5V、6Vとタイトルに書いたが、正確には、それぞれが 4.7V、6.3V だ。真空管発明当初はバッテリーをヒーター電源として使っていたようで、バッテリーの都合で6.3Vになり、2つのバッテリーセルに合わせて 12.6V になったりする。いまの自動車でも12.6Vのバッテリーを搭載するものが大部分で、真空管発明当初と同じ事情だ。

ただ、なぜ4.7Vなのかはよくわからない。あまりにも 6.3V (あるいはその誤差範囲)に近いと意味がないということかもしれない。

真空管に関する資料をみると、真空管の名称(型名、型番とか、いろいろな言い方がある)にヒーター電圧が記述されていて、アメリカのEIA方式では最初の数字がそれだ、と説明されている。つまり、最初の数字が以下を意味するだそうだ。

0: 冷陰極
1: ヒーター電圧:1.6V以下
2: 1.6V~2.6V
3: 2.6V~3.6V
n: (n-0.4V) ~ (n+0.6V)

それを当てはめると、6Vは5.6~6.6V、5Vは4.6~5.6V、12Vは11.6~12.6V になるようだ。全くのデタラメとはいえないが、それほど信用していいものでもない。頼れるのはやはり、真空管製造メーカーの発表した規格表なのだ。

さて、ガラクタとして入手した、真空管 5U8 をそのまま死蔵しても可哀相なので、なんとかして使いたい。つまり、約 6.3Vのヒーター電圧に接続して活用したい。

5U8のスペックは以下のとおり。

9ピンMT管、中μ3極・シャープカットオフ5極の複合管。ヒーター電圧 4.7V / 0.6A、ウォーミングアップ時間 11秒。ヒーター電圧が違う以外は、6U8Aと同等。ちなみに、6U8Aのヒーターは 6.3V / 0.45A。

ヒーター電圧 6V の真空管はいまは主流になっている。出力管の一部を別にして、ヒーター電圧6Vの電源トランスが大部分。 その陰で、ヒーター電圧 6V 以外の真空管は、トランスレスラジオ用以外になかなか活用の場はなく、人気がない。それを逆手に取れば、ヒーター電圧が6Vではないが、他の性能はまったく同じ真空管を格安で入手できるチャンスでもある。たとえば、5U8 は 6U8A よりもだいぶ安くゲットできるはず。未開封の 5U8 でも数百円で売り出されている。

本記事は、回路を5Vヒーターに改造するのではなく、真空管変換ソケットを差し替えるだけで 5U8 を使えるようにする内容。

方法は本サイトでよく紹介したもの。2つの真空管ソケットを連結させて、変換ソケットにしてしまう。片方にピン(足)を挿し込み、半田付けして、元のソケットに挿せる構造。5U8 は 9ピンMTなので、今回は2つの9ピンソケットを使った。ピンの4番と5番はヒーター用だが、6番の高圧プレートに遠いほうが安全だという配慮から、4番ピン同士を連結せず、その間に抵抗なり、ダイオードを挿入し、電圧を下げることにした。

2つのソケットを連結させて、変換ソケットに仕上げる

交流電圧を下げるにはふつう、抵抗(抵抗器)を使うが、W数の大きい抵抗は手元にないし、電流の大きさにあまり影響されない特長がよいことから、今回は抵抗ではなく、ダイオードを使った。

2つのダイオードを同じ向きで直列して、さらに逆向きに並列する。これで、電圧降下が1.5V前後になり、6.3Vを4.8Vに下げられる計算だ。直流にも交流にも対応し、直流の場合は向きも自由でよい。

ダイオードの型番は1N5408、3A / 1000V 整流用。もう少し流せる電流が少なく、1.5Aか2Aのダイオードがよりよい。1N5408はリード線が太く、サイズも大きすぎたから。1.5A 以上にする理由は 5U8 のヒーター電流は 0.6A だから。真空管の周りは高温(100℃超えるのはふつう)になることが多く、高温の環境ではダイオードの流せる定格電流が低下する。このへんは抵抗器と同様。1.5A のダイオードであれば、125℃でも0.6Aの電流に対応できる。自分はさらに安全係数をかけて、手持ちから3Aを選んだ。

ダイオード 1N5408 を使って電圧降下を図った
変換ソケットとダイオードを使って、5U8 を 6BL8 の代わりに使用
もう一枚、違う角度からの撮影。IFTとショートしないよう、熱収縮チューブを被せた
実測した電圧値の変化

交流電圧の実効値(RMS)を精確に測定してくれる FLUKE のテスターを使って実測した。他の真空管のヒーター電圧が 6.217V に対して、5U8 のヒーター電圧は 4.759Vになっていることを確認できた。定格 4.7V にわずかに 高いが、問題になることはないはず。なお、ダイオード表面の温度を実測したら、約50℃。

変換ソケット式なので、元の真空管 6BL8 やその互換球 6U8、6EA8 を使うときには、変換ソケットをつけなくてOK。回路に対する改造は一切なし。

次回では2つの真空管のヒーターを連結させて、ヒーター電圧が 3V の真空管を活用してみたい。ガラクタの真空管に、3CB6、3DK6 が入っているから。ちなみに、3CB6 や 3DK6 等のヒーター電圧は精確には 3.15V で、2つ直結すると 6.3Vちょうどになるように、規格がきめられたようだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Post Navigation