東京大学で行われた、ハーバード大学サンデル教授の特別講義の録画を観た。講義では、正義や道徳、戦争責任等について討論していた。これらの問題は、無論いずれも正解はないが、相手の言い分を聞き、問題を問題として意識することの大切さを説いた授業だと思う。

さて、領有問題すら存在しないと日本政府が主張している尖閣諸島(中国名釣魚島)について、あえて、日中両政府の主張を自分なりにまとめてみる。

1. 無主島であったかどうか
 日本政府は尖閣諸島が無人島であり、無主島だったと主張しているのに対して、中国政府は無人島ではあったが、明清朝に属していたという。

2. カイロ宣言ポツダム宣言の第8条、連合軍最高司令部訓令 (SCAPIN) 677号の第3条、第4条に対する見解
 日本政府はそれらいずれも尖閣諸島に言及していないとの主張に対して、中国政府は尖閣諸島も含まれているという。

3. サンフランシスコ平和条約沖縄返還協定の有効性
 日本政府は有効との主張に対して、中国政府はそれは日本とアメリカ(及びその他の国)との条約であって、中国政府が参加できなくて、条約の領土範囲に関する部分の有効性を疑問視し、いずれの条約も認めていない。領土問題は当事者同士で話しあうべきことだと。

なお、下関条約以降終戦までの日本占有は当時の中華民国も認めていたようで、1920年5月20日中華民国駐長崎領事の感謝状(写真)に、尖閣諸島を日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島と記したからといって、戦後にも日本の領土だという日本側の主張を認めることにはならない。その理屈が成り立つならば、台湾も朝鮮も今でも日本の領土になってしまうからだというのが中国側の言い分。

ただ、日本側の強みというのは、尖閣諸島をいま、実効支配していることだ。その支配を少しでも変えることは中国政府のこれからの戦略だろうか。

尖閣の問題は、争点3に見られるように、戦後処理とも関係しているし、アメリカ当時の国策の影響をもろに受けていた。いまはだいぶ緩和されたが、当時の西側が中国政府を敵視していた時代背景、つまり、東西冷戦構造を指摘しておこう。それでも、アメリカは尖閣諸島の領有権については最終的に判断する立場にない、領有権問題は当事者間の平和的な解決を期待するとして、中立的な立場を当初から強調しているという。

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