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最近、大手スーパーダイエーの再建について、色々な対立がみられ、面白い。

UFJ等のメインバンクからの産業再生機構送りの期限付き脅しに対し、ダイエーの高木社長が臨時取締役会を開き、あくまで民間主導の自主再建路線を貫く姿勢を崩そうとしない。さらに、中川経済産業相がダイエーの判断を支持するのに対し、伊藤金融相は債権の買取り期限を理由にダイエー側に慎重な判断を促した。つまり、官vs官、官vs民、民vs民、という複雑な様相を呈している。

中内功氏が1957年、大阪市千林駅前に「主婦の店ダイエー」第1号店を創立して以来、「良い品物をどんどん安く」の安売り哲学をモットーに、規模拡大の積極経営で小売業界をリードし、戦後日本経済の発展とともに成り上がった。1964年東京進出。1970年売上1000億円突破。1972年東証一部上場。同年売上日本一を達成、三越百貨店を抜き業界最大手の座を手に入れた。1980年年間売上高1兆円突破。創立してから40年で、ローソンやプランタン銀座を手がけたほか、マルエツ、忠実屋、ハワイのアラモアナショッピングセンター、リクルート等の経営権も獲得。300社といわれるグループ企業をあわせると、総従業員数十万人、グループの総売上5兆円の一大流通帝国を築きあげた。中内功氏本人も、1990年経団連副会長、1993年日本チェーンストア協会会長に就任し、立志伝中の経営者と称えられた。

ところが、バブル経済の崩壊と共に、積極経営策が裏目に出始め、拡大路線による巨額の借入金と売上の伸び悩みによる経営危機が表面化した。1998年、上場以来初の経常赤字となり、無配に転落した。グループ全体で2兆6000億円の有利子負債の問題が露見し、経営難が深刻化したことになる。メインバンクによる金融支援を2度受けたが、再生の見通しはいまだにはっきりしない。

しかし、なぜいまこの時期にダイエーの再生が再び話題になるかというと、実はUFJの不良債権処理が根本にある。昨年の金融庁の検査のときに、他のメインバンク2行が5割の引当金を積んでいるのに対し、UFJだけが3割しか積んでいなかったといわれる。さらにUFJからダイエー関連の隠蔽資料が発覚。UFJは現在、トータルで4000億を超えるダイエー向け債権を抱えている。来年3月末までに、政府方針である不良債権半減処理目標を達成するためには、どうしてもこのダイエー向け債権を処理しなくてはならないのだ。つまり、「不良債権の半減」をめざす竹中路線のもとで、金融庁の圧力がUFJを追い込
んだ格好となっている。

ダイエーの再生を産業再生機構に委ねる場合、経営再建策が抜本的だと判断され、会計上「不良債権」でなくなる。しかし、ダイエーにとって、自主再建以上の大リストラを迫られ、経営が破壊されてしまう。逆に、産業再生機構を通じた再建策をとらなければ、ダイエーの債務者区分を要管理先から正常先に引き上げることを絶対に金融庁が認めないという。

国民にとって、再生に投入される税金が少ないほうが良いわけだが、多くの株主にとっては目の離せない攻防であろう。しかし、地元足利銀行破綻の教訓もあり、金融庁を甘く見てはいけない。最悪のケースを想定しておこう。