つくった50MHzまで測れる周波数カウンターメータを Trio 9R-59D(S) に使うには、OSC回路に影響を及ぼさないために、バッファ回路が必要と思われる。真空管 V3である 6AQ8 の残りの三極管をバッファとして使う実験をしたところ、芳しい結果ではなかった。つまり、周波数カウンターメータを接続したら、発振周波数が変わったり、発振波の振幅が変わったりした。ということで、多くの人がやったように、FETによるバッファを作成した。

使える高周波用FETはいくつもあるが、手元に有名な 2SK241-Y があるので、それを使った。なければ、秋月電子販売中の J211_D74Z でも問題ないと思う。

つくった周波数カウンターメータの感度が十分高いので、FETの後にトランジスタによる増幅回路やバッファ回路をなくし、FETだけのバッファ回路にした。回路図は以下のとおり。

FETによるバッファ回路

各パーツは基板にではなく、9ピン真空管ソケットにつける。シャシーに穴(センター穴)を1つ開けるだけでしっかり固定できるし、見た目も周りと調和している。AC 6.3V は近くのV3用ヒーター電圧から分岐して供給した。

真空管ソケットを基板代わりに使った
V3である 6AQ8 の傍にスペースがあり、そこに回路を装着
バランス型アンテナ端子をバッファの出力端子に流用した。そこに周波数カウンターメータをつけて、受信周波数を10MHz未満なら100Hz単位で精確に読み取る

周波数カウンターに関しては、中古製品を1つ、自作品を2つ持っているが、IF周波数(455kHz)を間引く機能はついていなく、TRIO 9R-59D(S) のOSC周波数を表示するには使い勝手は悪い。いちいち455を引かないといけないから。

AliExpressでは4ドル程度で販売している周波数カウントキットがあり、秋月通商では1950円、Amazonでは約1800円で似たものを販売している。急いで手にしたいので、また、LED表示部と本体とを離したものがよいので、Amazonから調達した。

1Hz~50MHzの周波数カウンターキットを購入

ケミコン10uFの2つ、47uFの1つを手持ちのセラコンに変えて、数時間かけてハンダ付けした。

キットをハンダ付けした

いらないパーツや取り替えたことで残ったパーツは以下のもの。

残ったパーツ

上記の写真にある、C14であるコンデンサ 22p はハンダづけしないで、との指示が添付してきた資料に書かれたので、そのまま残った。ケミコン3つはセラコンで置き換えた。電源スイッチは別のパネルタイプのものを使うだろうからいらない。DCジャックは一般的なものではなく、自分としては2.5mmのものでないと困ってしまう。

プリアンプの回路は周波数カウンターの性能を決める大事な部分なので、基板のパターンを観察しながら、下記のとおり復元した。正式に発表されたものではないので、あくまでも参考程度。

プレアンプの回路(画像だけを表示させれば、拡大表示やダウンロードが可能)

回路図からわかるように、外部電源としては、約7V以上のものなら、DCでもACでもOKのはず。ショットキーダイオード 1N5819 が整流ダイオードとして機能するので、外部電源の極性を間違えて壊れることはない。その先に、出力電圧が5v の3端子レギュレータがあり、周波数カウンター内部では安定化電圧 5V を供給している。

なお、RF FET である J310 を流れる電流は実測で約 10mA、RF Tr である 2SC3355 を流れる電流は実測で約 5mA。Trのバイアス抵抗 56kΩ は自分のキットでは 47kΩ に変えると、Out端子のDC電圧は 2.55V になる。56kΩのままでは2.7V であって、多少高く感じたので 47kΩ に変えた。

IF周波数である455kHzを間引く設定にするには、PROGスイッチを数回短押し(クリック)して、「tAbLE」(テーブルの意味)が表示されたところで、スイッチを長押しして、「455.00」を表示させる。そして、スイッチを長押しして確定させる。つぎに、「Sub」になるまでスイッチをクリックする。「Sub」が表示されたところで、長押しして確定させる。電源を切っても、設定した内容が保持される。

