付属のバネ式スピーカー端子は経年劣化と荒い使い方によって、弱々しくなっていた。その端子までのリード線も1mm程度の太さで、今流行の5mm以上も太いスピーカーケーブルからみるとおもちゃレベル。

ただ、リード線の取替はめんどくさいので、手軽にできるスピーカー端子台の改造だけを今回試みた。

手元にあった基板を切り、穴を開け、秋月電子から仕入れたジョンソンターミナル4つをつけて終わり。基板を黒で塗装すればもっと見栄えがよくなるので、いつか固定ネジを含め、塗装しなおすかもしれない。

これでやっとTA-4650の整備が終了。日立製VFETアンプに比べ、回路が簡単な分、高音が随分綺麗に聞こえた。長く愛用すべき一台。

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1週間かけて整備してきたSony TA-4650について測定した。プリアンプ部には興味がなく、メインアンプ部のみが測定対象。

<残留ノイズ>
メインアンプの入力をショートさせて、出力であるスピーカ端子に6Ωダミー抵抗器を繋ぎ、そのダミー抵抗器両端の電圧をAC電圧計で測った。

測定結果は、Lchが0.06mV, Rchが0.05mV だった。真空管アンプでない本機に測定自体は無意味かもしれない。

<周波数特性>
オシロの内蔵正弦波信号をメインアンプの入力に与え、出力であるスピーカ端子に6Ωダミー抵抗器を繋ぎ、そのダミー抵抗器両端の電圧が2.45Vrms(入力周波数1kHz時)になるように、入力信号のレベルを調整した。

つぎに、入力信号の周波数を1Hzから500kHzまで変化させて、その間の1, 2, 5, 7 (たとえば、10, 20, 50, 70や、1k, 2k, 50k, 70k)のところの出力電圧を記録した。なお、出力電圧の値はオシロのAC RMS表示による。

Rchに対して、上述した測定を行い、その結果は下記に示す。

131123.png英語版取説によると、メインアンプ部の周波数特性は1W出力において、2Hz~100kHz (+0~-2dB) となっていた。測定結果はそれを裏付けている。また、方形波100Hz, 1kH, 10kHに対するレスポンスは以下の通り。

131123-1.png131123-2.png131123-3.pngなお、入力の160mVppに対して、出力が2.63Vppになっていることから、メインアンプ部の増幅率は約16.4倍と結論づけられる。その値は、NFループの抵抗比 R312 (=R362=56kΩ)/ R306 (=R356=3.3kΩ)=17とほぼ一致する。

Lchの周波数特性は以下の通り。Rchとほとんど変わらなかった。

131123-5.png本日土曜の午後、それなりの大音量で3時間以上聴いた。気持ちいい。昨年の今頃はLo-D HA-500Fと格闘していた。来年の今頃に3台目のVFET機が来るか。欲しいのはヤマハB1~B3だけど。

フロントパネルが前に倒せるという噂を聞いて、予定のない他の基板についても整備することにした。

底カバーとの連結用固定ネジ2本、両サイドの固定ネジ2本を外し、回転軸のネジを少し緩めると、フロントパネルは簡単に前に約90度倒すことができた。素晴らしい。ツマミすら外す必要がないのだ。

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フロントパネルの裏には、基板A~Eが付いている。

A基板は Phono増幅用、トランジスタ2本、V-FET2本、ケミコン8本がついてる。回路図では、C105, C156がフィルム0.22uF/100Vとなっているが、本個体では3.3uF/160Vのオーディオ用ケミコンに変わっている。基板には、ケミコンと同じサイズの円とマイナス符号がシルク印刷されていて、出荷当初から、そうなっていたことと確信できよう。つまり、異なるバージョン(海外輸出用か改良版)のTA-4650が存在していたのかもしれない。そうすると、電源部基板(G基板)の+B3電圧は、回路図に書かれている78Vではなく、100Vだったのかもしれない。

しかし、LPはまだ数枚どこかにしまっているが、レコードプレーヤは持ってないし、買うつもりもない。近くのジャンク屋さんに行ったら、昨年にも増して、レコードが山積みされている。天国に逝ったお爺さんたちの遺品がどんどん増えているようだ。ということで、A基板の整備はパス。なお、貴重なV-FET 2SK63はいつか使うことを考えて、+B3電源ケーブルを外しておいた。

