マーカー発振回路の追加とEXTチャンネルの実装はJR-310に対してやりたかったこと。問題はやはり水晶(クリスタル)発振子の入手。とくにマーカー用の 100kHz はそう簡単でなく、気長に待つしかない。

EXTチャンネルは自分として、短波放送を聴く目的にしたい。放送局の集中するバンドと入手できる水晶発振子との兼ね合いで聴くバンドを決める。

JR-310のマニュアルによれば、受信したいバンドの下限周波数をXとすると、X+5.955MHz のものは用意すべき水晶発振子の周波数だ。

短波放送のメインストリートとは、
  25mバンド(11.600~12.100MHz)
  19mバンド(15.100~15.800MHz)
を指すようだが、それぞれに対応する水晶発振子の周波数は 17.555MHz、または、21.055MHz。

周波数ぴったしのものの入手は難しいが、近い 17.515MHz (HC-42/Uタイプ)を入手できた。40kHz のずれはしょうがない。

水晶発振子とローカル発振用コイル。問題ないと思うが、念の為、ショート防止用ポリイミドテープ(耐熱テープ)を巻いた。

ローカル発振用コイルは手持ちのものから選んだ。すでに 15pF のコンデンサはJR-310 内部の発振回路に組み込まれている(ほかのバンドと共通してつかうもの)ので、共振周波数 17.515MHz に合わせるには、コイルのインダクタンスは

L = 1/(2πf)2/C

になるべきで、f=17.515MHz、C=15pF を代入して計算すると、L = 5.504 μH と出た。

問題は測定器のないこと。LCRメータはあるが、測定する周波数の上限は 100kHz、まったく歯が立たない。ということで、適当に短波放送が聴こえるまで、巻数を加減して調整することにした。

以下の写真3枚はJR-310マニュアルにしたがって、実装した箇所。

バンドスイッチに対して、ウェファー4枚で隣の端子とショート。ならびに水晶発振子の追加。
コイルの固定はボビンの余っている側の足(3本)を鉄板に直接ハンダ付けすることにした。
コイルの調整は横から。変だけど、固定するためのよりよい方法は思いつかなかった。

ハンダ付けのしやすさを考えて、コイルを横向けに装着。

恐らくどこかの調整はまだ正しくないと思うが、自分の実装では、RF Tuneを時計方向いっぱい(50MHzあたり)にすれば、メインダイヤルとIF Tune で昼間でも短波放送が聴けるようになった。周波数の確認は計算しづらいが、まあ、音楽やアナウンサーの声が聴こえればよいので、40kHzの周波数のずれは気にしないことにした。

なお、デジタルファンクションジェネレーターから、AM変調された周波数をアンテナに注入したところ、11.560~12.160MHz まで聴こえることを確認した。感度の確認はジュネラータのショボさから、できなかった。

自己メモ。メインダイヤルと周波数とのの対応関係
  0 → 11.560MHz
  100 → 11.660MHz
  200 → 11.760MHz
  300 → 11.860MHz
  400 → 11.960MHz
  440 → 12MHz
  500 → 12.060MHz
  600 → 12.160MHz

ガラクタの山がまた転がってきた。100本を超えたMT管。今回はテレビ用とのことで、整流管はなく、出力管もなかった。

真空管テレビに使う真空管の数はどれぐらいだろう。全く知らないので、調べてみた。15本とか、25本とかいろいろあるが、30本以下のようだ。100本の真空管なら5、6台相当ということかもしれない。

最も数的に多かったのは 6BX6、6AW7A

同じ種類で最も多かったのは 6BX6 と 6AW7A。前者は美しい真空管の代表格のようだが、ヨーロッパ生まれのシャープカットオフ5極管。後者は3極5極複合管、オーディオアンプの出力管として利用されることが割とある。当然、オーディオアンプの世界では、3極5極管の代表格である 6BM8 には敵わない。

珍しい球をあえてガラクタから選ぶとしたら、つぎの3つにする。

珍しい球かな。左から 17AB9、EBF89、2D21。

17AB9は双4極管。名前からも推測できるように、ピンの数は10本。販売しているソケットはあまりないかもしれない。2~7極の真空管のうち、6極管はないかもしれないが、ほかはすべて実物を所有することになった。といいたいところだが調べたら8極管もあったらしい。この組み合わせをやろうとすれば、莫大の種類になることは確かだ。

