ニコン製レンズに纏わる神話のひとつ、同一焦点距離のレンズ同士なら、開放絞りの大きい方は画質がよい、というものを検証してみよう。

世代を跨るレンズ同士では、設計技術や製造技術の進歩によって、新しい世代が一般的に画質がよいと言われている。ただ、ニコンの場合、AF搭載による技術的制限から、Dタイプ(AF)レンズの一部はAis(MF)に画質で負けているのは事実。Ais 28/2.8 と AF 28/2.8D ペア、Ais 35/2 と AF 35/2D ペア、という2ペアでは、いずれも、画質に限って言えば、新しく設計されたAF(Dタイプ)レンズの負けというのは周知の事実。ただ、DタイプがすべてMFに劣るかというと、そうでないペアもある。Ais 24/2.8 と AF 24/2.8D ペアは同等程度、Ais 50/1.4 と AF 50/1.4D ペアは同等程度、Ais 85/1.4 は AF 85/1.4D に負け、Ais 180/2.8 は AF 180/2.8D に負けることも事実。無論、画質が多少ダメでも、レンズのAF化という優先すべき事項があって、ニコンにとって、やむを得ない事情があったのだろう。

同世代のレンズ同士では、神話が成り立つのだろうか。単焦点として、この時点では、

AF-S 24/1.4G と AF-S 24/1.8G
AF-S 35/1.4G と AF-S 35/1.8G
AF-S 50/1.4G と AF-S 50/1.8G
AF-S 85/1.4G と AF-S 80/1.8G

という同一焦点距離同士の4ペアが存在している。1段未満というわずかな開放絞りの差にも関わらず、ペア同士の販売価格は2~3倍も異なる。ニコン社の価値観では、F1.4のレンズ1本はF1.8の2~3本分に相当するとの判断だろう。仮に画質がF1.8がよいとなると、F1.4は売れなくなるので、設計の段階から F1.4 のほうを必ず画質がよいようにしているのかもしれない。つまり、販売価格が先に決められ、それに見合う設計をするという考え方。80年代までのニコンはそういう価値観ではなかった気がするが。

さて、上記の4ペアレンズについて、自分が検証したくても手持ちレンズはない。24mmと35mmはシグマにしたし、50mmと85mmとでは、片方の1本しか所有していない。来年に経済的余裕があれば、あるいは、レンタルする機会があれば、検証するかもしれない。

ここでは、MF時代のAisレンズ同士について、検証してみたい。

Ais 24mm/2 と Ais 24mm/2.8

161204

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161204-2

Ais 24mm/2。10群11枚構成。最短撮影距離0.3m。81年当時定価70,000。98年当時定価83,000。

Ais 24mm/2.8。9群9枚構成。最短撮影距離0.3m。81年当時定価45,000。98年当時定価54,000。現行品(税別70,000)。

24mm/2.8 は1967年に発売された歴史の古いレンズで、幾度の改良を加えられ、Ai以降は9群9枚構成のままで、現行品として製造・販売継続している。AF 24/2.8D も同一レンズ構成となっている。

対して、24mm/2 は1977年、Ai世代に新しく設計されたレンズで、その後のAisタイプは2005年までに製造販売されていた。AF化が見送られた。

試写テストはいつもの方法。FXカメラニコンD750を用いて、100m以上離れた町並みを撮影。ISO 100、三脚使用、LVモードによるピント合わせ。手ブレやピントズレはないと考えて良い。

以下はRawファイル(6016×4016ピクセル)。開放絞りから1段ずつの撮影。
Ais 24mm/2: F2, F2.8, F4, F5.6, F8, F11
Ais 24m/2.8: F2.8, F4, F5.6, F8, F11

以下は上記のRawファイルから生成したJPEGファイル(6016×4016ピクセル)。
Ais 24mm/2: F2, F2.8, F4, F5.6, F8, F11
Ais 24m/2.8: F2.8, F4, F5.6, F8, F11

(下の写真)レンズ Ais 24mm/2 の開放絞り(絞りF2) での周辺部(左端)。100%クロップ。
161203-ais24f2-2-left

(下の写真)上と同一レンズ Ais 24mm/2 を絞りF2.8 に絞った時の周辺部(左端)。100%クロップ。
161203-ais24f2-28-lef

(下の写真)レンズ Ais 24mm/2.8 の開放絞り(絞りF2.8) での周辺部(左端)。100%クロップ。
161203-ais24f28-28-lef

Ais 24mm/2 は開放絞りF2ではハロが酷く、状況によっては使えないかもしれない。F2.8 に絞っても、Ais 24mm/2.8 の周辺画質に及ばない。F4 以降になると、両者が接近し、ほぼ互角の画質になる。

つまり、画質を取るなら 24mm/2.8、最大絞りF2 がどうしても欲しいなら 24mm/2 という選択が現実的だろう。

なお、レンズの個体差があって、たまたま今回のような結果になっている可能性もあるが、一般的に Ais 24mm/2 は全開がダメ、というのが欧米での評判。

ということで、神話は概ね正しいかもしれないが、例外もある。いまのように、デジタル一眼レフカメラを誰もが持つ時代では、レンズの良し悪しは自分で確かめるのが一番。フィルム時代ではほとんどのひとはメーカーの宣伝を信じるしかなく、自分で購入したレンズの品質を確かめることは大変難しかった。

また、レンズの個体差(品質のバラツキ)はメーカーによって、レンズの種類によって、製造時期によっては変わるし、片ボケなし・AFピントずれなしのレンズに出会うのは運に任せるしかない。素晴らしいと絶賛されるレンズは自分の購入したレンズと同一品質の保証はどこにもないことだ。

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