AliExpressから、電源キット「0-30V 2mA-3A DC Regulated Power Supply DIY Kit Continuously Adjustable Current Limiting Protection for school education lab」を見つけた。どういう性能のものか、好奇心に駆られて購入に踏み切った。送料込で4.18米ドル。1月21日発注、1月28日到着、1週間ほどで無事届いた。

パーツは3つの袋に収められていた。PCB基板(プリント回路板。PCB = printed circuit board)のサイズは 84mm x 84mmの正方形。表側のシルク印刷は質がいまいち、擦ると簡単に落ちそう。

パーツは3つの袋に分けられている
PCBの表側
PCBの裏側

回路図や説明書が一切ついてきてないので、ネット頼りに、以下の回路図とパーツ情報をゲットしておいた。

大変重要な電子回路図(クリックすると拡大表示される)
パーツリスト

キットの特徴は本人の理解では2つあげることができる。

  1. スイッチング電源ではなく、従来のリニア(レギュラー)タイプの電源であること。ノイズの発生が少なく、ラジオ等の電源としても通用する。つまり、電源の質がいいということ。
  2. 出力の最大電流を制限できること。キットの最大電流は3Aとの設計値だが、使用中にボリュームを調整すれば、最大電流を2mAから3Aの間に任意に設定することができる。LEDやダイオード等のパーツは、最大電流を20mA以内に設定すれば、実験で壊れることがなくなる。つまり、保護回路がしっかりしていること。

ただし、電子回路図を確認すると、このキットで大事なパーツ、電源トランスの選定に気をつけるべきことに気づいた。というのは、最大電圧が30Vとなっているので、定格出力電圧を30V以上の電源トランスを選ばないとおかしいわけだが、ネット情報では電源トランスの2次側は定格24Vと指定されている。その理由を推測すると、キットで使われているオペアンプ3つはいずれも、TL081という品種によることだ。そのオペアンプの絶対最大定格(Absolute Maximum Ratings)の電源電圧は、データシートによると±18V、つまり、電圧差36Vまでということだ。しかし、電子回路図を見ると、TL081のうち、2つ(U2とU3)はマイナス側の電源電圧は約-5V、プラス側の電源電圧は電源トランスの交流出力が整流・平滑された後の直流最大電圧になっている。

電源トランスの2次側出力電圧は一般的に、出力電流によって、2~3割変動する。定格電流時の出力電圧は定格電圧になっている。たとえば、電源トランス24V/3Aのものだと、出力電流が交流3Aのときに、出力電圧が交流約24Vとなるように設計・製造されているはず。出力電流が少ないとき、極端の場合、出力電流がほとんどない(無負荷)のときに、出力電圧は2~3割程度高くなる。また、整流・平滑後の直流電圧は交流電圧の1.1倍と計算しても大きな間違いではないはず。

そう考えると、定格出力電圧24V×倍率1.3(無負荷時の倍率)×1.1=34.3Vになり、それがオペアンプのプラス側に印加する電源電圧になる。

プラスマイナスの差は34.4-(-5)=39.4V、TL081の最大許容電源電圧を超えてしまう。無論、超えたからといってオペアンプがすぐに壊れることはないが、そういう使い方は避けるべきだろう。

ましてや、定格電圧30Vの電源トランスを使うことは大変危険。それが定格電圧24Vが指定された理由だと推測した。そのことからも、キットの最大電圧/最大電流に偽りがあることがわかった。電源トランスに定格24V/3Aものを使う限り、出力電流が3A時に最大電圧は30Vになることはありえないし、電源トランスの定格電圧を高いものにすると、オペアンプが壊れる可能性が高くなる。

つまり、電源電圧の高いオペアンプ(ネット情報では、OPA445AP=最大電源電圧±50V が推薦されている)を使い、定格電圧30V/3A以上の電源トランスを使うと、やっと電子回路図通りの電源ができると思われる。送られたパーツのままでPCBを完成し、定格電圧24V/3Aの電源トランスを使うと、出力電流の小さい場合には最大電圧は30Vになるかもしれないが、出力電流が3A近くなると、最大電圧が24V近辺に落ちることはやむを得ない。

さて、設計者の意図に沿って、届けられたパーツをそのままPCBにはんだ付けすれば、成功率が最も高いだが、せっかくなので、最大電流を5Aに拡大するようチャレンジしてみた。さらに、手持ちのパーツに合わせ、いくつかのパーツを納得のいくものに変えてみた。