EBF89はフィリップス製、米国では6DC8と登録される。6DC6 はコリンズ球として有名だが、6DC8 もただものではない。双2極・リモートカットオフ5極複合管。6BX6 の網部分は倍の高さになり、より美しく見える。

2D21はサイラトロンと呼ばれる大電力制御に使う球。見た目はしょぼいが、それを欠かせないところもある。

さて、標準電圧のMT管はガラクタの半分以上を占めるが、ヒーター電圧が 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 12, 17 となんでもあり。真空管テレビもトランスレスかな。自分だと感電するのが怖くて、買いたくない。

1本1本のガラクタをクリーニングして、ピン直し、スペック調べ、ヒーター電圧確認をするので、ガラクタの山を片付けるには数日を要する。

もっとも困るのは、型番が消えたり、ほぼ消えた球の存在。似たような球を探してきて調べ、ヒーター電圧を測定して推測するなり、謎解きのようなプロセスだ。10本もあるので、時間がいくらあっても足りない。どうしても判別不能なら捨てるしかないかもしれない。

たとえば、ほぼ消えていたが、かろうじて 6A?6 と読めた球があった。ヒーター電圧を測ると 6.3V / 0.3A。それでほぼ 6AU6 と推測できた。そして、型番が表示されている 6AU6 と内部構造を比較して確信させられた。6A 6と3文字まで読めたことに助けられた。

有名な球 6AU6。左から3番目は表示がほぼ消えたが、同じ型番であることを確信。一番右は 6AU6A、外観の違いは認められる。

ヒーターは点火しない、ゲッターは消えたとかの球はなく、良心的なセラーだと感じた。また、ガラクタの山ゆえの全く知らない球に出会たことも良かった。

増えすぎた球をどう処分するか、最大の悩みはそれだ。

コロナ禍中のお盆休みに、長年放棄してきたコリンズ 75S-3 の修理に決心して、真空管に真剣に向きあってから約2ヶ月間、コツコツ集めた真空管の数は100を超えた(トランジスタの何万個に比べれば全く可愛いものだが)。ただ、真空管オーディオアンプに興味はなく、高価な出力管に見向きもしないので、それほどの金額ではないと思う。平均単価は1本あたり500円前後か。

当初は知識が乏しく、Collins 75S-3 の球を中心に集めた。

球は大部分が双三極管、五極管、三極五極複合管。当初は標準ヒーター電圧 6.3V か 12.6V (12AX7/12AU7のみ)だけが対象だったが、4.7V や 3.15V の活用法をわかったら、半値以下で購入できるそれらを喜んで手に入れた。とくに、3.15V はふたつを直列接続すれば、そのまま 6.3V になるので、性能的にもエネルギー的にも影響がほとんどない。さらに、開発や製造が標準ヒーター電圧のものよりも後なので、安心感は多少増す。

Trio JR-310 がヒントになり、対象の球は広げていった。
白箱はほとんどが自作。100円ショップで購入した厚紙で、24個つくれる。
4.7V や 3.15V の球も視野に取り入れた。

購入先は一部アメリカ・イギリス・台湾等の海外だが、大多数はメルカリかヤフオク、国内店舗の購入はごく僅か。ヤフオクの評判はあまり芳しくないが、自分の実体験では、間違えられた品番の真空管が2本あったことに対して、注文もしていないのに、余分の真空管をつけてくれたり、ブランドのよい真空管(TENから東芝)に変えてくれたという親切なセラーもいた。トータル的には気持ちのよい取引だった。

購入したものは不良品であったのは1回だけ。未開封のものを開けてみたらガラスが割れていた。申し出たら未開封品を再送してくれた。精密に調べたりしていないし、オーディオアンプのように神経質になったりすることもなく、交信や放送が聴こえたらOKという曖昧な判断をしているから、不良品に気づいていなかっただけかもしれない。

下の写真は不良球の一部。出力管は3本、劣化した状態。ヒーター不良は2本。ガラス内部は白、ゲッターなしは2本。ネット情報によると、ガラス底(ピン足の通る部分)は黒く濁ったらよくないとのことだが、確認したところ、全くのデタラメでもなさそう。未開封の日立以外は、なんらかの濁りが観察できたから。

