JLHアンプづくりに着手してから1週間たったが、まだ決まらないのが放熱器。しかし、それが定まらないと、ケースも決まらず、電源部基板のサイズも決まらない。

手持ちのものにTO-3用放熱器はないか、と探したら、付いている機械が出てきた。ひとつは90年代につくったFETアンプ。15x10x5cmと当時では一般的なサイズ。高さが10cmなので、それ以上の高さのケースが必要。

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もうひとつは直流電源に付いている。10x15x3cm。高さが15cm。高さと薄さで今回のアンプにはちょっと厳しい。

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FETアンプのと同じものが良いかもしれないが、Aクラスにするには小さい気もする。ヒートシンク付きアルミケースも販売されているが、TO-3に対応させるには自分で加工しないといけない。ツールがないので、今回はそういうケースは使えない。

つぎのような放熱器1台に、片ch2つ付けるなら良さそうだが、入手すべきかどうかは悩み中。

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さて、一通り熱抵抗について計算してみる。アイドリング電流を1.2Aとすると、電力段の電圧は22Vなので、Trのコレクタ損失は1.2×22 = 26W になる。周囲温度を60℃、2N3055の結合部最大許容温度は200℃ということから、全熱抵抗は (200-60)/26 = 5.38℃/W になる。一方、2N3055の最大許容コレクタ損失は115Wから、Trの内部熱抵抗は (200-25)/115 = 1.52℃/W。マイカ等の接触熱抵抗を1℃/Wとすると、求める放熱器の熱抵抗は 5.38-(1.52+1) = 2.86℃/W。

サイズ 230x100x40 の放熱器は体積 9.2×10^5 mm3 で、熱抵抗は1.1℃/W。1台の放熱器に2N3055を2個取りつけるので、熱抵抗は2.2℃/W。ギリギリのサイズか。放熱器をアルミケースと熱結合して、ケース全体で多少放熱するようにすれば、もう少し余裕が出てくるかもしれない。強制空冷ファンはどうしても音を出すので、できればやはり空冷式が一番。

ということで、パワーアンプは電源で決まると言っていたが、Aクラスでは、放熱器のことを考えたら電源+放熱器で決まると修正したい。

電力増幅段と電圧増幅段の電源を別々にしたので、トロイダルトランスを2つ、整流平滑回路を2つ用意しないといけない。また、スペースや左右対称性を考えて、基板設計をつくってみた。無償版Eagleが10cm x 8cmまでのサイズしか対応しないので、片側だけつくり、後はPhotoshopで左右反転させて一体化する。回路的に新規性は全くないところが残念。

<電力増幅用(プラス電源側)>

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電力増幅用最大電流をひと通り計算してみよう。アイドリング電流をたとえば1.2A、Aクラスにするなら、最大電流が2.4Aになり、LR合わせると最大電流が4.8A。今回採用する250Wのトロイダルトランスでは、2次コイルを流れる電流が仕様上6.9Aとなっているので、まだ余裕があろう。

<電圧増幅用(プラス電源側)>
 電圧増幅用最大電流もここでひと通り計算してみる。アイドリング電流は入力段では7mA、ドライバ段では35mA、合わせて約45mA。その2倍を最大電流とすれば、約100mAとなる。ほかに、リレー用電流は約40mA、PIC用50mA等と合わせて、最大200mAで十分間に合いそう。

用意した50Wトロイダルトランスは2次コイルの最大電流が1A、大きすぎるか。

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さらに保護回路とまとめたらつぎのようになった。基板のサイズが158 x 153mm、大きすぎるかも。

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ほかに、リレー制御回路(PIC)等もあるので、まだまだ完成状態ではない。

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まだ本格的に実験して確認していないが、回路を一応作ってみた。

スピーカ保護回路はLRスピーカへの出力を分岐してもらい、入力として利用する。回路では、平均値を取り、±0.65Vを超えた時点で、約4Vを出力する。ケミコンを使っているところは信頼性を大きく損なう心配があり、大容量47u積層セラミックコンで代用するといいかもしれない。

パワーTrの保護回路は限流抵抗器 0.33Ωの両端電圧を入力として使う。限流抵抗は片方のTrにしかついていないので、厳密的には片方のTrしか保護対象になっていない。限流抵抗を流れている電流が約4Aに達すると、0.33×4=1.32Vの電圧が発生する。それでQ4まはたQ5がOnになり、約5Vを出力する。

保護回路の出力先はいずれもPICにしたい。アナログアンプにデジタル回路を持ち込むリスクは承知しているが、ファンの回転制御等、多くのメリットが考えられる。少しでも新しいことをやってみたく、今回はPICを使ってみる。

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2度目だが、PCB Fusion Serviceに注文した。円高だからか、僅かに安くなっている。今回は対称性にそれほど拘っていなかったが、基板の裏返し利用を考えている。トランジスタの向きを180℃逆にすれば使えるはず。

LM3886アンプは調整箇所が少なく、それほど遊べなかったが、All Trアンプならアイドリング電流が大きく音や、安定度を影響するから、いつ経っても完成しないかもしれない。

基板が到着する間、放熱器や保護回路のことを決めないといけない。とくにTO-3対応の放熱器が少なくしかも高価。納得のいくものを見つけるには時間がかかりそう。小型放熱器に強制冷却ファン、そういう組み合わせが現実的かな。

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週末の2日間、電流帰還型アンプは結局しばらく先送りすることにした。電力増幅段の回路はどうしても気に入らない。その代わりに、JLHアンプを先に作ることにした。2N3055を無理なく活用したのが決め手。

JLHアンプは、John Linsley-Hood氏が1960年代に設計したものだが、本人が大のDIY愛好家で、その後1996年、2003年にアップデート版を発表した。

下は1996年版。

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下は2003年版。

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定電流回路が追加されたが、基本部分は1969年当時のまま。なんと生命力の強いアンプか。真のオリジナリティとはこうであるべきだろう。

今回の製作は回路図が2003版を基本とする。Allトランジスタアンプなので、各種保護回路が欠かせない。Aクラスにするには、放熱のことも十分考慮しないといけない。アナログアンプにPICを取り入れてみたい。

週末に計画した回路図と基板。特殊規格の足配列はないので、ユニバーサル基板でつくるのも悪くないチョイスだ。

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John Linsley-Hoodが1960年代に設計したA級パワーアンプ。古くて、DCアンプや市販品では見向きもしない回路だが、以下の特徴もあろう。

①A級で動作。Q2による位相反転回路によって、電力増幅にNPNトランジスタしか使わず、コンプリメンタリペアを考えなくて済む。
②入力にも出力にもカップリングコンデンサが必須。音によくないと思われるかもしれないが、そのかわりに、スピーカ保護回路が必要でなくなり、DCオフセット等に悩む心配もない。
③NFBが入っていて、歪みが低減されている。
④ダントツにシンプル、トランジスタ4つだけの回路。工夫すれば、PCB基板さえ要らない。真空管SEPPアンプと真っ向から勝負できそう。

真空管アンプが最高と認めれば、こういう物理特性ではダメと見られがちなTrアンプも復権するのかもしれない。

マイナス電源を用意すれば、以下のとおり、出力カップリングを取り除くことも可能だが、上記の②がなくなる。

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