変えたパーツは以下の通り。

  • 整流ダイオード(D1~D4)。秋月電子販売の低電圧ショットキーダイオード45V/10A(型番 SBM1045VSS )。理由は最大電流5Aに合わせるから。
  • オペアンプ(U1~U3)。秋月電子販売の NJM5534D 。理由はNJM5534Dの許容最大電源電圧は±22Vで、予想される電源電圧の約39Vを上回り、多少安心するから。ただし、後述することだが、オペアンプを変えると、電子回路の一部を合わせて修正しないといけない。
  • R1(2.2k / 1W)を 酸化金属皮膜抵抗 2.2k / 2W(千石電商が販売、単価20円)にした。その抵抗器はブリーダ抵抗といわれ、エネルギーを無駄に消費するだけのものだが、目的は電源トランスの最大出力電圧を下げるため。消費電力は計算上、30×30/2.2k=0.4W。
  • R2(82Ω / 0.25W)を180Ω / 1W、150Ω / 1W の2つ並列接続して置き換えた。その抵抗器の消費電力は計算することが容易ではないが、実測では抵抗器両端の電圧が交流6.1Vになり、6.1×6.1/82=0.46Wになる。キットの中では最も発熱する抵抗器のひとつ(もうひとつは下記のR7)のようだ。
  • R3(220Ω / 0.25W)を220Ω / 1W に置き換えた。実測では抵抗器両端の電圧は直流5.7V、5.7×5.7/220=0.15W。発熱は少なく、元の抵抗器をそのままで使っても問題がないはず。つまり、置き換える必要はなかった。
  • R7(0.47Ω / 5W セメント)を 0.1Ω / 5Wの3つ直列接続して置き換えた。0.33Ω / 10W の小型サイズセメント抵抗は見つからず、次善策として直列接続でごまかした。消費電力は最大電流5Aで計算すると、5×5×0.1=2.5W。元の抵抗器をそのまま使ったとすると、消費電力は5×5×0.47=11.28Wになり、定格5Wを大幅に超えてしまう。
  • 三端子レギュレータ 7824 を 7812に置き換えた(上での電子回路図ではキットに含まれる7824がすでに7812に置き換えられたが)。理由は12V駆動の放熱ファンやリレーのほうが入手しやすい。ただし、印加する入力電圧は絶対最大定格の35Vを若干超えてしまっている。(追加)対策として、PCBを1箇所カットして、電源電圧と7812のIn端子との間に、たまたま手元にあった5.1V / 5Wツェナーダイオード(秋月電子販売)を2つ直列して挿入した。また最終的に、三端子レギュレータの使い道は、リレー(必要な電流75mA)、およびデジタル電圧電流計(20mA)の駆動用。流れる電流は95mAなので、消費電力は (35.5V(最大電源電圧)- 10.2V (ツェナーダイオード2つ)- 12V)×0.095A=1.3W。 三端子レギュレータ に小型ヒートシンクを付けたほうが良さげ。
  • (追加)下記の写真を撮影した後に変えたパーツとして、抵抗器 R22(3.9kΩ / 0.25W)を 3.9kΩ / 0.5W に変えた。なぜかというと、CCモードを示すLED(D12)を点灯している間に、R22に印加される電圧は30Vに達し、消費電力は 30×30 / 3900=0.23W になるから。

個々のパーツについて、DMM(デジタルマルチメータ)で測り、ダイオードの向きや抵抗器の抵抗値、コンデンサの容量値を確認したうえで、装着の向きを考えながらPCBにはんだ付けした。完成したPCBは以下のとおり。なお、トランジスタQ4、電圧調整ボリュームP1、最大電流調整ボリュームP2、LED(D12)は基板上ではなく、ケースにつけたいので、パーツの代わりにコネクタをつけた。また、放熱量の多いパーツはなるべくPCBから離れるように配置した。

PCBの表側
立体的に見える角度
裏側からの視角
PCBの裏側

電源トランスの入手については、楽天で、パチスロ・パチンコ用トランス
120VA、100V / 24V、5Aというものを見つけた。新品で送料込2,450円。製造は(株)中村電機製作所と販売店が言っているが、確認できるものは到着電源トランスから見つけることはできなかった。

届いて実測したところ、重量2kg、高さ69mm、幅104mm/79mm、前後85mm。1次側(100V、黄色リード線)抵抗約2.5Ω、2次側(24V、白色リード線)抵抗約0.7Ωになっている。1次2次間は当然、直流では絶縁している。

楽天で購入した電源トランス 24V/5A

電源トランスや、その他のパーツをすべてPCBに接続して動作確認を行ったところ、出力電圧は-0.6Vのままで、ボリュームを調整しても出力電圧に変化は見られなかった。原因はオペアンプU2のオフセット調整回路はTL081と NJM5534D とでは下図のように全く異なるのだ。

オフセット回路がオペアンプによって異なる

そういうことで、PCBを改造し、R10(270k、上図の左側 1.5kΩに相当)を20k(手持ちに22kの抵抗器がなく、近い20kにした)に変えて、その接続先をプラス電源(オペアンプU2のピン7)に直すと、出力電源が無事、0~31Vに変えられるようになった。無論、オフセット調整用多回転半固定抵抗器 RV1 の接続先をU2のピン5からピン8に直すことはいうまでもない。

修正したU2のオフセット回路

キットを収納するケースについて、最終的に70年代の製品、手持ちの Metronix 532Cのケースを流用した。メタルケースであること、大型放熱器(ヒートシンク)がついていること等がその理由。

電源スイッチを入れたら、いきなり出力に電圧を出すのではなく、ケースのフロントパネルにある表記、Power Off → Stand by → Output On を活用した。Outputの On/Off という機能は多くの製品でも省かれているが、実験用電源としてはぜひ備えるべき機能のひとつ。OutputをOffにして、出力電圧を調整したり、最大出力電流を調整して、様々な条件下で実験するものだから。とくに、今回のケースでは、Output Onにするには、Stand By を必ず経由するので、アナログ的なその操作はいまのデジタル時代では絶滅してしまった。その機能を実現するには、AC100V/1.2Aに耐えうるロータリスイッチ(今回はMetronix 532Cについてきたものを流用)とリレー(12V駆動、流せる電流は直流5A以上)が必要になる。

また、出力電圧・最大出力電流の調整にキット付属の安物ボリュームではなく、10回転型ヘリカルポテンショメータ(秋月電子販売、単価700円、キット価格を上回る)を2つ採用した。

さらに、ケースのヒートシンクの形に合わせ、Q4(トランジスタ2SD1047)の代わりに、TO-3タイプ トランジスタ 2N3055(流せる最大電流 15A、最大電力 115W)を2つ使った。2つの2N3055はベースが共有、コレクタが共有、それぞれのエミッタに電流のバランスを取るための抵抗器 0.22Ω / 2W を接続した。

出力電圧・電流のデジタル表示にミニデジタル電圧・電流計 DSN-VC288を活用した。

こうして、最終的には大変本格的な実験用電源に仕上げたことができた。

フロントパネルの各機能

アナログメータが元々あったので、そのまま残すことにした。ただし、フルスケールを5Aにするには、適切なシャント抵抗器(0.58Ωという半端な抵抗値)を選ばないといけないが、なかなか見つからない。アナログメータの感度を調整することがそれに比べてやりやすいので、後日調整することにする。とりあえず今の時点では0.1Ω/5W抵抗器を2つ並列接続して、シャント抵抗器の代わりに使うことにした。

