ズームレンズを持ってないわけではないが、つい最近まで中古のズームレンズを手にしたことはほとんどなかったし、単焦点よりはダメだという固定概念が自分にあった。また、カメラもレンズも修理することが趣味なので、機構が複雑なズームレンズはおのずと避ける対象だった。

しかし、最近の大きくて重いズームレンズをみて、軽量でコンパクトな Nikon シリーズE Zoom 75-150mm F3.5 をゲットして使ったら、その魅力に気づき、あっという間に4本揃った。ほとんどのズームレンズがゴミとして処分され、1本数百~数千円で購入できたことに助けられた面もあったが。

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ニコンはいままで数多くのズームレンズを発売してきた。しかし、MF(マニュアルフォーカス)、Ais、開放絞り不変という3つの条件で限定すると、通常の撮影用焦点範囲(20~300mm)内では、案外そういうズームレンズが少なく、計8本しか生産していなかった。これら8本のズームはどれも単焦点の画質に匹敵するというプロカメラマンがいる。

☆Ai Zoom Nikkor 25-50mm F4S
Ai Zoom Nikkor 28-50mm F3.5S
Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (プロ用)
Ai Zoom Nikkor 50-135mm F3.5S
Ai Zoom Nikkor 80-200mm F4S (プロ用)
Ai Zoom Nikkor 100-300mm F5.6S
☆☆Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S
☆☆Ai Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5S
(☆マーク付きのレンズはやや高価)

8本のうちの2本 35-70/3.5、80-200/4 は80年代前半、プロカメラマン達が必ず持っていたレンズと言われ、ニコン社としては品質に最大限の注意を払ったようだ。28-50/3.5 と 50-135/3.5 の2本は発売当時人気がなく、短期間で製造中止になり、流通している数が少ない。

一般的に、広角レンズは設計が難しく、数十年前の設計技術では納得のいく広角ズームレンズが少なかった。反面、望遠になると、設計が簡単なうえ、プロカメラの撮影待機場所は指定されることが多く、また200-300mmクラスになると三脚で使うのが前提なので、カメラを移動することは難しい。単焦点以上にズームレンズが大活躍するわけだ。

さて、当時のズームレンズの品質はどうだろう。これから時間をかけて比較していくつもりだが、分かりやすい例として、一番ダメそうな望遠レンズを手持ちのものと比較してみた。

レンズ比較:
(以降Aisレンズという)Ai Zoom Nikkor 100-300mm F5.6S (1985年当時の売値 69,000円)
(以降Gレンズという)AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED (現行品、希望小売価格 86,400円、Amazon価格約6万円)

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状態に関しては、Aisレンズはジャンク(入手価格数百円)。盛大なカビは昨日丁寧にクリーニングしたつもりだが、カビがまだ前玉の周辺部に残っている。また、昨日は研究のために、分解できるところまで分解し、ズーム環の自重降下という症状を改善した。前玉、中玉、後玉を一旦取り外したので、組み立ての精度が問題として残っている。

一方、Gレンズは新品購入したもので、ほとんど使っていない。出荷当時の状態と考えてよさそう。

ということで、Aisレンズのボロ負けという比較結果になるはず。

では、実態はどうだろう。焦点距離300mm、開放絞りに限定して実験した。デジカメD750を三脚に載せて、遠い目標(5キロ先か)を撮影した。GレンズもLVモードによるMF撮影(AFモードは信用していないから)なので、ピントズレについては考えなくてよい。

下の写真2枚は、上がAis、下がGレンズによるもの。等倍ピクセル(6016×4016)。2つのファイルはともにD750の保存したJPGで、Exif情報をさらに分析することも可能。

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コントラストに関しては全般的にAisが高い。解像度に関しては、中央部と左端は五分五分だが、右端では、圧倒的にAisの勝ち。

個体差(とくに近年のニコン製レンズは品質のばらつきが酷く、片ボケ、ピントずれという持病をもつレンズは数多い。しかし、日本では、各メーカーが出荷したレンズを厳しく評価するところはないし、ユーザの苦情も明らかにされていない。品質世界一というプライドを守ってほしいけど。)によることもあり、一回切りのテストで結論を下すのは尚早だが、80年代当時のニコン商品の品質を垣間見る一例であることは間違いない。

レンズの光学設計技術は恐らく数十年まえにすでに成熟し、AF、VRという付加価値の追加が近年の動きかもしれない。しかし、一方、オール金属製レンズ(今回のAisレンズには、ゴムやプラスチックが若干使われている)から、ほとんどがプラスチック製(今回のGレンズも無論プラスチック)に変わった。さらに、コスト削減のため、加工精度や組み立て精度のばらつきが近年では顕著になった。

Gレンズは右端と左端とでは解像度が異なるので、軽微な片ボケという解釈も成立する。

最後に、上の2枚の写真から、右端だけをそれぞれ100%クロップしたものを示しておく。各画像は800×800ピクセル。

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