同じスペックのレンズを2本手元にあることはそれほど多くないので、比較してみよう。製造時期によって、どれぐらいの違いがあるか、みてみたい。

1本目:NIKKOR-P Auto 1:2.5 f=10.5cm Nippon Kogaku Japan No.145075
2本目:NIKKOR-P Auto 1:2.5 f=105mm Nippon Kogaku Japan No.234963

このサイトによると、シリアル番号からは、1本目は1966年以前の製造、2本目は1967年以降だという。

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外観上の違いは以下の通り。ただ、2本目はニコン社による純正Ai改造が行われていて、絞りリング自体が取り替えられていることを忘れてはいけない。

1. レンズガラスを押さえる飾り環上の表記の違い。1本目は 10.5cm、cm単位、2本目は 105mm、mm単位。
2. 距離環(ピントリング)の幅が異なる。僅かではあるが、2本目は距離環が約1mm高くなっている。
3. 距離環にある距離の表記が異なるし、フォントの大きさも異なる。1本目はmだけの表記。2本目はm以外にfeetも追加されている。アメリカ・欧州輸出のためだろうか。
4. 被写界深度インデックスの長さが異なる。内側の緑線は1本目が約1mmほど短い。
5. 絞りリングの真上のアルミ環(名称はなんだろう?胸胴?)は幅が異なるし、デザインそのものが違う。上の距離環も下の絞り環も回転するので、レンズをカメラに装脱着するのにそこをしっかり握らないといけない。
6. 絞りリングの違い。Ai改造によって2本目レンズの本来のものではないので、省略。
7. マウント面のビス(ネジ)の数。1本目は見当たらない。2本目は5本。

また、ガラスのコーティングにも違いが見られます。前群は同一のコーティングのように見えるが、後群は1本目が紫色になっている。

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状態が同じなら、レンズ2本のうち、どれを欲しいかと聞かれたら、間違いなく1本目だと答える。距離の表記や、マウント面でのビスなしという美しさがその理由だ。

80年代以降に生産された Aisレンズは外観上、違いがほとんどみられなかったことに対し、オートニッコールには製造時期によって多くのバリエーションがあって面白い。

ただ、コーティングの改良や、Ai機構の搭載など、技術的進歩に伴うモデルチェンジは良しとしても、コスト削減によるモデルチェンジは多かった。ガラスの質も昔のほうが良かったという噂がある。最新の非球面レンズはプラスチック製だから、否定のしようがない。マウント面のビスの数もないものから、5本、3本と簡素化されたし、オート絞りのためのベアリング数も昔の何十個から、数個、ベアリングなしのものまでコスト削減を図ってきた。ニコン製レンズにはないかもしれないが、ネジの代わりに両面テープで固定するレンズはいま製造されている。

レンズの構造や設計思想を調べるのに、こういう地道な比較が必要かもしれない。

<追加>
マウント面にビスがないレンズでは、マウントをどうやって外すのだろう。

実は絞りリングを先に外すのだ。絞りリングの内側に、マウントを固定するビスが隠されている。また、絞りリングはねじ込む構造になっている。コストのかかる前期レンズの設計だった。

前期モデルと後期モデルは絞りリングの作りが異なるので、Ai改造用絞りリングもその分用意しないといけない。当時は数多くの種類のものが改造のために用意されていたことになる。

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