また、フロントパネルにある、最大出力電流設定モードSWは出力をショートするだけのスイッチだが、5Aの電流に耐えうるスイッチはたまたま手元にあって、利用することにした。使い方は、スイッチを右側に倒せば、出力がショートされ、最大出力電流をポテンショメータ で調整できるようになる。設定後、無論、スイッチを左側に戻さないと、出力電圧はゼロのまま。

内部の配置。ケースが無駄に大きすぎた
大型ヒートシンクに2N3055を2つマウント
出力のOn/Offにリレーを使った
フロントパネルの裏側
実際の使用時様子

5A近くの大電流では出力がとても不安定になっている。3300uFの電解コンデンサはやはり心配のとおり、容量が足りない(一般的に、1Aの電流に対して平滑コンデンサ容量は1000~2000uFが適切といわれる)ことと思われる。近いサイズの6800uFが見つかったので、取り替えることにした。

サイズの小さい大容量電解コンデンサは案外見つかりにくい

実際の最大出力電圧は電流によって以下のようになっている。

無負荷時の最大出力電圧は 31.7V。
出力電流が 1.08A 時に、最大出力電圧は 30V。
出力電流が 2A 時に、最大出力電圧は 27.7V。
出力電流が 3A 時に、最大出力電圧は 25.4V。
出力電流が 5A 時に、最大出力電圧は 22.0V。抵抗器R7の電圧降下(5×0.3=1.5V)や、2N3055のベース-エミッタ間の電圧降下(0.6~1V)等によって、24Vにも届かなかった。

5A時の最大電圧は残念ながら22Vにしかならない

ということで、正真正銘 30V/3Aの電源にするには、少なくとも定格30V/4Aの電源トランス、耐圧の高いオペアンプにしないと無理だと思われる。30V/5Aの電源にするなら、定格32V/6Aの電源トランスが良いだろう。

なお、オペアンプに印加している電源電圧(ピン7-4間の電圧)を実測したところ、無負荷時にU1は35.35V、U2とU3は40.60V。

また、出力に含まれるリップル電圧は実測したところ、0.2mV程度となっている。ただし、最大出力電流の設定によってCCモードになった場合には、リップル電圧が30mV程度に上がり、とても高くなってしまう。それも本キット回路設計の欠点だと思われる。

最後に、電子回路の分析をやってみる。間違いがあるかもしれないが、適時に修正するつもり。

オペアンプU2、U3は入力電圧がゼロ(キット全体の最小出力電圧)に対処する必要があるので、マイナス電源が必要。そのために、R2、C2、D5、D6によるマイナス電圧を作り出し、平滑回路R3、C3を経て、ツェナーダイオードD7により、約-5.1Vを得る。プラス電源の約34V(実測は35V)と合わせると、オペアンプU2、U3にかかる電源電圧は39V(実測は40V)になり、TL082の最大定格を超えてしまう。そのために、改善版として、 5.1VツェナーダイオードD7の代わりに、直列した2つのダイオードによる1.3Vの回路も提案されている。5.1Vにした設計者の意図は、温度によるツァナー電圧の変動を最小にしたいからだと推測する。

オペアンプU1は ツェナーダイオードD8と合わせて、基準電圧約10V(実測 10.35V)を出している(出力ピン6)。抵抗器R5=R6なので、U1の出力側(ピン6)はD8の2倍の電圧になる。ただし、自分の分析では抵抗器R4は抵抗値4.7kΩだと、D8を流れる電流は1.1mAと若干小さい気がする。R4を1kΩ、D8の流れる電流は約5mAにすることのほうが適切だろう。いっそうのこと、ツェナーダイオードの代わりに、シャントレギュレータ(電圧レファレンス) LM336Z-5.0 (秋月電子販売)にすると温度特性がよりよいだろう。

オペアンプU3はコンパレータの役割を果たす。プラス側入力は基準電圧からの分圧値(R18、P2、R17)、マイナス側入力はキット全体のマイナス側出力電圧と抵抗器R21経由で接続しているので、R7の電圧降下が比較対象になる。つまり、キット全体の出力電流が低ければ、R7の電圧降下が少なく、U3のプラス側入力が高く、U3の出力電圧(ピン6)が電源電圧のプラス側近くになり、トランジスタQ3、ダイオードD9が導通しない。逆に、キット全体の出力電流が高いと、U3のマイナス側入力が絶対値として高くなり、U3の出力電圧が電源電圧のマイナス側近く(実際には、D9の導通により、U3の出力電圧がキット全体の出力電圧に左右され、マイナス電圧にならない)になり、Q3、D9が導通し、CCモードを示すLED(D12)が点灯し、オペアンプU2のプラス側入力とD9経由で連動するようになる。

オペアンプU2はプラス側入力の電圧に合わせて、出力電圧・電流を調整する。一方、キット全体のプラス出力電圧は分圧(抵抗器R6とR11)してU2のマイナス入力にフィードバックされる。

以上の分析により、CCモード時のリップル増大が説明できるようになる。すなわち、CCモードでないとき時に、D9は導通せず、U2のプラス側入力は基準電圧からの分圧(P1)によって一意に決まる。一方、CCモードになると、D9が導通し、U2のプラス側入力は基準電圧に依らず、R7の電圧降下や、R12とR11の分圧によって、定められるので、比較的不安定な状態にならざるをえない。そういう理由で、CCモードでの運用は定電圧電源としては例外扱いとはいえ、リップル30mVの大きさを受け入れられないのであれば、本キットを改造するか、諦めざるをを得ない。

<本キットを製作してわかったことのまとめ>
良い点:
 ・PCBやパーツは低価格で販売されている。
 ・最大電流を制限でき、保護機能がしっかりしている。
 ・リップルが比較的少ない(0.2mV程度)。
注意すべき点:
 ・電源トランスやヒートシンク、ケース等の追加部品が必要。
 ・スペック通りの30A / 3A をきちんと出すには、オペアンプの限界や電源トランスの選定に気を使うべき。
 ・元々の設計はアイデアが素晴らしいが、パーツの定格について変えたほうがよいと思われるパーツは複数。
 ・最大電流が制限された時(CCモード時)に、リップルが多少高い(30mV程度)。