以上のような操作はやってみないと分かりづらいが、短押し(選択)と長押し(確定)の意味を分かることが大事。そして、直前に表示された周波数(実際に測定した周波数、あるいは、テーブルから呼び出した周波数)を「Add」または「Sub」すれば、入力に印加されたシグナルの周波数に加算または減算できるようになる。つまり、オフセット機能はそう設定するのだ。

実際に文化放送(1134kHz)の周波数を自作品と本キットで表示させた様子を以下に示す。OSCの周波数は1589(若干のずれがあり、自作品では1588.88との表示)kHz だが、間引く設定によって、本キットの周波数表示はきちんと1134と表示される。

自作品と本キットの周波数表示

ラジオの周波数表示に使うなら、半可変コンデンサ(トリマコンデンサ)を回して、周波数を調整する必要はないだろうが、どうしても気になるひとは、5MHzの標準時計の電波で調整できるかもしれない。ただ、その放送もAMなので、帯域幅があり、精密調整には無理。なお、個人で最も精確に利用できる標準周波数はGPS同期の10MHz。本ブログの古い記事を見れば、活用法がわかるはず。

さて、本キットのキーパーツはなんといっても PIC16F628A (秋月通商で200円販売中)とそれに書き込まれたプログラムだ。プログラムについては、オリジナル先からダウンロードできるかもしれない。実際にテストしていないので、本キットと同じプログラムかどうかは不明。

<2021.1.23追加>
本キットだけの問題かもしれないが、PICプログラムにバグがあるようだ。というのは、2.5MHz~3.5MHz範囲内の周波数測定はうまくいかないようだ。TRIO 9R-59DS のBバンドでは、バンド途中の周波数を明らかにずれて表示していることが発覚のきっかけ。しかも、連続したずれではなく、たとえば、3.5MHz のつぎにいきなり2.8MHzと表示されてしまったりする。単体の信号発生器から合成した正弦波を測定しても、同じ症状が出たので、PICプログラムのバグだと認定した。この帯域の電波受信はほとんどしないので、実害はないが、気になることは確か。

真空管式通信型受信機 Trio 9R-59D(S)の通病として、Dバンドの感度低下があげられる。OSC(局部発振)用V3の真空管として、双三極管 6AQ8 が採用されているが、ピン互換のロシア製 6N1P で差し替えて確認したところ、Dバンドの感度アップが認められた。つまり、V3の選定によってDバンドの感度が変わる可能性が秘められている。

そこで、大晦日の本日では、手持ちの双三極管を複数個ピックアップし、改めて発振波形の強さを確認することにした。メインチューニングをA, B, C, D各バンドの最高周波数にセットし、オシロを使って波形をチェック。

確認した真空管は 6AQ8(デフォルト)、6N1P(ロシア製新品)、6BZ7(RCA製未使用品)、6R-HH2(TEN、中古品)。さらに、結果的に使えないことがわかったが、6CG7、6R-HH8 についてもテストしてみた。

V3として使えそうな双三極管4品種

各バンドにおける波形の振幅を以下に示す。それぞれの波形をすべて示す必要もないので、最も良かった 6R-HH2 を使用した際の波形のみを合わせて示す。

6R-HH2によるAバンドの波形
6R-HH2によるBバンドの波形
6R-HH2によるCバンドの波形
6R-HH2によるDバンドの波形

Cバンドでは異常発振になってしまった6R-HH8はDバンドでは最も波形が強く、異常発振の問題を解決できれば最もよい候補になるかもしれない。

6R-HH2は6BZ7との差がばらつきの範囲内かもしれないが、6AQ8の倍以上の強さになっているので、V3として、6R-HH2を使うのはDバンドの感度アップにもっと効果的だ。現に、6AQ8の代わりに 6R-HH2 を使ったら、Dバンドにある多くの放送局を楽しめるようになった。

ただ、問題がまったくないわけではない。6R-HH2 の最大プレート電圧が150Vとは、定電圧放電管 0A2 を追加した手持ちの個体のプレート電圧そのものだから。0A2がなければ、プレートにかかる電圧が187Vになるようだ。最大プレート電圧を超えたからただちに真空管が壊れることはないだろうが、寿命に悪影響を与えることは間違いなさそう。

