あらゆる関数 f(x) を x の多項式で表そうという考えがある。数表の作成や、コンピュータによる数値計算では絶大な効果をあげている。

原点 x=0 近傍の f(x) を多項式で表したのがマクローリン展開という。ただし、ln(x) や 1/x、1/sin(x) など、x=0 では無限に発散してしまう関数は無論、そのマクローリン展開は存在しない。

マクローリン展開の条件はともかく、微分操作の理解度や、手計算技能(限られた時間の中で、電卓も算盤もなく、紙と鉛筆だけで正確に計算できるか、いわば現代版拷問)を問うには良い素材として、数検の問題にもよく使われる。

そういうことで、本記事は如何に速くマクローリン展開を得るかに趣を置く。

まず、基本として、等比数列からスタートしよう。味方を変えれば、f(x)=1/(1-x) に関する立派なマクローリン展開だ。

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1/(1+x) に関しては、上の式(1) の x に –x を代入するだけで得られる。

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1/(x+1)の積分関数は ln(x) になるので、上記の式(2)の左右両辺を積分すれば、ただちに、対数ののマクローリンを得る。

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指数関数のマクローリン展開は基本中の基本なので、覚えよう。関数 e^x は微分も積分も自分自身というトンデモナイ特徴を持っているし、工学の世界ではラプラス変換など多くの活用が工夫されている。

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また、複素数の世界では e^(ix) = cos(x) + i sin(x) という関係があるので、式(4)の x に ix を代入して、実数部と虚数部とに分けて整理すると、sin(x)およびcos(x)のマクローリン展開が得られる。ただ、一々代入しなくても、sin(x)は原点対称、cos(x)はy軸対称という特性に注目すれば、式(4)のx奇数項がsin(x)用、偶数項がcos(x)用にし、符号が一つずつ入れ替わることと覚えれば、ただちに式(4)から下の2式を得ることができる。

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あるいは、sin(x)の微分がcos(x)、cos(x)の積分がsin(x)という関係で上記の式(5), (6)の正しさを検証するのもよい。

arctan(x)の微分は 1/(1+x^2) になるので、

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左右両辺を積分すれば、arctan(x) のマクローリン展開が得られる。

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さて、マクローリン展開をほかの関数にも使えるように、二項定理の指数を実数にまで拡張する。

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そうしておくと、arcsin(x) のマクローリン展開が簡単に書けるようになる。なぜなら、arcsin(x) の微分関数がつぎになっているからだ。

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式(9)をもって右辺を展開すると下記になるので、左右両辺をさらに積分すれば、arcsin(x) のマクローリン展開を得ることができる。

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また、arccos(x) については、

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であり、式(10)とは符号が違うだけだ。arccos(0) = π/2 ということを忘れずに取り入れると、arccos(x) のマクローリン展開が得られる。

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こうすれば、覚えることなく、常用関数のマクローリン展開はあっという間に書き出すことができる。限られた時間の試験中はこういうノウハウをぜひ活用したいものだ。

ところで、tan(x) という関数はまだ簡単にそのマクローリン展開(前6項を5分以内)が書けない。今後の研究課題としよう。

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また、証明は略するが、いくつか重要な関数のマクローリン展開をおいておく。

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<問題>√(1+sin(x)) (0<x<π) をマクローリン展開して、定数項からx^5 の項までを求め、和の形で表しなさい。

<解答>

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与式が sin(x/2)+cos(x/2) に変換できることに気づけば、sin(x) と cos(x) のマクローリン展開を書き、解答となる。


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<解答>
e^(3x) のマクローリン展開は式(4)に x=3x を代入して得られる。

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また、sin(2x) のマクローリン展開は式(5)に x=2x を代入して得る。

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上の2式の積を取り、x のべき乗について整理する。

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マクローリン展開の定義により、それぞれの導関数の値は以下になる。

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