<改善>
最大電流を制限する10回転型ヘリカルポテンショメータ のダイヤルを専用のストッパー付バーニヤダイアルに変えた。10回転で5A、つまり、1回転で500mAに対応するので、いちいち出力をショートさせなくても、大まかな最大制限電流をひと目でセットできるようになった。

電流制限ダイヤルを専用品に変えた。これで、1回転で約0.5Aに対応。

DC-DC昇圧コンバータ(あるいは、ブースタコンバータという)は、低い直流電圧を高い直流電圧に変換するデバイス。多くの種類が市販されており、気軽に購入するものはやはり中国製になってしまい、以下のひとつはAmazon経由で中国から送られてきたもの、送料込で500円以下。

中国製DC-DC昇圧コンバータ
上記コンバータの回路図

上記の商品はよく見かけものだが、製造メーカーも型番もない。コピー品が氾濫されているからだろうか。スペックは値段の割にすごい:入力DC電圧10~32V、出力DC電圧12~35V(写真の左側にある、10回転半可変ボリュームにて精密に調整可能)、最大入力電流16A、最大出力電流10A、最大電力150W、変換効率が最大94%。

上記の最大出力電圧35Vは出力平滑コンデンサ1000uF/35Vの制限になる。そのコンデンサを耐圧50Vのものに変えれば、最大出力電圧をアップすることは可能だという。無論、半可変ボリューム(商品では10kΩ)もより抵抗値の大きいもの(たとえば15kΩ)に変えないといけないだろう。

昇圧コンバータなので、出力電圧が入力電圧を下回ることはできない。用途の一例として、入力電圧にACアダプター(電圧10V以上に固定されたもの)、あるいは市販カーバッテリー(電圧12V)を繋ぎ、出力電圧を必要に応じて変えれば、電圧可変なACアダプター代わりになる。

入力電圧にある程度の変化があっても、出力電圧はほぼ定電圧になるのは本コンバータの特徴。たとえば、出力電圧を20Vに設定すると、入力電圧が10~18V以内の変動なら、出力電圧はきちんと20Vのままになることが実験で確かめられた。

今回、用途はあまり考えずに、上記のDC-DCコンバータに、保護ヒューズ、出力電圧表示、出力電圧切替スイッチを追加して、アダプター化して遊んだ。要するに、電子工作のための遊び。

入力電圧として想定したのは12V/4A(つまり48W級)のACアダプター。それ以下の電圧では本コンバータが動作しない(入力電圧10V以上が動作条件)、それ以上の電圧では本コンバータを使う意味が少なくなる。出力電圧はいちいち多回転ボリュームで調整するのはめんどくさいし、間違いやすいので、スイッチで切り替えることにした。出力電圧は 15, 16, 18, 20, 24Vの5段階。15Vのかわりに14Vでもいいかもしれないが、切りのいい数字ということで15Vにした。

本コンバータからLED、多回転半固定ボリューム、入力・出力ターミナルブロックをまず取り外す。LEDを流れる電流は最大でも1mAしかなく、残しても全くエネルギーの浪費にならないが、必要のないものを残したくない。ターミナルブロックはどうしても接触不良を心配するから。

要らないパーツを取り外す

ケースは手持ちのACアダプターのプラスチックケースを流用。空間的にほとんど余裕のないケースだが、ネジ止めや、プラスチック材質ゆえの加工しやすさや絶縁性に助けられた。

以下は作成後の外観。

正面(上面)は出力電圧表示、出力電圧切替スイッチ
左側は入力ジャック(内径1.2mm、外径5.5mmの標準品)、保護ヒューズ(ミニガラス管)
右側は出力ジャック。中央でないのは元のケーブル穴を利用したから
底側。本コンバータを固定する4本のネジ。外側はケースを固定するネジ穴。注意書きは元にあったもの

入力ジャックに標準品を使った。内径2.1mmと2.5mmの2種類があるが、より細い2.1mmにした。センタープラス。そこからミニガラス管用保護ヒューズに繋いで、ショート防止に努めた。ACアダプターにこんな形のヒューズホルダをみかけることはめったにないが、コスト無視できるのはユーザの特権。

出力電圧の調整は実験で以下のことがわかった。10Vを基底として、多回転ボリュームは2kΩずつ5V増えていく。つまり、2kΩ抵抗では15V、4kΩ抵抗では20V、10kΩ抵抗では35Vになる。したがって、15, 16, 18, 20, 24Vにするには、出力電圧切替スイッチにつける抵抗はそれぞれ、2kΩ, 2.4kΩ, 3.2kΩ, 4kΩ, 5.6kΩ となる。精確な抵抗がなければ、その前後の抵抗値や2つの抵抗を直列して使う。0.5V以内の電圧誤差で問題になることはないだろうから。

以下は内部写真。接線がきたないので、いつもその改善に悩まされるが。

内部の入力側
内部の出力側と電圧切替スイッチ
内部写真

なお、出力電圧表示はミニデジタル電圧計を出力につけるだけのもの。出力電圧表示によって、出力電圧をひと目で確認できるだけでなく、異常(電源の発振等)に気づくきっかけにもなる。

出力電圧の表示。スイッチの位置とで2重チェックになる。

5年前に入手したものだが、1972年製造からの年代経過によって、バッテリー室や一体化テスタリードが劣化している。そのままでは自分の感覚では実用にならないので、改造を実施した。

テスタ全体がサイズ大きく、改造しやすかった。結果的に施した改造は以下の通り。

改造後の状態

1. ケースを分離して、裏の一部だけを残す。
2. 一体化テスタリードを取り外し、フロント右側のスイッチ部分に、コネクタを追加。

コネクタを追加

3. バッテリー室の改造。
 もっとも大変な改造部分。もともとは単3電池6本(1.5V×6 = 9V)、単2電池1本だが、改造では 単3電池6本をリチウムイオン電池3本(3.7V×3 = 11V)にした。