そういうことで、R41である 150Ωの抵抗を手持ちから、470Ω に変え、V3のプレート電圧を約 145V に下げることにした。

真空管通信型受信機 TRIO 9R-59D (S) に、オプションとして、定電圧真空管 0A2(VR-150MT)が用意されている。それを使うと、一部のB+電圧が安定になり、ドリフトが軽減されるとか。

自分の入手した個体に、すでに0A2が装着されているが、予備球をさらに買っておくことはバカバカしいので、Tr+ツェナーダイオードによるソリッドステート化を考える。

0A2は定電圧放電管といい、5~30mAの電圧を150Vにキープしてくれる。実際に9R-59Dでの流れる電流は15mA前後、消費電力は約 2W。

こんな大パワーのツェナーダイオードはなかなか入手しづらい。安全係数をもたせるには、定格電力10Wものがほしいところ。ということで、Trを採用せざるをえなくなった。

回路図は以下の通り、典型的な安定化回路そのもの。手持ちのNPN型 Tr BUH150Gは耐圧400V、真空管回路にも十分使える。Tr の消費電力は約0.4W、ヒートシンクをつけなくてもOKだろう。150Vツェナーダイオードを流す電流は約1mA、消費電力は約 0.15W。150V/1W 程度のものなら十分。

150V/20mAの定電圧回路

0A2は実質2端子素子だが、今回の定電圧回路は3端子になるので、完全の互換にならない。そういうことで、9R-59Dの回路を一部変更し、入力端子はピン1番、出力端子はピン5番に繋ぐことにした。元の回路では、B+として1番を使っていたので、1番へのリード線を入力(ピン1番のまま)と出力(ピン5番)に分ける必要がある。なお、真空管0A2の内部では、ピン1番と5番が繋がっているので、改造後、ソリッドステート回路を搭載したソケットと真空管との差し替えはいつでも可能。ただし、真空管 0A2(あるいは、そのソリッドステート化もの)を使わないと受信機全体は機能しなくなる。

以下はつくった物の写真。

定電圧放電管 0A2 のソリッドステート化した変換ソケット
変換ソケットの底部分
シャシーに装着した際の様子。キャップはまだ用意できていない
ソケットの1番ピンにつないでいた出力のリード線を5番ピンに移動

音質の改善や6AQ8の節約、チャレンジ等の理由で、TRIO 9R-59DS にある真空管 V7(双三極管6AQ8、それぞれのユニットはBFOとAF増幅用)をソリッドステート化、つまり、トランジスタで代用してみた。

AF増幅用のほうは、高耐圧FETで置き換えるだけで済み、とても簡単。今回は手持ちのLND150(Vds耐圧が500V、秋月より入手可)を採用。

問題はBFO用。発振周波数は 455kHz 前後と高周波ではないが、キャパシティを持たせないために、どうしてもRF用FETを使わざるを得ない。しかし、RF用FETに高耐圧のものは手持ちになく、FET+NPN型トランジスタにした。さらに、保護用ツェナーダイオードを追加。以下はその回路図。

2SK241とA42とのコンビ

2SK241は有名なRF用FET。MOS型であるため、バイアス抵抗がなくても動く。A42は MPSA42 という名称のNPNトランジスタ、Vbc最大耐圧が300V、トランジション周波数が50MHz(BFOの発振周波数に比べて十分高い)。耐圧が250V以上であれば、どんなNPN型トランジスタでもよいだろう。ツェナーダイオードは手元に10Vのものがあったので、それを使ったが、6~12Vのものならどれでもよいはず。

2SK241はIdssの小さいもの(できれば 3mA以下)がよい。手持ちにYランクのものしかないが、できればOランクがよい。

つくったものの写真を以下に示す。

変換ソケットを自作。いつでも真空管に戻すことが可能。
AF増幅側のユニット。LND150 というFETをつけるだけ。
BFO用はちょっと複雑。FET+NPN-Tr
違う角度の写真をもう一枚
キャップを被せ、真空管 6AQ8 の代わりになった。

