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手に取った瞬間、エライものを手にしたなと直感した。ネジすべてが真鍮でできていて、ツァイス Contax I を思い出させたから。1956年製。メータの銘板でも抵抗器上の刻印でもそう主張していて、疑う余地はない。

裏蓋は鉄板製。サンワ商品はそれの真似っ子か。しかし、こちらは鉄板の表面に皮のような絶縁材が貼ってあって、ショートする心配は無さそう。テスタ自体が重いので、基板の上に載せて使うことはあまりないと思うが、設計者の拘りが感じずにいられない。

裏蓋を固定する真鍮製ビス4本を取り外すと、綺麗な内部があらわになる。ロータリースイッチではあるが、その構造はほかではあまり見ない。接触不良は起きるものか、と設計者の自慢が聞こえてくる。抵抗器が基板の裏に綺麗に円状に並べられていて、美しい。ハンダはすべて金色に塗装されていて、腐食対策は万全。AC整流器が見えない。円状に隠したのかもしれない。

単1電池2本を使う。横に寝かせるのではなく、立たせて使う発想はいまにはない。弱々しいバネではなく、真鍮ネジでがっちり固定させるところも立派。

調べたところ、電流レンジはスペック内に精度が保たれている。巻線抵抗器の長期安定性は素晴らしい。DC電圧レンジは若干低くなっているが、2%以内の誤差。AC電圧レンジは整流器の劣化だと思うが、5%の低下が見られる。抵抗測定ではRx1が不動(抵抗器の焼損が原因かもしれないが、目視では確認できない)、他の3レンジは問題ない。セロΩ調整ボリュームもしっかりしていて、ガリはなさそう。

コストを考えずに力のすべてを絞り出したメーカの姿勢は尊敬に値する。感度こそ米国製Simpson 260に及ばないが、作り自体は負けてはいないと断言する。

前所有者が大事に保管してきたことを、商品をみて感じている。恐らく遺品のようなものだろう。コイン1枚で手にした自分は何としてでも大事に後世に残さないといけない逸品だ。

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