電池ボックスを塩ビ板に接着剤で固定し、さらに電源スイッチを追加した。

バッテリー室の中身
電源スイッチ
バッテリー室の蓋

バッテリー室の底(電池ボックスを固定するため)と蓋は塩ビ板を使った。加工しやすく絶縁するから。ただ、蓋のうえにさらにアルミ板を一枚追加するとより見栄えがよいだろう。

以上で改造完了。今日のテスタにはあまり見かけなくなったロー電圧での抵抗測定ができるのが本テスタの優位点。

せっかく小型電圧電流計を入手したので、使い道として、学生時代につくった実験用電源につけることにした。

学生時代につくったもの

スペックは 出力1.3~15V / 0.5A という安定化電源。3端子レギュレターLM317を使っている。本電源は1回作り直したことがあり、その時、フロントとリアを入れ替えていた。

当初のフロントパネル

ケースを開けると手作り感が満点。いまではもう少しマシなものがつくれるはず。

基板に大きな電解コンデンサ2つが目立つ

再利用できるものは、電源トランス、電源スイッチ、電圧調整ボリューム、ターミナル等。その他の部品は手元にあるものでも代用できそう。

また、必要性はあまり感じないが、出力電圧を 0~16V に拡大したい。回路が多少複雑になる。

ということで、今回の作り直し回路はまず下のもの。しかし、実測では出力電圧は確かに0(正確には 0.1V)に下げたが、リップル電圧が40mVと大変高い。理由はマイナス電源側が、半波整流+平滑コンデンサ+LM385 ではリップルが40mVとなっているから。

リップル電圧の高い回路

改善策として、LM385の代わりに、3端子レキュレターLM337を下記のように使うことにした。これで、出力に含まれたリップル電圧が 0.3mV(Fluke 78VによるAC測定、真の実効値)に下がり、一般の安定化リニア電源と同レベルになった。なお、小型デジタル電圧電流計を組み込んだからといって、ノイズが増えたことは測定からは確認できなかった。

最終的に採用した回路

さて、最大の難関は電圧電流計をフロントパネルに埋め込むための穴あけ作業。従来の穴をうまく隠しながら、四角い穴を新たに開けるので、つぎのように配置した。LEDは電圧電流計の点灯で必要がなくなり、その穴をターミナルに使うことにした。

フロントパネル

手持ちのハンドニブラが使いやすいか、若干切りすぎたところがあったが、思ったよりも簡単にメータを埋め込むことができた。

メータを埋め込み、電圧電流がわかるようになった
最小出力電圧は 0V
出力に4Ω抵抗器をつけたところ

内部の配置。

なるべく元のままにした

以上で、安定化電源の作り直しは完了。

<改善 2019.02.12>
 半波整流回路は効率が悪いので、回路をブリッジダイオードに直した。また、コストが安く、手に入りやすい電源トランスを使いたいので、2次側はセンタータップのない電源トランスで動くようにした。以下が改善した電子回路図。

改善した電子回路

抵抗器R1は発熱するので、定格電力1Wものが良いだろう。ブリッジダイオードは何でもいいが、定格電流1.5A以上で良いだろう。残りのダイオード4つも何でも良いが、定格電流1Aぐらいで問題ない。電解コンデンサC5がないと、LM337が発振してしまう可能性があり、つけるようにしよう。

センタータップでない電源トランスが手に入りやすく、出力電圧が 0から調整できて、リップル電圧が 0.2mV以下(実測では0.1mV)であった本改善回路は簡易型安定化電源の決定版と言っていいだろうか。

クリスマスの日に、AliExpressの買い物が届いた。ミニデジタル電圧・電流計2つ、型番 DSN-VC288、送料込計約3.4ドル(1つあたり1.7ドル)。同様なものをaitendoで確認したら、500円で販売されていて、利益率は高そう。

ミニ電圧・電流計
サイズと表裏の様子
表示のズレは微調整可能

各々2線、3線のケーブルが2本ついており、下の接続図がその使い方。販売元には接続に関する情報は全く無く、同じ商品を販売している他のお店から、やっと大事な接続図が見つかった。

大事な接続図

つまり、太い黒線は電圧と電流測定のための共用GND、黄色線は電圧測定用、太い赤線は太い黒線との間の電流計に電流を流すためのもの。なお、細い赤線と細い黒線は動作用電源用。指針式のアナログメータと違い、デジタルメータはどうしても動作するための電源が必須。

ということで、本デジタルメータを動かすのに、4.5~30V / min 20mA の電源を別途用意する必要がある。測れる範囲は電圧 0.0~99.9V(小数1桁固定)、電流 0.00~9.99A(小数2桁固定)。表示のズレは2つの半可変抵抗でそれぞれ調整可能。

実際の表示

2つとも若干の表示ズレがあったので、極小半可変抵抗を調整したらOKになった。

本商品はメータひとつで電圧・電流を表示してくれるので、使い道はいろいろあるだろう。安さの割に品質に文句はない。

以下はその他の技術情報。

電流値のリセット方法

ネット上で見つかった取説書(PDFファイル)。本物か?

日本では40~50年前に、アメリカでは70年前頃よく使われていた真空管電圧計 VTVMは今日になって、実用性はほとんどなくなった。ただ、10MHz以上の高周波領域では真空管が簡単な回路でも精度良く大パワーで動くので、特定の分野に絞れば真空管が却って勝つかもしれない。

5年前に入手した菊水電子製 VTVM 107Aを精度よく動くように整備してみた。アメリカのマネをした設計だが、合理的なづくりで、70~80年代では日本を代表していたようだ。

整備といっても、皆がよくやっているように、以下のことを行ったに過ぎない。
①コンデンサの取替
②真空管の取替
③バッテリーエリミネータ (Battery Eliminator) の作成

①コンデンサの取替
 オイルコンデンサやペーパーコンデンサが使われているので、経年劣化等を考慮して取り替えたほうがいいだろう。
 0.1uF/1500V は手持ちにないので、フィルムコンデンサ0.05uF/1500V(aitendo販売)を2つ並列して代用。
 2つのペーパーコンデンサ0.05uF/630Vは上記のフィルムコンデンサで取り替える。
 平滑用電解コンデンサ 10uF/150V も手持ちのチューブラ型 22uF/350Vで代用。
 5番目のコンデンサ5000pFは問題がなさそうで、そのまま。
 5つのコンデンサしか107Aに使われていない。これ以上減らすことは無理というレベルの天才設計。

