半年間、アナログマルチテスターを沢山手に入れて、あれこれ楽しんでいる。良し悪しが一概にいえないものの、評価すべき項目はきちんとしている。たとえば、精度。精確な電圧や電流を正しく表示してくれるか、抵抗器の値を正しく表示してくれるか。指針からの値の読み取りに若干の個人差が認められるが、フルスケール付近では1%のズレなら誰もが分かるものだ。たとえば、重量バランス。水平に置いて使えとはいうものの、良いテスターとは縦にしてもそれほどの誤差は出ない。たとえば、回路保護機能の有無。実際にテストすることは危険だが、保護回路が内蔵されているかどうか、目で確認できる。たとえば、スイッチやボリューム等可動部の感触。個人差はあるものの、やはり評価はある程度可能だろう。

しかし、オーディオとなると、優劣の評価は極めて難しい。原音にどれほど近く再生できるか、そう聴けばいいと考えるかもしれないが、音の再生には、音源、プレーヤ、アンプ、スピーカ、どれも欠かせない。機器間の相性というものがあり、とくにアンプとスピーカとの相性は著しい。

さらに、問題を難しくしているのは、聴覚の個人差。また、同じひとでも、健康状態によって、天気によって、年齢によって、耳が聴こえる音や聞き分け能力が異なってくる。他人の耳にどう聴こえるかは客観的に判断できるデータが少なく、多くはそのひとの言葉に頼っている。つまり、音の聴こえを客観的に評価する手法はまだまだ模索段階にあろう。

ブラインドテストという手法で評価することがよくある。沢山のオーディオ機器を個人が所有することは難しいが、代わりに、出版社やお店がやっている。ありのまま結果を公表すればいいが、実際にはビジネスと結びついているので、そう多くは公表しない。

まあ、聴くのは自分なんだから、自分が満足すればそれがいい。そう割りきってオーディオを楽しむのも個人の自由だろう。商品にしたいメーカーにはない特権でもある。

さて、LM3886について、いろいろ調べていくうちに、評価が両極端に分かれていることが分かってきた。ゴミと言い切るひとや最高級と絶賛するひと。日本ではまだ評価するほうだが、言論の自由がないといわれている中国では否定する声が不思議に多い。

もうひとつ気になったのは、中国ではLM3886にはプリアンプが絶対必要だという意見が多いこと。単純であればあるほどよく、余計なパーツをなるべく無くしたいというのは自分のいままでのアンプに対する考え方だが、それを否定する声なので、とても驚いている。こういう意見は日本では残念ながらあまり聞かない。

自分にとっての「真相」を究明するためには、手を抜かないで最善を尽くして完成させたい。それでもダメなら諦める。電源周りやケースは他のアンプづくりにも流用できるので、LM3886およびその周辺回路は数千円の投資で済むし。

ついでに、自作したデジタルアンプTA2020についての個人評価を書くと、省エネでは大いに評価できるが、90年代に自作したFETアンプには残念ながら負けている。デジアンプはまだ発展途上と認識した。

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主役LM3886の登場。2つ合わせてもデジアンTA2020のほうが大きい。

さて、考えているアンプの回路図を適当に書いてみた。

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<狙い目>
1.パラレル接続
 パワー的には必要ないかもしれないが、FETアンプがすでに作ってあるし、ICでないと難しいアンプを作りたいので、敢えてつくることにした。2枚のLM3886を別々のトランス電源でトライブするので、計算上200Wになるはず。

2.反転増幅
 非反転増幅でLM3886を使う例が大多数だが、安定性を考慮して、反転増幅で使ってみる。

3.前段オペアンプ(FETがよりよいか)
 反転増幅だし、パラレル接続なので、入力インピーダンスが見かけ上500Ωしかない。それをドライブするのに、どうしても前段オペアンプが必要になってくる。でもインピーダンスのマッチングを取るなら、FETでもできそう。

4.カップリングコンデンサを採用
 嫌だけど、USB-DACの出力にはDCオフセットが含まれるので、コンデンサC1を入力段に追加せざるをえない。HPFになるが、質のいいコンデンサの入手性で容量を2.2uFにし、R1の抵抗値を20kにした。

5.DCオフセットの低減
 パラレル接続なので、DCオフセットを無くしたいところ。かといって、複雑なDCサーボ回路は使いたくない。ネット上にVR1の追加で低減に成功したことが報告されていて、パクった。

