生きてきたなかで、もっとも力を注いでつくったもの、オーディオパワーアンプ。10キロあろうか、重たい。

それ以上シンプルできないほど、徹底的にシンプル化した。入力は左右チャネル1組だけ。出力は左右スピーカ端子。プラス電源スイッチと音量ボリューム。

音量ボリュームまでも省きたい気分だが、さすがにそこまでやったらまずいので。

アンプの形は昔の真空管に似ている。巨大な電源トランス、巨大な電解コンデンサ、巨大な放熱器、外からはこれらが一目で確認できるづくり。

電源トランスは Tango VF-100。2次側は35V/3.6Ax2、電力容量120VAx2以上。電解コンデンサは Elna 15000μF/63V、Elna 2200μF/80V。パワーFETは日立 J49/K134。材料費だけでも5万円以上かかったと記憶している。既製品を買える値段かも。

当時金田式DCアンプが結構話題になっていて、金田さん本人やそのファンが雑誌に盛んにその素晴らしさについて法螺を吹くので、確かめたくて製作に取りかかった。指定したパーツが多く、揃うのに大変苦労した。自分は当然回路通りのつくりはせず、いろいろ工夫してみたが、肝心なパーツについては、再現性を考え、なるべく同じものか近いものにした。それまで、聞いたこともなかった高級(高価)抵抗やコンデンサが知るようになった。

一番感銘を受けたのは電源トランスの重要性についてだ。オーディオのような音量が急変する場面では、流せる電流が足りないと、電圧が低下してしまう。一瞬でもそういうことがあれば音が濁ったりする。定電圧電源は大電流のためか、パワーアンプでは採用されない。だから、馬鹿重いトランスで瞬間大電流を確保し、馬鹿でかい電解コンデンサでDCの安定化を図っている。

確かにいい音をしていた。でも耳はすぐに慣れるものだ。1年も経てばなんの感動もなくなる。いまとなって、スピーカも処分したので、このアンプだけは陪葬品となるだろう。

鉄でできたケースの加工にどれほど傷をつけられたか。思い出しても痛々しく、それだけ思い入れの深い自作品となっている。

ちなみに、当時最高級品といわれた音量ボリューム(調べたらALPSデテントボリュームという)は数年後にガリガリの接触不良(ガリオーム)になり、高価だけのものだと悟った。

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