嵐の中、なぜか古い帆船に乗っていた。
隣には小さな男の子と老婆がいて、私は男の子にこの船の行き先を聞いた。
「新しい大陸に行くんだよ」
と、男の子は答えた。
老婆の話を聞くと、この男の子はその大陸の統治者の血を引いており、今はこういう状況だが向こうに着いたらそれなりの待遇を受けられるそうだ。
老婆は男の子の事を「坊ちゃま」と呼ぶ。
そうか、確かに身なりはあまり綺麗でないが、そういう雰囲気があるし、笑い顔が可愛い。
しかし、しばらくして更に海は荒れ、船に乗っていた人々はみな一人残らず波に飲み込まれた。
・・・

気がつくと大都市に立っていた。
波に飲み込まれたのは気のせいだったのだろうか?
男の子と老婆も立っている。
中世の町並みを見せるこの都市には、真ん中に巨大な塔が立っていて雲の上まで続いている。
古いのか補修工事が行われていて、たくさんの人が労働に従事している。
しかし彼らを良く見ると人ではなく
動物の頭を持った獣人で、うなだれて仕事をしている。
「僕はあの塔に登りたいんだ。手伝ってよ」
男の子はそう言った。しかし人間が登れるような塔に見えない。
遠くから見ると天から一筋の糸が垂れているようにも見える。
「私からもお願いします」
老婆にも頼まれ、私はその子を背負うと、心の中で
空を飛ぶ事を願った。あの塔の中腹まで送り届ければもしかすると登りきれるかも。
少しずつ浮遊感が生まれて、少しだけ宙に浮いた。
もっと飛びたいのだが、なぜか途中で止まっている。
ふと振り向くと、あなたがそこにいて、見た事もない険しい顔で
「行っては駄目だ!」
と叫んでいる。
・・・

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