最初のお宝の登場。西ドイツ ツァイス社とフォクトレンダー社が合併して、1967~69年にかけてつくられたカメラ。

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—- Voigtlander Vitomatic II cs —-
フォクトレンダー社・ビトマチック II CS

フォクトレンダー社のビトマチックシリーズは、I (1958) からスタートして、III CS (1967) で消滅。最後のIII CS ではウルトロンレンズの搭載になったけど、他のスペックはこの II CS と変わらないらしい。

このカメラはたまたま手元にあるものだけど、同タイプを見かけたことはほんの数回しかなかった。日本製品の大攻勢の前じゃ、当時では売れるはずもなかったかな。

まず全体の印象。シャッターレリーズレバーが正面のレンズ脇にあるところから、それまでの ビトマチックと違うデザインに意識させられる。手ブレ防止に良いか悪いかは判らないけど、Cds露出計の搭載等、内部スペース的な制限からくる変更なのかもしれない。

正面の、ファインダー周りのフレームに少々の威圧感を覚える。好みの別れるところだけど、個人的にはそれまでのデザインのほうが好き。

しかし全体的に、ビトマチックの流れから大きく外れることなく、当時の最新技術を取り込んだところを評価してよさそう。電池室ひとつをみても、技術者の努力がよく伝わってくるし。

では、実物を見ながら、スペックを書いておく。

型 名 フォクトレンダー社製 ビトマチック IIcs
     Voigtlander Vitomatic IIcs
製造国 西ドイツ(1967~69年)。
使用フィルム 35mm。
レンズシャッター PRONTOR 500 SLK-V、スピード B・1~1/500秒、X シンクロのみ、セルフタイマ付き。
レンズ Color-Skopar 50mm F2.8。コーティングあり。
距離計内蔵 センター2重丸イメージ、ピントリングに連動。ドイツから送られてきたからかな、距離目盛はメートル。最短距離 1m。
Cds露出計内蔵、水銀電池が1つ必要。電池のOn/Off スイッチはないようだが、電池容量の確認スイッチがついている。
ファインダーは等倍式。ブライトフレーム、距離計の2重イメージが見える。下の横一列に露出計の針、電池容量の有無を表す緑・赤部分あり、さらに、右下では、レンズ周りの絞り値の一部とシャッタースピード値の一部が光学的に見えるように工夫されている。
フィルムカウンターが底部にあり、裏蓋を開けるとリセットされる。

内蔵された露出計にCds素子となっているところは新鮮。露出計自体は追針式、つまり、ファインダーからは露出計の針と、先端の丸い針が2本見える。フィルム感度や、絞り、またはシャッタースピードを変えると、丸い針が連動して左右に動く。露出計の針が丸の中に入るように調整すればよし。

電池室はなんとトップカバーの右端に設けてある。乳白色のカバーを外すと電池が出てくる。そんなところにあるなんて、なかなか判らないものね。電池容量のチェックボタンは正面の、レリーズレバーのすこし上についてある。そのスイッチもあまり気づかれないかも。

ミラーやレンズを複数使い、絞りやスピードの値をファインダーから見えるようにしたのがさすがだが、中途半端の感は否めない、それらの数値は一部しか見えないからだ。東ドイツのWerramatic なんか、西側にバカされるかもしれないけど、一部じゃなく、全部見えるようになっているぞ。

もうひとつ、ユニックな機構は巻戻しクランクにみられる。ボディ左脇の巻戻し解除レバーを動かすと、そのクランクがほんの少し飛び上がるのだ。上がったクランクをもとに押し戻すと、解除レバーもリセットされる。なんて可愛い仕掛けだろう。技術者の遊び心がそんなちいちゃなところに隠されてて、嬉しい。

ビトマチックII 等でよく問題となった、フィルムインジケータ部の印字薄や、絞りリングの腐食発生は、このタイプになると完全に解消された。時代遅れのフィルムインジケータはなくなったし、絞りリングも黒塗装と変わっている。

フィルムを入れないとシャッターがチャージされない機構なので、空シャッターを切ってみたいときには、フィルムを入れるのが無難だろう。

底落しによる裏蓋の開け方。ビトマチックの伝統がこのタイプにも生かされている。

ここで、簡単な使い方をまとめてみる。

<使い方>
前準備として、露出計用水銀電池を入れる。トップカバーの右側、丸い乳白色部が電池室カバー。矢印のところを爪先で引っ張るとカバーが取れる。戻すには、まず片側を引っかけてから、静かにカバー全体を押すとOK。案外やりづらいかも。

フィルム感度のセット。レンズ周りに絞りリング・フィルム感度リングが前後くっ付いている。底の突起を押して、フィルム感度リングだけを回す。ASA 25~800に対応している。

フィルムをいれる。底カバーにある、ロックレバーを爪先で起こし、90度回転させてロックレバーを引っ張ると裏蓋が開く。パトローネをまずセットし、フィルムの先端を、右端のスプールに差し込む。そのため、巻上げレバーを動かしてスプールの割れ目をみえるようにする。フィルムレールの真中にあるギアにうまくフィルムのパーフォレーションを噛ませて、裏蓋を静かに閉める。説明ではめんどくさく感じるが、ふううのカメラとの違いはあまりない。ロックをかけ、底のロックレバーを戻す。巻上げレバ―をストップまで巻上げる。

ファインダーから露出計を見ながら、絞りや、シャッタースピードを決める。手ブレにならぬよう、野外ではスピード1/60秒以上を使うといいかも。

ファインダーから距離計の2重像を見ながら、レンズのピントリングを回し撮影距離を決める。

これで撮影スタンバイOK。

フィルムを使い切ったら巻戻す。ボディの左側の解除レバーを爪先で後ろに引っ張ると、巻戻しクランクがほんのすこし飛び上がる。矢印方向にクランクを回す。巻戻し終了したところ、フィルムを取り出し、巻戻しクランクを押し戻す。
</使い方>

実際にカメラを構えて撮影してみると、レンズ脇のレリーズレバーが案外使いやすいことに気づく。右手の人差し指が電池室カバーに置くと、中指が自然とレバーの上にくる。しかも親指のところにちょうど巻上げレバ―があり、スムーズに撮影ができた。うーん、いい感じ。

撮影して判ったことだが、野外では1/60秒以上でシャッターを切ることがほとんど。その部分のスピードはちょうどファインダーから見える位置にあり、大した欠陥ではなかった。ファインダーに撮影に必要な情報が多く、慣れが必要だが、等倍ファインダーはやはり見やすい。

フォクトレンダー社製品のもうひとつの特徴はそのメッキの美しさにある。このカメラも例にもれず、メッキにキズ一つなく、当時のまま輝いているようにみえて、尊敬する。

数十年後の今日でも、なにひとつ故障なく撮影できて、当時の姿を鑑賞できることに、私は至福を感じてやまない。

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