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つぎはB基板。トランジスタ2本、FET2本、ケミコン3本がついている。半田付け作業に必要なスペースがほとんど残っていないので、ケミコン3本の交換だけを行った。その内のカプコン2本はオーディオ用。

C基板、E基板は抵抗器とフィルムコンデンサだけのようで、整備しない。

最後はD基板。B基板と似たような構成。TR2本、FET2本、ケミコン5本。TRとFETをひとつずつ取り外し、腐食した黒い足を綺麗にし、テスタで動作確認。不良品はなかったし、hfeは330と良く揃っている。ケミコン5本は交換、うちの2本はオーディオ用。

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基板B~Dの回路をまとめてみると、それといった特徴はない。FETもとTRも汎用品のようだ。

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なお、交換したケミコン(電源部、メインアンプ部、今回のプリアンプ部を含め)について、Agilent製LCRメータで、容量、ESR、位相角の3項目を測定した限り、不良品はひとつもなかった。70年代後半のオーディオ製品は質が高いと感じた。整備のしやすさ、回路の分かりやすさから、捨て値で集められそうなその時代のアンプを改造のベース機にしても良さそう。

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メインアンプ部(F基板)はRchがバイアス調整できないという問題を抱えている。幸い、回路図を含めたサービスマニュアルがネットから入手できた。

V-FETを付けたままでの点検調整は怖いので、V-FETを放熱器から降ろした。なお、降ろした後は、F基板をM3のプラスチックネジを使って放熱器に固定。TO-3ソケットと放熱器との絶縁を保つには、プラスチックネジが一番。

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回路図を参考にしながら、各部の電圧を測った。大きなズレはなかった。しかし、バイアス電圧は相変わらず調整不能。

131119-4.png131119-2.pdf

ダイオード D352 (VD-1221M) が悪さしているのかな、と疑い、1S1588 を2つ直列接続して代用してみたが、それも外れ。

131119-5.jpg最後の可能性として、トランジスタ Q357 (2SC926A) か Q359 (2SA639S) の不良が考えられる。個々のトランジスタを取り外して測ったところ、片方のhfeが50台だったのを覚えている。

それぞれのトランジスタの仕様は以下のとおり。高耐圧というのが特徴。±90Vがかかる可能性があるから、確かに180V以上の耐圧だと安心する。

品名: 2SC926A
材料: Si
種類: NPN
コレクタ損失 (Pc): 0.32
コレクタ・ベース間電圧 (Ucb): 210
コレクタ・エミッタ間電圧 (Uce): 210
エミッタ・ベース間電圧 (Ueb): 5
コレクタ電流(直流) (Ic): 0.03
接合部温度 (Tj): 125
利得帯域幅積 (ft): 55
出力容量 (Cc), pF: 4
直流電流増幅率 (hfe): 30
パッケージ: U29-1

品名: 2SA639S
材料: Si
種類: PNP
コレクタ損失 (Pc): 0.25
コレクタ・ベース間電圧 (Ucb): 180
コレクタ・エミッタ間電圧 (Uce): 180
エミッタ・ベース間電圧 (Ueb): 5
コレクタ電流(直流) (Ic): 0.05
接合部温度 (Tj): 125
利得帯域幅積 (ft): 50
出力容量 (Cc), pF: 7
直流電流増幅率 (hfe): 100
パッケージ: TO92

どちらのトランジスタも入手困難。ネットで見かけた代用品リスト(下記)によると、BF422 / BF423 というペアなら行けそうだが、それも入手困難。

TA-4650
Q202,252,204,254: 2SA705 = BC556B
Q301,351: 2SA678 = 2SA1015
Q302,352,303,353: 2SA705 = BC556B (match those by HFE, for offset)
Q304,354: 2SC926A = BF422
Q305,355: 2SC634A = 2SC1815
Q306,356: 2SA678 = 2SA1015
Q307,357: 2SC926A = BF422
Q308,358: 2SA840 = 2SA1013 (complementary to 2SC2383)
Q309,359: 2SA639S = BF423
Q310,360: 2SC1670 = 2SC2383
Q401: 2SC634A = 2SC1815
Q402,403: 2SC1124 = 2SD667
Q404: 2SC634A = 2SC1815
Q405: 2SA678 = 2SA1015
Q406: 2SC634A = 2SC1815
Q407,408: 2SA678 = 2SA1015
Q409,410: 2SC926A = BF422

