久しぶりにクラシックカメラを手にした。若者はお金がなく、年配者は遊ぶ体力がない。そのせいか、近所のハードオフには売れないものがどんどん増えている。昨日たまに寄ったら、3割引セールをやっていて、このカメラを約1500円で入手した。

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フィルムカメラは20代から親しんできたが、クラシックカメラにハマったのは90年代。最初の一台もこのNikomat FTn という名のカメラだった。その後日本ではインターネットの普及に伴い、ヤフオクが始まった。個人でもそこで販売できることから、いろんなひとがアメリカから中古やジャンク品を安く仕入れて、ヤフオクで転売し始めた。お店も参入し、雑誌等の煽りもあって、一大クラシックカメラブームが巻き上がった。それまで数十万円もするカメラが数万円で買えるのだから、若い頃に欲しがっていたライカやコンタックス等の銘機を手にして夢を叶いたい心理が多くの人を掻き立てたのだろう。一方、アメリカは60、70年代が裕福だったうえ、乾燥な気候が光学機器の保蔵にも都合がよく、世界各国生産のカメラがいい状態で多く残っていた。といった多くの要因が重なり、2000年代初頭にクラシックカメラブームが頂点を極めた。

その後、デジカメの普及によって、フィルムカメラが人気を失ってしまった。いまとなって、多くのクラシックカメラがまた90年代初頭と同様、格安で中古店で並べられるようになった。

しかし、クラシックカメラは多くが機械式で、メンテナンスすれば、いつ経っても動くわけだ。昭和の古き良き時代を楽しむ意味で、代表的なカメラを手に入れて鑑賞対象にしても悪くないと思う。工芸品という概念はまだ普及していないが、今日の生産コストでは、中国でさえ、数千円で作ることは無謀だろう。

さて、この Nikomat FTn は1967年~1975年に販売されていたもの。プロカメラマン用のFシリーズと違い、庶民向けに真面目につくられた中級機だ。露出計内蔵機械式一眼レフカメラ。シャッターは縦走りのメタルフォーカルプレーンシャッター、シャッタースピードは B, 1~1000。MXシンクロ付。絞込みプレビュー機構あり、ミラーアップ可能、セルフタイマ付。

その後のふつうの一眼レフと大きく異なるのは、レンズの取り付け方。取り付ける前に、レンズの絞りをまずF5.6にセットしておく。ボディにレンズを取り付けたら、レンズの絞りリングを左いっぱい、さらに反対方向の右いっぱいに回し、レンズの開放F値をボディに伝える必要がある。また、シャッタースピードもフィルム感度の設定もレンズマウントの付け根にあるので、慣れないと操作に戸惑う。

本機の状態だが、外観は軍艦部のファインダー部にアタリ、ファイダー内のプリズムに腐食が見られる。底カバーに購入者と思われるひとの名前が入ったラベルが貼ってある。ふつうのプリンタでは作成できないことから、PC普及以前の70年代のものだと思われる。

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また、電池室には、LR44ボタン電池だけでなく、サイズ変換アダプターもついている。水銀電池がなくなり、アダプターの販売が始まったのは2000年代なので、その頃にこのカメラがまだ使われていたと推測する。クラシックカメラブームに乗せられて、休眠後の再活躍だったかもしれない。

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確認したところ、精度は別にして、露出計はいまでも動いている。シャッタースピードも概ね正常。フィルムを入れれば、撮影できる可能性が大。

といいつつも、撮影する程の愛着はまだない。取り敢えず、昔の歳月を回想しながら、軍艦部を開けることにした。

分解するに当たって、最も大事なことは壊さないこと、傷つけないことだろう。騙しネジや逆ネジもあるので、ネジを少し緩めて一々確かめることが大事。多くの分解情報がネットにすでにあり、根気強く情報をネットから仕入れることも重要。

まずは、軍艦部左側のフィルム巻き戻しクラックの取り外し。マイナスドライバをフィルム室に突っ込み、軸を回転させないようにしてから、軍艦部の巻き戻しクランクを反時計方向に、力いっぱい回す。

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軍艦カバーを押さえ込むネジが現れた。すでになめた跡があり、素人が分解した証拠だ。ネジを回すにはカニ目レンチというツールが必要だが、自分はベンチで代用した。

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体重をかけ、しっかりネジの欠け目に当て、力いっぱいで反時計方向に回す。軍艦部左側はこれで作業修了。

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つぎは軍艦部右側のフィルム巻き上げ部。カバーを取るのに、硬いゴム棒がいいだろう。100円ショップかホームセンターから入手可。

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カバーに当て、反時計方向に回せばカバーが取れるはず。下の固定ネジにもなめた痕跡あり。

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もう一度ベンチを使って、ネジを回す。しっかり抑えこんでから回すのがコツ。傷はとにかくつけてはいけない。

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つぎに、軍艦部の右側面にある固定ネジを外す。精密ドライバの出番。

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ピントボケになってしまったが、簡単にネジが取れた。

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最後に、ファインダ正面の固定ネジを取り外す。マイナスドライバを使う。

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軍艦部カバーを持ち上げて、内部を見ることができるようになった。露出計回路に抵抗やCds素子等の電子部品が数個入っているが、基本的にはすべて機械で動いている。デジカメとは正反対。

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自分は決してカメラ修理の修行を受けたわけではないが、素人ながらもいろいろな道具を持っている。ライカを分解するツールとか、レンズを分解するツールとか。職人さんが凄いのは、経験だけでなく、ちゃんとした専用の道具をもっていることだ。

それと、体が習得した技術は10年経ってもちゃんと覚えていることはまた実感した。水泳や自転車と同じで、一生覚えていけるものかもしれない。

シンクロ接線を半田で溶かして、カバーを完全に下ろして、記念撮影。

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詳細は省略したが、プリズムを外した状態。プリズムのガラスを覆う黒塗装が剥がれたことが腐食にみえた原因のようだ。黒塗装の塗り直しは簡単にできるのか、色々調べてみる。

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本日の作業はここまで。

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