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何台目なんだろう、Simpson 260がまた届いた。今回は AFP-1 というシリーズ。1960年代製で、米軍(Air Force?)向けの仕様だそうだ。カメラのライカと違って、Simpson 260 はテスタの王者と言えども、整理された資料が少なく、本シリーズにとくに謎が多い。

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日本の自衛隊は横河電機製 YEW 3201を使うのと同様、米軍は第2次大戦からすでにSimpsonを実戦部隊で使っていた。いまはテスタといえばデジタルだが、電池のことや極限状況を考えて、恐らくアナログとデジタルの両方が軍に支給されていると勝手に推測する。

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このAFP-1はシリーズ5Pと同一中身と言われている。片方しか所有していないので、ホントのことは分からない。ただ、製造年代によって同じシリーズでもバリエーションがある。本機では、プリント基板の左上、保護回路の部分がほかの機種と違うようで、つまり、保護回路が一枚のプリント基板に搭載されているのだ。また、保護回路に、トランジスタ1本、ダイオード4本、抵抗器2本、コンデンサ1本が使われている。

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本シリーズのマニュアルには、軍仕様ということもあろうか、プリント基板の取り外し方が明示されている(すでに本ブロブでも紹介した手順)。また、抵抗器の交換についてもそのやり方が説明されている。つまり、故障した抵抗器の両側リード線をなるべく長く残すように切断し、新しい抵抗器を残ったリード線に半田付けするという方法。見た目は汚いが、プリント基板を降ろさずに修理可能で、一分一秒を争う戦場ならではの交換方法だろう。

というわけで、Simpson 260は整備性を念頭に当初から設計製造されたテスタともいえる。シリーズ2は最悪じゃないかと文句を言いたくなるが、現行品を含め、それ以外のシリーズは確かに整備の一貫性を保っている。対して、日本製テスタにYEW 3201が整備性に関し最も優れていると思っているが、他の現行品は皆面倒。

しかし、本機の抵抗器は値が大きく崩れている。値の小さい方にズレているのなら、他の並列抵抗による影響とも考えられるが、ほとんどは値が増加するほうに変わった。60年代のアメリカでは、日本製商品の氾濫で、製造コストを意識するようになり、結果的に質の悪い抵抗器を一時的に使ったのかもしれない。というのは、遥か古いシリーズ2や3ではよく値を保っているし、同年代の日本製テスタにこんなデタラメの抵抗器は見かけなかったから。

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RX1レンジ測定用11.2Ω抵抗器は大きく、基板上でも目立つ。よく焼損したので、ヒューズ+保護回路であっても、W数のデカイ巻線抵抗を採用したのは、やはりお客様(本シリーズの場合は軍隊)本位と評価したい。

<保護回路が正常かどうかのチェック(マニュアルによる)>
1.15V電池をテスタに内蔵させ、レンジスイッチをRx10,000にセットする。
2.ファンクションスイッチを-DC(マイナスDC側)にセットする。
3.黒のテストリードプラグをCOMに挿入し、もう片側を50uAジャックにタッチさせる。
4.すると、パネルにある白色リセットボタンが飛び出してくるはず。
5.このテストではテスタにダメージを与えることはない。
6.リセットボタンが飛び出さなければ、内蔵の15V電池が容量不足か、内蔵の保護回路が壊れている。
7.白色リセットボタンを押し戻して復帰させる。

以下の写真は保護回路が作動した様子を表している。

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正面のパネルやメータガラスを保護するためのハードプラスチックカバーがついているだけでなく(最初の写真)、裏蓋の裏には補強板が追加されている。シリーズ5Pも同様の裏蓋かどうかは定かではない。

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最後に、他の写真も載せておく。ヒューズがシリーズ5Pからやっとホルダーに収められたことや、15V電池の格納箇所が写真からわかる。

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