5つのコンデンサの位置

②真空管の取替
 AC測定用の検波に真空管 6AL5 が使われているが、調べた限りとくに問題はないと判断。
 また、増幅用に真空管 12AU7 が用いられている。線形性があまりよくない(とくにゼロに近い低い電圧では)ので、新しい球(中国曙光電子製)と取り替えてみた。線形性が多少改善されたが、約2%の誤差が残っており、パーフェクトではない。メータ自身の整備性の可能性もあり、いつかメータを下ろして調整してみたい。
 なお、ほぼすべてのVTVMに使われる真空管は上記の2本。マネることが正義という時代は長かったか。

左は中国製新品の12AU7。日本Amazonから約1500円で購入
差し替えるだけで交換完了。はんだ付け作業は不要

③バッテリーエリミネータの作成
 抵抗値を測定するため、1.5V単一電池はVTVMに内蔵されている。最大電流は抵抗10Ωレンジでの150mA(=電池電圧 1.5V / 内蔵抵抗 10Ω)。100Ωレンジでは最大電流(ショート時の電流)は15mAと10倍ずつ小さくなっていく。10MΩレンジでの最大電流は 0.15uA でしかない。

単一電池から流れ出す最大電流は約150mA(10Ω OHMSレンジ)
最高レンジ 10MΩ OHMSでは最大電流は0.15uA

ただ、アナログテスタと違って、OHMSモードにすると、電池はつねに消費される。

単一電池が長寿命でも、液漏れが怖いので、当時ではメーカーとして6ヶ月での交換をユーザに勧めている。また、電池をビニール袋でわざわざ包んで出荷していた。苦情の多かったことと推測する。ということで、今日では数個の電子部品で単一電池のように1.5Vを作り出すことは簡単。

以下は今回つくった バッテリーエリミネータ の回路図。真空管のヒーターを温めるのに必要な交流6Vに悪影響を及ぼさないために、10Ωの抵抗を半波整流ダイオードの前に追加した。3端子レギュレータは1.8Vのものを使用した(秋月電子通商販売、JRC社製 NJU7223F18)。電池の公称電圧である1.5Vよりは多少高いが、多少のいい加減でも問題になることはあるまい。ケースは単三-単一変換アダプターを使った。うまくケースに入るように基板を使わず、部品のみではんだ付けした。

回路図。半波整流+1.8V三端子レギュレータによる安定化電源
変換アダプターにうまく入れるように配線
拡大した裏の様子
はんだ付けした回路をケースに入れると電池にそっくり
107Aに搭載したところ
入力は電源トランスAC6V組のGNDでない方につなぐ

ロータリスイッチは大変よく作られており、接触不良は起きていない。抵抗器が値をキープしてくれれば、後数十年でも動くだろう。高精度(1%)の高抵抗値(数MΩ~数百MΩ)抵抗器は入手困難だが。

前回の記事では非安定化リニアACアダプターを安定化ものに改造する話をし、実践してみた。ただ、結果的にはで出力電流が約250mAと多少小さかった。

今回は定格12V/500mAの安定化リニアACアダプターへの改造に再チャレンジした記事。改造後の使い道は主として、Agilent LCRメータU1733Cの外部電源にしたい。LCRメータは安価なDE-5000(秋月電子通商が販売中)も有名だが、DE-5000は100kHzの測定がいまいちとか、信頼度の面では自分としてどうしてもAgilentに軍配をあげる。しかし、U1733Cにスイッチング方式のACアダプターを外部電源として使うと、表示が安定せず、あるいは、内部のバッテリーと異なる表示をしたりする。ACアダプターを取り替えると、挙動がまた変わるので、測定器の外部電源として、やはりリニア電源だなとわかるようになった。無論、きちんとした測定をするときには、外部電源として、生のリチウムイオン充電池3本を直列して使うことにした。ノイズを一切排除できると考えられるから。

さて、改造のベースとなりうるACアダプターの条件とは、前回の記事で分析したとおり、ケースが開けられること、定格電圧が15Vであること。ケースの開けられるものは手持ちから物色すると、以下が見つかった。ただ、問題は定格電圧が24Vと高すぎること。仕方なく、前回の記事で測定対象となっていたACアダプターを献体として破壊し、電源トランスを取り出した。入れ替えてみたら、電源トランスがうまくベースに入り、超ラッキー。

改造のベースとなるもの。ケースが開けられることが良いが、定格電圧が高すぎる。
献体用。なかの電源トランスを取り出す

そして、サイズを合わせて基板をつくり、ブリッジダイオード、平滑電解コンデンサ1000uF/35V/105℃品、3端子レキュレータ 7812、出力側用電解コンデンサ 220uF/35V/105℃品、保護用ダイオードを手持ちのものから適当に選び、はんだ付けして完成。趣味の一環なので、コストは当然気にしない。

持ち物から適当に選び、はんだ付けした。
基板の裏、キレイにほど遠い
組み立てたらメーカー品に負けない見栄えか

では実測。無負荷では出力電圧は12.08V、出力リップル電圧は0.3mV(Fluke 87Vは真の実効値表示)。23Ω抵抗を負荷として繋いだら、出力電流が約500mAとなり、出力電圧は11.52Vに低下。その時のリップル電圧は0.4mVだった。放熱用アルミ板はそれほど熱くはなかった。