不良球7本。コリンズからは2本、ガラクタからは3本、真空管ラジオからは1本。ヤフオクからの1本である未開封日立製6AV6はガラス割れ、もったいない犠牲品。ブランドは松下が3本、日立が2本、海外が2本。東芝が入っていないのはたまたまかも。

やっと決心して、トランジスタ回路のための 9V、12V 電圧を作り出す定電圧電源を Trio JR-310 に組み込むことにした。6BM8 の代わりに 16A8 を使いたいことがもうひとつの理由。

いまの時代では、定電圧電源は極簡単に作れる。ただ、電源トランスの2次側は真空管のヒーター電源にも使うので、ハム対策として、片側をアースにする必要があった。ということで、ブリッジ整流ではなく、半波整流にして、平滑コンデンサに 1000μF / 35V を選んだ。3端子レギュレータ 7812 と78L09 をその後に直列接続した。78L09 は手持ちにあったので、使うことにしたが、ほかのものでも全く問題ないはず。電解コンデンサは寿命の問題とかがありそうなので、セラミックコンデンサにした。その高周波特性に期待して、0.01μF を一部省略。

3端子レギュレータを活用して、12V、9Vを作り出す。
違う角度からの一枚
スペース的におかしくないところに組み込んだ

追加した電源トランスはカリブレーション回路のところを使うことにした。せっかく組み込んだカリブレーション回路を撤回。時間があれば、トランジスタによるカリブレーション回路を作りたい。問題は 100kHz のクリスタル発振子の入手。気長に待つしかない。

実測した各部の値はつぎのとおり。電源トランス2次側電圧は 15.3VAC、平滑コンデンサのところは 19.67VDC / 121mVAC、12V出力のところは 12.03VDC / 7.0mVAC、9V出力のところは 9.09VDC / 7.0mVAC。

ダイオードによる半波整流、1000μF 電解コンデンサによる平滑化後の、電圧は 19.7V と高い。12VACタップを使うのが適切かもしれないが、電流がほとんど流れていないので、発熱はほとんどなく、そのままにした。

電源トランスを追加。16A8 はこれで使えるようになった。

シャシー内の発熱源を最小限に減らした。安定化電源のおかげで、VFOのドリフトもいっそう軽減されることを期待する。

発熱量の大きい抵抗を4本から2組に減らした。残りの2組の抵抗はほとんど発熱しなくなり、40℃すら超えない。
50MHz コンバータ回路用の発熱抵抗器 22kΩ / 3W も撤去した

組み込み後、Trio JR-310 はとくに問題なく、動作している。TX-310 との連動はおそらくできなくなったところが残念。

ほしい真空管はとりあえず揃えたところで、真空管の働きについてちょっと整理してみたい。原理に立ち戻って、真空管全般に対する考え方を見つめ直す必要を感じたから。

基本的に、マイナス電極であるカソードと、プラス電極であるプレートに電圧を印加すると、電子がその間を片方向に流れるのは、いまは常識となっている。これらごく微量な電子を多く集め、ある程度の電流(少なくとも数mA以上)として使えるには、カソードとプレートとの相対距離を狭くし、相対面積を大きくする以外に、高い電圧をかける。プレートとカソードは絶縁材料(マイカ等)で支えられているが、ヒーターの使用寿命を伸ばすために、真空に近い状態に置かれている。高い電圧はどの程度かといえば、真空管では100V以上が当たり前で、数千Vになることも真空管テレビの時代ではよくあった。

2本(あるいは複数)の金属の間に電圧をかけると、極微量だが、真空で離しても電子が電圧の向きに沿って飛び合うことは真空管の原理ともいえよう。2極管真空管の整流・検波の原理でもある。

さて、3極管の場合、カソードとプレートとの間に流れる電流をコントロールする極(グリッドという)が追加される。グリッドにカソードに対してマイナスの電圧をかけると、電子があまり飛べなくなる。これもいまでは常識だろう。そのことを利用して、グリッドに印加するマイナス電圧を上下変化させると、プレートに到達する電流もその変化に応じて上下変動する。それがほぼ線形的だという箇所(ほんの一部、つまり、数十Vだけの範囲では線形的だといえる真空管もあるだろう)を活用すれば、三極管の増幅作用となって、いろいろな用途が生まれる。それが三極管の原理である。

