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渡辺淳一さんのことが新聞に取り上げられている。愛の意識革命をもたらす「恋愛の毛沢東」と称されるほど、中国で大ブレークしているようだ。

渡辺さんはお医者さんだったことがご存知の通り。本人が曰く、医学と文学は、人間を探る、という意味で全く同じものだと。医学は人間を肉体的な面から、論理的に追求するのに対して、文学は人間を精神的な面から、その非論理的な面に光を当てていくという点で、大きく異なる、という。非論理的なものとして、同じ接吻や愛撫にしても、愛する者同士なら心が震えるほどの歓びを覚えるのに、嫌な相手となら顔もみたくなくなるほどの嫌悪にとらわれると表現している。

渡辺さんの作品はそんなに多く読んだわけではないが、お医者さんならではのリアリティが楽しめると同時に、愛の究極性を突き詰めるドロドロした内容が多いような気がする。愛の日常性や平凡性とは対極的に、愛を生と死のすべてとして捉えて書き上げる。「愛と性」を非論理性の最たるものに位置付け、人間の真の実態を文学を通して表現するのが渡辺さんの考え方。

論理的とはなにか。恐らく結果やなりゆきについて、ある程度予想できて、因果関係をある程度把握できる、という意味だと思う。その客観性や再現性を追及するのは科学という。愛や人間の心が本質的に非論理的かどうかは、まだ解明されていない難問のひとつだと思う。それゆえ、感動や、苦悩がつきまとい、何千年も作家達やわれわれ人間を惑わすのかもしれない。

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