FunctionをSSB-CWの位置にセットしたときの、ピン1番(6AQ8のプレート)の波形はつぎのようになっている。

出力波形

音質はやはりFETのほうが良い。ヒーターがないので、ハム音が大幅に低減したこともメリットのひとつ。BFOは流れる電流が6mAもあり、とても力強い。その結果として、SSBの感度(音声)が大幅にアップ。半永久に使えることは最大のメリットかもしれない。

もうひとつのOSCとして機能する真空管、V3 である6AQ8 のソリッドステート化はつぎの課題。

1週間前に、念願の9R-59DSをヤフオクにて入手。整備品とのことで、相場よりは多少高いかもしれないが、結果的に良かった。

Trio 9R-59DS
一緒についてきた外部スピーカ Trio SP-520

スピーカは9R-59DSについていないので、今回の出品では珍しく外部スピーカもついている。外部スピーカといっても、メタル筐体にスピーカユニットが中に入っているだけのつくりで、変わったことはなにもない。

9R-59DSは真空管ゼネラルカバレッジ受信機で、受信周波数帯域は550kHz~30MHz、4バンドに別れている。受信モードはAM以外に、SSB・CWにも対応。

内部構成はシングル・スーパーヘテロダイン、中間周波数455kHzに一旦変換される。いわゆる「高1中2」:RF(6BA6)、MIX(6BE6)、OSC(6AQ8の片側だけ)、IF2段(6BA6 x 2)、SSB検波(プロダクト検波)(6BE6)、BFO(6AQ8の第1ユニット)、AF2段(6AQ8の第2ユニット)、6AQ5。つまり、使用真空管は8本。型番で類別すると、6BE6が2本、6BA6が3本、6AQ8が2本、6AQ5が1本。双3極管である6AQ8は多少入手しにくいかもしれないが、その他の3型番はよく見かけるものだ。ロシア・中国系の互換品を書くと、6A2P・6A2(=6BE6)、None・6K5・6K7(=6BA6)、6N1P・6N1(=6AQ8)、6P1P・6P1(6AQ5とピン互換ではないので、変換ソケットが必要)。

また、オプションである定電圧放電管 0A2(TENブランド VR-150MT)が実装されていて、B+電源電圧が150Vに安定化されている。

定電圧放電管0A2が追加されている

ほかの細かい部分として、RF増幅真空管のシールドの追加があった。

RF増幅真空管 6BA6 がしっかりシールドされている

さすがに、整備品という言葉は嘘でなく、大きな問題もなく稼働してくれた。真空管はすべて問題のない良品であり、Dバンド以外はそれなりの感度で受信できている。

ただ、すべて満足というレベルでもない。設計が古い(60年か)ということもあり、以下の点について改善策を考えている。

1.AMの音質はよくない。歪みが大きい。
2.Dバンドは感度が低く、ほとんどの放送局を受信できない。
3.SSBの復調はやりづらい。ANT-TRIMの微妙は操作が欠かせない。マニュアルでは、SSBを聴くときに、AFボリュームを最大にすべきだということが書かれているが、自分はいままでそんな操作はしていなかった。

さて、改造の一部については効果のほどは不明だが、行った改造を以下にまとめてみる(無駄だとわかっていても、いじることが好きなので)。

1.RF真空管を6BZ6や6DC6などの、いわゆる7CMピン配置の真空管が使えるように改造。ピンの2番と7番を入れ替えるだけだが。改造後、とりあえず手持ちの6BZ6を差し込んで使うことにした。6DC6は貴重なので、試すことをしていない。いままでの経験では、6DC6だからいいことはなく、あくまでもコリンズ神話。

真空管V1(RF用)を7CMベースに改造

2.OSC用真空管6AQ8を 6N1P に変更。ロシア製 6N1P (ヒーター 6.3V/0.6A)はプレート最高電圧が250V、各プレートの最大消費電力が2.2W、ベース(ピン配置)が9AJ、gm=7.5uS、格安で新品購入可。6AQ8とはピン配置に関する互換性があり、gmは6AQ8の5.9uSよりも高い。この変更による効果は大きく、Dバンドにおいて、複数の放送局が受信できるようになった。ただし、Cバンドほどの感度にはまだ遠く及ばない。

