1930年代以降、姿がほとんど変えずに製造してきた Simpson 260 の魅力を再確認した。

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またまたeBay経由のアメリカから。ただ、今回の売手は梱包がとても丁寧で、メッセージまで添えられている。輸送日数はまあまあかな。全体的に良品程度。決して美品とはいえないが、eBayでは程度の良い方だろう。

本体以外に、純正テストリード・クリップ(00043)、および取説、保証書の一部が付いている。

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1983年製。売手が80年代の購入と言っているし、抵抗器に83と印字していて、保証書に84/1/26という日付が書かれている。スイッチは一部が緑に変色していて、経年劣化の証拠だ。

メータはバランスが良い。Simpson3台のうち、2台は合、1台は否。他のメーカーよりは良いメータを使ったか、検査を厳しくしたからかな。メータカバーはガラス製、静電気に強い。この冬はとくに乾燥しているせいか、YEW 3201が静電気に弱く、使えなかった。

回路保護にヒューズ2本を使っている。電池室に置いてあり、裏蓋を開けなくても交換可能。内蔵電池は単1および006P角型9V。

チェックしたところ、誤差が多少大きくなっている。このうち調整しておこう。

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早速中を開けてみた。1997年1月製造のようだ。ロータリースイッチの周りに抵抗器が綺麗に並べられ、Simpson 260以上の美しさを見せている。F(1%)クラスの抵抗器もあるが、多くはD(0.5%)クラス。さすがに中国製MF35のような0.2%クラスの抵抗器は使えないけどね。

メータカバーはガラス製、静電気に強い。プリント基板がなく、ロータリースイッチ中心の構成。回路保護にヒューズ2本が使われている。調整用半固定抵抗器は1つのみ。Simpson 260に比べ、長期間にわたる性能維持に不利かもしれない。

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やっと届いた。Digi-key等は3日間前後だったが、今回は長かった。格差がすごい。

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本体以外に、テストリード、バッテリー単1と積層30V、および元箱がついている。

新品との説明だが、やはりそれはアメリカ人の感覚。自分では美品としか認識できない。それでも苦労して手に入れたので大事にしていきたい。

チェックした範囲ではとても精確。Simpson 260以上とのスペックなので、嘘ではない。ただ、メータのバランスはいまいち、自分の感覚ではよくある不良品の部類。360度、どんなに回転しても、ゼロからの指針のズレは1目盛以内。極めて明快で実用的な指標を、なんでほとんどのメーカーが公表しないんだろう。1目盛はTiplett 630のケースでは、許容差1.7%にあたり、決して厳しい指標ではない、許容差1.5%と高性能を謳っている以上、バランスだけで1.7%以上のズレがあってはいけないと思う。

航空機にもアナログ系の計測器があるはずだが、それらのメータのバランスはどうなっているんだろう。水平飛行の姿勢でしか見てはいけない?航空機専用のメータがあるのなら、最高級アナログテスタにも載せてほしい。

さて、残りは最後の大物、AVO meter。すでに製造中止のようだし、イギリスなので、程度の良い物をゲットするには Triplett 以上に苦労するのだろう。

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取説書(回路図入)

Simpson 260を手に入れたので、もうひとつの雄であるTriplett 630の入手を当然考えている。しかし、それはそう簡単ではなかった。

Amazon.comでは売っているが、海外輸出はしない。Digi-KeyでもMouserでも販売品にならない。そうなるとeBayあたりのの個人輸出を期待するわけだが、①カメラと違って、海外発送の売り手が大変少ないし、②物を丁寧に扱う文化はアメリカにはあまりないようで、日本では想像できないような傷だらかのゴミが多い。さらに、③子供みたいに、ライセンス番号や保険番号かなにかをやたらに彫ったりする。つまり、程度の良い美品をeBayで買おうとしたらそれなりの覚悟が必要。

それでもなんとか新品同様の物が買えそう。直接やり取りして海外発送をお願いしたが、到着までは安心できない。

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中を開けてみた。従来と違う抵抗器が使われていて、コスト削減が図られたようだ。個人的には従来のものが好きなので、残念だ。

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新品のシンプソン 260-8 が到着。発泡スチロールに包まれた本体以外に、テストリード、クリップアダプタ、電池、取説がついている。

早速チェックしたところ、メータのバランスがとても良く、嬉しい。水平において使えばいいじゃないかという意見もあろうが、水平で使えない環境だってあるし、バランスの良いメータをみて初めて合格品と認めるといった子供時代からの刷り込みなので、どうしても拘ってしまう。余談だが、機械式腕時計も置く向きによって誤差が違ってくるが、360度どんな向きでも誤差ゼロ秒に拘る心境と同じかも。