当然のように、よく考えれば、複数の疑問、たとえば、グリッドにプラス電圧を印加するととなるか、グリッドとプレートとの間にも電流は流れるはず、等は思いつくが、一般の教科書では答えないことにしている。つまり、グリッド電流はゼロだとしても問題ない。

グリッドにかけるマイナスの電圧(カソードに対して)をバイアス電圧という。バイアス電圧を作り出す方式は一般的に2種類あって、言葉のとおり、マイナス電圧を別途用意する方式を固定バイアス方式といい、カソードに抵抗器を入れ(その抵抗器のことを専門用語ではカソード抵抗という)、カソード電圧を相対的に高める方式を自己バイアス方式という。自己バイアス方式は抵抗器ひとつで済むので、確実性、手軽さ、コスト等の点で優れている。

プレート電流を Ip、プレード電圧(カソードに対して)を Vp、グリッド電圧(カソードに対して)を Vg とする。これら3つのパラメータがバラバラに動くと困るので、ひとつのパラメータを固定(変化しないという意味)させて、残りの2つのパラメータ間の関係を調べることができる。これら3つの組み合わせについてそれぞれ専門用語がついて、

相互コンダクタンス gm = ⊿Ip / ⊿Vg、ただし、Vpは固定。
内部抵抗 rp = ⊿Vp / ⊿Ip、ただし、Vgは固定。
増幅率 μ = ⊿Vp / ⊿Vg、ただし、Ipは固定。

という。実際には固定ということはないので、あくまでも固定(変化なし)とみなせる(みなせる!)範囲での理想論だ。これら3定数の間に

μ = gm × rp

という式が成り立つ。つまり、3定数のうちに2つの値がわかれば、3つ目は算出できるというわけだ。三極管の比較では、1つの定数の比較だけではあまり意味がなく、定数を2つまとめて、互いに比較すべきだね。

もうひとつ、あまり言われていないパラメータとして、電極間の静電容量(コンデンサ成分)がある。とくに、無線機に利用される場合に、発振してしまうリスクがあるので、注目すべきパラメータだろう。

代表的な電圧増幅用MT双3極管には、有名な 12AX7、12AU7、12AT7 三兄弟があり、6DJ8 などもある。代表的な電力増幅用双3極管には、有名な 2A3、300B などがある。

ガラクタ真空管に 3CB6 が2本入っていたので、それを活用したい。2つのヒーター電圧 3V の真空管を直列接続すれば、ヒーター電圧が計 6V になり、ヒーター電圧が6VのTRIO JR-310 に対応できるわけだ。

JR-310では、V1 である 6BZ6 に対応して 3BZ6 が存在し、V3 である 6CB6 に対応して 3CB6 が作られていた。ちょうど 3BZ6 と 3CB6 を ヒーター同士を繋げば、6V の交流電圧でOKなわけ。

ちなみに、定格ヒーターは 3BZ6 も 3CB6 も 3.15V / 0.6A、ヒーター電流の違いはないのが好都合。しかも、コリンズ球でもなく高額な 6BZ6 に対して、 3BZ6 は全く人気がない。

ということで、早速変換ソケットを2つ作って、実験してみた。3BZ6は手元にないが、さっそく格安で入手した。未開封の日立製で、足のほうはしかし、残念ながら緑のサビがついていて、品質は高いとはいうが、それほどでもなかろう。

ガラクタの3CB6と未開封の3BZ6。2つの変換ソケットに乗せて6Vヒーターで使う

変換ソケットは本サイトで繰り返し、言及してきた自作品。2つのソケットを連結するだけの構造。ただ、ピン(足)は独自の技術(?)でつけてある。製作技術があがったためか、ひとつを30分間で余裕でつくってしまう。7ピンのうち、ヒーターに関係する3番と4番のピンを残し、ほかのピン同士はハンダ付けして、全体を大変頑丈なものに仕上げた。押しても、引っ張っても、曲げても、びくともしない。

金メッキのピンをつける技術は門外不出?