OSC真空管を6N1Pに変更した後の、日曜10時半頃Dバンドにある16MHz帯内のの受信様子。

3.検波用ダイオードを1SS108に変更。音の歪みはダイオードによるとの噂を確かめるため、手元にあるショットキーバリアダイオード 1SS108 で実験。取り替えたのはD2, D3, D4の3つ。ただ、取り替えた結果として、Sメータの振れはよくなったかもしれないが、歪みの改善に関する効果のほどは不明で判断できない。

ダイオードの3つを1SS108に変更

4.音質を改善するために、負帰還(NFB)をかけることにした。C33である33uF/15Vというケミコンを取り外し、そのプラス側(AFの1段目6AQ8の8番目ピンでもある)とアウトトランスの2次側との間を20kΩ抵抗で結ぶ。ミニアンプLM386付きの外部スピーカによっては発振することを確認したが、付属のTrio SP-520では音質がだいぶマトモになった。NHK第1のような強力な放送局はまだイマイチだが、短波放送やDX放送はだいぶ聴きやすくなった。選択度とのトレードオフで考えると、この辺で妥協するかもしれない。

リモート端子の6番線(アウトトランスの2次側接線)を借りてNFBをかける。

5.ハム音を低減させる。真空管なので、ハム音を完全に取り除くことはなかなか難しいが、それなりにトライしてみた。抵抗 R37(2.2k、8W)を1k(5W)と1.2k(5W)の直列接続で置き換え、その中間点とGNDとの間にケミコン 47uF/400Vを追加した。5Wの酸化金属皮膜抵抗は千石から、ケミコンは秋月から入手した。さらに、コンデンサ C46 と並列にケミコン 47uF/400V を追加、つまり、抵抗 R39 の後にもケミコンを追加しすることにした。

取り外したR37(2.2kΩ / 8W)
R37を2つの抵抗で置き換え、さらにケミコン2つを追加。

中波の各放送局に関するSメータの振れを図示する。無信号ではSメータがゼロを指している。受信時間はいずれも日曜の午後5時頃。

NHK第1(594kHz)、Sメータは約+35
NHK第2(693kHz)、Sメータは+40オーバ(+60?)
地元の栃木放送(1530kHz)、Sメータは約+10
中国放送(広島、1350kHz)、Sメータは約+5

1週間しか使っていないが、9R-59DS(その前身の9R-59Dを含め)は間違いなく名機といえよう。理由はいくつかあげることができる。

①操作が直感的でしやすい。メインダイアルは奥の方がメインチューニング、手前のほうがバンドスプレッド(いわゆるファインチューニング)。自分の個体では ANT TRIM操作が微妙だが、ほかの操作はほとんど受信操作時にいじることはない。つまり、RF GAINはつねに最大のままでOKだし、BFO-FREQをいじることもない。中波や短波は無論のこと、SSBもちゃんと感度よくそれなりに聞けることは流石だと思った。

②整備しやすい。真空管についての勉強が必要だが、トランジスタ受信機と比べるとなんと簡単な構造だろう。まるでおもちゃのようなレベル。しかし、こんな簡単な回路でもちゃんと機能するので、真空管が入手できる限り、後50年動かすことは難しくないはず。真空管が入手できなくなったら、FETやオペアンプで置き換えることも可能だろう。故障しやすいボリュームは3つあるが、RF GAIN用のボリューム 10kΩ Cタイプは入手困難で、寿命の長いロータリスイッチで代用することも考えられる。AF GAIN用の500kΩ Aタイプ、Sメータ感度調整用 500Ω Bタイプは入手できるうちに複数キープしておこう。

③ハム音が発生するが、ノイズが少ない。デジタル回路がまったくないから。

自己メモ。

安かったので、メルカリからジャンク品を購入、送料込2k未満。到着して確認したところ、ケミコン 470uF/6.3V はひとつ破裂していて、しかも電源SWやバンド切替SW等は全般的に硬い。