メータカバーがガラス製のもグッド。プラスチックだといまの季節では使えないことがある。すぐ静電気を帯びて指針がとんでもないところで止まってしまうから。傷につよく、破損したら自分でも直せるなどのメリットが多いのに、なんでプラスチック一色になったんだろう。

手持ちの関係で10Vの電圧のみをかけたが、指針の動きが260-6XLP以上だ。低感度の50μAメータだからできたことだと思う。

内部を開ける作業は明日以降にしよう。

Digi-keyと違うところに発注したが、2回ともアラスカ経由で日本に入ってくる。そんな輸送ルートができているのか。小さい航空機でバケツリレー方式。

新品のアナログテスタといえば、昨年にはサンワ EM-7000を購入したが、指針の動きの遅さにびっくりだった。

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自分にとっては、初のアメリカ製アナログテスタ。260-6XLPは特徴的なのが、四角いに変わった外観と、機能的にローパワーで抵抗測定することだ。

伝統的に260は丸い角をしていて、直角は当時新鮮だったかもしれない。ただ、いまはどうせ売れないので、伝統に復帰して丸い角の外観に戻った。抵抗測定用のローパワーは開放電圧が0.1V。ダイオードやトランジスタを導通させないで抵抗測定ができるので、当時ではもてはやされていたのかもしれない。それもいまのデジタル時代では大した機能ではなくなったので、回路の複雑性を考えると後継機種では取りやめになっている。

DCVの内部抵抗は20kΩ/V、ACVは5kΩ/V。日本製に比べて低いと見る向きもあろう。ただ、YEW 3201はメータのレスポンスがそれほどよくなく、バランスも手持ち3台のうち2台が不良品(自己判定だが)といった技術的なことを総合して考えれば、感度50μA程度のメータに拘ったSimpsonの哲学に理解できないことではない。指針が気持ちよく動く。それを最大のウリにしているのは260だ。

電源は単1一本、および 066P角型9V。電池専用の仕切りスペースがあり、液漏れによる腐食を避ける構造になっている。

AC/DC切り替えSWがあることは260の伝統だが、他のテスタに比べてACVレンジが細かい。つまり、1VだけはDCV専用だが、他のレンジはDCV、ACV共用になっている。

リレーによる保護機構が内蔵されている。日置 5005にも似た機構がある。どっちかがパクったんだろう。

内部は真面目に作られたことが印象的。抵抗器は許容差1%(F)のものが使われている。多くの抵抗器は型番がRN60D、DALE製。80XX等4桁の数字が抵抗器に印字されていて、製造年のことかもしれない。また、リレー保護回路のために、トランジスタが3本も使われたことにびっくり。アナログテスタにトランジスタ、そんな組み合わせはやはり長続きしない?

この個体だけかもしれないが、80年代の製品にしては精度がとても高い。DC/ACの切り替えSWはきつめ、安心感がある。Ωゼロ調整ボリュームはきつめ、高級品の証拠か。ロータリーSWはしかし、自分の感覚ではちょっと軽い気がする。Sanwaのほうが気持ち良い。内部の機構をみてみたら、強弱の調整ができるようにも見えるが、壊すといけないので、そのままにする。

アメリカ一の260と日本一の3201はどっちがいいだろう。①メータのレスポンスに関しては間違いなく260の勝ち。②精度は五分五分、どちらもDCでは2%、ACでは3%(中国製に負けているところが残念)。③見た目の良さでは、外観については好みによるが、内部では間違いなく260の勝ち。プリント基板だけの3201を見て工芸品と思うひとはいないだろう。④内部抵抗は3201が高いので、原理的に電圧をより精確に測定できる。⑤円高のいま、260のほうが3201の約半値で買えるので、余裕があれば両方所有して損することはないと思う。

ちなみに、260のマニュアルも回路図もほとんどネットからダウンロードできる。また新品で買える260およびその兄弟たちは、160, 260-6XLM, 260-6XLPM, 260-8, 260-8P, 260-8Xi, 160-8Xpi, 270-5, 270-5RT, 260-9, 260-9SP ぐらいか。260-6および270-5は在庫処分品かも。260-8は現行品。270は精度がさらにいいらしい。

260ファンなら、最低、260-6, 260-8, 270-5の3台は外せないのかな。

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