真空管のガラクタには、Trio JR-310 のAF段に使われている 8BM8 がふたつ含まれていた。しかし、そのうちのひとつ(日立というブランド)は不良品で、通電して10分間過ぎた頃、変な音がして、それ以降音声は出なくなる、という謎の現象は繰り返し再現する。

さらに、ガラクタに 6BM8 の 16Vヒーター管として、16A8 が7本も含まれていた。ほかの 6BM8 を購入するよりも、16A8 を使ってあげるのが貴重な財産である真空管に対して取るべき振る舞いだろう。

16A8が7本、すべて松下ブランド。

ガラクタと言われたものなので、ヒーターの点火は確認できたが、それ以上のことは全くわからない。すべて不良品とは考えたくないし、すべて新品同様ということもありえない。JR-310が壊れて再生不能になるまで、7本(+6BM8 の2本で計9本)もあればいくつか不良になっても足りるはず。

問題はヒーター電圧。そのことで多くの真空管は捨てられ、人気がまったくない。16A8 はヒーター電圧 16V、ヒーター電流 0.3A。ちなにみ、6BM8 はヒーターが 6.3V / 0.78A 。エネルギー的には 16A8 とほとんど同じ。

手元を探したら、10年前(もっと古い?)に購入した電源トランスが出てきた。未使用品のようだ。1次側は 100V / 110V、2次側は 10 / 12 / 14/ 16V、0.5A。16A8 のヒーター電源としてはぴったし。

手元に宝物はいっぱい?

JR-310の発熱を考えると、さらにこの新しい電源トランスから直流 12V などを作り出し、トランジスタ回路(50MHz のクリコン、VFO、BFO の3つ)に電源供給したいのだが、送信機 TX-310 との連動はできなくなる。TX-310が手元にあれば、なんとか実験してその連動の仕組みを解析できるかもしれないが、送信機は持ちたくない。法令がうるさいので、手元の1台 Yaesu FTDX-3000 で十分。

電源トランスを組み込むためのスペースは JR-310 になさそうだが、とりあえず実験的に 16A8 の動作確認をするには数分でもできるはず。当然変換ソケットがあることはその前提だが。

そこで、本サイトのオリジナル製品 ― 変換ソケットの登場。ふたつの9ピンMTソケットをピンのところで連結(ヒーター関係のピン2つは非連結)、重なった2本のピン(足)をハンダ付けして上のソケット(さらにその上に乗せる予定の真空管)をしっかり支える構造。ヒーター関係のピン2本を除いても、残りの7ピン同士でハンダ付けするので、大変頑丈なつくりになったのだ。秘密は下のソケットに金メッキピンを挿し込み、ハンダ付けするところ。それは下のソケットが必ず分解できるタイプでないといけない理由だ。

下のソケットを分解して、真ん中に金メッキのピン(RS-232Cの25ピンオスソケットから引き取ったもの)を高温で溶けたハンダを流し込み、ハンダ付けしたもの。そして、分解した2つを再結合させて、外部からハンダ付けした部分を隠すのだ。

左上からの説明:ヒーター関係の4番ピン、5番ピンは連結しない。1,2,3番ピン同士は連結。6,7,8,9番ピン同士は連結。底からみた美しい金メッキの9本ピン。

上のソケットの4番、5番ピンに外部電源トランスから得た交流16Vを印加し、真空管 16A8 を乗せた変換ソケット全体を元のソケットに挿し込めば、16A8は動作するわけだ。つまり、ヒーター電圧だけはこっそり16VACに変えるのだ。

1次側に100Vが来ているので、感電しないようにビニールテープで保護。2次側はトライ&テストで、タップ 0-14V を使うことにした。

電源トランスの2次側の 0-14 V を使えば、15.4V の交流電圧になったので、それを使うことにした。2次側の10~16V間に2Vごとにタップあることは本当に素晴らしい。定格電流を使うのはそう簡単ではないから、電圧の細かな調整には多くのタップが必要。

6BM8の代わりに16A8を使うことに成功。これでガラクタの7本は活躍できそう。

JR-310への電源トランスの組込みを考えないといけない。スペース的にはカリブレーション回路のところは良さそう。いまの時代、カリブレーション回路がなくても実害はないはず。せっかく、カリブレーション回路を再構築したのに。16A8の活用のために仕方がないかな。

さて、ガラクタである7本の16A8をそれぞれ約30分鳴らして、動作確認をした。1本は数分後に音が明らかに小さくなり、不良。もう1本は通電後しばらく、真空管の内部に火を噴いた。よくみたら、ガラスが割れてしまったようだ。ということで、残りの5本はまだ使えることを確認した。

ガラスが割れた16A8から、中身だけを取り出し、構造の研究に活用したい。内部は案外複雑、ほかの電子部品に比べて、単価が数百円は安すぎる気がする。なにもない抵抗器やコンデンサは平気で日本の市場では数百円で売っているからね。ニーズがないとか、オタク向けのぽったくり価格とか、理由はいろいろあるだろうけど。

16A8 の内部構造

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