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アンプLM3886の設計(いや、ただのパクリだろうけど)がまだ終わってないのに、電源トランスが届いた。急ぎすぎたと思われるかもしれないが、LM3886のスペックから考えたら、最良のものはこれしかないと何度も確認してからの選択だった。

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<仕様>
  RSコード  671-9173
  VA定格   225
  1次電圧  2 x 115V ac
  2次電圧  (定格時)2 x 25V ac、(無負荷時)2 x 27.12V ac
  2次電流  4.5A
  1次DC抵抗 約 2 x 4Ω
  2次DC抵抗 2 x 0.2155Ω
  重量    1.92kg
  サイズ   高さ50 x 直径120mm
  製造国   インド

2次電圧は仕様上25ACVだが、1次電圧として日本では100ACVを使うので、2次電圧は実質21.7ACVになり、整流ダイオードの電圧降下や平滑コンデンサによって、最終的に31DCV前後になる。

一方、インピーダンス6Ωのスピーカを実効値3Aの電流でドライブしたい。最大値に換算すると、4.2Aとなる。その辺の電流がこのトランスの限界だと思う。

最大電流4.2Aでは、対応する最大電圧が25Vになり、電源電圧31DCVでなんとかカバーできそう。

同価格の225VAクラストロイダルトランスに2次電圧が30Vのもあるが、2次電流が3.75Aと少ないので、電圧の限界が来る前に電流の限界がくることから、バランスを考えると注文したものがいいと判断したわけだ。

今回のアンプは恐らくパラレル接続になると思う。片チャネルにLM38862枚を使い、1枚のLM3886を1台のトランスでドライブする。スピーカを流す電流の実効値が6Aとなれば、連続で得られる出力パワーは約200W、左右両チャネル合わせると約400Wとなるはず。

さて、2次コイルのDC抵抗を測ってみたら、ほぼ仕様通りになっている。インド製で多少心配だが、コストパホーマンスには満足。

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LM3886を活用した製作例はネット上に数多く披露されているが、基本的には以下の数種類に分けられるかと思っている。

<基本回路のまま>
 LM3886を非反転アンプとして使う。反転アンプだと、安定するメリットがある一方、信号ラインにNFB用コンデンサが入ってしまうので、嫌うひとが多いようだ。

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<BTL、ブリッジ接続>
 LM38862つを理想のOPアンプと見立てて、片方を非反転アンプとして、もう片方を反転アンプとして使い、出力電圧を倍増させる方法。振幅は同一、位相だけを180度にずらすことが要求されるので、精密抵抗や精密コンデンサ等が不可欠。自分の感覚では相当厳しいと見た。

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<パラレル接続>
 LM38862つをともに非反転アンプとして使い、出力電流を倍増させる方法。同一振幅、同一位相が要求される。製作の難度はBTLよりも幾分易しくなろう。

LM3886の数を3つや4つに増やしても可。

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<DCサーボ>
 LM3886のDCオフセットを無くす手法。僅かなオフセットでも、約20倍に増幅されるとスピーカに悪影響を与えるから。

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上のものを混ぜて、片チャネルにLM3886を8つ(クワッドパラレルBTL)、左右チャネル合わせると全部で16つを採用した製作例も報告されている。出力電流が4倍、電圧が2倍になっているので、計算上出力パワーは64倍に達する。LM38861つが40Wとしても、2500Wものパワーアンプになってしまう。そのパワーに耐えうるスピーカってあるのだろうか。

FETやトランジスタだけでそこまで巨大なアンプをつくるのは個人に無理な話。そう考えれば、ICのメリットはやはり大といわざるをえない。

90年代にアンプをつくるのに、情報が少なく、パーツを買うのも大変だった。比べていまはネットのお陰で、欲しいパーツが格安手に入るようになった。プリント基板は自作しようとも考えてたが、調べたら良さそうなものがeBayにあった。異なるレイアウトのものが数種類もあり、その中から自分の構想にあうものを選ぶといいかも。

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上記の基板は両面だけど、重なる箇所がすくなく、改造に問題なさそう。GNDについても両面をうまく使い、1点で繋がるようにしている。

デジアンTA2020ができたばかりだが、とても省エネで大満足。集合住宅に住んでいて、小音量で聴いているが、消費電流はなんと70mAしかない。そのうちの10mAはLEDが消費してて、実質60mA台。節電の夏には打って付けのアンプだ。

しかし、聴いているうちに、夢が膨らみ、評判のLM3886にも興味津々になってきた。周辺パーツの数なら、TA2020よりも少なくて済みそう。ただ、最軽量で済んだデジアンに対し、今度はゴージャスなものにしたい。

