ちょっとしたことで、精密電圧リファレンス LT1021-5 を入手した。LT1021はAnalog Devices社の製品で、超低ドリフトおよびノイズ、優れた長期安定度、そして入力電圧変動に対する高い余裕度などの特徴を有する精密電圧リファレンスだそうだ。LT1021-5 は5V電圧を出すもの。そのほかに、LT1021-7、LT1021-10もあり、それぞれ名前のとおり、7V, 10Vを出力する。

LT1021-5
基板の裏

趣味にハマると、多くのひとは道具にハマる。音楽なら楽器、サイクリングならバイク等。その道を極めようとすると最高のツールと自分自身最高の能力のコンビになるわけだから。人間の能力には限界があり、それを越えようとするとツールに頼るのは仕方のないことだ。同じ運動能力でもママチャリと専門バイクとではスピードが異なるはず。

このように、電子工作にハマる人は多くの電子計測器を購入するわけだ。見えないものを見たいことと、よりよい計測器を使いたいことが主な理由。そのうち、どうせ購入するなら精度の高いものと考えるひとも多いはず。正確な電圧測定を考えるなら、基準となるリファレンスが欲しいものだ。ちなみに、個人レベルで手にできる最高精度のものはGPSからの周波数や時刻であり、つぎのものは超精密抵抗器だろうか。最小抵抗値許容差が0.005%ものが市販されているから。

さて、手にしたLT1021は基板にはんだ付けされている。ピン配置は下に示す。入力として2番めのピンに約7V以上、30V以下の電圧を与え、5Vの精密電圧は出力として6番めのピンから得られる。なお、4番めのピンはGND。

LT1021-5のピン配置

入力電圧を5Vから徐々にあげ、出力電圧が安定する値を実測した。以下の表のとおり、最小入力電圧は7V、できれば9V前後の入力電圧を与えれば、出力電圧はとても安定する。

室温や使用年数等によって、出力電圧は微妙に変動することが予想されるが、出荷してから数十年間経った本LT1021-5はまだ精度よく5Vをキープしているようだ。出荷時のメーカー保証は 4.9975 ~ 5.0025Vであることを考えるとなおさらそう感じる。

精密電圧リファレンスとして、変動要因は一般的に、

  • 時間経過による経年変動
  • 入力電圧による変動
  • 負荷電流による変動
  • 室温による変動

に分けられる。入力電圧は精密定電圧として与え、負荷は数MΩ以上のものを使い、室温はエアコン等で20度に保つ等の工夫をすれば、経年変動以外の要因は克服できる。経年変動だけは計測という作業によって一定期間(たとえば毎年)ごとに確認するしかない。

経年変動は精密計測器の宿敵といっていいだろう。

<LT1021に関する資料>
データシート(英語、PDF) 本サイト
信頼性レポート(英語、PDF) 本サイト
アプリケーション・ノート:電圧リファレンスの理解と応用(日本語、PDF) 本サイト

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