手持ちのトランジスタから、耐圧120Vの 2SA970GR / 2SC2240GR ペア(hfe=300)で代用してみた。

すると、バイアス電圧が調整できるようになった。ただ、半可変抵抗が最大ギリギリのところに最適値がくるようで、まだバイアス電圧が足りないと感じた。ということで取りあえず、ダイオードD351(=1S1555)を2つの1S1588で代用して、実測で調整することにした。

そのほかに、ケミコンを全数交換した。そのうち、入力段 10uF/16V とNFループ 47uF/10V (LRch計4つ)をオーディオ用 Fine Gold にし、0.47uF/50V をフィルムにした。

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グリスを塗りなおしたV-FETをマウントして慎重に通電し、異音や異臭のないことを確認してから、LRchのバイアス電圧を75mVに調整。その時のオフセットは -24mV / 12mV、問題無いだろう。

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最後にスピーカを接続して聴いた。1時間経っても問題なく、ヒントシンクがほんの少ししか温まらず、30度前後か。メインアンプ部の整備はこれでOK。

結局、今回Rchがバイアス調整不可の原因はよく分からなかった。トランジスタの2つが必ずしも不良とはいえず、バイアス関連のダイオードD351を1S15882つで代用するだけで直ったのかもしれない。不思議な症状だ。

残りの一大仕事はスピーカ端子の交換。付属のものは弱々しく、どうしょうもないレベル。

データシートをネット上探してみたが、年代が古かったか、見当たらなかった。その代わりに、2SJ18 / 2SK60 の交換に関するメモ (Memo-2SJ18-2SK60.pdf) が見つかった。こちらも英語版しかなかった。

131117.png曰く、動作品であれば、電極のソースS とドレインD との抵抗値をアナログテスタのx1Ωレンジで測ると1~2Ωになるはずとのこと。

アンプTA-4650のRchはバイアス電圧がおかしい原因はまだ分からないが、V-FETの不良を排除するためには、V-FETをきちんと測るべきだと考えていた。2SJ29 / 2SK89 を測定した経験から、大掛かりの作業ではないことが分かっているが、そこまでやる情熱はなくなっている。

テスタで測るだけの作業なら数分で終わるから、やってみた。アナログテスタは山ほど集めているが、冬の季節ではガラス窓のやつしか信用しないので、中国製MF500 を使用。感度がスタンダードの20kΩ/V、上記のSonyメモが想定した機種と同一の可能性が高いことも選んだ理由のひとつ。

結果、V-FETは4つともSD間抵抗値が約2Ω、多少安心した。

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注文品が到着したので、電源部基板(G基板)のケミコン12個をすべて交換した。100uF/100Vを 100uF/200V (両者は同一直径)、3.3uF/100Vを 4.7uF/100V に。ほかの耐圧50V以下ものは手持ちで済んだ。

基板を支える大容量平滑ケミコン 4700uF/50V の2個は構造が特殊なため、交換しなかった。必要なら、基板上のスペースを利用して、後日新しいケミコンを並列接続して容量アップを図るかもしれない。

131116-2.jpg131116-3.jpgさて、電源を入れ、各部電圧を測った。メインアンプ部への供給電圧は±45V、±90Vとなっている。後者のほうが75Vより随分高いが、負荷があれば下がるので問題ないとみた。

しかし、A基板への供給電圧+B3は120Vになっているので、びっくり。トランジスタの耐圧は140V以上だし、ケミコン100uFも耐圧200Vものにしたので、パーツへのダメージはないと思うが、原因を追求した。

131116-5.png抵抗器R409=82kΩがオープンになってしまったことだった。両端にかかる電圧が100Vに近いこと、手持ちの抵抗器が恐らく1/4Wであることを考慮して、33kΩを2つ直列接続して代用した。

82kΩにしなかった理由は、計算したら82kΩではなく、62kΩにすべきだったから。自分の理解を超えた設計は流石に天下のSonyだ。

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これで、やっと+B3電圧が82Vに下がった。78Vよりは高いが、まあ、問題ないだろう。なお、D基板への+B4電圧はほぼ20V、数日前の調整時と変わらない。

