041014.jpg

花は人語を解する、とよく言われる。「きれいだね」と、花にむかって呼びかけると、それに応えて花はますます美しくさくのだそうだ。私は花を育てる習慣を持っていないので、この目で実際に確かめてみたことはないけれど、似た経験は知っている。

ビールだ。ビールをグラスに注ぐ際、勢いあまって、つい多めに入れすぎてしまうことがままある。そんなときは、盛り上がった泡がグラスの縁にふるえ、溢れ出そうになる瞬間、気持ちを込めて「耐えるぞ」と声をかける。泡は必ず持ちこたえてくれる。

花と酒といえば、詩人李白の名高い七言絶句を思い出す。

両人対酌山花開

一杯一杯復一杯

我酔欲眠卿且去

明朝有意抱琴来

二人対酌すれば山花開く

一杯一杯また一杯

我酔って眠らんと欲す 卿且く去れ

明朝意有らば琴を抱きて来れ

花は人語を解し、酒は花語を解し、人は酒語を解す。おれは酔って眠くなったから、おまえはひとまず帰ってくれ。明日の朝その気があれば、琴を抱えて来てほしい。夢見心地で別れたのだから、穏やかに響く琴の音色で、目覚めさせてほしいのだろう。

人間もおなじ、言葉の魔法にかかりやすい。きれいだね、と褒めるときれいになるし、互いに好きだというとホントに好きになるものだ。もうだめだと考えると別れてしまう。スポーツ選手が自己暗示をかけないと負けてしまうのも周知の事実。言葉の力はすごい。

綺麗ですね。

Comments are closed.

Post Navigation