分解作業はソニーのラジオにしては珍しくとても簡単。ソニーは技術力がピカイチとよく吹聴されるが、見てきた昔のソニーラジオは分解が難儀ものが多く、治す気はしない。

本機種は裏フタの固定ネジ4本を取り外し、裏フタのアンテナとのリード線が短ければ、それをハンダ付けで溶け外し、トップにあるTone(低音と高音)に関するノブ2つを外す(固定ネジがなく、力をいれて抜くだけ)と、スピーカを含めた基板を取り出すことができる。スピーカは基板に固定されてはいないが、外れないように1箇所ハンダ付けされている。

基板を取り出したところ。4本のネジは基板を固定するものではなく、裏フタを固定するものなのだ。

破裂したケミコンを交換したら、音が出るようになった。しかし電源(4.5VDC)電流の大きさが異常で、500mAにも達している。原因はAF段のTr 2つ近くのサーミスター(違うかもしれないが、約4mm大きさの楕円球体で、表記はなく、抵抗値は約25Ω、指で触ると抵抗値が変動する)がふらふらしていて、断線しているようだ。それをハンダ付けし直すと、電流が正常状態に戻り、放送を受信していないところでは電流値が20mA以下に下がった。

しかし、他の問題は音量の低下とともに気づいた。ひとつは受信感度がいまいち、高感度ラジオにしてはおかしい。もうひとつは音質が悪く、大きな音量では歪がひどく、音が割れてしまう。

受信感度の低下はどうも初段FETの問題のようだ。初段FETは TX173 C1 という表記だが、正体不明。手持ちの 2SK192A-GR で交換したら、却ってノイズだらけになってしまった。代わりに、2SK241-GR(AliExpressから仕入れた本物かどうかは不明なもの)で交換したら、受信感度がおそらくもとに戻った。おそらくとは正常な状態で聴いたことがないので、あくまでも推測だということ。

交換したFETと、Tr(6つ)

AF段以外のTr(2SC710というものが 7つ) については、ついでにひとつ除いて交換した。ひとつ除く理由はそれが基板のシールド板で隠されていて、シールド板を外すのが面倒だから。取り除いた 2SC710 はすべてSonyブランド(実際の製造は三菱かも)、hfe値は2つが65前後、2つが85前後、1つが100、1つが135。交換用Tr は互換といわれる 2SC1675、hfe値は100前後が5つ、s9014(hfeが350)が1つ。s9014を使う理由はとくにないが、遊び感覚でhfeの大きいTrを使いたかっただけだ。

ただし、ソニーの名誉のために書くが、2SC710は確かに足が黒くなったが、不良になったことではない。足が腐食して折れない限り、交換しなくてもいいかもしれない。今回の交換はただの遊びで、無駄遣いするだけのなにものでもない。

各バンドの感度を確認していて、ひとつ感じた問題は短波受信の実用性だ。チューニングダイヤル自体はスムーズとはいえないこともあり、特定のラジオ局を受信することはほとんど不可能。

さて、音質の問題はスピーカを外してよく確認したら、スピーカのコーンの問題だとわかった。理由不明だが、コーンが多少変形していて、エッジは一部浮いているようだ。

緑に錆びているところで、基板とハンダ付けして外れないようにしてある。
わかりにくいが、8時方向に圧着された痕跡があり、エッジが一部金属から浮いている。

スピーカを交換すれば完璧だが、同じ種類のスピーカを入手することはおそらく不可能。そういうことで、エッジをナイフで金属から剥がし、木工用ボンド(糊)で貼り直した。

80年代に憧れていたBCLラジオ 松下 National RF-B30 を手に入れた。周波数表示が89.305のままになってしまったジャンクだが、外観はそれなりに良さげ。

MWとSW(1.6-30MHz)以外に、ワイドFM(76-108MHz)が受信できるところは電機メーカーの製品らしい。MWのバーアンテナ内蔵もラジオならではの特徴(通信機はふつう考えられない)。商用電源交流100V以外に、バッテリー8本による給電可。