JR-310は7ピンMT管がすべて3番ピンを交流のホット側、4番ピンをアースに繋いでいて、しかも、3番ピンと4番ピンの間は機械的に必ず0.01μFコンデンサを付ける。

そういうことで、言葉による説明は面倒だが、つぎのような接続法になる。

左のほうは上下3番ピン同士を接続、右の方は上下4番ピン同士を接続。左の上4番ピンを右の上3番ピンと接続。それで2つのヒーター電圧は合わせて6Vになる。

そして、真空管 3BZ6、3CB6 をそれぞれの変換ソケットに乗せれば出来上がる。元の6BZ6、6CB6を使いたい時には、変換ソケットを外せばOK。ふたつの変換ソケットを同時に使わないといけないのは本方式の欠点だが、元の回路を全く改造しないのは本方式の特徴だ。

ふつうに動く。なんの変化も感じられない。

ついでに、興味のある真空管の対応表をつくっておいた。

ヤフオクにて適当にほしい真空管を購入している。基本的には1本千円以下のものしか興味ない。真空管を売っているひとたちの実態は知らないが、お年寄りが大部分だと思う。そう考えると、優しい人が多いのも納得する。

今回入手した真空管も、決して悪意をもって出品されるものではなかったが、結果的に6U82本のうち、1本は6U8ではなく、5U8なのだ。確かにプリントが薄いが、注意深く見れば 5U8 と読めないことはない。老眼のせいとしよう。

5U8 と 6U8。本人はひと目で違うと認識したのに。

さて、6U8 と 5U8 は外観が違うか。答えはYes。しかし、ふつうのひとは認識するには難しい。手にしたことがあっても、構造まで細かに観察し、覚えるひとはほとんどいないはず。したがって、電気的に判別することはいいアイデアだと思われる。

ヒーター電圧が違うだけの真空管は、ヒーター電圧とヒーター電流の積がほぼ同じ。つまり、同じ仕事をするにはほぼ同じエネルギーでOKという理屈。

製造メーカーの規格表によると、6U8はヒーター電圧6.3V、ヒーター電流0.45A、積は2.84W。対して、5U8はヒーター電圧4.7V、ヒーター電流0.6A、積は2.82W。

両方はともにほぼ 2.8W。では、具体的に、ヒーターに電圧をかけて、それぞれの電流を見てみよう。

6U8の電流は約0.43A。問題ない。
同じ6U8に対して、ヒーター電圧を4.7Vに下げたら、ヒーター電流も下がってしまい、2.8Wに遠く及ばない。
5U8 にヒーター電圧 4.7Vを印加したら、電流は0.64Aになり、5U8であることはこれで確認できた。

写真の内容は詳細に紹介しないが、ヒーター電圧だけがわからない真空管は、ヒーター電圧を1Vずつ上げていき、流れる電流の値からW数(VとIの積)を計算すれば、定格のヒーター電圧はわかるはず。

ガラクタにあった 5U8 に対し、変換ソケットをつくって活用しているが、もう一本の 5U8 が来てしまった。活躍したいかな。

真空管のガラクタには、Trio JR-310 のAF段に使われている 8BM8 がふたつ含まれていた。しかし、そのうちのひとつ(日立というブランド)は不良品で、通電して10分間過ぎた頃、変な音がして、それ以降音声は出なくなる、という謎の現象は繰り返し再現する。

さらに、ガラクタに 6BM8 の 16Vヒーター管として、16A8 が7本も含まれていた。ほかの 6BM8 を購入するよりも、16A8 を使ってあげるのが貴重な財産である真空管に対して取るべき振る舞いだろう。

16A8が7本、すべて松下ブランド。

ガラクタと言われたものなので、ヒーターの点火は確認できたが、それ以上のことは全くわからない。すべて不良品とは考えたくないし、すべて新品同様ということもありえない。JR-310が壊れて再生不能になるまで、7本(+6BM8 の2本で計9本)もあればいくつか不良になっても足りるはず。

問題はヒーター電圧。そのことで多くの真空管は捨てられ、人気がまったくない。16A8 はヒーター電圧 16V、ヒーター電流 0.3A。ちなにみ、6BM8 はヒーターが 6.3V / 0.78A 。エネルギー的には 16A8 とほとんど同じ。

手元を探したら、10年前(もっと古い?)に購入した電源トランスが出てきた。未使用品のようだ。1次側は 100V / 110V、2次側は 10 / 12 / 14/ 16V、0.5A。16A8 のヒーター電源としてはぴったし。

手元に宝物はいっぱい?