無負荷時は出力電圧が12.08V、リップル電圧が0.3mV
23Ω(8+15Ω)抵抗を繋いだ時は、出力電圧が11.52V、リップル電圧が0.4mV

目標とした定格電圧12V/500mAがクリアしたのだ。最後に電子負荷での確認画面をアップしておく。

出力電流をゼロにしたとき
出力電流を200mAに増やしたとき
出力電流を定格500mAに増やしたとき

以上で、安定化リニアACアダプターの改造がおわり。

改造済ACアダプター。定格12V/500mA、センタープラス

世界的に販売するため、コスト削減にしたいためなどの理由で、ACアダプター付属の商品が昔以上に大幅に増えている。

日本は商用電源が100Vに統一しているが、世界的にみると220Vや110Vが圧倒的に多く、しかもコンセントは形も足の本数も異なる。昔は電源変圧器(トランス)にタップをつけて、スイッチで切り替えることで各国の電圧に対応していた。しかしこれができたとしても、コンセントごとに電源ケーブルを用意しなければいけない。コスト競争の今日ではこんなことをやってられない。だから、ACアダプターが大繁盛になったわけだ。ACアダプターは中国製だと数十円のコストしかかからず、日本製電源ケーブルよりも安い。

さて、ACアダプターはたくさん出回っているが、ラジオや測定器に使えるACアダプターは案外少ない。ひとつめの原因はACアダプターはスイッチング方式が主流になったこと、もうひとつの原因は従来のリニア方式であっても安定化回路が入っていないものがほとんど。

スイッチング方式のACアダプターは省エネ、軽量小型という点では革新的だが、出力にノイズが多く含まれ、ラジオや測定器には向かない。

安定化回路が多くのスイッチン電源に取り入れられているが、リニア電源には放熱の問題や安全・コストの考慮から省いたものがほとんど。安定化回路の入っていないACアダプターは負荷のない場合に出力電圧が定格電圧よりも数割高く、機器に悪影響を与えない保証はない。

ということで、本記事ではリニア方式のACアダプターを改造して、安定化回路を取り入れてみる。

ところが、コスト削減のためか、ユーザが開けられるACアダプターはほとんど見かけなくなった。運がよく、手元にネジ止めのACアダプターがあった。

定格は9V、800mA
ネジ止めのACアダプター
安定化回路はない

ACアダプターは出力が定格9V、800mAとなっているが、無負荷時の出力電圧は実測では約12V。中をみると、全波整流後に1000uFのコンデンサという平滑回路のみの回路で、安定化回路は入っていない。

そこで、9Vの出力になるような安定化回路を組み込みたいが、3端子 レギュレータ にはドロップアウト電圧として数V(2~3V)が必要で、このACアダプターで9Vの安定化出力に改造することは簡単ではない。

解決策として、①電源トランスを改造、②整流ダイオードを取り替える、③ドロップアウト電圧の少ない3端子 レギュレータ を採用する、の組み合わせになる。

①電源トランスの改造
3端子 レギュレータ の入力電圧、つまり、電源トランスの2次側電圧を2~3V高くすればいいわけだが、そうするために、2次側の巻線を巻き増すことが必要で、素人には無理だろうし、大掛かりの作業が必要になる。真空管アンプをつくるひとは趣味のため、コストを無視して自力でやっているひとはいるようだが、ACアダプターの電源トランスを改造することはあまり聞かない。ということで、①の解決策はほとんどのひとにとって意味のない選択肢。それよりも、同じサイズの電源トランスに取り替えることが現実的かもしれない。

②整流ダイオードの取り替え
いわゆる、電圧降下の少ないショットキーダイオード等に取り替えることだが、今回のACアダプターでは全波整流のため、取り替えたとしてもたかだか0点数Vの改善にしかならず、効果が薄い。ブリッジ整流であれば、最善のケースでは1V近くを確保できるかもしれない。

③ドロップアウト電圧の少ない3端子 レギュレータ の採用
本命は①だが、ふつうのひとには無理ということで、この③がもっとも効果のある解決策になるだろう。ふつうの3端子 レギュレータ が動作するのに、入出力電圧の差は最低2~3Vが必要。しかし、低ドロップアウト電圧の3端子 レギュレータ (業界用語ではLDO レギュレータ という)は0.6V以下でOK。今回のACアダプターのケースでは9Vの出力電圧を確保するのは難しいとしても、8Vの出力電圧なら、0.6V以上なので理論上可能なわけだ。

以上の分析から、今回はLDO レギュレータ を使うことにした。

手元にあったLDO レギュレータ (出力電圧8V)

幸い、手元の備品を探したら、出力8VのLDO レギュレータ が見つかった。すでに生産中止になったかもしれないが、LM2930T8.0 という型番。出力電流150mA以内なら、0.6Vのドロップアウト電圧がスペック上保証されている。

8Vの出力電圧でも、9Vとしてほとんどの用途では通用する。リニア方式の非安定化ACアダプターは電圧が数割も上下するので、8Vの出力電圧では動かないことは考えにくい。安定化スイッチング電源でも1Vの差が許容範囲のギリギリところだと思われる。

超小型放熱アルミ板につけて、出力にさらに電解コンデンサを付け加えて改造が完了。

3端子 レギュレータ と電解コンデンサを付け加える

では、改造が完了したACアダプターを実測してみた。以下は証拠写真。

無負荷時の出力電圧。
無負荷時のリップル電圧は0.6mV
出力電流が0.3A時の出力電圧
出力電流が0.3A時の出力リップル電圧

純抵抗を出力につけて、実測したデータは以下の表のとおり。

出力電流と出力電圧との関係

出力電流が170mAまでなら、出力電圧が約7.8V以上にキープしているが、310mAにすると、明らかに出力電圧が低下してしまった。ドロップアウト電圧のスペック外になったのがその理由だろう。最大出力電流が300mAまで保証してくれるLDO レギュレータ (ネットで調べたら、後継デバイス LM2937ET-8.0 は500mAまでのドロップアウト電圧を0.5Vにしてくれるらしい)に取り替えるのは改善策だが、ラジオや測定器の電源として使うので、200mAでも十分。

つまり、結論として、定格8V/0.2Aとして、改造済ACアダプターを使うといい。

最初から、6V/500mAの安定化リニアACアダプターへの改造を目標にすればまったく苦労がなかったかもしれない。逆に、9V出力の安定化ACアダプターに改造するなら、12Vの非安定化ACアダプターを探すほうが無難。難題はケースの開けられるものが見つかること。