さて、ネット情報を頼りに、一日かけて分解修理をした。故障はPLLユニット上のケミコン(470uF/6.3V)のショートによるものだった。このケミコンのショートは多く報告されており、ギリギリの耐圧による問題かもしれない。自分の場合、外部から定電圧電源12Vをバッテリー端子に繋いで流れる電流を確認したところ、交換する前の約0.5Aから、交換後の約0.2Aに変化した。つまり、周波数表示が89.305に固定されてしまった場合に、全体の電流が0.5A前後であれば、PLLユニットのケミコンによるショートが原因と考えていいかもしれない。

PLLユニットの分解はなかなか大変なので、その他の耐圧の低い470uF/6.3Vの3つ、100uF/6.3Vの2つ、47uF/10Vの1つもついでに交換。ただし、ICチップを跨る100uF/6.3Vは交換しづらい(基板への溶接点がシールの下に隠されている)ことから、見送った。なお、ショートしたケミコン以外に、他のケミコン6本はいずれもそれなりに良好の状態にあった(無論新品ほどではないが)。

その交換だけで、機能がすべて回復したようだ。感度はもっているほかの通信機ほどよくないが、まあまあの状態。FM聴けることは自分にとって新鮮。

短波の受信
宇都宮市内からの広島放送(RCC)の受信
ローカルFM局(FMアンテナではない)
回路図もマニュアルもないので、外部アンテナをこのように繋いで受信。右下のアンテナSWは右側に切り替えたことに注意。

チューニングはMW、SWでは周波数分解能が1kHzなので、アマチュア無線を聴くことはほとんど無理。LSB/USBモードは一応ついているが。

また、PLL機能のおかげで、周波数安定度は抜群。スピーカーの音声も聴きやすい。BCLラジオとしてはこんなものかもしれないが、通信型受信機には歯が立たないのが自分の使用した感想。BCLラジオの素晴らしさはいま(2020年)になってもよく宣伝されるが、通信型受信機を知らない人向けのものだろう。BCLラジオが何台あっても1台の通信型受信機に敵わない。

マーカー発振回路の追加とEXTチャンネルの実装はJR-310に対してやりたかったこと。問題はやはり水晶(クリスタル)発振子の入手。とくにマーカー用の 100kHz はそう簡単でなく、気長に待つしかない。

EXTチャンネルは自分として、短波放送を聴く目的にしたい。放送局の集中するバンドと入手できる水晶発振子との兼ね合いで聴くバンドを決める。

JR-310のマニュアルによれば、受信したいバンドの下限周波数をXとすると、X+5.955MHz のものは用意すべき水晶発振子の周波数だ。

短波放送のメインストリートとは、
  25mバンド(11.600~12.100MHz)
  19mバンド(15.100~15.800MHz)
を指すようだが、それぞれに対応する水晶発振子の周波数は 17.555MHz、または、21.055MHz。

周波数ぴったしのものの入手は難しいが、近い 17.515MHz (HC-42/Uタイプ)を入手できた。40kHz のずれはしょうがない。

水晶発振子とローカル発振用コイル。問題ないと思うが、念の為、ショート防止用ポリイミドテープ(耐熱テープ)を巻いた。

ローカル発振用コイルは手持ちのものから選んだ。すでに 15pF のコンデンサはJR-310 内部の発振回路に組み込まれている(ほかのバンドと共通してつかうもの)ので、共振周波数 17.515MHz に合わせるには、コイルのインダクタンスは

L = 1/(2πf)2/C

になるべきで、f=17.515MHz、C=15pF を代入して計算すると、L = 5.504 μH と出た。

問題は測定器のないこと。LCRメータはあるが、測定する周波数の上限は 100kHz、まったく歯が立たない。ということで、適当に短波放送が聴こえるまで、巻数を加減して調整することにした。

以下の写真3枚はJR-310マニュアルにしたがって、実装した箇所。

バンドスイッチに対して、ウェファー4枚で隣の端子とショート。ならびに水晶発振子の追加。
コイルの固定はボビンの余っている側の足(3本)を鉄板に直接ハンダ付けすることにした。
コイルの調整は横から。変だけど、固定するためのよりよい方法は思いつかなかった。