JR-310の発熱を考えると、さらにこの新しい電源トランスから直流 12V などを作り出し、トランジスタ回路(50MHz のクリコン、VFO、BFO の3つ)に電源供給したいのだが、送信機 TX-310 との連動はできなくなる。TX-310が手元にあれば、なんとか実験してその連動の仕組みを解析できるかもしれないが、送信機は持ちたくない。法令がうるさいので、手元の1台 Yaesu FTDX-3000 で十分。

電源トランスを組み込むためのスペースは JR-310 になさそうだが、とりあえず実験的に 16A8 の動作確認をするには数分でもできるはず。当然変換ソケットがあることはその前提だが。

そこで、本サイトのオリジナル製品 ― 変換ソケットの登場。ふたつの9ピンMTソケットをピンのところで連結(ヒーター関係のピン2つは非連結)、重なった2本のピン(足)をハンダ付けして上のソケット(さらにその上に乗せる予定の真空管)をしっかり支える構造。ヒーター関係のピン2本を除いても、残りの7ピン同士でハンダ付けするので、大変頑丈なつくりになったのだ。秘密は下のソケットに金メッキピンを挿し込み、ハンダ付けするところ。それは下のソケットが必ず分解できるタイプでないといけない理由だ。

下のソケットを分解して、真ん中に金メッキのピン(RS-232Cの25ピンオスソケットから引き取ったもの)を高温で溶けたハンダを流し込み、ハンダ付けしたもの。そして、分解した2つを再結合させて、外部からハンダ付けした部分を隠すのだ。

左上からの説明:ヒーター関係の4番ピン、5番ピンは連結しない。1,2,3番ピン同士は連結。6,7,8,9番ピン同士は連結。底からみた美しい金メッキの9本ピン。

上のソケットの4番、5番ピンに外部電源トランスから得た交流16Vを印加し、真空管 16A8 を乗せた変換ソケット全体を元のソケットに挿し込めば、16A8は動作するわけだ。つまり、ヒーター電圧だけはこっそり16VACに変えるのだ。

1次側に100Vが来ているので、感電しないようにビニールテープで保護。2次側はトライ&テストで、タップ 0-14V を使うことにした。

電源トランスの2次側の 0-14 V を使えば、15.4V の交流電圧になったので、それを使うことにした。2次側の10~16V間に2Vごとにタップあることは本当に素晴らしい。定格電流を使うのはそう簡単ではないから、電圧の細かな調整には多くのタップが必要。

6BM8の代わりに16A8を使うことに成功。これでガラクタの7本は活躍できそう。

JR-310への電源トランスの組込みを考えないといけない。スペース的にはカリブレーション回路のところは良さそう。いまの時代、カリブレーション回路がなくても実害はないはず。せっかく、カリブレーション回路を再構築したのに。16A8の活用のために仕方がないかな。

さて、ガラクタである7本の16A8をそれぞれ約30分鳴らして、動作確認をした。1本は数分後に音が明らかに小さくなり、不良。もう1本は通電後しばらく、真空管の内部に火を噴いた。よくみたら、ガラスが割れてしまったようだ。ということで、残りの5本はまだ使えることを確認した。

ガラスが割れた16A8から、中身だけを取り出し、構造の研究に活用したい。内部は案外複雑、ほかの電子部品に比べて、単価が数百円は安すぎる気がする。なにもない抵抗器やコンデンサは平気で日本の市場では数百円で売っているからね。ニーズがないとか、オタク向けのぽったくり価格とか、理由はいろいろあるだろうけど。

16A8 の内部構造

5V、6Vとタイトルに書いたが、正確には、それぞれが 4.7V、6.3V だ。真空管発明当初はバッテリーをヒーター電源として使っていたようで、バッテリーの都合で6.3Vになり、2つのバッテリーセルに合わせて 12.6V になったりする。いまの自動車でも12.6Vのバッテリーを搭載するものが大部分で、真空管発明当初と同じ事情だ。

ただ、なぜ4.7Vなのかはよくわからない。あまりにも 6.3V (あるいはその誤差範囲)に近いと意味がないということかもしれない。

真空管に関する資料をみると、真空管の名称(型名、型番とか、いろいろな言い方がある)にヒーター電圧が記述されていて、アメリカのEIA方式では最初の数字がそれだ、と説明されている。つまり、最初の数字が以下を意味するだそうだ。

