ほしい真空管はとりあえず揃えたところで、真空管の働きについてちょっと整理してみたい。原理に立ち戻って、真空管全般に対する考え方を見つめ直す必要を感じたから。

基本的に、マイナス電極であるカソードと、プラス電極であるプレートに電圧を印加すると、電子がその間を片方向に流れるのは、いまは常識となっている。これらごく微量な電子を多く集め、ある程度の電流(少なくとも数mA以上)として使えるには、カソードとプレートとの相対距離を狭くし、相対面積を大きくする以外に、高い電圧をかける。プレートとカソードは絶縁材料(マイカ等)で支えられているが、ヒーターの使用寿命を伸ばすために、真空に近い状態に置かれている。高い電圧はどの程度かといえば、真空管では100V以上が当たり前で、数千Vになることも真空管テレビの時代ではよくあった。

2本(あるいは複数)の金属の間に電圧をかけると、極微量だが、真空で離しても電子が電圧の向きに沿って飛び合うことは真空管の原理ともいえよう。2極管真空管の整流・検波の原理でもある。

さて、3極管の場合、カソードとプレートとの間に流れる電流をコントロールする極(グリッドという)が追加される。グリッドにカソードに対してマイナスの電圧をかけると、電子があまり飛べなくなる。これもいまでは常識だろう。そのことを利用して、グリッドに印加するマイナス電圧を上下変化させると、プレートに到達する電流もその変化に応じて上下変動する。それがほぼ線形的だという箇所(ほんの一部、つまり、数十Vだけの範囲では線形的だといえる真空管もあるだろう)を活用すれば、三極管の増幅作用となって、いろいろな用途が生まれる。それが三極管の原理である。

当然のように、よく考えれば、複数の疑問、たとえば、グリッドにプラス電圧を印加するととなるか、グリッドとプレートとの間にも電流は流れるはず、等は思いつくが、一般の教科書では答えないことにしている。つまり、グリッド電流はゼロだとしても問題ない。

グリッドにかけるマイナスの電圧(カソードに対して)をバイアス電圧という。バイアス電圧を作り出す方式は一般的に2種類あって、言葉のとおり、マイナス電圧を別途用意する方式を固定バイアス方式といい、カソードに抵抗器を入れ(その抵抗器のことを専門用語ではカソード抵抗という)、カソード電圧を相対的に高める方式を自己バイアス方式という。自己バイアス方式は抵抗器ひとつで済むので、確実性、手軽さ、コスト等の点で優れている。

プレート電流を Ip、プレード電圧(カソードに対して)を Vp、グリッド電圧(カソードに対して)を Vg とする。これら3つのパラメータがバラバラに動くと困るので、ひとつのパラメータを固定(変化しないという意味)させて、残りの2つのパラメータ間の関係を調べることができる。これら3つの組み合わせについてそれぞれ専門用語がついて、

相互コンダクタンス gm = ⊿Ip / ⊿Vg、ただし、Vpは固定。
内部抵抗 rp = ⊿Vp / ⊿Ip、ただし、Vgは固定。
増幅率 μ = ⊿Vp / ⊿Vg、ただし、Ipは固定。

という。実際には固定ということはないので、あくまでも固定(変化なし)とみなせる(みなせる!)範囲での理想論だ。これら3定数の間に

μ = gm × rp

という式が成り立つ。つまり、3定数のうちに2つの値がわかれば、3つ目は算出できるというわけだ。三極管の比較では、1つの定数の比較だけではあまり意味がなく、定数を2つまとめて、互いに比較すべきだね。

もうひとつ、あまり言われていないパラメータとして、電極間の静電容量(コンデンサ成分)がある。とくに、無線機に利用される場合に、発振してしまうリスクがあるので、注目すべきパラメータだろう。

代表的な電圧増幅用MT双3極管には、有名な 12AX7、12AU7、12AT7 三兄弟があり、6DJ8 などもある。代表的な電力増幅用双3極管には、有名な 2A3、300B などがある。

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