最後に、非安定化リニア方式ACアダプターと、非安定化スイッチング方式ACアダプターをひとつずつ取り出し、それぞれの特徴を比較しておく。

非安定化リニア方式ACアダプター(定格15V 800mA)

出力定格15V 800mAとなる非安定化リニア方式ACアダプター。スイッチング方式のACアダプターに比べて重くて大きいのが特徴。無負荷時と純抵抗を出力につけたときに実測した値は以下のとおり。定格電圧15Vに比べて、無負荷(つまり、出力開放)時の出力電圧は20Vに近く、3割増し。出力電流が大きくなってくると、出力電圧が低下し、800mAでは、おそらく15Vになっているだろう(800mAちょうどの抵抗は用意できなくて、あくまでも推測)。ただ、平滑コンデンサの容量不足か、出力電圧にリップル成分は高すぎる。ケースを開けることはできず、中身を調べることはできなかったが。

特徴としては出力電圧の変動、比較的大電流。平滑コンデンサの容量が小さいとリップル電圧は高い。
スイッチング方式のACアダプター(定格12V 1A)

定格出力が12V 1Aとなる非安定化スイッチング方式ACアダプター。軽くて小さいのが特徴。非安定化でも、無負荷時の出力は1割増し、リニア方式に比べて出力電圧の変動は小さい。しかし、出力電圧に含まれるリップル電圧は高く、ラジオや測定器の電源としては厳しいと言わざるを得ない。

大電流だが、リップル電圧も高め

スイッチング電源キット DSP5015 が順調に稼働しているが、YouTube上に放熱ファンを高温時にのみ動作させるという動画があり、真似してやってみた。

スイッチング電源 DSP5015には2つのファンがあり、メイン基板にあるそれとメタルケースの壁にあるもの。どちらも放熱用だが、メイン基板にあるファンは出力電流が10Aを超えたらはじめて動くようで、ケース壁のファンは常時回転していてうるさい。

そこで、サーモスイッチを導入して、ケース温度が、たとえば、45℃を超えたら壁ファンが動くようにすれば、静かな電源に変身するわけだ。

AliExpressで注文すると配達されるまでのひにちがかかるので、今回はaitendoで購入。どちらも中国製 KSD9700 というサーモスイッチ。常時オープンと常時クローズの2タイプあるが、温度が上昇したらファンの電源スイッチを入れて放熱するという目的なので、かならず常時オープンというタイプを選ぼう。

サーモスイッチ KSD9700、常時オープンタイプ

動作確認をテスタの抵抗レンジでやってみた。常温時は両端子間の抵抗値が無限大、半田コテを当てて温めると、両端子間の抵抗値がゼロとなったので、商品に問題ないと判断。

サーモスイッチは常温でオープン
温められるとスイッチオン、抵抗値ゼロ

つぎに、スイッチング電源 DSP5015 にサーモスイッチを格納するスペースをうまく見つけ、サーモスイッチを通るよう、壁ファン駆動基板の電源ケーブルをつなぎ直せばよい。

サーモスイッチをスイッチング電源に組み込んだ様子

スイッチング電源は電圧変換の効率が大変よいようで、8A、150W以上の電力を出力しても、メイン基板のファンも壁ファンも全く回転しない。日を改めて電子負荷を用いて再度確かめる。壁ファンが回転する様子を確認できるまではまだ不安だ。

8Aの出力電流でも、スイッチング電源は全く温まらない

電源トランスは従来のシリーズ電源では大きくて重いものだったが、スイッチング電源の登場によって小型高周波トランスだけでよいことになった。大型電源トランスは駆除され、ますます入手困難になっていく。

本記事では、電源トランスの良否を電子負荷でテストしてみる。

そのまえに、購入した電子負荷は直流専用で、トランスの交流電圧に対応できないので、簡易整流回路を用意しておく。ブリッジダイオード+平滑コンデンサという組み合わせ。

簡易整流回路用のパーツ

手元にあった大型ブリッジダイオードとして、BR154をみつけた。BR154は
15A  / 400V というスペックで、電子負荷キットの最大電流20Aに及ばないものの、問題になることはないだろう。また、電解コンデンサとして、4700uF / 50Vをみつけた。100V以上耐圧のものがあれば使いたいが、大容量で高耐圧の電解コンデンサは残念ながら手元にない。

はんだ付けして組み立てた簡易整流回路

手元にさまざまな電源トランスが残っているが、取り敢えずだいぶ昔に購入したTOEI電源トランスで実験してみた。1次側は90Vか100V対応。2次側は2組、それぞれ 18V / 0.2A との表記。

TOEI(東栄)電源トランス

電子負荷はひとつしかもってないので、電源トランスの2次側を直列接続してテストすることも考えたが、直列接続すると電圧は36Vになり、有効値から最大値に直すと、36×1.414 = 51Vになり、さらに無負荷時の数割増しの電圧を加算すると、電解コンデンサの耐圧50Vを数割超えてしまう。2次側の直列接続は諦めるしかない。

そこで、2次側の1組に電子負荷、もう1組に100Ω抵抗をつけることにした。18/100 = 0.18A、定格電流の0.2Aに近いので。

全体の接続状況
無負荷電圧は24.9V、想定以上の高さ

無負荷では整流回路の出力電圧は約25V。電流を定格の約0.2Aに調整すると、電圧は18.3Vに低下。

定格電流0.2Aでは電圧が18.3Vに低下

さらに2割増しの0.24Aに増やすと、定格電圧の18Vになった。トランスの2次側電圧と整流回路の出力電圧は異なる値とはいえ、一応定格の電圧と電流が得られた。

定格電圧18Vに対する電流は0.24A

±15Vオペアンプ用電源として購入していた電源トランスだったのかもしれない。15Vとの3Vの差は三端子レキュレター(7815や7915)のために確保したものだ。

ここまでのテストで、±15V / 0.2A の定電圧電源用電源トランスとしては問題ないと言えよう。