ハンダ付けのしやすさを考えて、コイルを横向けに装着。

恐らくどこかの調整はまだ正しくないと思うが、自分の実装では、RF Tuneを時計方向いっぱい(50MHzあたり)にすれば、メインダイヤルとIF Tune で昼間でも短波放送が聴けるようになった。周波数の確認は計算しづらいが、まあ、音楽やアナウンサーの声が聴こえればよいので、40kHzの周波数のずれは気にしないことにした。

なお、デジタルファンクションジェネレーターから、AM変調された周波数をアンテナに注入したところ、11.560~12.160MHz まで聴こえることを確認した。感度の確認はジュネラータのショボさから、できなかった。

自己メモ。メインダイヤルと周波数とのの対応関係
  0 → 11.560MHz
  100 → 11.660MHz
  200 → 11.760MHz
  300 → 11.860MHz
  400 → 11.960MHz
  440 → 12MHz
  500 → 12.060MHz
  600 → 12.160MHz

ガラクタの山がまた転がってきた。100本を超えたMT管。今回はテレビ用とのことで、整流管はなく、出力管もなかった。

真空管テレビに使う真空管の数はどれぐらいだろう。全く知らないので、調べてみた。15本とか、25本とかいろいろあるが、30本以下のようだ。100本の真空管なら5、6台相当ということかもしれない。

最も数的に多かったのは 6BX6、6AW8A

同じ種類で最も多かったのは 6BX6 と 6AW8A。前者は美しい真空管の代表格のようだが、ヨーロッパ生まれのシャープカットオフ5極管。後者は3極5極複合管、オーディオアンプの出力管として利用されることが割とある。当然、オーディオアンプの世界では、3極5極管の代表格である 6BM8 には敵わない。

珍しい球をあえてガラクタから選ぶとしたら、つぎの3つにする。

珍しい球かな。左から 17AB9、EBF89、2D21。

17AB9は双4極管。名前からも推測できるように、ピンの数は10本。販売しているソケットはあまりないかもしれない。2~7極の真空管のうち、6極管はないかもしれないが、ほかはすべて実物を所有することになった。といいたいところだが調べたら8極管もあったらしい。この組み合わせをやろうとすれば、莫大の種類になることは確かだ。

EBF89はフィリップス製、米国では6DC8と登録される。6DC6 はコリンズ球として有名だが、6DC8 もただものではない。双2極・リモートカットオフ5極複合管。6BX6 の網部分は倍の高さになり、より美しく見える。

2D21はサイラトロンと呼ばれる大電力制御に使う球。見た目はしょぼいが、それを欠かせないところもある。

さて、標準電圧のMT管はガラクタの半分以上を占めるが、ヒーター電圧が 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 12, 17 となんでもあり。真空管テレビもトランスレスかな。自分だと感電するのが怖くて、買いたくない。

1本1本のガラクタをクリーニングして、ピン直し、スペック調べ、ヒーター電圧確認をするので、ガラクタの山を片付けるには数日を要する。

もっとも困るのは、型番が消えたり、ほぼ消えた球の存在。似たような球を探してきて調べ、ヒーター電圧を測定して推測するなり、謎解きのようなプロセスだ。10本もあるので、時間がいくらあっても足りない。どうしても判別不能なら捨てるしかないかもしれない。

たとえば、ほぼ消えていたが、かろうじて 6A?6 と読めた球があった。ヒーター電圧を測ると 6.3V / 0.3A。それでほぼ 6AU6 と推測できた。そして、型番が表示されている 6AU6 と内部構造を比較して確信させられた。6A 6と3文字まで読めたことに助けられた。

有名な球 6AU6。左から3番目は表示がほぼ消えたが、同じ型番であることを確信。一番右は 6AU6A、外観の違いは認められる。

ヒーターは点火しない、ゲッターは消えたとかの球はなく、良心的なセラーだと感じた。また、ガラクタの山ゆえの全く知らない球に出会たことも良かった。

増えすぎた球をどう処分するか、最大の悩みはそれだ。