まず、左右チャネルを完全に分離したい。別々につくることだ。増幅度は2本の抵抗器で決まるので、左右のバランスを気にする必要はなさそう。スピーカの直ぐ側にアンプが置けるので、スピーカケーブルによる音質低下や発振等の心配がなくなる。

また、安価はトロイダルトランスが販売中というのもいい話。225VAクラスのトランスで片チャネルなら、なんとかドライブできそう。つまり、入力が最大1Vとすると、21倍の増幅度では約21Vの最大出力電圧になる。スピーカのインピーダンスを6Ωとすれば、最大パワーは74W、最大電流は3.5Aになる。2次が25V/4.5Aのトロイダルトランスが良さそう。アンプは電源がすべて。それが解決できれば、うまくいく可能性が断然高くなる。

ということで、長丁場になるかもしれないが、3台目のアンプを構想中。いつか真空管アンプを作りたいとずっと考えているが、きっかけはさっぱり無い。

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多くの音楽ソフトはすでにMacBook Proに入れてあるし、MBPにDVDドライブも付いてて、当面音楽再生専用にする。

音楽再生ソフトとしては、iTunesが有名だが、有料ソフト Audirvana Plus がさらに素晴らしいという噂。15日間の試し期間を利用して、早速ダウンロードして聴いてみた。

iTunesをいまのまま使い、音楽再生だけはAudirvana Plusがやってくれている。大変便利。音質は勿論iTunesを凌ぐ。購入する気になってきた。

1ヶ月半かかったが、PCオーディオが一応完成した。ただ、USB-DACに関してはまだ不満が多く残っている。

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朝からUSB-DACをチェックしている。PCから テスト信号発生ソフトWaveGene により、正弦波や矩形波を発生させ、オシロでDACの出力波形を確認するという手法。

電源5Vおよび3.3Vをまず確認したところ、約6mVのノイズが乗っかてる。ケミコン2000uFをつけてもノイズの低減に貢献しないことから、DAC ICの内部から発生したものと推測した。

矩形波の応答は極めて悪い。1kHzに対してはまあまあだが、5kHzでは既に破綻しはじめ、10kHzに至っては話にならない。低価格なので、その辺は限界かもしれない。

ということで、今回の2704は決して満足のできるDACではない。模索の旅は続く。

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秋月DACキットには、Ti/BB社のPCM2704というICを使っている。そのデータシートを読まないと話が始まらないので、勉強しているところ。

<PCM2704(一部は代表値)>
 USB1.1とコンパチブル
 バスパワー or セルフパワー(キットではバスパワー)
 サンプリングレート:32, 44.1, 48kHz
 16ビットΔ-ΣステレオDAC
 THD+N:0.006%(RL > 10kΩ、セルフパワー)、0.025%(RL=32Ω)
 ダイナミックレンジ:98dB
 S/N比:98dB
 チャネルセパレーション:70dB
 オーディオ出力電圧:0.5xVccp = 0.5×3.3 = 1.65V
 負荷インピーダンス:(ライン)10kΩ、(イヤホン)32Ω
 消費電力 12mW(RL=32Ω)

高調波歪みの低減には、セルフパワーや、負荷の軽減が有効策のようだ。

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手軽だし、パーツを自分で取り替えることがある程度可能な USB-DAC として、取り敢えず秋月電子のキットを選んだ。予想はしていたが、実物をみたらやはりサイズが小さいと落胆。

使い捨てならいいかもしれないが、パーツを取替えたり、機能モジュールを追加したり、個人が楽しむには、このサイズじゃ相当厳しい。

ハンダ付けする部分は少ないが、数時間をかけて完成した。

ケミコンC11, C14, C17をOSコンに、C16を10uF積セラに変えた。スペースがなく、これ以上の変更は自分には厳しい。キット付属のC3, C4は質の問題もあり、不採用にした。また、カップリングコンデンサのC5, C6も不採用。デジアンに同じ役割のコンデンサが入力段についているから。RCAジャックは金メッキではなく、躊躇していたが、いいやという気持ちでつけた(手持ちがないし、再注文も面倒)。

キット付属品から使ったのは、金属皮膜抵抗4本、クリスタル発振子、およびRCAジャック。

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PCとUSBケーブルで繋ぎ、デジアンとRCAケーブルで繋いだら、PCにドライバが自動的に追加され、再生デバイスUSB Audio DACとして難なく認識された。PCの音量をほぼ最小に絞っても結構大きな音がスピーカから流れてくる。細かな調整は週末にやろう。