岩通計測製デジタル・マルチメータ VOAC7411。だいぶ前に手に入れたものだが、出番が少なく、それほど活用していない。岩通独自の3重積分方式A/Dコンバータを採用し、専用LSIと高速8ビットCPUによりフルスケール40999カウント、最高サンプル・レート毎秒100回を実現。DCV, ACV, DCA, ACA, DCR以外に、LO-Ωという変わった機能もあり、トランジスタ等をONせずに基板上の抵抗値を測ることができる。
底のビス2本を外すだけで、上ケースが外せる。IWATSUが入ったLSI1つ以外に、汎用ICの多さが目に付く。
バックアップ用リチウムバッテリーがついている。ER17/33 3.6V。商品説明では、バックアップ内容として、
●電源OFF時のファンクション
●ファンクションごとの演算のON/OFF、サンプルレート
●AVG演算の平均化回数
●REL演算の基準測定値
という項目が列挙されている。バッテリーが容量なくなっても粗大ゴミにならないようだ。
校正用半固定抵抗、半固定コンデンサ(?)が一列に並べられているところが印象的。ケースを開けずに外部から調整できる位置。ただ、残念なことに、サービスマニュアルがネット上には見当たらない。
基準電圧として、LT1021が採用されている。また、基板に電解コンデンサが大変少なく、保護回路もしっかりしていて、岩通の真面目さが随所に反映されている。
さてせっかくなので、ついでに精度の確認をやってみよう。精密直流電圧電流源を用意し、念のため、フルークDMMをも繋げた。
DCVは40m/400m/4/40/400/1kVというレンジの中から、前者の4レンジを確認。結果的に精度に問題なかった。ちなみに、スペックに規定された確度は0.07%+2。
つぎにDCAの確認。0.4/4/40/400m/4/10A中から、前者の3レンジ。スペックによると確度が0.2%+7。
最後に、手持ちの0.01%精密抵抗100/1k/10/100kΩでDCRを確認。スペック上の確度が0.08%+2となっている。
出荷後数十年経ったとはいえ、いまでも精度よく働ける状態。調整方法が公開されれば、もっと息長く活用できそう。
<参考資料>
総合カタログ voac7411.pdf (スペック)
Specifications voac7411_e.pdf
校正用許容値表 iwasaki_hyo.pdf