80年代に憧れていたBCLラジオ 松下 National RF-B30 を手に入れた。周波数表示が89.305のままになってしまったジャンクだが、外観はそれなりに良さげ。
MWとSW(1.6-30MHz)以外に、ワイドFM(76-108MHz)が受信できるところは電機メーカーの製品らしい。MWのバーアンテナ内蔵もラジオならではの特徴(通信機はふつう考えられない)。商用電源交流100V以外に、バッテリー8本による給電可。
さて、ネット情報を頼りに、一日かけて分解修理をした。故障はPLLユニット上のケミコン(470uF/6.3V)のショートによるものだった。このケミコンのショートは多く報告されており、ギリギリの耐圧による問題かもしれない。自分の場合、外部から定電圧電源12Vをバッテリー端子に繋いで流れる電流を確認したところ、交換する前の約0.5Aから、交換後の約0.2Aに変化した。つまり、周波数表示が89.305に固定されてしまった場合に、全体の電流が0.5A前後であれば、PLLユニットのケミコンによるショートが原因と考えていいかもしれない。
PLLユニットの分解はなかなか大変なので、その他の耐圧の低い470uF/6.3Vの3つ、100uF/6.3Vの2つ、47uF/10Vの1つもついでに交換。ただし、ICチップを跨る100uF/6.3Vは交換しづらい(基板への溶接点がシールの下に隠されている)ことから、見送った。なお、ショートしたケミコン以外に、他のケミコン6本はいずれもそれなりに良好の状態にあった(無論新品ほどではないが)。
その交換だけで、機能がすべて回復したようだ。感度はもっているほかの通信機ほどよくないが、まあまあの状態。FM聴けることは自分にとって新鮮。




チューニングはMW、SWでは周波数分解能が1kHzなので、アマチュア無線を聴くことはほとんど無理。LSB/USBモードは一応ついているが。
また、PLL機能のおかげで、周波数安定度は抜群。スピーカーの音声も聴きやすい。BCLラジオとしてはこんなものかもしれないが、通信型受信機には歯が立たないのが自分の使用した感想。BCLラジオの素晴らしさはいま(2020年)になってもよく宣伝されるが、通信型受信機を知らない人向けのものだろう。BCLラジオが何台あっても1台の通信型受信機に敵わない。