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そういえば、都内でオペラ 「ラ・ボエーム」 を見てきた。途中2回の休憩が挟み、計2時間50分の上演だった。

<物語>
1830年頃のパリ。屋根裏部屋で貧しいながらも楽しい共同生活を送っている詩人ロドルフォ、画家マルチェッロ、哲学者コッリーネ、音楽家ショナールらはクリスマス・イヴぐらい外で楽しもうと出かけることになったが、ひとり残るロドルフォ。そこへ階下に住むお針子のミミがろうそくの火を借りに来て2人の間に淡い恋が芽生え、意気投合した2人が夜の街へ。

カフェに全員が集まったところに、マルチェッロのかつての恋人ムゼッタがパトロンとともに現れる。ムゼッタは「私が街を歩くと」を歌い、マルチェッロの気を引こうとする。結局ムゼッタは、パトロンを離れマルチェッロとよりを戻す。

2ヶ月後の雪の降る日、日増しに胸の病気が悪くなるミミ、彼女に何もしてやれない自分を責めて酒びたりのロドルフォ。ミミは迷惑をかけまいと静かに別れを告げる。あいかわらず浮気なムゼッタとマルチェッロも激しい口論の末、別れる。

それから時がたち、4人がもとの共同生活に戻っているところへ、ムゼッタが瀕死のミミを連れてやってくる。ミミはロドルフォのことが忘れられず戻って来たのだという。皆は恋人たちを気づかうが、ミミは誰にも気付かれずひっそいと息をひきとってしまう。ロドルフォは、その名を叫びながらミミの亡骸を抱きしめて号泣するのだった。</物語>

オペラの魅力はなんといってもすべてが「生」の一言に尽きる。まだ電気が発明されなかった17世紀初頭にオペラが誕生した。マイクロフォンはおろか、劇場の照明すらない時代の上演だった。俳優の声を観客に届かせるためにあらゆる工夫がなされ、すり鉢状の円形劇場の形もそのひとつ。音響機器が発達した現在でも、ホールでは生の歌声で上演するのがオペラの特徴。歌手たちは、増幅しない生の声だけで数百人の観衆を魅了しなくてはならず、数時間の長い上演時間を持ちこたえなくてはならないので、身体と精神力の極限を追求しているのはオペラだといわれている。その上、数十人によるオーケストラーの演奏も見物。歌唱も演奏も指揮者ひとりでまとめるところがすごい。劇場に自動販売機がないことも、すべて古くからあるヨーロッパの貴族文化の踏襲であろう。

生産性を度外視、生の人間が生の歌声で昔のまま演出するところ、つまり、進歩のないところがオペラの価値だといえるかも知れない。

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