0: 冷陰極
1: ヒーター電圧:1.6V以下
2: 1.6V~2.6V
3: 2.6V~3.6V
n: (n-0.4V) ~ (n+0.6V)

それを当てはめると、6Vは5.6~6.6V、5Vは4.6~5.6V、12Vは11.6~12.6V になるようだ。全くのデタラメとはいえないが、それほど信用していいものでもない。頼れるのはやはり、真空管製造メーカーの発表した規格表なのだ。

さて、ガラクタとして入手した、真空管 5U8 をそのまま死蔵しても可哀相なので、なんとかして使いたい。つまり、約 6.3Vのヒーター電圧に接続して活用したい。

5U8のスペックは以下のとおり。

9ピンMT管、中μ3極・シャープカットオフ5極の複合管。ヒーター電圧 4.7V / 0.6A、ウォーミングアップ時間 11秒。ヒーター電圧が違う以外は、6U8Aと同等。ちなみに、6U8Aのヒーターは 6.3V / 0.45A。

ヒーター電圧 6V の真空管はいまは主流になっている。出力管の一部を別にして、ヒーター電圧6Vの電源トランスが大部分。 その陰で、ヒーター電圧 6V 以外の真空管は、トランスレスラジオ用以外になかなか活用の場はなく、人気がない。それを逆手に取れば、ヒーター電圧が6Vではないが、他の性能はまったく同じ真空管を格安で入手できるチャンスでもある。たとえば、5U8 は 6U8A よりもだいぶ安くゲットできるはず。未開封の 5U8 でも数百円で売り出されている。

本記事は、回路を5Vヒーターに改造するのではなく、真空管変換ソケットを差し替えるだけで 5U8 を使えるようにする内容。

方法は本サイトでよく紹介したもの。2つの真空管ソケットを連結させて、変換ソケットにしてしまう。片方にピン(足)を挿し込み、半田付けして、元のソケットに挿せる構造。5U8 は 9ピンMTなので、今回は2つの9ピンソケットを使った。ピンの4番と5番はヒーター用だが、6番の高圧プレートに遠いほうが安全だという配慮から、4番ピン同士を連結せず、その間に抵抗なり、ダイオードを挿入し、電圧を下げることにした。

2つのソケットを連結させて、変換ソケットに仕上げる

交流電圧を下げるにはふつう、抵抗(抵抗器)を使うが、W数の大きい抵抗は手元にないし、電流の大きさにあまり影響されない特長がよいことから、今回は抵抗ではなく、ダイオードを使った。

2つのダイオードを同じ向きで直列して、さらに逆向きに並列する。これで、電圧降下が1.5V前後になり、6.3Vを4.8Vに下げられる計算だ。直流にも交流にも対応し、直流の場合は向きも自由でよい。

ダイオードの型番は1N5408、3A / 1000V 整流用。もう少し流せる電流が少なく、1.5Aか2Aのダイオードがよりよい。1N5408はリード線が太く、サイズも大きすぎたから。1.5A 以上にする理由は 5U8 のヒーター電流は 0.6A だから。真空管の周りは高温(100℃超えるのはふつう)になることが多く、高温の環境ではダイオードの流せる定格電流が低下する。このへんは抵抗器と同様。1.5A のダイオードであれば、125℃でも0.6Aの電流に対応できる。自分はさらに安全係数をかけて、手持ちから3Aを選んだ。

ダイオード 1N5408 を使って電圧降下を図った
変換ソケットとダイオードを使って、5U8 を 6BL8 の代わりに使用
もう一枚、違う角度からの撮影。IFTとショートしないよう、熱収縮チューブを被せた
実測した電圧値の変化

交流電圧の実効値(RMS)を精確に測定してくれる FLUKE のテスターを使って実測した。他の真空管のヒーター電圧が 6.217V に対して、5U8 のヒーター電圧は 4.759Vになっていることを確認できた。定格 4.7V にわずかに 高いが、問題になることはないはず。なお、ダイオード表面の温度を実測したら、約50℃。

