島津製作所は一部上場企業だが、かつて質のいいアナログテスタを作っていたことはあまり知られていない。自分のところも、本機が最初の一台。折角縁があって出会ったので、どうしても中をみたいというのが入手の理由だった。

内部抵抗の刻印が24.12となっており、戦後混乱期の昭和25(1950)年製であることは間違いない。還暦を超えている。大卒月給3~4千円の時代に、売値が1万円だとか(要調査)。

130310-20.jpgメータの感度は50uA。米国のSimpsonを目標に採用したのかもしれない。

130310-22.jpg 130310-21.jpgDCV、ACV、DCA、DCR以外に、DB測定用2レンジが用意されているところが面白い。スペック自体はいまでも通用する。レンジSWはレバーが大きく、回す際の感触がよく、安定感が抜群。

単一電池2本がオーム測定に必要。ネジを回すと、カバーを外すことができる。

130310-23.jpgさて、フロントパネルにある固定ビス4本を外すと、フロントパネルを持ち上げることができる。中をよく観察すれば、パーツのいくつかが取替えられたことに気づく。

130310-24.jpg130310-25.jpgテスタリードのピンジャック、ゼロオーム調整用ボリューム、フロントパネルにあるゼロオーム調整用ツマミが元のものではないはず。整流器も怪しい。緑色は周りに合わないから。ソリッド抵抗はすべて修理時に取り付けられたもの。恐らく、60年代初期、一度修理に出されたと推測する。しかも、修理したのは島津ではなく、個人修理屋さんかもしれない。

しかし、いま測ったら、もとのカーボン抵抗も、修理につけられたソリッド抵抗も、どちらも値が結構ズレている。オリジナルに少しでも近づけるために、後つけのソリッド抵抗を外すことにした。いまさら実用することはないだろうし、還暦を過ぎた当時のテスタに復元することが大事。

131310-29.jpgさらに、市販中のマンガニン線を使って、焼損した巻線抵抗を作りなおした。

130311-2.jpg怪しい抵抗2本はまだ残っているが、発売当時の状態に戻した。

130311-3.jpgなお、真ん中の大きなオイルペーパーコンデンサを測ったら、漏電はなく、容量も精確のようだ。抵抗に較べてコンデンサは質がよかった。

<参考資料>
 取説&スペック TR11-1 TR11-2
 前身 TR-1 の写真。昭和22年製。 Fig1 Fig2 Fig3

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