電源部はこれでOKのはず。交換前よりはケミコンの色が地味になったし、高さも低くなったが、及第点を付けたい。

本日は遅くなったので、メインアンプ基板の整備は明日かな。忙しくなければの話だけど。

Rchはバイアス電圧が効かないので、問題箇所を調べてみた。

まずは Lo電圧の抵抗計で抵抗器の抵抗値を測った。残念だが、不良の抵抗器は見当たらなかった。

つぎに、半田吸引器をつかって、トランジスタを一つひとつ外し、秋月電子から入手したトランジスタ・テスタで測った。TA-4650のメインアンプ基板では、各パーツは足が折られず、そのまま半田付けされているので、取り外しが簡単。測定後、トランジスタの各足に付いている黒腐食をナイフできれいに除去して、また基板に戻した。こちらの作業をやっても、不良になりそうなトランジスタは見つからなかった。初段トランジスタペアはhfeが135に揃っている以外に、他のトランジスタはペアとして揃っていないというところは気になるが、バイアスまで影響するとは考えにくい。

残る方法は電源電圧をかけ、回路図をトレースして、電圧を測り、解析していくというもの。昨日注文したケミコン47uF/50V, 100uF/200Vが届いたら交換して、トレース作業に入りたい。

下の写真では、ケミコンのほとんどがすでに交換済。抵抗器の誤差帯は直立が下、横置が下か左側に揃っているところはSonyブランドの品質か、ちょっと感動した。

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ケミコンの交換やメインアンプ部の調整のために、基板を下ろすことにした。当面、電源部基板(G基板)とメインアンプ部基板(F基板)だけを整備対象に考えている。プリアンプや他の部分は自分としてほとんど興味ない。動いていればそのままの状態にしておく。

V-FET4つを取り外したうえで、コネクタ3つ、固定ネジ3本を外すと、半田作業せず、メインアンプ基板を簡単に外すことができた。整備性が大変良い。

V-FETはランクがともに54。若干の腐食がケース上に見られている。出荷当時のオリジナルで間違いない。

131115.jpg131115-1.jpg131115-2.jpg131115-3.jpgしかし、電源部基板はコネクタ以外に、半田づけされたリード線が数本あり、完全に外すことはできなかった。基板の裏からケミコンを交換するには問題ないが。

大容量平滑ケミコンが電源部基板の固定にも活用されているデザインは面白い。2本しかなく、それぞれの容量が4700uFと少ないところが、コストか上位機種との差別化による制約だっただろう。1~2万uFに増強していいかも。

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サービスマニュアルをネットからゲット。日本語版は見当たらないのが残念。

Sony V-FET Amplifier Service Manual Download –>  sony-TA4650-ServiceManual.pdf

それに従って、調整をやってみた。3箇所のみなので、すぐに終わったが。

まずは電源部の出力電圧。20Vとの指示だが、精確に合っていて、確認のみに留まった。

131114.jpgつぎはメインアンプ部のバイアス電圧調整。Lchは75mVからズレているので、75mVに調整。ぴったし設定しても動いてしまうので、適当でよし。

131114-1.jpgしかし、Rchは調整不能。ゼロのままだ。どこか故障しているかもしれない。

131114-2.jpgスピーカ端子のオフセットを再度測ってみたら、ゼロから大きくズレていない。スピーカを繋ぐのが面倒なので、入力AUX1にPCから音楽を与えて、スピーカの代わりにヘッドホンで聴くことにした。

Rchのボリュームガリが多少大きい気がする。BASS、TREBLEの調整はとくに問題ない。

ということで、メインアンプのRchを何とかしないといけない。

明るいベランダに運び出し、ケースを開け、内部撮影。自分にとって大事な記録なので、なるべく大きなサイズで残す。

配線はLo-D HA-500Fと比べて断然綺麗。電源部、メインアンプ部、Toneコントロール部、プリアンプ部に綺麗に分かれていて、整備しやすい。数カ月前に内部を綺麗にクリーニングしたので、ホコリもない。

調べたところ、ケミコン等のパーツは出荷当時のままのようだ。自分で交換するのはそれほど躊躇しないが、弄られたものは好きじゃない。こういう変態思考が自分にある。

VFET4つは裏にある。

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