変換ソケット式なので、元の真空管 6BL8 やその互換球 6U8、6EA8 を使うときには、変換ソケットをつけなくてOK。回路に対する改造は一切なし。

次回では2つの真空管のヒーターを連結させて、ヒーター電圧が 3V の真空管を活用してみたい。ガラクタの真空管に、3CB6、3DK6 が入っているから。ちなみに、3CB6 や 3DK6 等のヒーター電圧は精確には 3.15V で、2つ直結すると 6.3Vちょうどになるように、規格がきめられたようだ。

気にするひとはいままでいなかったかもしれないが、JR-310の内部温度に対する疑問だ。

シャシーを逆さまにして、電圧測定やハンダ付けをするのだが、電源周りの温度が高すぎることを感じた。デジタルマルチメータ付属の熱電対で測ったら、なんと抵抗の表面温度は100℃を超えているのではないか。

150Vを約9Vに落とす矢印の抵抗 (4.7kΩ / 8W)の表面温度は100℃を超えている

とくに、矢印の指すその抵抗(回路図では VFO UNIT の右隣、R9 (4.7k, 8W) と書かれている)は最も表面温度が高い。両端の電圧差は約 137V、抵抗値は 4.7kΩ、消費電力は約4W。回路図では 8W の抵抗と書いてあるので、メーカーの設計はそんなもんか、ちょっと心配してきた。ふつう、抵抗に対し、定格電力が消費電力の5倍以上のものを選ぶのが常識だと思っていたから。

JR-310のVFO ユニットは FET と Tr でできていて、電源電圧が 9V と決められ、その電源電圧を供給するために活躍したのが R9。電源トランスはヒーター電圧用の6.3V以外に、210V しか用意していない。そのため、整流後、約150Vもある高い電圧をR9を使って、約 9V に落とすのだ。流れる電流は約30mA。

写真にあるほかの3本の抵抗と合わせて、回路図による消費電力等を計算してみる。

大型抵抗4本。上の写真の左からの順番

なお、本個体での実測では、上表の両端電圧差はそれぞれ、48、159、73、140V であり、回路図に書かれている電圧とそれほど違っていない。

さて、発熱量を減らすため、早速千石さんに注文だし、タクマン酸化金属被膜抵抗 5W (小型品、RLF5S、長さ24.5mm、太さ9mm、定格電力 5W、最高使用電圧500V、単価約80円)を購入した。商品は翌日に届き、秋月電子通商の最近の遅さに勝ち、送料も安い。商品自体はしかし高すぎる。個人の趣味だから単価は無視するが。

消費電力5倍以上の定格電力を有する抵抗があればよかったが、しかたなく、単体でだめなら、2つを直列したり、4つを直列・並列したりして、なんとか消費電力の4倍以上にできた。

また、ケミコン等の側で使ってはよくないので、一部の抵抗について位置を変えたり、ケミコンをセラミックコンデンサに変えたりして、自分なりに努力したつもり。

発熱量の大きい抵抗を取り替えた。コスパは悪いが。
もうひとつ、こちらの抵抗も140Vを降下させるので、発熱量も半端でない
取り外した元の抵抗。100℃を超えた環境でも連続して使える、品質ピカイチ。

取り外した抵抗は上記の5つ。どれも実測したら全く問題ない。時代が進歩し、今回の5W抵抗は明らかにサイズが小型になっている。2つ並べて10Wになるはずだが、長さは上記の赤抵抗の8Wよりも短い。ただ、測定条件は当時と同じかどうかはわからない。タクマン社の説明では、負荷軽減曲線が使われ、周囲温度が70℃以上になると、定格電力が下る。100℃では80%、125℃では60%、150℃では50%といった具合。200℃になったら、抵抗として機能しない。取り外した古い抵抗の負荷軽減曲線は知らないが、もう少し軽減率が低かったかもしれない。

周囲温度が上がると定格電力が下るらしい

新しいに取り替えて、改めて温度を測ったら、最高は60℃になった。元の約半分になり、受信機全体の寿命向上に貢献することを期待する。

トランジスタのために、150Vを十数Vに落とすやり方よりも、小型電源トランスを別途用意し、安定化した12Vや9Vを作り出すことが本来の王道。ただ、本機種は送信機 TX-310との連動も考慮したつくりで、回路を本機種の都合だけで変えると連動できなくなる可能性が高い。