実物をやっとテストしたので、メモ的意味合いでプリアンプ部の回路をおいておこう。
入力段にFETQ1,Q2を採用して差分増幅している。入力インピーダンスを高め、同相ノイズを抑えるのが狙い。Q3, D1, D2による定電流回路によって、Q1, Q2を流れる電流を不変にする。Q3のアイドリング電流(=0.65/R3)はR3で決まる。さらに、Q4, Q5によるカレントミラー回路により、Q1, Q2を流れる電流を等しくする。それでも、微妙の差を無くすために、半固定抵抗 VR1を入れ、出力のDCオフセットを調整する。
ドライバ段はQ6による。そのアイドリング電流がR5で決まるが、数mAであればよかろう。なお、C3は発振防止用で、容量については最後の調整段階で決めるほうがよさそう。
出力段はAクラスで動作。一般的なプッシュプルではなく、あえてシングルにした。Trのコンプリメントペアは手に入りそうにないし、必要とも思わないから。また、Q8, D1, D2がまた定電流回路をなしていて、R3がQ8(Q7)のアイドリングを決める。R3の値を20Ωにすれば、アイドリングが約30mAになる。
調整箇所はVR1のみ。出力にダミーロードを繋ぎ、DMMで出力電圧をみながら、ゼロになるようにVR1を回す。
プリアンプ全体のゲイン(利得)はR9, R10の比率で決まる。必要に応じて、その比率を決めて良い。ただ、R10の値は10kΩまでにしよう。高いとノイズを受けやすくなる。
電源電圧は±15Vにしたが、電解コンデンサの耐圧を注意すれば、±30Vまではパーツ変更なしに対応できるはず。
Tr, FETは今の時点ではすべて秋月電子通商から購入できる。ダイオード1S1588は廃盤になったようだが、代わりに1S2076A等でOK。
では、波形をみてみよう。ダミーロードは1kΩ抵抗。入力の大きさや周波数等は各画面で確認できる。全体のゲインは約5.2倍(R9=430Ω、R10=1.8k)、Q7のアイドリングは約30mA(R8=20Ω)に設定してある。なお、C2は実装していない。
100Hz
1kHz
10kHz
100kHz
1MHz
最後は1MHzでの正弦波形。FFTで周波数成分を確認してもそれほどの歪みではなさそう。ということで、数百kHzまでは回路が問題なく動いているようだ。